2025年基準地価の駅別ランキング。上昇率の高い沿線・駅はどこだ(首都圏篇)

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9月17日、令和7(2025)年の基準地価が発表されました。全国平均(全用途)は+1.5%で、前年+1.4%から上昇幅を拡大し4年連続の上昇となりました。まだまだ上昇が収まる気配のない土地価格。今回は首都圏エリアの上昇率が高い沿線・駅について解説します。

目次

1. 全国平均(全用途)は住宅地・商業地とも4年連続の上昇

2025年基準地価の変動率は、全国平均(全用途)で前年の1.4%から1.5%へと上昇幅を拡大し、4年連続の上昇となりました。用途別に見ても、住宅地(0.9% → 1.0%)、商業地(2.4% → 2.8%)とも上昇が加速しており、地価の上昇が継続していることが確認されました。

要因としては、都市部で住宅需要が引き続き堅調なことに加え、リゾート地などで別荘やコンドミニアムなど移住者向けの需要が高まっていること。また商業地は店舗・ホテルなどの需要が高く、オフィスの賃料が上昇していることなどが挙げられます。また、観光客やインバウンドが増加した地域では高い上昇率となっている地点が見られます。

1-1. そもそも基準地価とは

基準地価とは、国土利用計画法に基づき、全国2万ヶ所以上の基準値の1㎡あたりの価格を、各都道府県知事が公表するもので、毎年7月1日時点の地価を9月に発表しています。1月1日時点の地価を公表する「公示地価」と同様、適正な地価形成を目的とし、土地取引の指標となる価格として活用されています。

1-2.三大都市圏は東京・大阪を中心に上昇幅を拡大。地方四市は上昇幅が縮小

次に圏域別に直近1年間の地価動向を見てみましょう。

三大都市圏(東京圏・名古屋圏・大阪圏)は、全用途平均で前年の3.9%から4.3%に上昇幅を拡大しています。用途別に見ると、住宅地が3.0% → 3.2%、商業地は6.2% → 7.2%と商業地の伸びが大きくなっています。ただし圏域別に見ると、東京圏と大阪圏では上昇幅が拡大しているのに対して、名古屋圏は上昇幅が縮小しており、大都市圏の上昇は東京と大阪が牽引していることがわかります。

地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)では、住宅地が5.6% → 4.1%に、商業地は8.7% →7.3%へと、2年連続で上昇幅が縮小したものの、依然として高い上昇率を維持しています。

その他の地方圏では、全用途平均が前年と同じ0.2%、住宅地は前年のマイナスからプラスに転換しています。

1-3. 半年ごとの動きでは、年後半に上昇が鈍化

また2024~2025年の地価動向を前半・後半に分けて見ると、総じて前半の方が後半よりも上昇率が高くなっています。つまり、2025年に入ってから上昇がやや鈍化してきていることになります。今回のデータだけで判断はできませんが、これまで上昇が大きかった地域では価格のピークを超えつつあるのかもしれません。

1-4. 首都圏の住宅地は都心部と流山市が上昇率上位を占める

また首都圏(住宅地)の上昇率上位の地点を見ると、都心部と流山市が上位を独占する結果となりました。

1位の流山市東初石は、東武アーバンパークラインの初石駅を最寄りとするエリアで、人気の高いつくばエクスプレス沿線ではありませんが上昇率がトップとなっています。これは、流山おおたかの森駅周辺の価格上昇が、隣接する各停駅へと広がっているためと推測され、人気エリアの周辺でよく見られる現象です。

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2. 首都圏の基準地価、駅別ランキング

このように地価の上昇が続く中で、住宅購入にもっとも影響がある「住宅地」の地価について詳しく見ていきましょう。今回は首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の地価変動率を駅別にランキングしてみました。

※基準地価は、住宅地の駅ごとの基準地価の平均で、㎡あたりの金額(円)です。
※集計対象は、駅から5km以内かつ前年との比較可能な地点です。
※「前年比(%)」は、駅ごとの平均地価で算出しています。地点ごとの前年比を平均したものではありません。

2-1. 首都圏で地価が上昇した駅は全体の84%

対象となる駅のうち、前年比で上昇・下落している割合は次の通りです。

首都圏では、全体の8割以上の駅で上昇しており、下落している駅はわずか10%しかありません。

2-2. 上昇率トップは飯田橋駅。都心部と流山市が独占

それでは、首都圏の上昇駅トップ20を見てみましょう。

上表の通り、上昇率トップ20はすべて東京23区と流山市が占める結果となりました。

トップはJR総武線、東京メトロ東西線、有楽町線・南北線・都営大江戸線が乗り入れる飯田橋駅。2位は銀座線・南北線が乗り入れる溜池山王駅でした。3位以下にも高級住宅地の代官山駅や、再開発が進む大崎駅など都心部の主要駅が並んでいます。

23区以外では、7位の流山セントラルパーク駅と13位の流山おおたかの森駅がランクインしています。どちらも子育て世帯に人気の高いつくばエクスプレス沿線の隣接する駅です。以前は東武アーバンパークラインとのターミナルである流山おおたかの森駅の方が人気でしたが、最近では価格のリーズナブルなセントラルパーク駅が上昇しています。

昨年のランキングでは、10位以下に千葉県の原木中山駅や市川大野駅など近郊の各停駅がランクインしていましたが、今回は都心回帰の様相が強まりランク外となっています。

なお、神奈川県トップは85位の相鉄本線 平沼橋駅(10.0%)、埼玉県トップは309位のJR京浜東北線 戸田駅(5.7%)でした。神奈川県、埼玉県の主要エリアは、価格上昇ペースが鈍化しており、今後も値上がりが期待できる都心部と、より価格がリーズナブルな千葉県北西部に購入者のニーズが移っていると推測されます。

2-3. 上昇率ワーストはJR総武本線 銚子駅。ワースト20は埼玉県北部と千葉県東南部

次に、首都圏の上昇率ワースト20を見てみましょう。

ワースト20は、すべて埼玉県北部と千葉県東部~房総エリアの駅で占められています。

千葉県ではJR総武本線の成田~銚子間のエリアや、JR内房線の市原市より南側の駅、埼玉県では八王子と高崎を結ぶJR八高線や、群馬県境を走る秩父鉄道の沿線が下落しています。

これらのエリアは、都内への通勤圏の外側に位置するため、ファミリー層の流入が少なく慢性的に地価が下がっています。 なお、東京都のワーストは153位のJR青梅線 奥多摩駅(0.0%)、神奈川県のワーストは76位のJR御殿場線 山北駅(▲0.3%)となっています。

2-4. 首都圏の都道府県別 地価上昇率が高い駅トップ10

さらに、都道府県別に上昇率トップ10をピックアップすると以下のようになります。

前述の通り、東京都は新宿区、千代田区、渋谷区などの都心部に加え、有明、月島などの湾岸エリア、高輪、自由が丘などの高級住宅地が名を連ねています。

東京都に次いで上昇率の高い千葉県では、流山市、松戸市、柏市などの東葛エリアの上昇率が高く、これまであまり上位に入らなかった京成線沿線の駅が複数ランクインしています。

神奈川県は、横浜駅に隣接する相鉄本線の平沼橋駅がトップとなり、辻堂、江ノ島、鎌倉などの湘南エリアが複数ランクインしています。

埼玉県は、東京に隣接するJR京浜東北線・埼京線と東武スカイツリーラインの沿線が上位を占めています。

3. 2025年の基準地価は都心部と千葉県北西部の強さが際立つ結果に

首都圏エリアの2025年基準地価の駅別ランキング、いかがでしたでしょうか。

駅別の地価動向は、市区町村別よりも上昇・下落をより細かく、沿線ごとの動向も見ることができるので、物件を選ぶ上で大いに参考になるのではないかと思います。

3-1. 地価上昇の波は都心部と郊外のずらし駅に二極化

冒頭に申し上げた通り、首都圏の地価は全体として上昇傾向が続いています。しかし、駅ごとに見ていくと少し傾向が変わってきているのがわかります。

まず、新宿区、渋谷区、千代田区などの都心部の上昇率が拡大していることです。ここ数年、価格上昇が都心から郊外へと広がったことで、都心部よりも郊外の上昇率が高くなる傾向がありましたが、再び都心部の上昇が勢いを増しています。

一方、郊外エリアではこれまで勢いのあったターミナル駅の上昇が落ち着き、ターミナル駅の隣接駅や数駅離れた各停駅の上昇率が高くなっています。

これは、インフレや株高で生じた余剰資金が、再び資産価値の高い都心部の不動産に向かっている可能性があること、また50年ローンなどの新しい住宅ローン商品が出てきたことにより、これまで手の届かなかった都心部の高額物件が買いやすくなった影響もあるかもしれません。一方で、一般的なマイホーム需要は、昨年くらいから価格の高いターミナル駅を避け、リーズナブルな各停駅(いわゆる「ずらし駅」)に移りつつあります。

結果として、地価上昇の中心は都心部と郊外のずらし駅に二極化する傾向が強まっています。

3-2. 購入のタイミングを逃さないようしっかり情報収集を

このような地価の動きからもわかるように、不動産の相場は日々変化していますので、常に最新の情報をキャッチしておくことが重要です。今回の基準地価では、都心回帰の動きが見られましたが、来年には再び郊外のターミナル駅が上昇するかもしれません。

また、勢いがやや弱まっているとは言え、通勤圏では年3~7%くらいの上昇が続いています。購入のタイミングを逃さないよう、これからマイホーム購入を検討される方は、希望エリアの相場情報をしっかり確認しておきましょう。 本記事のランキングにない沿線・駅の情報、地域の相場情報などはお近くの住宅情報館までお気軽にお問合せください。

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