家を高く売るための価格査定と媒介契約のポイント

不動産売買_関連 暮らし/法律/その他 資金/ローン/税制_関連

前回の記事では、家を売却するときの基本的な流れと心構えについて解説しました。

今回は、価格査定と媒介契約についてもう少し細かく解説してみます。

少しでも高く査定してもらうポイントや売出価格の決め方について学んでいきましょう。

1、価格査定で少しでも高く査定してもらう方法とは

家を売却するときに、まず初めにすることが価格査定です。価格査定とは不動産会社が物件を見て適正な売却価格を算定することを言い、売出価格のベースになります。少しでも高く査定してもらうためのポイントを知っておきましょう。

 

①まずは周辺の相場を調べよう

家の価格を査定するためには、まず自分の家の周辺相場を知っておかなくてはなりません。相場はあくまでも目安ではありますが、不動産会社との相談や査定をスムースに進めるためにも、ある程度は自分で調べておくことをおすすめします。

相場を調べるためには、次の3つの情報が有用です。ひとつは「公示地価」「基準地価」などの公的な価格指標。2つ目は周辺の「過去の取引事例」。3つ目は「現在売出中の物件価格」です。

公的な価格指標はインターネットでも公開されているので、誰でも調べることができますが、公開されているのは土地の価格なので、マンションや一戸建てなど建物を含めた価格そのものが分かるわけではありません。どちらかと言うと、過去何年分かを見て相場のトレンド(上昇傾向なのか下落傾向なのか)を知るために使うとよいでしょう。

「過去の取引事例」を調べるにはいくつか方法があります。国土交通省が運営する「土地総合情報システム」や全国指定流通機構連絡協議会が運営する「REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)」というサイトでは、全国の土地、中古マンション、戸建てなどの取引事例をエリアや最寄駅から検索することができます。また不動産会社の担当に調べてもらうのも方法のひとつです。

■土地総合情報システム:http://www.land.mlit.go.jp/webland/

■REINS Market Information:http://www.contract.reins.or.jp/

最後に現在売出中の物件については、「SUUMO」「LIFULL HOME’S」などのいわゆる不動産ポータルサイトで検索してみるとよいでしょう。売却物件と立地、広さなどの条件の近い物件の売出価格を調べることができればおおよその相場がつかめます。(ただし、売出中の価格は実際の取引価格よりも若干高い傾向にあります)

この3つの情報から、売却価格についておおよその見当をつけておきましょう。

 

②査定は複数の会社に依頼しよう

売却したい物件のおおよその価格がつかめたら、いよいよ不動産会社に査定依頼をしてみましょう。不動産の価格査定は、まず不動産会社が周辺の相場などを元に机上で査定し、その後に実際に物件を見た上で最終的な査定価格を算出します。しかしながら、不動産は1つとして同じものがないため、正確に価格を算出することは非常に難しく、会社によって査定価格もバラバラになります。場合によっては数百万円程度の違いが出ることも珍しくありません。したがって、複数の会社に査定を依頼することがポイントです。複数の会社に依頼すれば、会社それぞれの査定根拠や考え方を聞くこともできますし、おおよその価格帯がつかめます。地域の不動産会社に個別に相談してもよいですし、インターネットの「一括査定サービス」などを使うのも便利な方法です。

 

③高く売れる売却のタイミングとは

不動産には「定価」という概念がなく、あくまでも需要と供給で価格が決まります。つまり、買いたい人が多ければ価格が上がり、少なければ価格が下がるということです。

したがって、売却の時期も価格を左右する大きな要因になります。一般的に不動産購入の需要が最も大きいのは春の住み替えシーズンです。3月を中心に前後2ヶ月くらいが需要のピークになります。次が秋のシーズンで10月を中心に前後1ヶ月くらいです。逆にこれ以外の時期の購入ニーズはそれほど高くありません。査定する営業マンもそのあたりは熟知していますから、時期によって価格にも差が出ることになります。

家の売却を検討するときには、この住み替えシーズンを狙って売却活動を開始できるように査定依頼を始めるとよいでしょう。

 

④高く査定してもらうために売主ができること

最後に、少しでも高い査定を出してもらうために売主ができることを知っておきましょう。査定の時だけでなく内覧の際にも役立ちます。

・いらないものは整理し、きれいに掃除しておこう

不動産会社の営業マンも人間ですから、やはり第一印象は大事です。汚れて散らかっている家よりは、清潔感があってきれいに片付いている家の方が印象もよいですし、お客様にも勧めやすいのです。特にキッチンやお風呂など水廻りの汚れは気にする方が多いので、ハウスクリーニング業者などに頼んで掃除してもらうのもひとつの方法です。いらないものはこの機会に思い切って処分しましょう。

・部屋を明るくしておこう

部屋の明るさは時間帯や天候に左右されますが、明るい方が開放感が感じられ、部屋も広く見えます。そのため窓ガラスをきれいに掃除しておくことはもちろん、部屋のカーテンは開け、照明もつけておきましょう。日中でも薄暗い家ではやはり印象はよくありません。

・においにも注意

家にはそれぞれ独特のにおいがあります。住んでいると気づかないことが多いので、査定時には必ず換気をしましょう。特に排水やペットのにおいはマイナスポイントです。

 

2、査定価格が高ければいいわけじゃない。仲介会社選びのポイント

各社の査定が終わり具体的な価格が提示されると、いよいよ仲介会社を決める段階になります。どのような基準で決めればよいのかを知っておきましょう。

①不動産会社が売却物件の獲得に力を入れる理由

まず、前提として知っておかなければいけないのが、不動産会社は売却物件の獲得に非常に力を入れているということです。その理由は不動産会社が受け取ることができる仲介手数料です。

売主から預かった物件に対して自社で買主を探して契約が成立すると、不動産会社は売主と買主の両方から手数料を受け取ることができます(両手取引)。一方、他社が預かっている物件に対して、買主を探して契約した場合には、買主からの手数料しか受け取れません(片手取引)。このようにひとつの成約で手数料が2倍になるチャンスがあるわけですから、どの不動産会社も売却物件の獲得には力を入れるわけです。

 

 

 

 

 

こうして売却物件の獲得に力を入れれば入れるほど、不動産会社は他社との競争に勝つためにできるだけ高い査定を出そうとする傾向にあります。売主としては少しでも高く売りたいのが心情ですが、あまりにも相場からかけ離れた高い価格を提示されたときには、ちょっと疑ってかかった方がよいかも知れません。なぜ相場よりも高いのかを確認してみたほうがよいでしょう。

②売買仲介が得意な不動産会社に任せる

不動産会社にはそれぞれ得意、不得意があり、賃貸や店舗の仲介などを得意としている会社も多くあります。当然、売却を任せるなら不動産の売買を得意としている会社に任せるのがよいわけですが、どのようにそれを見分ければよいのでしょうか。

ひとつは、購入希望者の集客にどのくらい力を入れているかです。不動産ポータルサイトや会社のホームページを見た時に、どのくらいの売買物件が掲載されているか、広告やイベントなどにどのくらい力を入れているかがひとつの目安になるでしょう。

もうひとつは、具体的な売却活動です。売却を任せたときにどのような活動をしてくれるのかを聞いてみましょう。掲載されるインターネットサイト、チラシやポスティングの数、オープンルームの開催など、会社ごとに特色がありますので比較してみるとよいと思います。

③査定価格の根拠を確認してみよう

価格査定は決まったやり方があるわけではなく、不動産会社の経験と勘に頼る部分がまだまだ大きいのが実情です。そのため提示された価格にきちんとした根拠があるかどうか、周辺相場や過去の事例から論理的に説明できるかどうかが信頼できる会社のポイントになります。また、査定依頼物件の広告活動についてもしっかりと確認しておきましょう。

④買い替えなら売却も購入物件を扱う会社で

買替えのために売却する場合には、購入する物件を扱う不動産会社に売却も合わせて任せることをおすすめします。買い替えの場合は売却代金でローンを完済し、残りを頭金に充てることが多く、資金計画や、引き渡しスケジュールをしっかり管理しなければならないため、窓口がバラバラになるとトラブルになる可能性があります。

 

3、売出価格の決め方

売却を任せる不動産会社が決まると、売出価格を決めて媒介契約を締結します。売出価格の決定は、非常に重要ですので、どのような考え方で決めたらよいのか知っておきましょう。

①「高く」と「早く」は両立しない。売出価格を決める2つの戦略

売却を進める上では、誰でも高く売りたいものですが「高く」と「早く」は両立しないということを念頭に置く必要があります。

例えば、査定価格が3000万円だった場合、売却に時間をかけてもよい場合には、3200万円くらいからスタートしてみるのもひとつの方法です。この場合、広告などによる反響はさほど多くないと予想されますが、どうしてもその物件を買いたいという方が現れれば、査定以上の価格で売却できる可能性があります。

一方、売却時期が迫っている場合には、売出価格を2900万円に設定して、短期間に多くの反響を集め、その中で一番高く買ってくれる人に売却するという方法も考えられます。つまり、売却を急ぐかどうかで売出価格の決め方も変わってくるということです。高めにスタートしてじっくり待つか、低めにスタートして短期間に多くの反響を集めるか。どちらの戦略でいくかは、不動産会社と相談しながら決めていくとよいでしょう。

②買主からの価格交渉は想定しておこう

売出価格を決める上で、もう一つ考慮しなければならないのが、買主からの価格交渉(指値)を受けるかどうかです。最近では価格交渉が入るのが多くなっており、売出時にはそれを見込んだ価格でスタートするのが一般的です。つまり本来の査定価格に値引き分を上乗せした価格で売出価格を決めるわけです。

先の例で申し上げれば、3200万円で売り出した物件に、100万円の指値が入り、最終的に3100万円で成約するようなケースが増えているということです。売主からすれば3000万円の査定価格に対して100万円アップで売却でき、買主も100万円値引きしてもらったという満足感が残ります。売出価格を決める際には、ある程度価格交渉分を見込んでおいたほうがよいでしょう。

4、不動産会社にしっかり動いてもらう媒介契約の結び方

不動産会社との媒介契約については、3つの契約形態を理解しておきましょう。それぞれの特長とメリット・デメリットについて解説します。

① 3つの媒介契約の特長と制限

媒介契約とは簡単に言うと、不動産会社に対して、自分が所有する不動産の売却を任せるということと、売却できた際に仲介手数料を支払うということを約束する契約です。この売却の「任せ方」には3つの種類がありますので、きちんと理解しておきましょう。

媒介契約はその拘束力の違いによって3つの種類に分かれます。他の会社にも重ねて売却を依頼できるのが「一般媒介」、他の会社に依頼できないのが「専任媒介」、さらに自分で買主を探すこともできないのが「専属専任媒介」です。

■媒介契約の拘束力

 

 

■媒介契約の種類と制限

媒介契約の種類 他の不動産会社への依頼 自ら探した

買主との契約

契約期間の

上限

REINS (※)への登録義務 状況報告の

頻度

専属専任媒介契約 できない できない 3ヶ月 5日以内 7日に1回
専任媒介契約 できない できる 3ヶ月 7日以内 14日に1回
一般媒介契約 できる できる 制限なし なし 規定なし

※ REINS(レインズ):全国の不動産会社が加盟する業者間情報ネットワーク

上表の通り、売主に対する拘束力が高い契約であるほど、不動産会社に課せられる義務も重くなっていることがご理解いただけるでしょうか。

 

②メリット・デメリット

それでは、この3つの媒介契約からどの形態を選べばよいのでしょうか。

前提として、不動産仲介は成功報酬ですので、どの契約形態であっても売買が成立するまで不動産会社は1円の報酬も受け取ることができず、売却活動にかかる広告費や人件費はすべて先行投資になります。

したがって、専属専任媒介のような拘束力の高い契約では、他社に契約を取られてしまう恐れがないので、不動産会社は積極的に売却活動(先行投資)をおこなうことができますが、他社にも重ねて依頼できる一般媒介では、なかなか積極的な先行投資を期待できないのが実情です。

そのため、一概にどれが正解ということはありませんが、不動産会社に積極的に動いてもらうという観点から申し上げると「専任媒介」か「専属専任媒介」での契約をおすすめします。

 

■媒介契約の種類とメリット・デメリット

媒介契約の種類 メリット デメリット
専属専任媒介契約 より積極的な売却活動が期待できる

活動報告の頻度が高い

他の不動産会社に依頼できない

自ら買主を見つけることもできない

専任媒介契約 積極的な売却活動が期待できる

自ら買主を見つけることができる

他の不動産会社に依頼できない
一般媒介契約 複数の不動産会社からの反響が期待できる 積極的な売却活動が期待しにくい

 

③媒介契約の更新と解約

専属専任媒介、専任媒介での契約は期間が定められているので、期間中に売買が成立しなかった場合には、媒介契約を更新する必要があります。もし売却活動に不満があれば、更新しないで別の不動産会社と契約を結ぶこともできます。

では、契約期間中の解約はできるのでしょうか。例えば、REINSに登録しない、活動報告がないなど、明らかな契約違反があった場合にはそれを理由に解約することができます。しかし、売主側の一方的な理由での途中解約は慎むべきでしょう。このようなケースでも解約の申入れは可能ですが、それまでの売却活動にかかった費用は支払うことになります。契約期間中の一方的な解約は難しいと理解しておきましょう。