首都圏の新築マンションは今買うべき?価格の高騰はいつまで続くのか

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首都圏の新築マンションの高騰が続いています。2020年のオリンピックが終われば下がるという説もよく耳にしますが、本当のところはどうなのでしょうか。新築マンションを今買うべきかもう少し待つべきか、様々な要因から考えてみました。

 

1、首都圏マンション価格は高止まり。高値はまだ続くのか

首都圏の新築マンション価格はまだ上がり続けるのでしょうか。価格高騰の理由とともに考えてみましょう。

 

1-1首都圏のマンション平均価格は26%上昇。高止まりの状態が続く

不動産経済研究所のデータによると、首都圏の新築マンション価格は2012年から2018年までの6年間で26%上昇しています。地区別の上昇率を見ると、東京23区が35%と最も高く、次いで神奈川県の31%、東京都下と千葉県が21%と続きます。

 

一見、さほど上がっていないようにも見えますが、これにはウラがあります。マンションは価格が上がると買い手が減ってしまうため、マンションデベロッパーは、価格上昇時には専有面積を小さくするなどして販売価格を抑える傾向があります。専有面積1㎡あたりの価格(㎡単価)で見ると、首都圏平均の上昇率は32%、東京23区はなんと42%にも及びます。首都圏のマンション市場は、たった6年間で4割以上も上昇し、今も高止まりの状態が続いているのです。

 

 

1-2. 新築マンションが高騰している理由

新築マンションの価格が高騰している理由として、オリンピックや地価の高騰が挙げられることが多いのですが、実はそれほど単純な話ではありません。今後の動向を占う上でも、価格が高騰した背景について少し詳しく知っておきましょう。

 

①価格上昇の最も大きな理由は「金利の低下」

2013年に日銀による金融緩和(いわゆるアベノミクス)がスタートしたことに伴い金利が低下し、住宅ローン金利も軒並み引き下げられました。住宅ローン金利と不動産価格には密接な関係があり、金利の低下は価格の上昇につながります。なぜなら、金利が安くなると月々の返済額が減るため、より多くの借入ができるようになるからです。

この金融緩和による金利の低下が価格上昇の最大の要因であり、不動産価格が高止っている理由です。

 

②地価の上昇と建築費の高騰

前述の金利の低下に伴い、都心部の地価は一気に上昇しました。そして地価の上昇に拍車をかけたのが訪日客の増加(インバウンド)です。インバウンドの増加により都心部のホテルや商業施設のニーズが高まり、まず商業地の地価が上昇し住宅地にも波及しました。

また、東京オリンピックの開催が決定したことにより、競技場や選手村の建設、交通インフラの整備、訪日客の受け入れ施設の増強など建築需要が大幅に増え、その反面建築現場では人材の減少と高齢化が進んでおり建築費は高騰しました。

新築マンションはデベロッパーが仕入れた土地に建物を建てて分譲するわけですから、地価と建築費の上昇はダイレクトに販売価格の上昇につながります。

 

③購入者のライフスタイルの変化

地価と建築費の上昇がマンション価格の上昇につながるのは、ある意味当たり前かもしれません。しかしその中でも都心部の価格が大幅に上昇しているのには、購入者のライフスタイルの変化がひとつの要因であると考えられます。

具体的には共働きの増加です。都内で働く共働きの夫婦が住宅を購入する場合、できるだけ職場に近い立地、遅くまで開いているスーパーやコンビニなど生活便のよい立地が好まれますし、最近では出産後もフルタイムで働き続ける女性が増えていますので、子どもを預かってくれる保育園等が近くにあることがエリア選びの絶対条件となります。その結果、必然的に郊外よりも都心の住宅ニーズが高まります。また「パワーカップル」と呼ばれるような年収の高い共働きカップルは、収入合算することによりかなり高額の物件も購入できるため、都心部のマンション価格はさらに上昇することになります。

 

④供給者(マンションデベロッパー)の戦略転換

ここまで見てきたような金融情勢や社会の変化に合わせ、マンションデベロッパーの戦略も、「郊外から都心重視」、「量から質」に転換してきました。地価や建築費の上昇で利益の出しにくい郊外から、価格が高くニーズも高い都心部にシフトし、いわゆるタワーマンションのような質の高い物件を供給するように変化しています。その結果、首都圏のマンション供給数は最近6年間で約20%減少しました。

 

 

1-3. 2020年以降、マンション価格は下がるのか

ここまで見てきた通り、マンション価格の上昇には様々な要因が絡み合っていますので、単純に「オリンピックが終われば下落する」というわけではありません。

様々な要因の中で最も注目しておかなければならないのは金利の動向です。2019年4月、日銀は現在の低金利政策を「少なくとも2020年春頃まで続ける」と明言し、当面金利の急激な変化はないことが確認されました。2020年春以降の政策は未定ですが、消費税増税後の経済状況を見ながら、かなり慎重に利上げの時期をうかがっていく展開になると考えられます。

またその頃にはオリンピックによって高まった建築需要もやや落ち着いてくると思われますので、2020年以降に着工されるマンションについては価格が下がってくる可能性があります。しかし前述した、建築業界の人材不足と高齢化には今後拍車がかかってきますし、ライフスタイルの変化、マンションデベロッパーの戦略転換といった要因についても大きな変化はないと思われます。このようなことからオリンピック後、若干の下落はあるものの、しばらく高値圏での推移が続くと考えられます。

 

2、不動産を「買う」か「待つ」かは、物件の価格だけで判断してはいけない

マンションに限らず、不動産は今「買い時」なのか?という質問は多く寄せられます。しかし、物件の価格だけを見て「買い時」かどうかという判断はあまり意味がありません。改めて、買うメリットと待つメリットについて整理しておきましょう。

 

2-1. 2019年のマンション購入。「買う」メリットと「待つ」メリット

2019年、今年マンションを買うか、もう少し待つかを判断するためには、金利・税制などの条件(外部要因)と購入者それぞれの状況(内部要因)を合わせて検討することが大切です。

 

①今買うメリットは低金利と税制優遇

まず外部要因を見た場合、今不動産を購入するメリットはなんと言っても「低金利」と「税制優遇」です。住宅ローンの金利は依然としてかなり低い水準で推移しており、固定金利のフラット35の金利は1%台の前半です。

 

■フラット35金利(借入期間:21年以上35年以下)

融資率 最多金利
9割以下 年1.290%
9割超 年1.730%

(2019年5月現在)

 

さらに、新築マンションなど質の高い住宅には「フラット35S」という金利優遇があり、最も優遇される「金利Aプラン」だと▲0.25%優遇されます(当初10年)。その結果、当初10年間は1.04%、11年目以降は1.29%という低金利で35年固定のローンが組めるという大きなメリットがあります。

また、もうひとつのメリットは税制優遇の拡充です。今年は10月に予定されている消費増税に合わせて、「住宅ローン減税」「すまい給付金など」支援制度が拡充されています。新築マンションは消費税の対象かつ住宅性能が高いので、このような支援制度を受けやすいのです。この制度拡充は増税のタイミングに合わせて実施されるため、その時期に購入した方がより大きなメリットが享受できます。

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②しばらく待つメリットは「慎重な見極め」

一方、しばらく購入を待つメリットとしては、今後の価格や金利の動向を見極められるということでしょうか。前述のようにオリンピック後の景気動向や、金利政策については、まだ方向性が見えてこない部分もあります。せっかく買ったマイホームが値下がりしてしまうのは誰でも避けたいことですので、このような不確定要因を慎重に見極めてから購入したいという方にとっては、今は買い時ではないのかも知れません。

しかし、景気や金利の先行きを正確に予測することは不可能ですので、どのタイミングで決断するかはプロでも難しいことです。したがって、購入を待つとしても「価格が○○万円になるまで」「金利が○%になるまで」など、自分なりの判断基準をもっておいた方が、より納得感のある購入ができるでしょう。

 

③自身や家族にとっての買い時とは

次に内部要因について考えてみましょう。例えば自分の年齢や収入などから、ローンの借入額や返済期間(完済年齢)などを検討する必要があります。子どもがいる家庭では、妻(夫)が子育てに専念するのか、共働きを続けるのかなども重要なポイントです。そして子どもが小学校に入学すると学区外への住み替えはハードルが上がるため、選択肢が狭まる可能性もあります。さらに、親御さんなどから資金援助を受けるのであれば、そのタイミングもあるでしょう。

このような、外部要因と内部要因が総合的に一致したときが、その方にとっての買い時と言えますが、自分だけで判断するのは難しいので、専門的な知識のある不動産会社などに相談してみることをおすすめします。

 

2-2. 買うならどのような物件を選ぶべきなのか

それでは、いざ「買い時」となったときにどのような物件を選ぶべきなのかを考えていきましょう。新築マンションは以前に比べ、より都心寄りにエリアを絞って供給されるようになっていますが、今後もその傾向は続くでしょう。とすると、今後も長期にわたって資産価値を維持できる物件は、現在販売されている物件の中でもより都心に近いものと言えます。現在の販売価格は同じでも、将来的にその価格を維持できるかどうかは物件ごとに異なるということです。そうした観点から申し上げると、都心に近いわりに相場が安いエリア、最近開発されたばかりで、今後の発展が見込まれるエリア、新線や新駅の計画があるエリアなどは有望な物件が多いと言えます。逆に今は人気だけど都心から遠いエリア、古くからの住宅地で成熟したエリア、高齢化が進んでいるエリアなどは将来的に値下がりリスクが高いと言えるでしょう。

 

3、新築マンション以外の選択肢も検討してみよう

最後に新築マンション以外の選択肢についても考えてみましょう。特に最近では、価格高騰で「高嶺の花」となってしまった新築マンションよりも、むしろ手の届きやすい新築一戸建の需要が高まっています。

 

3-1. 新築マンションにしかないものとは?

他の選択肢を検討するにあたり、新築マンションにしかない価値とは何かを考えてみましょう。「新築」+「マンション」と分けて考えてみると、「新築」は新しくて気持ちがいいという感覚的な価値と、耐震性や設備が最新の基準で作られているという性能面の価値があります。住宅ローンや税制面の優遇も受けやすいですが、最近では中古の物件でもほとんど差がなくなっています。

「マンション」の部分では、高層階からの眺望や共有スペースの充実(豪華なエントランス、ゲストルーム等)、居住者向けサービス(コンシェルジュサービス等)は、マンションにしかない価値です。

一方で、新築マンションのマイナス面としては、住人全員で建物を維持・管理していかなくてはならないので、住んでいる限り一定の共益費・修繕積立金がかかり続けますし、足りなくなれば追加徴収されることもあります。また新築というだけで実際の不動産価値よりも高く評価されている(新築プレミアムとも言われる)ので、購入したとたんに10%~20%ほど値下がりすることもあります。また老朽化したマンションの建替えは合意形成が難しく、日本ではほとんど事例がないことも知っておきましょう。

 

3-2.中古マンションのメリット

このように新築マンションには「新築」としてのメリットもありますが、購入当初の値下がり幅が大きいなどデメリットもあります。それを回避するための選択肢としては中古マンションという選択肢もあります。リフォームすれば設備や内装は、ほぼ新築同様になりますし、よほど古い物件でなければ耐震性等もさほど問題にはなりません。むしろマンションは立地のよい場所から供給されていくため、すでに駅近などの好立地は新築を建てられる用地は少なく、中古を狙っていく方が要望に近い物件が見つかる可能性が高くなります。

また新築マンションは完成前から販売が始まるため、引き渡しが契約の1~2年後となるケースも多く、その間に金利が変動してしまうリスクがあります。中古物件は、契約から引き渡しまでの期間が短い(1~2ヶ月)ので、現在の低金利を確実に活かすには中古の方が適しているかも知れません。

 

3-3.新築一戸建のメリット

新築マンションの高騰により、新築一戸建てとの価格差がなくなり、人気が高まっています。

一戸建を買うメリットとしては、マンションのような共有部分がないので、毎月の管理費や修繕積立金がかからないことです(ただし定期的に修繕は必要です)。また、増改築やリフォームも自由にできますし、将来的には建替えも可能です。新築一戸建なら税制優遇などの面でも新築マンションと同様に受けることができますので、特にマンションにこだわりのない方は、マンションと一戸建を並行して検討してみてはいかがでしょうか。

もちろん、中古一戸建てを購入してリフォームするという選択肢もありますが、木造一戸建はマンションに比べて耐用年数が短く、コンディションの判定が難しいため、購入の際には専門家による住宅診断等を行い、大きな問題がないことを確認してもらったほうがベターかと思います。

 

4、まとめ

新築マンション価格高騰の背景と、買い時の判断について見てきましたがいかがでしょうか。2019年5月現在、新築マンションが依然として高値圏にあることは確かですが、金利、税制などから見るとむしろ積極的に購入してもいい時期かと思います。新築マンションのメリット・デメリットを知った上で、それ以外の選択肢も含め検討してみてはいかがでしょうか。

※金利、税制、優遇制度などについての最新の情報は、必ず不動産会社や税理士など専門家にご確認ください。