新しい生活様式に対応する家づくり① ~withコロナ時代の家づくり~

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新型コロナウィルス感染症の拡大にともない、日常生活や働き方に大きな変化が生まれています。withコロナ時代に実践すべき「新しい生活様式」とは何なのか?また、それに対応する家づくりはどうあるべきか考察してみました。

 

目次

1、アフターコロナ、withコロナ時代の「新しい生活様式」とは

緊急事態宣言が解除され、一旦終息に向かったように見えた新型コロナウィルスですが、2020年7月現在、再び感染者数が増加しています。もしこのまま増加傾向が続けば、再び「ステイホーム」を強いられることも十分考えられる状況のもと、私たちは感染症防止を前提とした「新しい生活様式」に、より速やかにシフトしていく必要があるのかも知れません。withコロナ時代に求められる新様式とはどのようなものなのでしょうか。

 

1-1 日常生活を営む上での新しい生活様式

厚生労働省は専門家会議の提言を受け「新しい生活様式」を公表しました。日常生活における以下のような生活様式を提唱しています。

 

① こまめな手洗い・手指消毒

外から帰ったらすぐに手洗い、うがいなどをおこない、家の中にウィルスを持ち込まない。すぐにシャワーを浴びるのも効果的。

 

 

② こまめな換気

密閉空間ではウィルス感染が起きやすいので、こまめに換気をおこない、室内の空気を入れ替える。

 

 

③ 買い物は通販も利用し、少人数ですいた時間に

買い物はできるだけ1人で行く。まとめ買いや通販を利用して買い物の回数を減らす。東京都では外出自粛要請時に、3日に1回程度にすることが推奨された。

 

 

④ 食事には持ち帰りやデリバリー(出前)も活用

飲食店での長時間の食事を避けるため、持ち帰りやデリバリーの活用を推奨。

 

 

 

 

1-2. 仕事や働き方関する新生活様式

また、仕事や働き方についても、以下のような新様式が提唱されています

 

① テレワークやローテーション勤務

職場や通勤経路での感染を防ぐため、テレワーク(在宅勤務等)を推奨。人材系シンクタンクのパーソル総合研究所の調査によると、現在テレワーク実施中の正社員の約7割が「継続を希望」しており、コロナ終息後もテレワークを継続する企業が増えると推測される。

 

②会議はオンライン、通勤は「時差通勤」を推奨

できるだけ人との接触を減らすため、会議はオンラインで実施、また通勤時には時差通勤が推奨されている。

 

 

 

 

 

2、新しい生活様式を取り入れた、withコロナ時代の家づくりとは

このように「新しい生活様式」とともに、日々の暮らしや働き方が大きく変化する中、私たちの住まいはどうあるべきなのでしょうか。これから家を建てる方むけに、設計上の留意点やおすすめしたい設備などについてまとめました。

 

2-1. 健康的な生活習慣のための設計・設備

まず感染症を予防し、家族が健康な生活を送るために、取り入れたい間取りや設備とはどのようなものでしょう。例えば、withコロナを見据えた下図のような間取りを考えてみました。

 

①玄関脇の洗面台・収納スペース

新型コロナウィルスに限らず、風邪やインフルエンザ対策としても手洗い、うがいはとても効果的です。そこで外から帰ってすぐに手洗い、うがいができるスペースの設置を設けてみてはいかがでしょうか?ウィルス感染はドアノブやスイッチなどからも起こると言われています。できるだけ玄関に近い場所に洗面台などを設置するとよいでしょう。また、玄関の近くにコートやかばんなどを収納できるスペースがあれば、ウィルスを室内に持ち込む可能性を下げることができますし、花粉対策としても有効です。

 

 

②宅配ボックス

「ステイホーム」で、通販やデリバリーを頻繁に使うようになり、今後宅配の利用が増えるとすれば、宅配ボックスの必要性はかなり高いと言えるのではないでしょうか。荷物の受け渡し時の感染リスクが気になるという方にもおすすめです。もちろん平常時にも不在時の受け取りなどで大変便利に使える設備です。玄関横のわずかなスペースに設置できるものもあるので、相談してみるとよいと思います。

 

③食材や日用品をストックできる備蓄庫(パントリー)

新しい生活様式で買い物に行く回数が減ると、数日分のまとめ買いが必要になります。また、コロナ禍で不足しがちだったティッシュやトイレットペーパーなどもストックしておきたいものです。そこで必要になるのが、食材やかさばる日用品をストックしておけるスペースです。これからの住宅では、感染症対策としても、災害に対する備えとしても「備蓄庫(パントリー)」は必ず設けたい空間です。もちろんキッチンの近くなどに設置すれば、普段の収納スペースとしても便利に活用することができます。

 

④効率よく換気できる窓配置や換気システム

新しい生活様式でも推奨されている「換気」。感染対策としては1時間に2回程度の換気が有効とされています。一般的に「窓を開ける=換気」と思っている方が多いのですが、正しくは室内のすべての空気が外気と入れ替わることを換気といいます。

換気の方法としては、窓を開けて風を通す「自然換気」、換気扇を使って空気を入れ替える「強制換気」、そしてその2つを組み合わせる方法があります。住宅を設計する上では、効率的に換気できる窓の配置や大きさ、また空間の広さに合わせた換気扇の数や位置などの検討が欠かせません。また最近では、冬でも室温を下げずに換気ができる熱交換型機器や、空気清浄機能を備えた機器などもありますので、家を建てる際には、プロの設計士に相談してみることをおすすめします。

 

 

2-2. 快適な仕事・学習環境のための設計・設備

次にテレワークが定着していくことを前提に、自宅で快適に仕事ができる環境、また学校が休校になった場合の子どもの学習環境について検討してみましょう。

 

① 親のワークスペース、子どもの学習スペース

テレワークやオンライン授業などに対応するためには、それに適したスペースが必要になります。リビングやウォークインクローゼットなどの一角を使って、そうしたスペースを作ることもできますが、オンライン会議など外部とのコミュニケーションを考えると、やはり書斎のような個室が望ましいでしょう。しかし最近では共働きも増え、夫婦2人がテレワークというケースも少なくありません。その場合、2人分の独立した書斎をつくるのもあまり現実的ではないので、リビングなどの広い空間にワークスペースを設け、可変式の仕切りなどで必要な時に個室化できる、フレキシブルな空間を作っておくのもよい方法かと思います。

 

② 通信回線や電源などのIT環境

スペースの問題とともに、設計時に考えておきたいのが、通信回線や電源などのインフラです。テレワークにしろ、オンライン授業にしろ、インターネットへの接続が大前提となりますので、光ファイバーやwi-fiなど高速通信回線を導入しやすいように設計しておくことが重要でしょう。そして、PCやスマホだけでなく、テレビや冷蔵庫、掃除機などの家電もインターネットに接続して使うのが当たり前の時代になりつつあります。ルーターなどの通信機器の設置場所、コンセントの数や位置(高さ)、LAN配線なども事前に検討して配管しておくことをおすすめします。

 

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③ オンライン会議、オンライン授業に対応できる防音対策

オンラインでの会議や授業、ときには飲み会などでも問題になるのが「音」ではないでしょうか。仕事の話を家族に聞かれるのはちょっと抵抗がありますし、真剣な会議中に子どもの声などが入ってしまうのも気まずいですよね。そこでワークスペースの壁には防音性の高い素材を使うなど、設計時に検討しておくとよいと思います。

 

 

3、withコロナ時代の住まい。建てる前に専門家としっかり検討しよう

withコロナ時代の家づくり、いかがでしたでしょうか?

仮に新型コロナウィルス感染症が終息したとしても、感染症そのものがなくなるわけではありませんし、一度大きく変化した暮らし方、働き方が、すべてコロナ前に戻ることは考えにくいでしょう。

これから家を建てる方は「新しい生活様式」に対応できるように、これまで考えもしなかったようなことを事前に検討し、間取りや設備に反映していく必要がありそうです。

家の間取りや設備を建ててから変えるのは困難ですが、最初からしっかり設計しておけば、さほど費用をかけずにできることも多くあります。後悔のない家づくりができるよう、専門家としっかり検討されることをおすすめします。