【2020年版】人口統計データから読み解く「子育て世帯に人気の街ランキング」(関東・東北編)

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住まいの購入で一番頭を悩ませるのが「どの街に住むか」ということではないでしょうか。特に子育て世帯は子どもの入園・入学後、住み替えのハードルが上がるので、購入時にしっかり検討することが重要です。そこで今回は総務省が発表している人口移動報告(2019年)から、子育て世帯に人気の街を探ってみました。

 

1、2019年の人口移動報告が発表。転入超過エリアはわずか26%

 

1-1. そもそも人口移動報告とは?

人口移動報告とは、市区町村が管理する「住民基本台帳」に基づき,国内における人口移動の状況を明らかにしたもので、世代別の転入・転出、転入出前の居住地などが集計され毎月発表されています。

本コラムでは、2020年1月に発表された「住民基本台帳人口移動報告 令和元年(2019年)結果」のデータをもとに、昨年1年間の首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)、北関東(茨城県・栃木県・群馬県)、東北(宮城県・福島県)の人口移動について考察します。

 

1-2. 全国で転入超過となっているのは8都府県、市町村別でも約26%に過ぎない

都道府県別の転入超過数(※)をみると,転入超過となっているのは東京都,神奈川県,埼玉県,千葉県,大阪府,福岡県,滋賀県及び沖縄県のわずか8都府県だけです。市町村別に見ても、全国1,719市町村のうち450市町村で,全市町村の26.2%に過ぎません。

※転入超過数:1年間の転入者数から転出者数を引いたもの。転入者数より転出者数が多いときは転出超過となる。

 

1-3. 年齢別の転入超過エリアは住まい選びの大きなヒントに

このように、全国の大部分のエリアが転出超過となっている中で、人口が増えている街、特に0~14歳の低年齢層の人口が増えている街は、子育て世帯が流入している街と考えることができます。人気となる理由は、価格相場、教育環境、子育て支援など様々ですが、若い世代の流入が増えることにより街は活性化し発展していきます。街の人口増減や年齢分布は、住まいの資産価値にも関わる物件探しの大事な要素なのです。

 

 

2、子育て世帯に人気の街ランキング(首都圏編)

それではさっそく首都圏の子育て世帯に人気の街を見てみましょう。

 

2-1. トップ10は郊外エリアに集中。千葉県、東京都下が上位にランクイン

 

■首都圏 0~14歳の転入超過数 (人)

トップ10 ワースト10
千葉県柏市 838 千葉県市川市 -791
千葉県印西市 747 東京都大田区 -756
千葉県流山市 745 横浜市港北区 -747
東京都八王子市 678 東京都江戸川区 -689
東京都町田市 623 東京都足立区 -668
神奈川県藤沢市 558 東京都墨田区 -665
さいたま市緑区 443 東京都港区 -657
さいたま市浦和区 421 川崎市中原区 -588
さいたま市西区 410 川崎市高津区 -556
東京都西東京市 388 東京都板橋区 -553

※マイナスは転出超過を示す

 

転入超過数トップ10に東京23区は1つもなく、上位は千葉県の郊外エリアと東京の市部、埼玉ではさいたま市がランクインしています。逆にワースト10には東京23区や政令指定都市が多くランクインしており、子育て世帯が都市部から郊外へと流出していることがわかります。

 

2-2. 年齢別では0~4歳の転入が6割を超える

次にトップ10エリアの転入状況を年齢別に見てみましょう。

 

■首都圏 年齢別転入超過数(人)

0~4歳 5~9歳 10~14歳
千葉県柏市 608 136 94
千葉県印西市 544 163 40
千葉県流山市 500 161 84
東京都八王子市 347 202 129
東京都町田市 459 120 44
神奈川県藤沢市 332 139 87
さいたま市緑区 242 147 54
さいたま市浦和区 230 143 48
さいたま市西区 277 93 40
東京都西東京市 213 82 93

上記のように、トップ10エリア合計では、0~4歳までの転入が64%を占めます。さらに5~9歳までを合わせると、転入者の90%近くが、出生~小学校低学年までの年齢層であることがわかります。

 

 

 

 

2-3. さいたま市は小学生の転入がやや多い

上記の年齢別データを割合グラフにしてみると以下のようになります。さいたま市(浦和区・緑区)や八王子市などは、小学校に入ってからの比率がやや多くなっています。

 

2-4. 転入上位エリアの不動産価格

首都圏トップ10エリアの不動産価格を見てみましょう。価格はエリアによってばらつきがありますが、印西市を除く全エリアで地価が上昇しています。特に流山市、さいたま市浦和区の上昇率は高い水準にあります。

 

■転入超過数トップ10エリアの平均地価(円/㎡)

2020年公示地価

(住宅地平均)

変動率
千葉県柏市 110,280 1.57%
千葉県印西市 38,338 -0.31%
千葉県流山市 129,996 4.23%
東京都八王子市 116,741 0.43%
東京都町田市 156,719 0.23%
神奈川県藤沢市 188,364 0.35%
さいたま市緑区 167,671 1.60%
さいたま市浦和区 352,150 3.99%
さいたま市西区 106,900 0.30%
東京都西東京市 288,710 1.60%

 

 

 

 

3、子育て世帯に人気の街ランキング(北関東編)

次に北関東エリアのランキングを見てみましょう。

 

3-1. つくば市、守谷市など通勤圏のTX沿線が上位にランクイン

 

■北関東エリア 0~14歳の転入超過数(人)

トップ10 ワースト10
茨城県つくば市 549 栃木県宇都宮市 -358
茨城県守谷市 152 茨城県土浦市 -195
茨城県阿見町 135 群馬県伊勢崎市 -131
栃木県栃木市 103 茨城県水戸市 -100
茨城県取手市 85 栃木県真岡市 -89
茨城県常陸太田市 51 茨城県ひたちなか市 -85
群馬県前橋市 50 茨城県日立市 -62
茨城県つくばみらい市 47 栃木県佐野市 -62
群馬県藤岡市 39 茨城県神栖市 -53
茨城県筑西市 38 栃木県足利市 -53

 

北関東エリアでは、茨城県つくば市がダントツのトップで、同じTX(つくばエクスプレス)沿線では2位に守谷市、8位につくばみらい市がランクインしています。一方、ワースト上位には、宇都宮市、土浦市、水戸市などの地方都市がランクインしており、地方圏においても県庁所在地などの中心部から、郊外の比較的新しい街に子育て層が流出していると推測されます。

 

3-2. 年齢別では首都圏と同様に0~4歳が6割を超える

 

■北関東 年齢別転入超過数 (人)

0~14歳 0~4歳 5~9歳 10~14歳
茨城県つくば市 549 282 170 97
茨城県守谷市 152 104 34 14
茨城県阿見町 135 101 24 10
栃木県栃木市 103 67 27 9
茨城県取手市 85 63 18 4
茨城県常陸太田市 51 46 9 -4
群馬県前橋市 50 67 6 -23
茨城県つくばみらい市 47 8 42 -3
群馬県藤岡市 39 41 9 -11
茨城県筑西市 38 30 6 2

年齢別に見ると、首都圏と同様に最も転入が多いのは0~4歳で65%、小学校低学年までが全体の93%を占めていることがわかります。

 

 

 

 

 

3-3. つくばみらい市だけ小学校低学年での転入が最多に

上記の年齢別データを割合グラフにしてみると以下のようになります。つくばみらい市、つくば市、栃木市では、小学校に入ってから転居する割合が他のエリアより高くなっています。また、前橋市、藤岡市などでは小学校高学年(10~14歳)の世帯で転出超過になるケースも見られます。

 

3-4. 転入上位エリアの不動産価格

北関東トップ10エリアの不動産価格を見てみましょう。

北関東エリアでは、転入超過数が多いエリアの地価が、必ずしも上昇傾向とは言えず、上昇しているのは4エリアしかありません。つくばエクスプレスなど、通勤圏の沿線では上昇傾向にあるものの、それ以外の街は横ばい~下落傾向となっています。

 

■転入超過数トップ10エリアの平均地価(北関東)(円/㎡)

2020年公示地価

(住宅地平均)

変動率
茨城県つくば市 57,896 8.20%
茨城県守谷市 85,277 1.07%
茨城県阿見町 26,900 0.09%
栃木県栃木市 23,318 -1.58%
茨城県取手市 45,652 -0.67%
茨城県常陸太田市 21,003 -0.81%
群馬県前橋市 51,505 -0.10%
茨城県つくばみらい市 33,020 0.21%
群馬県藤岡市 26,360 -1.09%
茨城県筑西市 19,702 -0.59%

 

 

 

 

4、子育て世帯に人気の街ランキング(東北編)

最後に、東北エリア(宮城・福島)のランキングを見てみましょう。

 

4-1. 東北エリアは宮城県の郊外エリアが上位にランクイン

 

■東北エリア 0~14歳の転入超過数 (人)

トップ10 ワースト10
宮城県名取市 232 仙台市若林区 -153
仙台市太白区 178 宮城県大崎市 -101
宮城県富谷市 120 福島県浪江町 -73
福島県伊達市 115 福島県相馬市 -71
仙台市泉区 105 福島県会津若松市 -56
福島県郡山市 103 福島県飯舘村 -54
宮城県亘理町 79 宮城県石巻市 -51
宮城県塩竈市 79 福島県富岡町 -50
福島県須賀川市 72 福島県南相馬市 -49
宮城県美里町 70 宮城県気仙沼市 -46

 

東北エリアは、宮城県の郊外エリアが上位にランクインしています。地価が高騰している仙台の中心部ではなく、太白区や泉区、名取市や富谷市など、言わば仙台のベッドタウンとも言えるエリアの人気が高いようです。一方、仙台の中心地に近い若林区はワースト1位になっており、ここでも県内中心部から郊外への人口移動が見られます。

 

4-2. 年齢別では0~4歳が7割を超える

 

■東北(宮城・福島) 年齢別転入超過数(人)

0~14歳 0~4歳 5~9歳 10~14歳
宮城県名取市 232 157 60 15
仙台市太白区 178 212 7 -41
宮城県富谷市 120 95 29 -4
福島県伊達市 115 74 31 10
仙台市泉区 105 124 18 -37
福島県郡山市 103 9 57 37
宮城県亘理町 79 44 29 6
宮城県塩竈市 79 58 24 -3
福島県須賀川市 72 39 35 -2
宮城県美里町 70 32 23 15

年齢別に見ると、0歳~小学校低学年までの転入超過の割合はさらに多く、ほぼ100%となります。これは10歳以降の転出数が転入数と相殺されてしまっているため、やや極端に見えますが、それでもほとんどの世帯が、子どもが小学校低学年までに住み替えを経験していると見ていいでしょう。

 

 

 

4-3. 福島県郡山市のみ5歳以降の転入が多い

上記の年齢別データを割合グラフにしてみると以下のようになります。宮城県名取市や富谷市では全年齢層で転入超過となっていますが、仙台市太白区・泉区では10~14歳で転出超過になるなどエリアによって差があります。また福島県郡山市では5歳以降の転入数が多くなっています。

 

4-4. 転入上位エリアの不動産価格

東北トップ10エリアの不動産価格を見てみましょう。

東北エリアではここ数年仙台市周辺の地価上昇が著しく、名取市、仙台市太白区・泉区、富谷市は5%を超える大幅な上昇となっています。その他のエリアは比較的落ち着いており、横ばい~やや上昇にとどまっています。

 

■転入超過数トップ10エリアの平均地価(東北)(円/㎡)

2020年公示地価

(住宅地平均)

変動率
宮城県名取市 61,180 7.91%
仙台市太白区 84,891 8.20%
宮城県富谷市 47,455 5.16%
福島県伊達市 24,975 0.96%
仙台市泉区 88,544 5.93%
福島県郡山市 55,031 2.10%
宮城県亘理町 30,700 0.00%
宮城県塩竈市 35,882 -0.40%
福島県須賀川市 28,041 0.48%
宮城県美里町 20,200 -0.49%

 

 

 

 

5、子育て世帯の住み替え傾向

ここまで、首都圏、北関東、東北エリアの子育て世帯の人口移動を見てきましたが、どのエリアにも共通する傾向が見られます。

 

5-1. 子育て世帯は中心部から郊外エリアに転居する傾向が強い

どのエリアにも共通して見られるのが「中心部から郊外へ」という傾向です。その理由としては、郊外エリアの価格が中心部よりもリーズナブルであること、新興住宅地の開発等により、新しくきれいな街並みが多いこと、自然が多く子育てに向いていること、保育園などに入りやすいこと、など様々な要因が挙げられます。

また子育て世帯が多く住む街には、子ども向けの施設やお店も増え、同年代の子どもも多いことから、親御さんにとっても魅力的な街となり、さらに 子育て世帯を惹きつけるという好循環が生まれます。

 

5-2. 人気エリアへの住み替えタイミングは「入園・入学前」が最多

もうひとつの共通点は、住み替えのタイミングです。どのエリアでも0~4歳での住み替えが全体の6割~7割を占めており、幼稚園や小学校への入園・入学前が住み替えのピークであることがわかります。また、この「入園・入学前」の時期は、一般的な住宅購入のタイミングとも一致します。マイホームはほしいけど、幼稚園や小学校に進んでからの引越しは避けたいと考える親が多いからです。

今回のデータから、住み替え先が賃貸か持ち家かは判別できませんが、子どもの誕生を機に住宅購入を検討しはじめ、入園前のタイミングで郊外に引っ越すという方が相当数いるのではないかと推測されます。

 

5-3. 住まい探しは都市部から郊外へ。タイミングを見極め、早めの情報収集を

近年、金融緩和の影響で都市部の不動産価格が上昇傾向にあることに加え、テレワークの普及等により、郊外エリアの人気が高まっています。また前述の通り、子どもの入園・入学後は住み替えのハードルが上がりますので、タイミングを逃さないためにも早め早めの情報収集をおすすめします。

※出典:「住民基本台帳人口移動報告 2019年(令和元年)結果」総務省統計局