データで見る不動産購入 【静岡県 浜松市】

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浜松市は静岡県の西部にある政令指定都市で、静岡県最大の都市です。南北に広がる市の面積は全国で2番目に広く、南部は平野、北部は明石山系の山々が連なり、西には浜名湖とエリアによってそれぞれの顔をもつ自然豊かな都市です。首都圏からの移住者にも注目される街、浜松市の住まいと不動産市況について見ていきましょう。

目次

1、浜松市の人口はやや減少傾向だが世帯数は9%増

浜松市の人口は、約80万人、世帯数は約35万世帯。最近10年間の人口はやや減少、世帯数は9%増となっており、年間の転入出者数は、転出が200人ほど上回っています。

1-1.人口・世帯数(2022/1/1 現在)

人口795,771人
世帯数347,566世帯

1-2.人口・世帯数の推移

1-3.転入・転出(2021年中)

転入者数29,221人
転出者数29,413人

※出典:2021年人口移動報告(総務省)

2、静岡県浜松市の不動産情報

2-1.土地の価格は㎡あたり8~9万円。市域の広い浜松市は、区による価格差に注意しよう

土地の価格(地価)については、毎年1月1日を基準とした「公示地価」と7月1日を基準とした「基準地価」が発表されています。浜松市における公示地価と基準地価の平均は以下の通りです。直近の平均地価としては、8~9万円/㎡前後で、直近10年間は、2019年まで上昇傾向でしたが、2020年以降はコロナの影響を受け下落しています。

浜松市は非常に市域が広いため、市全体の平均地価だけでなく、区ごとの平均地価を参考にした方がよいでしょう。区別に見ると中区の地価が突出して高く、次いで東区、南区と続きます。上昇率としては東区と浜北区が高くなっています。

■公示地価、基準地価とは?

公示地価とは、地価公示法に基づき、国(国土交通省)が、毎年1月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。基準地価とは、国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。

同年の価格を比較した場合、公示地価よりも基準地価の方が半年遅れで公表されるため、より直近の取引価格を反映していると見ることができます。なお公示地価、基準地価はともに一般の土地の取引価格の指標等として使われていますが、あくまで指標であり、実際の取引価格とは異なりますのでご注意ください。

浜松市全体の地価平均(㎡あたり)

公示地価(2022年)87,180円
基準地価(2021年)81,797円

マップでご覧いただけるように、浜松市には東海道新幹線の停車駅でもある浜松駅を中心に、JR東海道線が東西に、また浜松駅を起点に遠州鉄道が南北をつないでいます。この2つの沿線が住まい探しのメインエリアになりますが、駅前の商業地を除き、ほとんどが㎡あたり10万円台で、浜松駅から(もしくは駅から)離れれば、10万円以下のエリアも多く存在します。また市の北部を走る天竜浜名湖鉄道(天浜線)は、レトロな観光列車として人気が高い路線です。

2-2.浜松市の新設住宅着工。浜松市は注文住宅と分譲一戸建が多い一戸建中心の街

国土交通省が発表している新設住宅着工戸数について見てみましょう。浜松市で2018年中に新築された国土交通省が発表している新設住宅着工戸数について見てみましょう。浜松市で2021年中に新築された建物は4,858戸でした。内訳としては、持ち家(注文住宅)が52%、貸家(賃貸住宅)が28%、分譲住宅が20%と、注文住宅の比率が高いエリアです。分譲住宅の内訳としては、一戸建804戸(83%)、マンション162戸(17%)と一戸建が8割以上を占めています。浜松市は一戸建中心で、中でも注文住宅が多く供給されているエリアだと言えそうです。

■浜松市の新設住宅着工戸数(2021年)

持ち家2,533戸
貸家1,351戸
給与住宅8戸
分譲住宅966戸
4,858戸

2-3.浜松市の住宅着工数は10年で41%の大きな伸び

浜松市の住宅着工数は最近10年間でマイナス16%となっています。内訳としては、注文住宅がマイナス19%、分譲住宅がプラス8%、賃貸住宅がマイナス22%と、注文住宅と賃貸が減る一方で、分譲が伸びており、中でも分譲一戸建(建売住宅)の供給が増加しています。

2-4.浜松市の相場はエリアによって大きく変わる。希望エリアの物件を個別に情報収集しよう

浜松市で販売されている新築マンションは、3,000万円台、㎡単価は40~50万円台が中心になりますが、エリアによって価格は大きく変わります。

中古マンションは、築15年以内で平均3,682万円(44.3万円/㎡)、築15~25年で平均2,058万円(24.0万円/㎡)、築25年超で平均838万円(13.8万円/㎡)前後が相場です。築15年を超えた物件の価格が下がりますので、立地を優先したい方、予算を抑えたい方は中古を並行して探してみるとよいかも知れません。

一戸建については、新築で2,776万円、中古は築15年以内で平均3,524万円、築25年以内で2,613万円、築25年超は2,098万円となっています。一戸建はエリアと土地の広さによって価格が大きく変わってきます。

最後に土地の相場については、最寄駅から徒歩10分以内なら平均5.3万円/㎡、徒歩20分以内なら5.0万円/㎡、徒歩20分超で6.3万円/㎡となっていますが、浜松市全域に流通している物件を対象としており、住宅地では、これより相場は高いと思われますので、検討の際には個別の物件をあたってみることをおすすめします。

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3、浜松市は2021年に待機児童ゼロを達成。大学は市内に8校あるが市外への通学も可能

浜松市には、97校の公立小学校、51校の公立中学校、22校の公立高校と10校の私立高校があります。大学は市内に国立の静岡大学(情報学部・工学部)と浜松医科大学と私立大学が5校ありますが、静岡市など市外の大学へも通学可能です。未就学児については、幼稚園・保育園・認定こども園等あわせて250を超える施設があります。

3-1.幼稚園・保育園・学校の数

 公立私立
幼稚園・保育園・認定こども園等80 施設175 施設
小学校97 校1 校
中学校51 校7 校
高等学校22 校10 校
大学・短大3 校5 校

3-2. 待機児童数(2021年4月現在)

待機児童数(国基準)0人

出典:浜松市ホームページ

浜松市は2021年4月現在、待機児童ゼロを達成しました。市によると、2022年以降も認定こども園や保育所の整備を進め、定員拡大を予定しているということです。

出典:浜松市ホームページ

4、浜松市の住まい探しは中区、東区、浜北区をメインに。2024年には7区から3区への再編を予定

浜松市は静岡県最大の政令指定都市ですが、もともとは2005年(平成17年)に12の市町村(浜松市、浜北市、天竜市、舞阪町、雄踏町、細江町、引佐町、三ヶ日町、春野町、佐久間町、水窪町、龍山村)が合併してできた市です。したがって非常に市域が広く、区(エリア)によって環境も大きく異なります。

■合併前の浜松市

※浜松情報BOOK(http://www.hamamatsu-books.jp/)

■合併後(現在)の浜松市

※浜松市ホームページ

その中で住宅購入のメインエリアになるのは浜松駅を中心とする中区と東区、遠州鉄道沿線の浜北区です。新築物件も多く供給されていますので、浜松市の住まい探しはまずこの3区から検討してみることをおすすめします。もう少し価格が安いエリアを狙いたい方や、移動手段が車で駅が近くになくても差し支えないという方は、西区、北区まで広げて検討してみましょう。

浜松市で土地の購入や注文住宅の建築を検討する上で知っておきたいのが「大規模既存集落制度」と「市街地縁辺集落制度」です。これらの制度は、本来建物を建てることができない「市街化調整区域」でも、一定の条件をクリアすれば建物の建築が可能になる制度です。

①大規模既存集落制度

市街化調整区域に長年居住していれば、市の指定する「大規模既存集落」内の土地に、自分が住む住宅(自己用住宅)を建築できるという制度。

②市街地縁辺集落制度

市街化調整区域で市が指定する「市街地縁辺集落」のうち、道路幅、下水道利用等、一定の要件を満たせば誰でも住宅を建築できるという制度。

もともと市街化調整区域は、都市計画法で「市街化を抑制すべき区域」と定められており、新たに建物が建てることが非常に難しいため、市街地と比べて安く取引されています。つまり、これらの制度を利用できれば、条件次第で非常に安く土地を購入できる可能性があるということです。

浜松市には合併前の市町村の中心地が既存集落として残っていますので、それらの区域の活性化を目的に、2009年(平成21年)に上記の制度が制定され対象となるエリアが拡大されました。そしてこの制度の対象となるエリアは西区、北区、浜北区など郊外エリアに多く存在するため、条件をクリアできる場合には非常にリーズナブルに土地を買えるチャンスがあるわけです。大規模既存集落や市街地縁辺集落内の土地については、地域の不動産会社で情報収集してみましょう。購入条件をクリアできるかどうかも含めて相談に乗ってくれるはずです。

最後に、浜松市は現在「区の再編」を進めています。背景としては、人口減少、少子高齢化、インフラ更新費用や社会保障費の増大などの課題があり、市の財政が安定している今のうちに区を再編し、市政のスリム化、効率化を目指そうというものです。具体的には、現在の7区を3区に統合する案が2021年12月に議会に提示され了承されています。市は2024年前半の実現に向け、条例改正などの手続きを進めるとしています。

■浜松市 内定した区割り案

区の再編にともない、都市計画の見直しなどもおこなわれると思われますが、住宅購入にあたっては、こうした中長期的な地域の変化も見据えながら、エリアや物件探しを進めていくことが非常に重要です。地域の情報に詳しい不動産会社に一度相談してみることをおすすめします。

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