ハウスメーカー、ビルダー、工務店の違いと選び方を知ろう

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注文住宅を検討する方にとって、どの会社で建てるかということは共通の悩みです。住宅展示場に出展しているような大手ハウスメーカーがいいのか、地域密着の工務店がいいのかは誰もが悩むところですが正解はありません。最後は自分で判断するしかありませんが、ハウスメーカー、工務店などの特長や違いや、判断の軸を知っておくことでよりよい選択ができるようになります。

1. そもそもハウスメーカーって何?

日本では「ハウスメーカー」という言葉が一般的ですが、実は和製英語で英語圏では通じません。英語圏では住宅を建てる人や会社は、一般的に「ハウスビルダー(House Builder)」と呼ばれています。ではハウスメーカーとはいったいどんな会社なのでしょうか。

1-1.ハウスメーカーの始まりは「プレハブ住宅」を建てる会社

そもそもハウスメーカーとはどんな会社なのか、その歴史について少し知っておきましょう。現在のハウスメーカーは、戦後の住宅不足の時代に、すべての国民が家を持つことができるようにする、という政策にもとづき「プレハブ住宅」の供給が推進されたことが発端になっています。それまでの住宅は大工が現場で木材を切り、現場で組み立てて建てるのが当たり前でした。それを住宅の部材を工場で大量生産することによって、短い工期で大量の住宅を供給できるようにしたのがプレハブ住宅です。それまで大工の手仕事でつくられていた住宅の規格を均一化し、言わば工業製品として安定的に供給できるようにしたのです。ハウスメーカーは主にプレハブ住宅を供給する会社として設立されました。

1-2.住宅に「商品」という概念をつくったのがハウスメーカー

そして、高度成長期を経てプレハブ住宅が急速に普及するにつれ、住宅の「商品化」が進みました。それまでの住宅は大工が一棟一棟「つくる」ものであり、オーダーメイドが基本で大工や職人の個性や技術が存分に発揮されたものでした。しかし、規格化・工業化されたプレハブ住宅は、商品ラインアップの中から「選ぶ・買う」家となり、ハウスメーカー各社が開発した「商品」を、家電製品を買うようにカタログで比較検討し、展示場でモデルハウスを見て「選ぶ」時代へと変わっていったのです。現在では、まったく同じ住宅を大量供給することはなくなりましたが、住宅の規格化と工場生産、広告宣伝と展示場販売というハウスメーカーのビジネスモデル自体はあまり変わっていません。

1-3.大手ハウスメーカーの国内シェアは約23%

高度成長期以降、日本の住宅供給の中心となってきたように見えるハウスメーカーですが、実は大手ハウスメーカー8社の国内シェアは21%程度にとどまっています。

つまり日本全体で見ると、全国展開しているハウスメーカーよりも特定の地域を中心に建築棟数を伸ばしているビルダーや、小規模ながらも地場に根付いている工務店が担っている割合の方が大きいのです。

■2016年 年間住宅着工戸数(持家)

約28.4万戸 ※出典:国土交通省

■2016年 大手ハウスメーカー8社の販売棟数(注文住宅)※一部受注棟数

積水ハウス 12,570
旭化成ホームズ 10,097
積水化学工業 9,560
住友林業 7,427
大和ハウス工業 7,106
ミサワホーム 6,381
パナホーム 4,095
三井ホーム 3,123
60,359

出典:各社IR資料より抜粋

着工戸数に対するシェア= 約6万棟÷28.4万戸= 約21%

 

2. ハウスメーカー、ビルダー、工務店の特長と違い

現在、ハウスメーカーや工務店を明確に線引きする基準はありませんが、一般的には会社の規模、営業エリア、商品の有無などによって分けられていることが多いようです。それぞれの違いを見ていきましょう。

2-1.ハウスメーカー

ハウスメーカーは、日本全国に拠点を置いており、年間の販売棟数は数千棟~1万棟にも達します。また各地の住宅展示場にも出展しています。会社により、鉄骨系、木質系、ツーバイフォーなどの商品ラインアップをもち、自社の研究所で、常に新しい技術開発と商品開発を行なっています。自社工場を持っているのも特長のひとつです。

2-2.ビルダー

ビルダーとは、ハウスメーカーほどの規模はないものの、1~3都道府県程度のエリアに特化して、年間数百棟~数千棟くらいの住宅を供給する会社のことを言います。

「地域ビルダー」「ハウスビルダー」「ホームビルダー」「パワービルダー」などと呼ばれることもあり、ハウスメーカーと工務店の間のかなり広い範囲を指すことが多いです。

ビルダーの中でも、比較的規模の大きい会社は、形態としてハウスメーカーに近く、独自の商品ラインアップを持っていますが、研究機関や工場を持っている会社は少ないようです。また、中小規模のビルダーは後述するFC・VC等に加盟している会社も多く、「FC=中小ビルダーの集合体」という見方もありますが、本稿においてはビルダーとFC・VCは別の形態としてご紹介します。

いずれにしてもビルダーは、全国的な知名度は低いものの、地盤エリアではトップシェアを持つ会社もあり、ハウスメーカー以上に信頼の厚い会社も少なくありません。

2-3.工務店

工務店とは、地域密着の大工・職人集団で、年間数棟~数十棟の規模で活動しています。形態は規模によって様々ですが「商品」という概念を持たず、施主との対話によって一棟一棟オーダーメイドの家づくりをしている会社が多いようです。木造在来工法を中心とした伝統的な家づくりが得意である反面、土地探しやローンなど、建築以外の業務にはあまり積極的でないため、施主自らが不動産会社や金融機関に出向いたり、交渉したりする必要があります。

2-4.住宅FC(フランチャイズチェーン)、VC(ボランタリーチェーン)

FCとは、コンビニチェーンのように、独立した工務店などがFCチェーンに加入することにより、商品や技術の提供を受け、また統一ブランドによる集客などができるようになるシステムです。FC本部は商品開発、広告宣伝、教育・研修、ITシステム提供等で加盟店をサポートしますが、直接工事を請負うことはありません。(加盟している工務店との直接契約になります。)

VCとはVC本部が開発した技術や商品を取り入れつつ、ブランド統一はせず、本部と加盟店各社がゆるやかな協調体制をとっている形態です。規格化された商品というよりは、特定の技術や部材を利用するための仕組みと考えると分かりやすいでしょう。

FC、VCはもともと商品・技術開発や広告宣伝があまり得意でない工務店の足りない部分を補い、建築資材の共同購入などでコストダウンを図るための仕組みです。

2-5.設計事務所(建築家)

設計事務所とは、設計および設計監理を主な業務とする会社(または個人事務所)です。

日本では「設計施工」という、設計から完成までをひとつの会社に委託する形態がほとんどで、設計事務所での家づくりはあまり一般的ではありませんが、個性的な家、デザイン重視の家を求める人にはひとつの選択肢となります。

設計事務所は、施主の要望に合わせて設計を行ない、施工はコンペ(入札)等で選ばれた工務店などに委託します。着工後も工事の進行管理、工事費のチェック、品質のチェックなど「設計監理」という立場で完成まで関わります。

 

3. 注文住宅の会社選びは、施主が「何を重視するか」が決め手になる

注文住宅を建てる際、どのような選択肢があるか、だいたいご理解いただけたかと思います。しかし、その上で、どんな会社に頼むかはやはり悩ましい問題です。どのような基準で会社選びをすればよいのでしょうか。

3-1.どこでも一定の品質は担保されている。プラスαの価値を何に求めるか?

一戸建てを建てるときには、建築基準法という法律にもとづき建築確認という手続きをしなければなりません。したがって建築基準法にしたがい設計・施工され、完成検査を受けている建物であれば、どんな会社で建てても一定の品質は担保されています。(完成検査を受けないような会社は論外です。)

つまり注文住宅における会社選びは、この一定品質を超えるところに何を求めるかという施主の価値観の問題であり、そのプラスαを実現してくれる会社はどこかという選択なのです。

3-2.予算に余裕があり「ブランド」「安心感」を求めるなら大手ハウスメーカー

大手ハウスメーカーと言われる会社は全国で8~10社と言われています。そのような会社がどんな価値を提供しているかと言えば、「ブランド」と「安心感」です。TVCMや住宅展示場で大々的に広告宣伝し、誰でも知っているような会社であればこそのブランド力は絶大です。またそのブランドを維持し続けるために常に最新技術を取り入れ、品質の向上に努めていますので、おおよそ満足度の高い家づくりができます。

一方、ハウスメーカーは広告宣伝や技術開発に莫大な投資をしているので、総じて価格は高めです。その高い価格を「ブランド」と「安心感」を買うためと割り切れる方にとってはよい選択肢となるでしょう。

また、ハウスメーカーの家は、高度に規格化された工業製品ですから、品質がよい反面、融通がききません。オーダーメイドはできませんし、ちょっとした仕様変更にも費用がかかることが多いので、基本的に「標準仕様+オプション」の範囲内で建てる家と考えましょう。

例えて言えば、ハウスメーカーはファミリーレストランです。全国どこで食べても同じ味で、食材も調理方法もきちんと管理されているから高品質で安心。でもメニューに載っているものしかお出しできないのです。

3-3.個性的な家、フルオーダーメイドを求めるなら設計事務所、工務店

ハウスメーカーと対極の家づくりを目指しているのが、設計事務所、工務店と言えるでしょう。つまり「商品」という概念を持たず施主の要望をじっくり聞きながら、オーダーメイドで建てる家です。小規模だからこそ融通が利き、細かい要望にも応えてくれます。

一方で、家づくりにこだわりを持っている会社も多く、それが施主の要望と一致すればよいのですが、食い違ってしまうとお互いストレスになり、よい結果にならないことがあります。

したがって、小規模な工務店や設計事務所で家づくりをするときは、まずその会社のこだわりや考え方をしっかり聞き、自分に合うかどうかを吟味することが大事です。

例えるならば、こだわりの店主が経営する小さなレストランといったところでしょうか。気心が知れれば好みに合わせて美味しい料理を提供してくれるけれど、店主の志向に合うかどうかでお客様の評価がはっきり分かれるお店。そんなイメージです。

3-4.土地探しを含めたトータルサポートとリーズナブルな価格を求めるならビルダー

地域に根ざしたビルダーは、ハウスメーカーと工務店のいいところをかけ合わせたような存在です。独自の商品も持ちつつ施主の要望にも柔軟に対応でき、価格もその地域の水準に合わせて比較的リーズナブルに抑えています。

またハウスメーカーや工務店が建築に特化しているのに対して、地域ビルダーは不動産の仲介、土地の分譲、建売、リフォームなど住まい関連の事業をトータルで手がけていることも多く、土地を持っていないお客様に対しても丁寧に対応してくれますので、最初の相談先としては最適でしょう。

一方で、ハウスメーカーほどブランドや技術開発に投資しておらず、設計事務所のような強い個性もないので、良くも悪くも標準的な家になります。標準的な家を特定のエリアで数多く供給することによって、リーズナブルな価格を実現しているとも言えます。

土地探しと注文建築を同時に相談できて、身の丈に合った家をリーズナブルな価格で建てたいという方には、ビルダーは良い選択肢となります。

3-5.独自の工法や建材に魅力を感じるならFC・VC

住宅FC・VCについては、その会社でなければ買えない何かがあるかどうかがポイントになります。「◯◯工法」といった独自工法や建材は特許を取得しているケースも多く、FC・VCの加盟店にならないと施工することができないものがあります。このような独自工法や建材に大きな魅力を感じる時には、近くの加盟店に相談してみるとよいでしょう。

しかし特許とは言え、技術は日々進歩しており、似た工法、またはそれ以上の工法が常に開発されますので、本当の意味でその会社でなければ買えないものはそれほど多くはありません。

 

4. 一番の決め手は「人」。営業や設計担当者との相性も大事にしよう

どのような会社で建てるにしても、担当者との相性はとても大事なポイントです。自分の要望や不安をきちんと理解してくれて、それを超えるような提案をしてくれる担当者なら安心して任せることができます。一方、どんなに立派な会社であっても、担当者との相性が悪いとそれだけでストレスになりますし、完成した家に対する満足度も下がるものです。

施工会社とは、完成後も長いお付き合いになりますから、担当者との相性もひとつの評価基準として会社選びをしてみるのもよいかも知れません。

 

5.家は建ててからが肝心。保証とアフターサービス

注文住宅は、主要構造部分について引き渡しから10年間の保証が法律で義務づけられています。また設備については大抵1年~2年のメーカー保証がつきます。それ以上の保証を求めるならば、各社が独自で決めている保証基準などを比較してみるとよいでしょう。また、保証とは別に、1年後、5年後、10年後などに定期点検のサービスを提供している会社もあります。

保証やアフターサービスは、その内容はもちろんですが、その会社が将来に渡って健全に経営されているかどうかも大事なポイントです。つまり保証内容がよくても倒産してしまえば何の意味もないということです。

今後、人口の減少に併せて住宅市場はゆるやかに縮小していく見込みです。そのような環境でも健全に成長できる会社を選ぶことが大切です。

 

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