都心の中古マンションと郊外の新築戸建、相場・広さを徹底比較

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マンション価格が上昇する一方、戸建はリーズナブルな価格と広さが魅力。今回は、都心の中古マンションと郊外の新築戸建の相場、返済額、広さ、通勤利便性などを徹底比較します。

目次

1. 中古マンションの価格高騰で戸建の取引が増加

中古マンションの価格上昇により、割安感のある戸建の取引が増加しています。その背景とメリットなどを整理してみましょう。

1-1. 中古マンション価格が大きく上昇

2025年6月、東京23区の中古マンション平均価格が1億円を超え、大きな話題となりました。新築マンションの供給数が減少する中で中古の需要が高まり、とくに築浅物件を中心に価格が上昇しています。

また、都心部は投資需要も大きいため、価格上昇に歯止めがかからず、一般的な給与水準の世帯では手が届きにくい価格帯となっています。

出典:不動産価格指数(国土交通省)

1-2. 戸建の取引が増加

こうしたマンション価格の高騰を背景に、比較的上昇が緩やかな戸建の取引が増えています。2025年11月の首都圏における成約数は、新築戸建が前年比198.1%増(約3倍)、中古戸建が53.1%増(約1.5倍)と、特に新築戸建が大きく伸びています。 中でも、埼玉県が342.2%増、神奈川県が307.7%増と郊外エリアでの伸びが顕著で、需要が都心から郊外へ広がっていることがわかります。

1-3. 新築戸建の購入が増加する背景

郊外の新築戸建が選ばれる理由には、「価格」だけでなく「広さ」があります。初めて住宅を購入する子育て世帯では、子ども部屋やワークスペースなど、一定の広さが求められますが、23区内の中古マンションは平均的に50~70㎡前後。最近は価格上昇の影響で小さくなる傾向があります。

郊外では同程度の価格で100㎡以上の新築戸建も購入できるので、そちらを選ぶ方が増えるのも自然と言えます。また、近年再開発などで郊外の利便性が高まり、都心とそれほど差がなくなってきていることも要因のひとつです。

そこで今回は「都心の中古マンション」と「郊外の新築戸建」どちらを選ぶべきか迷っている方向けに、エリア別の相場感や比較の視点などを解説していきます。

2. 東京23区の中古マンションを購入する場合

まず、東京23区で中古マンションを購入する場合のイメージをつかみましょう。

2-1. 23区の中古マンション相場感

東京23区の中古マンションの平均価格と物件イメージは以下の通りです。

上表の通り、都心3区では1億円超えですが、それ以外のエリアでは5,000~7,000万円台が中心です。しかし、いずれも専有面積が55~60㎡前後とファミリー世帯にはやや手狭で、70㎡換算すると都心3区と城西エリアは1億円超、城南エリアは約9,000万円、城東・城北エリアで約7,000万円とかなり高額になります。

また、各エリアとも平均築年数が20~30年のため、設備や内装をリフォームするケースも多く、追加で300~500万円程度の費用がかかる可能性があります。

2-2. 23区で中古マンションを購入した場合の返済額

次に、この相場感をベースに住宅ローンの返済額をシミュレーションしてみましょう。

比較的価格の安い城東・城北エリア(借入7,000万円)でも月々の返済は約19万円、城西エリア(借入1億円)では、月々約27万円と、一般的な世帯には大きな負担になります。

このため、都心部での住宅購入では、夫婦の収入を合算するペアローンや、返済期間を40~50年に延ばす超長期ローンの利用も増えています。

3. 郊外エリアで新築戸建を購入した場合

次に郊外で新築戸建を購入した場合のイメージです。郊外は範囲が広いので、価格帯別に具体的なエリアを見ていきます。

3-1. 6,000~8,000万円で新築戸建が購入可能なエリア

城東・城北エリアの中古マンションとほぼ同じ価格帯である、6,000~8,000万円の価格帯のエリアを見てみましょう。

この価格帯であれば、中野区や大田区など23区内でも検討可能です。また、多摩エリアでは国立市、三鷹市などJR中央線沿線、神奈川県でも横浜市港北区や青葉区など、住環境がよく人気の高いエリアがターゲットに入ってきます。なお、調査時点で埼玉県と千葉県で平均価格が6,000万円を超えるエリアはありませんでした。

3-2. 5,000~6,000万円で新築戸建が買えるエリア

続いて5,000万円台を見てみましょう。

23区では、城東・城北の一部、多摩エリアでは西東京市、調布市など23区に近いエリアがターゲットとなります。近県では、川崎市と横浜市、さいたま市の中心エリア、浦安市や市川市など、いわゆる近郊エリアが中心となりますので、通勤時間は約30~40分、買い物などの利便性も都内とほぼ変わらない暮らしがイメージできます。

3-4. 4,000~5,000万円で新築戸建が買えるエリア

続いて、4,000万円台のエリアを見てみましょう。この価格帯では23区での購入は難しくなり、対象が郊外に大きく広がっていくことがわかります。

郊外とは言っても交通の便がよく、都心へ60分以内でアクセスできるエリアも多くあります。また自然豊かで駅周辺の商業施設などが充実した、子育て世帯に人気の街が多くなってきます。

3-5. 3,000万円台以下で新築戸建が買えるエリア

最後に3000万円台以下で新築戸建が購入できるエリアです。

この価格帯は、都心から30~50キロ圏の街が増えますが、八王子、川口、川越、船橋、柏など、人口30万人を超える郊外の中心都市が含まれます。都心までの通勤時間は概ね60分前後、始発駅や座席指定列車が利用できる場合もあります。

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3-6. 郊外エリアで新築戸建を購入した場合の返済額

郊外の新築戸建は、都心のマンションと比べて価格が抑えられるため、月々の返済額にも大きな差が出ます。支払っている家賃とさほど変わらない返済額で購入できるのではないでしょうか。

また新築戸建は、建物の主要部分に10年間の保証がつきますし、当面の間リフォームや修繕などが必要ないのも大きなメリットと言えます。

4. 都心の中古マンションと郊外の新築戸建、ライフスタイルに合わせて選んでみよう

「都心の中古マンション vs 郊外の新築戸建」いかがでしたでしょうか。最後に、暮らしのイメージを比較してみましょう。

4-1. 都心の中古マンションと郊外の新築戸建の比較表

都心のマンションと郊外の戸建を比較する上での大きなポイントは、「通勤時間」、「広さ」、「価格(返済額)」です。

通勤時間を少しでも短くしたい、都市の利便性を最優先したいという方は、都心の中古マンションが向いていますが、居住スペースの狭さと価格の高さは少し我慢が必要です。

一方、通勤時間は多少かかっても、広い家でゆったり暮らしたい、自然が豊かな環境で子育てしたい、返済額を抑えながらゆとりを持った暮らしがしたいという方は、郊外の新築戸建に向いていると言えます。

都心の中古マンションはまだまだ高止まりが続きそうです。郊外エリアにも目を向けつつ、ご自身のライフスタイルに合わせて、物件選びを進めていきましょう。 各エリアの相場感や資金計画のご相談はお近くの住宅情報館までお気軽にご相談ください。

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