2020年公示地価(東海・関西編)、名古屋・大阪の地価は今後どうなる?

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2020年3月19日、平成31年の公示地価が発表されました。全国平均は5年連続の上昇となり、回復基調が地方を含む全国に広がっています。今回は、東海エリア(静岡県、愛知県、岐阜県)と関西エリア(大阪府)の、住宅地の地価動向を探ってみました。

 

1、全国平均は5年連続の上昇。地価上昇の波は地方都市へと広がる

全国(全用途)平均は、5年連続の上昇となり上昇基調を強めています。用途別では、住宅地が3年連続、商業地は5年連続の上昇となっています。

 

1-1. そもそも公示地価とは

公示地価とは、地価公示法に基づき、国(国土交通省)が、毎年1月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。公示地価は、一般の土地取引価格の指標となるだけでなく、公共用地の取得価格の算定基準ともなっています。

 

1-2. 三大都市圏で上昇が継続。地方にも上昇エリアが広がる

三大都市圏(東京・名古屋・大阪)では、住宅地、商業地ともに上昇が継続しています。地方においては、地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)の上昇基調がさらに強まり、地方四市を除く「その他地方圏」でも全用途平均・商業地が28年ぶりに上昇に転じるなど、上昇基調が都市圏から地方圏に拡大していることが確認されました。

 

■2020年公示地価の変動率 (単位:%)

全用途平均 住宅地 商業地
2019年 2020年 2019年 2020年 2019年 2020年
全国 1.2 1.4 0.6 0.8 2.8 3.1
三大都市圏 2.0 2.1 1.0 1.1 5.1 5.4
地方四市 5.9 7.4 4.4 5.9 9.4 11.3
その他地方圏 ▲0.2 0.1 ▲0.2 0.0 0.0 0.3

※ ▲はマイナスを表す(以下同様)

 

1-3. 上昇の要因は低金利とインバウンド。コロナの影響で今後はどうなる?

このような地価上昇の大きな要因は、長期にわたる低金利政策とインバウンド需要によるホテルや商業施設の開発です。

公示地価の基準日である1月1日時点では上記のような上昇トレンドでしたが、2020年2月ごろから世界的な新型コロナウィルスの感染拡大により、海外からの訪日客は激減し、東京オリンピックも延期になるなど大きな影響が出ています。特に大阪エリアはインバウンドによる地価上昇が続いていたため、今後、商業地や観光地では上昇にブレーキがかかることが予想されます。

 

 

 

2、【静岡県】住宅地では上昇も下落も小幅にとどまる

一般の方の住宅購入に影響のある「住宅地」に絞って、市区町村別の地価動向を見ていきましょう。まずは静岡県の地価動向です。

 

2-1. 静岡県で地価が上昇しているエリアは約2割。

静岡県を市区町村別(政令指定都市は区別)に見てみると、前年比で上昇・下落しているエリアは次の通りです。

上昇 8エリア
下落 31エリア
変化なし 1エリア

静岡県では、全体の約8割が下落していることがわかります。

 

2-2. 上昇エリアは政令指定都市と都市部に限られ、町村部は下落傾向

それでは、静岡県で上昇しているエリアと下落しているエリアのトップ10を見てみましょう。

 

上昇率トップ8 下落率トップ10
市区町村 公示地価 変動率 市区町村 公示地価 変動率
浜松市中区 101,772 1.5% 函南町 58,517 ▲3.5%
長泉町 119,667 1.2% 浜松市天竜区 35,133 ▲3.7%
浜松市東区 76,707 0.6% 東伊豆町 34,950 ▲2.8%
浜松市浜北区 60,675 0.4% 牧之原市 25,650 ▲2.7%
静岡市葵区 126,996 0.3% 河津町 34,950 ▲2.5%
三島市 99,486 0.1% 伊豆市 50,440 ▲2.5%
袋井市 46,650 0.1% 吉田町 30,250 ▲1.8%
駿河市 128,189 0.0% 下田市 50,733 ▲1.7%
南伊豆町 23,500 ▲1.7%
伊豆の国市 72,742 ▲1.6%

※公示地価は市区町村ごとの住宅地の公示地価の平均で、㎡あたりの金額です(以下同様)

 

上昇している8エリアのうち、浜松市から4区、静岡市から1区ランクインしており、政令指定都市が半分以上を占めます。2位の長泉町は、三島市と沼津市の間に位置し、東海道新幹線の三島駅に近い町で、近年急速に宅地化が進んでいるエリアです。6位以降はほぼ横ばいと言っていいでしょう。

一方、下落エリアトップ10には都市部からやや外れた町村部や伊豆半島の観光地などがランクインしています。全体としては上昇・下落ともに変動率はさほど大きくなく、大きな地価変動は起きていないようです。

 

 

3、【愛知県】名古屋市を中心に広い範囲で上昇を継続

次に愛知県の住宅地の動向を見てみましょう。

 

3-1. 愛知県では都市部を中心に約8割のエリアが上昇

愛知県の上昇・下落の割合は以下の通りです。三大都市圏と言われる名古屋を中心に全体の約8割が上昇しており、上昇率も比較的高い水準となっています。

上昇 51エリア
下落 14エリア
変化なし 1エリア

 

3-2. 愛知県の上昇率トップ10は名古屋市、刈谷市、豊田市など人口の多い地域が上位に

次に愛知県(住宅地)の上昇・下落率トップ10は以下の通りです。

 

上昇率トップ10 下落率トップ10
市区町村 公示地価 変動率 市区町村 公示地価 変動率
名古屋市中区 849,200 17.2% 南知多町 22,511 ▲4.3%
名古屋市東区 417,923 6.6% 美浜町 25,300 ▲3.6%
名古屋市熱田区 205,923 6.1% 新城市 43,457 ▲2.7%
刈谷市 142,279 3.7% 飛島村 38,200 ▲2.1%
名古屋市中村区 178,938 3.2% 愛西市 53,682 ▲2.0%
豊田市 108,816 3.2% 津島市 59,100 ▲1.6%
安城市 130,532 3.1% 蒲郡市 64,693 ▲0.8%
春日井市 105,388 2.9% 武豊町 60,850 ▲0.7%
大府市 124,263 2.7% 北名古屋市 102,200 ▲0.6%
知立市 125,264 2.6% 田原市 36,676 ▲0.5%

※公示地価は市区町村ごとの住宅地の公示地価の平均で、㎡あたりの金額です(以下同様)

 

愛知県の上昇エリアトップ10は、名古屋市から4区、名古屋市以外では刈谷市、豊田市など、比較的人口の多い市がランクインしています。後述する大阪府と異なり、政令指定都市に一極集中するのではなく、広い範囲で上昇しているのが特徴的です。

一方、下落エリアは、知多半島に位置する町や、名古屋市から離れたエリアが上位にランクインしています。

 

 

 

 

4、【岐阜県】全体の約9割が下落。大幅に上昇しているエリアはない

次に、岐阜県の地価動向について見てみましょう。

 

4-1. 岐阜県では、全エリアがほぼ横ばい~下落で、上昇しているのは4エリアのみ

岐阜県の上昇・下落エリアは以下の通りです。全体の約9割が下落しており、上昇しているエリアはわずか4市しかありません。

上昇 4エリア
下落 34エリア
変化なし 0エリア

 

4-2. 岐阜県の地価上昇エリアは上昇率が低くほぼ横ばい傾向

岐阜県の上昇・下落率トップ10は以下の通りです。

 

上昇率トップ10 下落率トップ10
市区町村 公示地価 変動率 市区町村 公示地価 変動率
多治見市 37,844 0.5% 飛騨市 34,433 ▲3.8%
岐南町 56,633 0.4% 養老町 23,700 ▲2.7%
土岐市 42,733 0.3% 池田町 24,600 ▲2.4%
瑞浪市 33,000 0.3% 海津市 21,625 ▲2.1%
八百津町 16,050 ▲2.1%
揖斐川町 20,750 ▲2.1%
下呂市 28,000 ▲2.1%
関ケ原町 20,950 ▲1.9%
御嵩町 18,800 ▲1.8%
神戸町 30,525 ▲1.6%

※公示地価は市区町村ごとの住宅地の公示地価の平均で、㎡あたりの金額です(以下同様)

 

岐阜県の上昇エリアは県庁所在地である岐阜市に近い岐南町、陶磁器の産地として知られ、名古屋のベッドタウンでもある多治見市、土岐市、瑞浪市がランクインしていますが、上昇エリアが限られている上、上昇率も1%未満と、ほぼ横ばいと言っていいでしょう。

一方下落エリアは、名古屋から離れた山間部や観光地などが多くランクインしています。

 

 

5、【大阪府】大阪市と堺市を中心に約6割が上昇。都市部の上昇傾向が続く

最後に関西エリア(大阪府)の状況を見てみましょう。

 

5-1. 大阪府では、都市部の上昇率が高いが、町村部は下落傾向が見られる

大阪府の上昇・下落エリアは以下の通り。上昇しているエリアは約6割となっています。

上昇 41エリア
下落 29エリア
変化なし 2エリア

 

5-2. 大阪府の上昇エリアトップ10は、ほぼ大阪市と堺市で占められる。

大阪府の上昇・下落率トップ10は以下の通りです。

 

上昇率トップ10 下落率トップ10
市区町村 公示地価 変動率 市区町村 公示地価 変動率
大阪市西区 663,000 20.3% 岬町 24,291 ▲4.7%
大阪市浪速区 400,000 8.4% 千早赤阪村 28,000 ▲4.4%
大阪市福島区 404,857 7.3% 豊能町 36,140 ▲2.2%
大阪市中央区 574,000 6.6% 河南町 33,025 ▲1.5%
堺市北区 198,348 6.3% 能勢町 13,600 ▲1.4%
大阪市天王寺区 527,625 5.3% 熊取町 51,569 ▲1.0%
大阪市北区 476,800 5.1% 阪南市 38,622 ▲1.0%
堺市堺区 166,731 3.1% 太子町 47,633 ▲0.9%
大阪市西成区 188,429 2.6% 羽曳野市 89,981 ▲0.9%
吹田市 210,054 2.2% 寝屋川市 124,143 ▲0.8%

※公示地価は市区町村ごとの住宅地の公示地価の平均で、㎡あたりの金額です(以下同様)

 

大阪府の上昇エリアトップ10は、政令指定都市である大阪市と堺市でほぼ占められています。上昇率も非常に高く、上位にランクインするエリアは、2年連続で5%を超える上昇となっています。一方、政令指定都市以外ではそれほど大きな上昇は見られず、和歌山県に近い南河内地域の町村や、京都に近い山間の町などは下落しています。

 

 

 

 

5、地価は今後大きく変動する可能性がある。焦らず落ち着いて対処しよう。

東海・関西(大阪)エリアの2020年公示地価の動向、いかがだったでしょうか。

このように、1月1日時点では、全国的に上昇基調が続いていることが確認されたわけですが、新型コロナウィルスの影響により、今後地価は大きく変動する可能性があります。どのような点に注意すればよいのでしょうか。

 

5-1. 情報収集は早め早めに。不動産会社と定期的に情報交換を

まず、今まで以上に情報収集を早めに行うことが重要です。公示地価のような公的な指標は、年に1回程度しか発表されませんので、日々の値動きを捉えることはできません。特に、名古屋、大阪の商業地に近いエリアでは、インバウンドを見込んだ地価上昇が長く続いていたため、特に注意が必要です。

不動産情報サイトなど、インターネットで情報収集する方法もありますが、一番確実なのは地域をよく知る不動産会社の情報です。一度店舗に問い合わせて希望条件などを伝えておき、定期的に情報交換してみることをおすすめします。

 

5-2. 大幅な値下がりを期待するよりも、じっくり希望に合う物件を探そう

今後、景気が後退し不動産価格が大きく値下がりするとも言われていますが、実際にどうなるかは誰にもわかりません。今回はリーマンショックの時にように金融システムがダメージを受けたわけではありませんので、資金の供給は充分に行われていますし、金利も低水準を保っています。景気の先行き不安などから一時的な変動はあると思われますが、新型コロナウィルスの終息とともに、徐々に落ち着きを取り戻すのではないかと思います。

住まいは大きな買い物ですから、安い時に買いたいのが人情ですが、あまりに価格に執着しすぎると、購入のタイミングを逃してしまうこともあります。

住まい探しは、自分や家族の希望に合う物件が買えるかどうかが大事です。こんな時期だからこそ、価格に一喜一憂せずじっくり物件探しを進めましょう。

 

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