今話題の「IoT住宅」。次世代テクノロジーで住まいや暮らしはどう変わる?

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IoTで住まいを安心・便利に

最近よく聞くようになった「IoT住宅」。次世代の住まいとして注目されていますが、いったいどんなものなのでしょうか。また「IoT住宅」の普及により住まいや暮らしはどう変わるのでしょうか。

目次

1、そもそも「IoT住宅」ってなに?

そもそもIoTとはどのようなものなのでしょうか。実はすでに私たちの身の回りで起こっている変化なのです。

1-1. IoTであらゆるモノがネットワーク化される。

もともと、「IoT」(アイオーティー)」とは、”Internet of Things”の略で、あらゆるモノ(Things)がインターネットで繋がり、私たちの暮らしを大きく変えていくことを指しています。

普及率が85%を超えたスマートフォンはもちろん、タブレット、テレビ、ゲーム機、腕時計、スピーカーなどあらゆるデジタル機器がインターネットに繋がっていますが、今後さらに、冷蔵庫や掃除機などの家電やクルマなどもネットワークされていきます。

1-2. 2020年は「IoT住宅」元年となるか?その背景とは

2020年はIoT住宅が急速に普及するタイミングかも知れません。その背景を見ていきましょう。

(1)社会的な変化

近年、共働き世帯の増加、男性の家事や子育てへの参加などにより、家事の時短化、省力化のニーズが高まり、ロボット型掃除機、自動調理器などがヒット商品になりました。また子どもがひとりで家にいる時間が増え、防犯・防災の観点から、遠隔で操作できる鍵(スマートキー)や、スマートフォンからいつでも自宅の様子を確認できるカメラなども開発され、一般家庭にも広がりを見せています。

(2)通信技術の進化(5G)

そして2020年にスタートするのが、5Gサービス(第5世代移動通信)です。これまでの4Gネットワークが5Gに変わることにより、通信速度が劇的に速くなるだけでなく、ネットワークに接続できる機器を大幅に増やすことができます。つまり、これまでインターネットに繋がっていなかった様々な機器をネットワーク化し、高速で通信できるようになるということです。

これにより、家電やクルマ、さらに腕時計やメガネなどのウェアラブルデバイス(身につける機器)がストレスなくネットに繋がるようになります。まさにIoT時代を見据えた次世代の通信規格なのです。

(3)AI(人工知能)

通信技術と並んでIoT住宅の鍵となるのがAI(人工知能)です。前述のロボット型掃除機をはじめ、エアコン、オーブンレンジ、洗濯機、自動調理器などの家電にも続々とAIが搭載され、ヒトが操作しなくてもAIが汚れを検知して掃除してくれたり、快適な温度や湿度に調整してくれたりします。最近では家じゅうの機器を音声コントロールできるAI搭載のスマートスピーカーなども人気になりました。

このようなAI技術と、音声機器、またセンサーやロボット技術が実用段階に入り、様々な家電製品に組み込まれ普及してていくのが2020年です。朝起きて「おはよう」と声をかけるだけで、シャッターやカーテンが開き、コーヒーメーカーがコーヒーを淹れ始める、そんな暮らしがもう目の前にあるわけです。

IoTで住まいを安心・便利に

2、「IoT住宅」を取り巻く国内外の動き

IoT住宅(海外ではコネクテッドホームとも呼ばれる)を巡っては、大手企業を中心に、国内外で様々な動きが始まっています。

2-1. 米国の大手IT企業を中心に、規格標準化のワーキンググループを立ち上げ

米Amazon.com、米Apple、米Googleおよびグローバルな標準化団体ZigBee Allianceは2019年12月18日(米国時間)、IoT製品間の互換性を高めるための新たな接続規格を開発するワーキンググループ「Project Connected Home over IP」の立ち上げを発表しました。これはAmazonのAlexa、AppleのSiri、GoogleのGoogleアシスタントなど各社でバラバラだった製品の規格を統一し、シームレスに接続できるようにすることを目指しており、これが実現すれば消費者はメーカーを気にせず、様々なIoT製品を簡単に導入できるようになり、一気に普及が加速します。

プレスリリースによると、まずは煙探知機やスマートキーなどのホームセキュリティ関連製品で、2020年後半に仕様の草案とオープンソース資料を公開する予定です。

「Project Connected Home over IP」の参加企業

出典:ITmedia

2-2. 国内でもハウスメーカー、住宅設備メーカーが連携し団体を設立

国内でも、2017年に不動産デベロッパー、住宅メーカー、住宅設備メーカー、家電メーカー、IT系企業などが「コネクテッドホーム アライアンス」を設立し、IoT住宅の研究・開発を進めています。国内の新築住宅やリフォームにIoTが導入されるのもまもなくでしょう。

(参考)コネクテッドホーム アライアンス

2-3. 国土交通省主導の「次世代住宅プロジェクト」で最大5億円を助成

単身世帯の増加、少子高齢化、介護分野の人材不足等の社会状況を踏まえ、国もIoT技術の活用による住宅や住生活の質の向上を目指しています。国土交通省は2016年から「IoT技術等を活用した次世代住宅懇談会」を開催し、住宅業界、IT業界等のヒアリングや意見交換を行った上で、翌年度より「次世代住宅プロジェクト」を発足し、IoT技術等を活用した住宅等のリーディングプロジェクトに、最大5億円の補助金を交付するなど、先進的なIoT住宅の普及を後押ししています。

3、IoT住宅で住まいはどう変わるのか、今後の家づくりで知っておきたいこと

ここまでIoT住宅の概念や背景を見てきましたが、普及することにより私たちの生活はどう変わるのでしょうか。

3-1. IoT住宅は暮らしをどのように変えるのか

前述の「IoT技術等を活用した次世代住宅懇談会」では、IoT技術が私たちの暮らしを変える分野として主に以下のようなものに注目しています。

(1)高齢者支援・介護支援

高齢世帯にとっては、毎日の買い物や食事の準備だけでも大きな負担です。IoT技術を使えば、日常の買い物や、食事の宅配などを音声で行うことができるようになります。また、センサーやモニターなどを使って、別居する子どもや介護ヘルパーなどによる見守りや緊急時の駆けつけなども可能になり大きな安心につながります。

(2)健康管理

高齢者はもちろん、全年代で最も関心が高いのがこの健康管理の分野です。体重・脈拍・血圧などを自動測定、記録して毎日の健康管理に役立てる。また、自宅にいながら医師の診断を受けられたり、服薬の管理ができるなど、医療の分野でも安心につながるでしょう。

(3)家事負担の軽減・子どもの見守り

共働きの子育て世代に期待されるのがこの分野です。現在もロボット掃除機や自動調理器などで少しずつ自動化が進んでいますが、今後あらゆる家電がネットワーク化され、どこからでもスマートフォンなどで操作できるようになります。さらにAIが日用品や食材の在庫を管理して、足りないものを自動的にオーダーしてくれたり、一人ひとりの好みを把握したレシピの提案などもしてくれるようになるでしょう。日常の買い物もネットショップと宅配ボックスを利用すれば、毎日決まった時間に必要なものが自動的に配達されるというような世界もすぐそこまで来ています。

また、スマートロックやモニターを使った子どもの見守りもできるようになり、ベビーシッターや家事代行サービスなども利用しやすくなるでしょう。

(4)防犯・ホームセキュリティ

IoT住宅は防犯上も大きなメリットがあります。玄関の鍵を遠隔から操作できる「スマートロック」はすでに普及段階に入っています。また、窓やシャッターにセンサーを組み込み侵入を検知したり、ホームセキュリティと組み合わせて、緊急通報や駆けつけを行なうなど、セキュリティの分野でも大きな変化が起こりそうです。

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3-2.これからの住宅に必要な設計・デザインとは

このように住まいのIoT化が進むと、住宅のデザインや必要な設備も変化していきます。

国土交通省の「IoT技術等を活用した次世代住宅懇談会」によれば、IoTを導入するにあたり、以下のような点に配慮することが提言されています。

・高齢者世帯の住宅における通信環境(インターネット・wifi等)の確保

・コンセント数の確保や、配線の容量(空配管も含め)の確保

・高断熱住宅の普及や建具の電動化への対応

・ユニバーサルデザイン(※)化を図ること

・IoT等を活用した機能等を付加できるようにすること

・修繕・リフォームといった手入れや、掃除しやすい造りとすること

・設備機器をまとめるなど、メンテナンスしやすいように設置すること

・家族・世帯構成の変化に応じ、間取り・レイアウト変更がしやすいこと

※ユニバーサルデザイン:障害の有無や年齢、性別などにかかわらず、たくさんの人々が利用しやすいデザインのこと

IoTに関わる技術は進化が早く、続々と新しい技術・製品が開発されますので、建てた後に新しい機器を導入しやすいように設計しておくことが重要です。これから家を建てる方は、そうしたことを考慮しながら設計を進めていきましょう。

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4、IoTは家だけにとどまらない。トヨタがコネクテッド・シティ構想を発表

2020年1月、トヨタは静岡県裾野市に、あらゆるモノやサービスがつながる実証都市「コネクティッド・シティ」をつくる構想を発表しました。

このプロジェクトでは、人々が生活を送るリアルな環境のもと、自動運転、モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、人工知能(AI)技術などを導入・検証できる実証都市を新たにつくるというもので、家とクルマの最先端技術を、実際の人々の暮らしにどう活かせるかを実証実験するための「街」をつくるという壮大なプロジェクトです。

この街では、人・建物・クルマなどがすべてネットワーク化され、完全自動運転のクルマによる移動、太陽光発電や燃料電池発電などを利用したエネルギー自給、室内用ロボットなどの新技術等を使った未来の暮らしについて、開発と実証が行われます。着工は2021年初頭を予定。近い将来には、ここで実証された技術が私たちの暮らしに取り入れられることになるでしょう。

このように、今後の住宅はインターネット、AI、ロボット、クルマなどの先端技術を取り入れることにより、私たちの暮らしを大きく変えようとしています。それにともない住まいの設計やデザインも大きく変化しています。

これから家を建てる方は、ぜひIoT住宅について情報収集してみることをおすすめします。

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