2019年公示地価は4年連続上昇!首都圏「住宅地」の上昇エリアはどこだ?

不動産売買_関連 市場/相場_関連 暮らし/法律/その他 注文建築_関連 資金/ローン/税制_関連

2019年3月19日、平成31年の公示地価が発表されました。全国平均は4年連続の上昇となりましたが、エリア別に細かく見ていくとまた違った結果も見えてきます。今回は2019年の公示地価から、首都圏の住宅地における地価トレンドを追ってみました。

1、2019年公示地価は、4年連続の上昇で上昇基調が強まる

全国平均(全用途)は4年連続で上昇し上昇基調を強めています。また、三大都市圏(東京・大阪・名古屋)でも上昇が継続していることが確認されました。

 

1-1、 公示地価とは

公示地価とは、地価公示法に基づき、国(国土交通省)が、毎年1月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。公示地価は、一般の土地取引価格の指標となるだけでなく、公共用地の取得価格の算定基準ともなっています。

 

1-2、都市圏では住宅地、商業地とも上昇が続く。地方圏は27年ぶりにプラス転換

2019年公示地価の全国平均は、住宅地でプラス0.6%となり、前年の0.3%から上昇幅を拡大しました。商業地は1.9%から2.8%へと上昇基調を強めています。三大都市圏(東京・名古屋・大阪)では全用途で上昇となり、地価の上昇が継続していることが確認されました。

 

■三大都市圏の公示地価変動率

住宅地 商業地 工業地
東京圏 1.3% 4.7% 2.4%
大阪圏 0.3% 6.4% 2.0%
名古屋圏 1.2% 4.7% 0.6%
全国平均 0.6% 2.8% 1.3%

 

また、地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)はプラス4.4%と6年連続で上昇し、前年はマイナス0.1%だった地方圏全体がプラス0.2%にプラス転換。27年ぶりに上昇に転じました。

 

1-3、 地価上昇の要因は、長引く低金利と外国人観光客の増加

このように、地価が継続して上昇していく要因は、大きく2つあると考えられます。

1つは低金利政策による住宅ローン金利の低下が挙げられます。現在、住宅ローン金利はこれまでにない低水準で推移しており、住宅購入のニーズが高まっていること。そしてもうひとつは、円安や東京オリンピックを背景とした外国人観光客の増加です。商業地の地価上昇は、このような観光客向けのホテルや店舗の需要が依然として高いことによるものです。

2、首都圏の住宅地における地価トレンド

このように、地価は全国的に上昇が続いているわけですが、住宅購入を検討する方にとっては、「平均」よりも自分の希望するエリアはどうなのか、どのエリアで探せばいいのかが気になるところではないでしょうか。そこで今回は、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の「住宅地」に絞って、地価のトレンドと今注目したいエリアをランキングしてみました。

 

2-1、首都圏の住宅地では約60%が「上昇」している

公示価格は「標準地」と呼ばれる、実在する土地の価格を査定しています。首都圏の住宅地には、この標準値が約5,000地点ありますが、その中で前年より上昇している地点と下落している地点の割合は以下の通りです。地点別では約60%が上昇しており、市区町村別の平均でも約60%が上昇しています。

※地点ごとの変動率の平均で算出

※東京23区と政令指定都市は区ごとに集計

 

2-2、首都圏住宅地の地価・変動率ランキング

首都圏住宅地の地価について、もう少し細かく見ていきましょう。2019年公示地価と前年からの変動率を市区町村別にランキングしてみました。

①地価ランキングトップ10は23区が独占

首都圏住宅地の地価ランキングトップ10は以下の通りです。やはり東京都心がずらりと上位に並びます。一番安い世田谷区でも㎡あたり60万円以上、上昇率も4~7%と高く、平均的な会社員が購入するにはかなりハードルが高いエリアです。

 

■市区町村別 地価ランキング

市区町村 地価(㎡/円) 変動率
東京都千代田区 2,688,571 2.8%
東京都港区 1,890,414 6.0%
東京都中央区 1,252,000 4.7%
東京都渋谷区 1,232,000 5.3%
東京都文京区 929,833 7.0%
東京都目黒区 913,281 4.2%
東京都台東区 863,833 7.2%
東京都品川区 802,903 5.8%
東京都新宿区 751,069 5.9%
東京都世田谷区 614,847 4.2%

②上昇率・下落率ランキングから見える地価の変動要因とは

次に前年の地価と比較して、上昇率の高かったエリア、下落率の高かったエリアをそれぞれランキングしました。

上昇率の上位はすべて東京23区で占められていますが、必ずしも都心部ではなく、荒川区、台東区、北区など23区内では比較的地価の安い地域がランクインしています。これは地価の上昇が、都心部から周辺部へ広がっていることを意味しています。また下落率上位のほとんどは神奈川県西部のエリアが占めており、都心から離れたエリアでは下落傾向であることがわかります。

 

■市区町村別 変動率ランキング

さらに、市区町村ごとの変動率をマップに表示してみると、上昇・下落の要因が一目瞭然になります。

大幅に上昇しているのは、東京23区と千葉県君津市。その周囲をぐるりと取り囲むように上昇エリアが続き、さらにその周囲を横ばいエリア、下落エリアが囲みます。つまり都心からの距離が近いほど上昇、遠いほど下落となっており、通勤アクセスの良さが地価の変動に大きく影響していることが分かります。

 

2-3. 人口減少と高齢化で、地価の二極化はますます進むことになる

都心へのアクセスが要因とは言っても、鉄道などの交通インフラは一朝一夕に変えられるものではありません。したがって、現在の人気エリアへの人口集中はしばらく続くことになるでしょう。そして今後の人口減少と高齢化によってますます集中が進み、地価はさらに二極化していくと思われます。

過去2年(2018年、2019年)の変動率を市区町村別に見てみると、2年連続で上昇している市区町村が129、2年連続で下落しているのが97です。一方で上昇から下落または下落から上昇に転じた市区町村は合わせて12(全体のわずか5%)しかなく、上がるエリアは上がり続け、下がるエリアは下がり続けるという傾向が見て取れます。平成初期のバブル時代には、ほぼすべてのエリアが上昇したのとは対照的で、今後もその傾向が強まるでしょう。

 

■ 2018年・2019年の公示地価変動率

2年連続上昇 129市区町村
2年連続下落 97市区町村
下落→上昇 9市区町村
上昇→下落 3市区町村

3、購入予算別 地価が上がっているエリアランキング

今後地価が二極化していくとすると、将来性の高いエリア=地価の下がりにくいエリアを選ぶことがとても重要になってきます。そこで2019年公示地価の上昇率の高かった(資産価値が下がりにくいと思われる)エリアを市区町村別にランキングしてみました。

※100㎡(約30坪)の土地を購入した場合の予算を基準に、変動率順にランキングしています。

■ 購入予算1,000万円以下(10万円/㎡以下)

予算1,000万円以下では、千葉県、埼玉県の都心からかなり距離のあるエリアがランキングされました。上位の君津市、木更津市、袖ケ浦市の上昇は、アクアラインの値下げや三井アウトレットパークの開業などにより周辺の雇用が増え、住宅ニーズが高まっていることが上昇要因のひとつです。

市区町村 地価(㎡/円) 変動率
千葉県君津市 37,371 5.2%
千葉県木更津市 33,516 2.6%
千葉県袖ケ浦市 40,592 1.6%
千葉県成田市 51,509 0.9%
千葉県市原市 46,789 0.8%
千葉県鴨川市 23,300 0.6%
千葉県鎌ケ谷市 88,229 0.5%
埼玉県東松山市 56,480 0.4%
埼玉県蓮田市 89,055 0.3%
埼玉県滑川町 53,260 0.2%

 

■購入予算1,000万円超~2,000万円以下(10~20万円/㎡)

この予算帯になると、いわゆるベッドタウンと呼ばれるエリアがランクインしてきます。都心まで約1時間で、価格はリーズナブルですがショッピングモールなども多くファミリー層に暮らしやすいエリアだと言えます。

市区町村 地価(㎡/円) 変動率
埼玉県ふじみ野市 180,750 2.5%
埼玉県さいたま市北区 170,176 2.2%
埼玉県富士見市 168,777 2.1%
神奈川県相模原市緑区 126,137 2.1%
埼玉県草加市 135,565 2.0%
千葉県習志野市 153,627 1.9%
埼玉県さいたま市緑区 165,024 1.9%
千葉県千葉市中央区 126,280 1.8%
埼玉県三芳町 139,333 1.8%
千葉県千葉市稲毛区 142,560 1.6%

 

■購入予算2,000万円超~3,000万円以下(20~30万円/㎡)

この予算帯になると都心へのアクセスが、概ね30~40分圏内となり、さいたま市、横浜市、川崎市などの政令指定都市がランクインしてきます。通勤アクセスも住環境も申し分ないエリアだと言えるでしょう。

市区町村 地価(㎡/円) 変動率
東京都足立区 297,811 4.7%
埼玉県和光市 247,700 3.3%
東京都稲城市 219,769 3.1%
埼玉県さいたま市大宮区 252,938 3.1%
神奈川県横浜市神奈川区 264,667 2.9%
埼玉県さいたま市南区 251,368 2.8%
神奈川県横浜市西区 280,500 2.8%
埼玉県さいたま市中央区 260,571 2.6%
神奈川県川崎市多摩区 231,029 2.4%
千葉県浦安市 275,500 2.3%

 

■購入予算3,000万円超~4,000万円以下(30~40万円/㎡)

この予算帯では23区がトップ3にランクインしてきますが、土地だけで3,000万円を超えるため、建物と合わせた総額では5,000~6,000万円となり、やや購入のハードルが高くなります。

市区町村 地価(㎡/円) 変動率
東京都江戸川区 348,310 4.7%
東京都練馬区 382,043 3.3%
東京都葛飾区 311,283 3.3%
埼玉県さいたま市浦和区 338,650 3.2%
神奈川県川崎市中原区 383,130 3.1%
東京都小金井市 327,316 2.7%
神奈川県横浜市中区 342,533 2.5%
東京都国立市 335,636 2.3%
神奈川県川崎市幸区 307,833 2.2%
東京都調布市 331,175 1.6%

 

■4,000万円超6,000万円以下(40~60万円/㎡)

この予算帯になると、ランキングほぼ23区で占められています。人気が高く安心感のあるエリアですが、ここ数年の上昇率が非常に高いので、これから購入するにはちょっと勇気が必要なエリアです。

市区町村 地価(㎡/円) 変動率
東京都荒川区 466,824 8.5%
東京都北区 492,813 7.1%
東京都豊島区 587,217 7.0%
東京都江東区 454,741 5.5%
東京都墨田区 415,545 5.3%
東京都板橋区 411,792 5.0%
東京都中野区 571,690 4.7%
東京都杉並区 521,875 4.3%
東京都武蔵野市 550,900 3.3%
東京都大田区 510,333 3.3%

 

4、今後地価はどうなるの? 住宅購入はエリアとタイミングを見極めよう

 

4-1、今後の地価の動きを左右するのは金利の動き

ここまで見てきたように、首都圏の住宅地においても地価は上昇傾向を維持しています。

2013年の金融緩和スタート当初、地価は都心部から上昇し始めましたが、数年が経過した現在、周辺エリアにも上昇の波が押し寄せています。

今後地価はどうなるのか?住宅購入のベストなタイミングはいつなのか?を見極める上では、この低金利がいつまで続くのかが大きなポイントになります。今のところ日銀はゼロ金利政策を継続していますので、この金利水準が続く限り地価も高止まりすると思われますが、海外では徐々に金利を上げる動きも出ている中で、日本だけがゼロ金利を続けることは考えにくく、今後の政策しだいで地価が下落に向かうこともあり得ます。住宅購入を検討されている方は、金利の動向に十分注意を払っておきましょう。

 

4-2、上昇エリアはさらに郊外に向かうのか?有望エリアを選ぶポイント

都心から郊外へ上昇エリアが拡大しているのは上述の通りですが、どこまでも拡大していくかというとそんなことはないでしょう。なぜなら、首都圏において住宅購入の主役となるのはやはり都内で働く会社員、しかも20代後半~40代の働き盛りの方々ですので、おのずと都心(勤務地)から30分~1時間までのエリアに需要が集まります。エリア選びにあたっては、その範囲の中でまだ価格が上昇していないエリア、再開発などで環境・イメージが一新しそうなエリア、良質な住宅地が開発・維持されているエリアなどが有望だと思います。さらに子育て支援などの行政サービスが充実していればファミリー層からの人気は高まるでしょう。

このような情報は、市区町村のホームページなどで調べることができますが、やはり地域の不動産会社に聞いてみるのが確実です。価格相場や物件情報と合わせて情報収集してみるとよいと思います。