タワーマンションから川崎大師まで。多彩な顔をもつ街、川崎市の魅力と不動産市況

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川崎市は神奈川県の北東部に位置し、東京都と横浜市に挟まれた政令指定都市です。神奈川県では横浜市に次いで人口が多く、県庁所在地以外では全国最大の市です。市内にはJR、東急、京王、京急、小田急など多くの路線が乗り入れ、都心近郊のベッドタウンとしてとても人気が高い街ですが、武蔵小杉のタワーマンション群、真言宗の大本山「川崎大師」、埋立地の大工業地帯など多彩な顔をもつ街でもあります。

目次

1、川崎市は人口・世帯数とも増加が続く

そんな川崎市の人口は、約154万人、世帯数は約76万世帯。最近10年間の人口は約6%増、世帯数は12%増となっています。年間の転入出者数は、約800人の転入超過となっています。

1-1、人口・世帯数(2022/1/1 現在)

人口1,540,962人
世帯数761,366世帯

1-2、人口・世帯数の推移

1-3、転入・転出(2021年中)

転入者数102,481人
転出者数101,633人

※出典:2021年人口移動報告(総務省)

2、神奈川県川崎市の不動産情報

2-1、土地の価格は㎡あたり40万円。直近10年で約20%の大幅上昇

土地の価格(地価)については、毎年1月1日を基準とした「公示地価」と7月1日を基準とした「基準地価」が発表されています。川崎市における公示地価と基準地価の平均は以下の通りです。直近の平均地価としては、㎡あたり40万円くらいで、最近10年間は、ほぼ右肩上がりの推移が続いており、10年間で約20%と大幅上昇しています。なお、川崎市は、7つの行政区からなる市で、区ごとに地価水準が大きく変わりますので、区ごとの平均地価も確認しておきましょう。

■公示地価、基準地価とは?

公示地価とは、地価公示法に基づき、国(国土交通省)が、毎年1月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。基準地価とは、国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。

同年の価格を比較した場合、公示地価よりも基準地価の方が半年遅れで公表されるため、より直近の取引価格を反映していると見ることができます。なお公示地価、基準地価はともに一般の土地の取引価格の指標等として使われていますが、あくまで指標であり、実際の取引価格とは異なりますのでご注意ください。

川崎市全体の地価平均(㎡あたり)

公示地価(2021年)390,476円
基準地価(2021年)401,448円

公示・基準地価の推移(平均/㎡)

川崎市の区別平均地価                         (円)

順位行政区地価(㎡)地価(坪)変動率
1位幸区614,7772,032,323+1.11%
2位中原区576,7941,906,757+1.57%
3位川崎区518,6851,714,662+1.42%
4位高津区375,1211,240,070+1.17%
5位宮前区276,857915,230+0.32%
6位多摩区267,925885,702+0.48%
7位麻生区254,275840,578+0.04%

※2022年公示地価 ※1坪=3.3057㎡

マップでご覧いただけるように、川崎市は南北に長い市で7つの区があります。地価水準が高いのは幸区、中原区、川崎区で、住宅地でも30~40万円/㎡くらいが相場です、中原区には近年タワーマンションが多く供給されている武蔵小杉や元住吉などの人気エリアがあり、人口が急増しています。また、JR・京急の川崎駅を挟んで南側が川崎区、北側が幸区となります。

市の中部に位置する高津区、宮前区の住宅地では、20~30万円/㎡と比較的リーズナブルな価格帯となります。高津区ではJRと東急線のクロスターミナルである溝の口、宮前区では東急田園都市線の宮崎台、宮前平などが、人気の高いエリアです。北部の麻生区、多摩区は、小田急線、京王線が乗り入れる自然豊かな郊外エリアで、駅近でも20万円台/㎡前半、駅から離れると20万円/㎡以下の地点も見られます。

2-2、川崎市の新設住宅着工は分譲住宅と賃貸で8割以上

国土交通省が発表している新設住宅着工戸数について見てみましょう。川崎市で2021年中に新築された建物は11,411戸でした。内訳としては、持ち家(注文住宅)が13%、貸家(賃貸住宅)が47%、分譲住宅が39%と、賃貸住宅が全体の約半数を占めます。分譲住宅の内訳としては一戸建が1,942戸(44%)、マンションが2,458戸(56%)とバランスよく供給されています。

■川崎市の新設住宅着工戸数(2021年)

持ち家1,545戸
貸家5,375戸
給与住宅89戸
分譲住宅4,402戸
11,411戸

2-3、川崎市の住宅着工数は10年で14%減。コロナによる一時的な減少とみられる

川崎市の住宅着工数は最近10年間でマイナス14%となっています。内訳としては、注文住宅がプラス8%、分譲住宅がマイナス26%、賃貸住宅がマイナス40%となっていますが、直近10年で12,000戸を割ったのは2020年と2021年だけとなっており、コロナの一時的な影響と考えられます。

2-4、川崎市の不動産相場は、総じて上昇傾向。エリアによって大きく異なるが流通量は多い

川崎市で販売されている新築マンションはが4,000万円台~8,000万円台と幅広く、㎡単価は概ね70~100万円台とエリアによって大きく異なります。中古マンションは、築15年以内で平均5,046万円(85.4万円/㎡)、築15~25年で平均4,608万円(67.0万円/㎡)、築25年超で平均2,283万円(47.4万円/㎡)前後です。都心のマンション価格高騰により、川崎市内でも特に築浅のマンションは値上がり傾向が続いています。流通量は多いので、少し古めのマンションも視野に入れながら探してみるとよいかも知れません。

一戸建については、新築で5,125万円、中古は築15年以内で平均5,574万円、築25年以内で4,682万円、築25年超は3,538万円となっています。一戸建もマンションも同様に全体として価格が上昇しています。エリアを広めに検討を進めてみましょう。

最後に土地の相場については、最寄駅から徒歩10分以内で平均33.7万円/㎡、徒歩20分以内なら35.3万円/㎡、徒歩20分超で31.8万円/㎡となっています。

川崎市は、マンション、一戸建、土地ともに、エリアによって相場が大きく変わるので、平均価格だけでなく、区ごともしくは個別の物件を当たって見ることをおすすめします。

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3、川崎市は2年連続で待機児童数ゼロを達成。都内への通学もしやすく教育環境は良好

川崎市には、114校の公立小学校、52校の公立中学校、19校の公立高校と6校の私立高校があります。私立・公立とも充実しており、市内には10校の大学がありますが、都内への通学もしやすく、教育環境は非常によいと言えるでしょう。

3-1、幼稚園・保育園・学校の数

 公立私立
幼稚園・保育園・認定こども園等21施設689施設
小学校114校4校
中学校52校6校
高等学校19校6校
大学・短大1校9校

3-2、待機児童数(2022年4月現在)

待機児童数(国基準)0人

川崎市の待機児童数は前年に引き続き2年連続でゼロを達成しています。

4、川崎市の住まい探しは、エリア・沿線の特徴をつかんで絞り込み。横浜市営地下鉄の伸延にも注目!

川崎市は、東京都と横浜市と接し、市内にはJR、東急、京急、京王、小田急の5事業者、14路線が乗り入れ、都心まで、どの路線を使っても30分前後でアクセスできる、非常に利便性の高い街です。かつては工場やギャンブルなど悪いイメージがあった川崎市ですが、近年では再開発やタワーマンションの建設などで過去のイメージは払拭され、若いファミリー層を中心に、住みたい街ランキングで上位にランクインする人気の街となっています。

川崎市は7つの行政区からなる政令指定都市で、各区に中心となる駅・エリアがあり、それぞれ異なる路線が乗り入れていますので、区・エリアによって、交通アクセス・雰囲気・価格相場が大きく変わります。物件探しにおいては、「川崎市」というよりは「武蔵小杉エリア」とか「東急 田園都市線沿線」など、駅や路線を絞り込んで探す方が多いようです。川崎市の物件探しは、まず各エリアの特徴をつかむところから始めてみましょう。

出典:川崎市ホームページ(区名は筆者が加筆)

■中原区

中原区の中心となる駅は武蔵小杉です。JR武蔵小杉駅(南武線・横須賀線・湘南新宿ライン)と、東急武蔵小杉駅(東横線・目黒線)があり、相互乗り入れを含めると、13路線が利用可能で、東京方面にも横浜方面にも、非常にアクセスのよいエリアです。JRを利用すれば、品川駅まで約10分、東京駅・新宿駅まで約20分、横浜駅まで約10分、東急線を利用すれば、渋谷駅まで約15分で行くことができます。

近年、駅周辺の再開発にともない、タワーマンションや大型商業施設が建設され、若いファミリー層の人気が高まっており、川崎市で最もホットなエリアのひとつと言えるでしょう。

一方で中原区には自然を感じられる広大な緑地「等々力緑地」や、博物館と美術館の複合文化施設「川崎市市民ミュージアム」、川崎フロンターレのホームグラウンドでもある等々力陸上競技場、とどろきアリーナなどの運動施設・文化施設も充実しています。

■川崎区

川崎区は川崎駅の東側(海側)のエリアで、中心となるのは、JR川崎駅(東海道本線)と京急川崎駅です。

駅周辺には、ラゾーナ川崎などの大型商業施設やオフィスビルが集中している賑わいのあるエリアですが、関東三大本山のひとつである川崎大師もあり、新年には多くの初詣客が訪れる、風情ある街でもあります。

中原区と同様に都心へのアクセスは申し分なく、主要駅に約15~20分で行くことができます。また羽田空港へのアクセスも非常に便利なエリアです。

■高津区

高津区の中心となるのは、溝の口駅(東急田園都市線・大井町線)です。武蔵溝ノ口駅(JR南武線)とのクロスターミナルとなっており、田園都市線を使えば渋谷まで急行で約15分、東京メトロ半蔵門線と相互乗り入れしているので、表参道や大手町駅などにもダイレクトアクセスできます。駅近辺にはノクティプラザ、イトーヨーカドー、MIZONOKUCHI BLOCKSなど商業施設も豊富で、交通便、生活便ともに申し分ない環境です。近年開発が進み、川崎市の副都心と位置づけられる溝の口エリアですが、周辺には多摩川など自然も豊かで、子育てファミリーにはとても人気の高い街となっています。

■幸区

幸区の中心となるのは、JR・京急の川崎駅です。駅を挟んで川崎区の反対側に位置するのが幸区で、駅前には川崎市最大級のショッピングモール「ラゾーナ川崎」をはじめ、商業施設や飲食店などの商業施設が充実しています。川崎駅前の繁華街がちょっと苦手という方は、南武線沿線の矢向駅、鹿島田駅や、湘南新宿ライン・横須賀線の新川崎駅なども合わせて検討してみるとよいと思います。特に鹿島田駅・新川崎駅エリアは、隣接する2駅が利用できるため交通便もよく、川崎駅と武蔵小杉駅の間に位置する閑静な住宅地としてファミリー層に人気があります。

■宮前区

宮前区は市の西側、多摩丘陵に位置するエリアで、閑静な住宅街が広がっています。中心となるのは、急行停車駅である鷺沼駅(東急田園都市線)です。鷺沼駅からは急行で渋谷まで約17分、表参道や大手町駅などにもダイレクトアクセスできます。田園都市線は特に若いファミリーに人気の沿線で、学校も多く教育環境がよいので、子育てファミリー層にはおすすめです。駅周辺には医療施設やショッピングセンターが揃っており、生活しやすい環境ですが、坂道が多いため、自転車での移動はちょっと辛いかも知れません。

■多摩区

多摩区は、多摩丘陵に位置する自然豊かなエリアです。中心となるのは、小田急線とJR南武線のクロスターミナルである登戸駅と、隣の向ヶ丘遊園駅(小田急線)です。登戸駅からは小田急線快速急行で新宿駅まで約17分、また東京メトロ千代田線に乗り入れているため、表参道や大手町など都心部にダイレクトアクセスできます。また、千代田線直通電車のほとんどは、向ヶ丘遊園駅始発なので、都心部に座って通勤できるというメリットもあります。

多摩区は利便性の高い街でありながら、里山環境が保全された「生田緑地」や、「よみうりランド」などのレジャー施設もあり、多摩丘陵の自然を感じながらゆったりと暮らしたいファミリーにおすすめです。

■麻生区

麻生区は、市の北西部に位置する閑静な住宅街が広がるエリアです。中心となるのは新百合ヶ丘駅(小田急線)です。新百合ヶ丘駅からは、小田原線快速急行で新宿まで約23分、東京メトロ千代田線に乗り入れているので、都心部にダイレクトアクセスできます。駅周辺には大型のマンションもあり、商業施設、医療施設などが充実していますが、少し駅から離れると、農地や山林が残る自然豊かな住宅地が広がっています。都心へのアクセスや利便性は重視しつつ、自然が残るのどかな環境で、のびのび子育てしたいファミリーにおすすめのエリアです。

また2020年には、横浜市営地下鉄のあざみ野駅~新百合ヶ丘駅までの伸延が決定し、2030年の開業を目標に事業が進められています。麻生区内には新たに2つの駅が新設される予定で、これからの発展が楽しみです。

・横浜市営地下鉄伸延の概略ルート

※出典:横浜市・川崎市

川崎市は都心へのアクセスもよく、再開発にともない人気が高まっているエリアですが、区や沿線によって環境や雰囲気が大きく変わります。都会的なライフスタイルを志向し、マンションを中心に物件を探すなら川崎区・幸区・中原区、都会的な雰囲気でありながら、少し落ち着いた環境を求めるなら高津区・宮前区、利便性を重視しつつ自然豊かな環境を求めるなら多摩区・麻生区と、ご自身のライフスタイルや重視するポイントを整理しながらエリア選び、物件選びを進めていくとよいと思います。

駅近のタワーマンションから広々した一戸建まで、住まいの選択肢が非常に多い川崎市。詳しい街の情報や価格相場など、不動産会社に相談してみてはいかがでしょうか?

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