
50年ローン時代において、住宅の「資産価値」はこれまで以上に重要なテーマです。将来も評価される資産価値の高い家とはどのような住まいなのか。価値が落ちてしまう家との違いは何か。街選び・土地選びから建物設計まで、50年後を見据えた家づくりのポイントをわかりやすく解説します。
目次
1. 超長期ローンの普及で、マイホームの資産価値がますます重要に
近年、住宅購入において「資産価値」を重視する方が増えています。資産価値が注目される背景を見ていきましょう。
1-1. 急速に普及が進む超長期ローン
まず挙げられるのが住宅ローンの長期化です。かつて木造住宅は25年返済がスタンダードでしたが、1990年代後半から35年返済が普及し始め、2003年の「フラット35」の登場を機に35年返済が一般化しました。
そして2022年ごろから返済期間が35年を超える超長期ローンが登場し、急速に利用者を増やしています。住宅金融支援機構の調査によれば、35年を超えるローンの利用者は、2022年4月の9.3%から2025年4月の25.5%へと大きく増加しています。今や4人に1人が超長期ローンを利用しているのです。

こうした傾向にともない、将来の売却(住み替え)を前提に購入する人の割合も増えており、マイホームに対する意識が「終の棲家」から「売却できる資産」へと大きく変化しています。
1-2. 少子化・人口減少による「家余り」の加速
もう一つの要因は人口減少による家余りの加速です。「令和5年住宅・土地統計調査(総務省)」によれば、国内の総住宅数は6,504万7千戸、総世帯数は5,621万5千世帯と、大幅な「家余り」となっています。また、総人口は現在の1億2,600万人から、2056年には9,965 万人、2070年には8,700万人に減少すると推計されており、今後「家余り」はさらに加速することになります。
この結果、住宅市場は供給過剰となることが予想され、全体としては価格が下落する一方で、資産価値を維持できる住まいと、そうでない住まいの選別が進むことになります。
1-3. マイホームの「資産価値」とは
このような背景のもと、住まいの資産価値の重要性が見直されているわけですが、そもそも資産価値とは何なのでしょうか。
一般的に住まいの資産価値は「売れる価格」と定義されます。つまり「資産価値が高い=高く売れる」住まいと言えます。また、収益性の観点から言えば「貸して家賃を得られる」住まいも資産価値が高いと言えるでしょう。
一般的に、住まいは新築時の価値が一番高く、古くなるほど価値が下がります。しかし一方で、近年のインフレを背景に新築時を上回る価格で取引される物件も多く見られるようになりました。
1-4. 将来の資産価値はなにで決まるのか?
不動産の価値(価格)は、「土地」と「建物」の合計で構成されますので、資産価値を維持するには、土地・建物それぞれの価値をいかに高く保つかがポイントとなります。
今回は、資産価値を維持できる住まいとそうでない住まいの違い、将来の資産価値をふまえた購入時の注意点などについて解説します。
2. 50年後も価値が落ちにくい「街」と「土地」の条件
まず「土地」の資産価値について見ていきましょう。土地の資産価値を決める要素は、大きく「街の魅力」と「土地の強み」です。
2-1. 人口減少下でも選ばれる、魅力ある街の条件
まず「街の魅力」とは何で決まるのか。以下のようなものに分類できます。
①交通アクセスのよさ
都心部へのアクセスのよさは、もっとも大きな街の魅力と言えます。単に所要時間が短いというだけでなく、複数路線を利用できるか、特急・急行などが停まるか、ラッシュ時間帯でも快適に通勤できるかなどもポイントです。また、車での移動がメインの地域では、高速道路へのアクセスや渋滞の有無なども重要です。通勤・通学は毎日のことですし、公共交通や道路などのインフラは簡単には変わらないので、将来の資産価値に大きく影響します。
②生活インフラの充実度
次に商業施設や医療機関などの生活インフラです。日常の買い物ができるスーパーなどが充実していることに加え、衣料品や家電なども揃う大型商業施設が近くにあるかなどが重要になります。また子育て世帯にとっては、クリニックや総合病院が近くにあるか、子どもと遊べる公園やレジャー施設なども街の魅力を左右します。
③教育環境
子どもの教育環境は、マイホーム購入の中心である子育て世代の需要に大きく影響します。
保育園や学童の充実度、公立学校の評判、高校、大学の選択肢の多さ、また習い事や塾などの施設もポイントになります。
④行政サービスと将来への期待度
最後に行政サービスの充実度です。待機児童への取り組みや子育て支援、防災対策、高齢者支援などがポイントになります。
また、街が将来どのように変わっていくのかも重要な要素です。再開発や区画整理、企業や商業施設などの誘致に積極的に投資しているかどうかがポイントです。そして、こうした行政の動きを支えるのが自治体の財政です。将来にわたって、支援や投資を継続するためには安定した財源が必要なのです。
こうした魅力ある街には若い世代が流入し、人口・世帯数が増加します。人が増えれば新たな商業施設やサービスが生まれ、税収も安定・拡大していきます。その税収が行政サービスの充実やインフラ整備に再投資されることで、街の魅力はさらに高まる。こうした成長の循環が生まれることが、結果として不動産価値の向上をもたらすのです。
2-2. 同じ街でも価値に差がつく「土地の強み」とは
同じ街にある土地であっても、資産価値には差があります。その差を生み出すのがそれぞれの「土地の強み」です。
①立地の優位性
同じ街であっても、駅や商業施設からの距離、学校や公園へのアクセスといった立地の違いが土地の評価を左右します。特に公共交通へのアクセスは重要で、駅徒歩10分以内の立地は需要が安定しやすく、資産価値が下がりにくい傾向があります。 また、徒歩圏にスーパーやドラッグストア、クリニックなどが揃い、車がなくても生活しやすい環境は、世代を問わず高いニーズがあります。
②土地の形状・向き
土地の形状や向きは、建物の建てやすさや間取りに影響します。一般的に資産価値が高いのは、正方形や長方形の整形地、南側道路に接する土地(南向き)、角地や両面道路の土地などです。また道路との高低差のある土地は、造成費用などがかかるのでその分価格が下がりやすくなります。
③周辺環境と法的な規制
土地そのもののスペックに加えて、資産価値に影響するのが周辺環境です。近隣建物の高さや用途、街の雰囲気は住み心地や将来の評価を左右します。例えば、駅近は利便性が高い反面、繁華街に近く騒音や治安面で不安が生じることがあります。
こうした建物の規模や用途を定めている法令のひとつが「用途地域」です。例えば、住居系の地域では大規模店舗や工場などの建築が制限されており、住宅地としての街並みや雰囲気が守られています。
資産価値を考える上では、現在の環境だけでなく、将来どのような建物が建つ可能性があるかまで確認することが重要です。
■用途地域のイメージ

④災害リスク
土地の資産価値を考えるうえで、近年特に重要視されているのが災害リスクです。
洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域、液状化の可能性などは、安全性だけでなく将来の売却にも大きく影響します。ハザードマップでリスクが高いとされるエリアは、購入検討者が慎重になりやすく、価格に影響する可能性もあります。
もちろん、地盤改良などによって一定のリスク軽減は可能ですが、立地そのものの条件は変えられません。資産性を重視するなら、「安心して住み続けられるか」という視点と同時に、「将来も安心して売れるか」という視点で災害リスクを確認することが重要です。
3. 建物の資産価値を維持するための設計のポイント
次に建物の資産価値について解説します。かつては「築20年で価値はゼロになる」と言われたこともありましたが、これからはむしろ建物の良し悪しによって資産価値が左右される時代です。価値を維持するためのポイントを見ていきましょう。
3-1. 性能を数値化する「住宅性能表示」の評価取得
近年、住まいの「性能」を重視する方が増えています。
耐震性や省エネ性といった住まいの基本性能は、国の「住宅性能表示制度」によって評価され、例えば耐震性は「耐震等級(1~3)」、断熱性は「断熱等級(1~7)」というように、住宅の基本性能10項目について、等級表示をおこなうことができます。
この等級を取得するためには、国が定める第三者機関の検査を必ず受ける必要があるので、公平かつ客観的で信頼度の高い評価となります。こうした客観的な評価は、将来の資産価値を決める大きなポイントになります。これから住まいを購入される方には、取得を強くおすすめします。
3-2. 耐震性・省エネ性は「現行基準+α」で考える
住宅性能の中でも特に重視されるのが「耐震性」と「省エネ性」です。求められる基準は年々引き上げられており、今後もより厳しくなることが予想されます。
そうした中で、将来の資産価値を維持するためには、現行基準よりも高く設計することがポイントです。耐震性は「耐震等級3(現行基準は1)」、省エネ性は「断熱等級5~6(現行基準は4)」が目安になります。
3-3. 将来のリフォームも前提に可変性の高い設計を
住まいは時代の変化や家族構成などによって、求められる広さや間取りが変わります。また長い年月の中で劣化した部分は定期的に更新していく必要があります。したがって、資産価値を維持するためには、可変性の高さ(リフォームのしやすさ)も大きなポイントです。
「スケルトン・インフィル」とは、建物を「構造部分(スケルトン)」と「内装・設備部分(インフィル)」に分けて考える設計思想のことです。高性能・長寿命なスケルトンと、可変性の高いインフィルを組み合わせることで、ライフステージの変化に対応しやすくなり、結果として売却しやすい住まいとなります。
■スケルトン・インフィルのイメージ

3-4. 維持コストの安さは“見えない資産価値”
住まいを維持するためには、修繕やリフォームなどのメンテナンス費用と光熱費などのランニングコストがかかります。住まいを売却する際、買い手はこうしたコストを見込んだ上で購入価格の妥当性を判断するので、維持コストの安さは資産価値に影響します。
維持コストの安い建物を建てるには、凹凸の少ないシンプルな形状にする、耐用年数の長い建材を使う、建物の断熱性を高め、太陽光パネルなどを設置することでエネルギーコストを削減する、点検口を設けて設備や配管の交換がしやすい構造にするなどが挙げられます。
3-5. 流行に左右されない間取りとデザイン
間取りやデザインにおいては、流行を追いすぎないことも重要です。注文住宅は自由に建てられるのがメリットですが、「個性的すぎる家」は売却する際に購入層を狭めてしまう可能性があります。「流行よりも普遍性」を心がけ、多くの人に好まれる外観や内装を目指しましょう。
3-6. 住宅メーカーによる保証・点検体制
建物の資産価値を維持する上で欠かせないのが、住宅メーカーの保証と点検体制です。
特に構造部分や防水部分の保証は重要ですので、期間や条件などについてしっかり確認しておきましょう。
また、点検や修繕の記録が残っている住宅は、売却時の信頼性を高めます。建てた後も、「かかりつけ医」のように頼れる、アフターサービスのしっかりした会社を選びましょう。
3-7. 建物にお金をかけすぎない。土地と建物のコストバランス
建物は年月の経過とともに価値が下がっていく(減価する)のに対し、土地は相場変動こそあるものの、物理的に減価することはありません。そのため、取得価格に占める土地の割合が高いほど、将来の資産価値を維持しやすくなります。
もちろん、建物の性能や耐久性への投資は重要ですが、過度に豪華な仕様や流行性の高い設備にコストをかけすぎると、その分将来の減価が大きくなる可能性があります。
4. これからマイホームを建てる方は、50年後を見据えた家づくりを
日本は、人口減少を背景に、「建てては壊す」時代から「長く住み継ぐ」時代への過渡期にあります。
4-1. 日本もいずれ「築50年」の住まいが売買されるようになる
冒頭に申し上げた通り、人口減少が進む日本では、住宅は「余る時代」です。新築着工戸数も減少傾向が続いており、国の政策も、供給数から長期優良住宅など良質な住宅の普及促進へと舵を切っています。また、かつては金融機関の担保評価も「築20年で建物の価値はゼロ」と言われていましたが、適切に維持管理された住宅は、築年数にかかわらず評価される時代へと変化しつつあります。
欧米では築50年、100年の住宅が当たり前に取引されています。国の政策や金融機関の評価方法が変わることによって、日本でも今後、適切に維持管理された住宅が「築50年以上」で流通する時代が訪れるでしょう。
4-2. 住まいの資産価値は老後のゆとりを生み出す
そうした前提のもと、住まいを単なる消費財ではなく、資産として維持できれば、それは老後の安心にもつながります。暮らし方や家族構成の変化に合わせて売却して住み替える、老後資金を確保する、あるいは賃貸に出すなど選択肢が大きく広がります。
また近年では、自宅を担保にしてお金を借り、亡くなった後に自宅を売却して一括返済する「リバースモーゲージ」も普及しつつあります。自宅に住み続けながら住まいを現金化することも可能になっているのです。
4-3. 次世代に住み継げる家づくりを
これからの家づくりは、短期的な満足だけでなく、長期的な視点が不可欠です。
長く価値を維持できる土地を選び、基本性能の高いスケルトンと、可変性の高いインフィルで建物を設計する。また建てた後は、定期点検やメンテナンスで建物の価値を長く維持することが大切です。
50年後も市場で評価され、次世代に引き継ぐことのできる家、その視点で住まいを考えることが資産形成につながります。これからマイホームを建てる方は、間取りやデザインだけでなく、将来の資産価値を意識した家づくりを進めていきましょう。
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