
昨年12月に2025年度の補正予算が可決されるとともに税制改正大綱も発表され、現時点で公表されている情報をもとに、2026年度の住宅政策の方向性が見えてきました。今回は2026年度の住宅購入にかかわる補助金と税制優遇制度について詳しく解説します。
目次
1. 2026年度の住宅政策の概要。大きな柱は「省エネ」と「中古住宅」
1-1. 新築住宅に求められる省エネ性能は年々上がっている
近年、住宅政策の中心にあるのが「住まいの省エネ・脱炭素」です。政府は「2050年カーボンニュートラルの実現」という目標に向け、住宅の省エネ化を急速に推進しています。
2025年4月から新築住宅に省エネ基準への適合が義務づけられ、2030年にはZEH水準に引き上げられる見込みです。
補助金政策は、この流れを先取りしながら進められており、支援の中心はZEHよりもさらに高性能な「GX志向型住宅」に移りつつあります。
1-2. 中古住宅への税制優遇が大幅に拡充
一方、税制優遇では2025年末が期限となっていた「住宅ローン控除」は、5年間延長される方針が示されました。近年の住宅価格の上昇で、中古住宅の取引が増えていることから、今回の改正では、対象となる借入限度額が引き上げられ、控除期間も10年から13年に延長されます。
また、これまで新築のみだった「子育て世帯・若者夫婦世帯」への優遇も新設され、新築と中古の格差はほぼ解消される見込みです。
注)住宅ローン控除等の税制改正は、令和8年度予算の成立をもって正式決定となります。
1-3. 三省合同の「住宅省エネキャンペーン」も継続
2025年度に実施されていた三省(国土交通省・環境省・経済産業省)合同の「住宅省エネキャンペーン」も継続されます。自宅の購入・リフォームでは以下の3つの補助事業が実施されます。
・みらいエコ住宅2026事業
・先進的窓リノベ2026事業
・給湯省エネ2026事業
このように、全体としての枠組みは2025年度とほとんど変わっていませんが、求められる省エネ性能が年々上がっていること、また中古住宅の優遇が拡充されているのが2026年の特徴です。
今回は「みらいエコ住宅2026事業」、「住宅ローン控除」、「先進的窓リノベ2026事業」などについて詳しく解説します。
2. 【みらいエコ住宅2026事業】GX志向型は太陽光とHEMSが原則必須に
まず2026年度の目玉となる「みらいエコ住宅2026事業」について解説します。本事業は新築住宅の建築・購入とリフォームが対象となります。
2-1. 新築住宅または再販住宅
①対象となる住宅
対象となるのは、住宅性能が「GX志向型住宅」、「長期優良住宅」、「ZEH水準住宅」の3つです。

GX志向型住宅は、2025年度から新たに追加されたグレードで、ZEHよりもさらに高い省エネ性能をもつ住宅です。また長期優良住宅は、省エネに加えて耐震性や維持管理に優れた住宅、ZEH水準住宅は太陽光発電などと組み合わせることで「ゼロ・エネルギー住宅」を実現できるレベルの省エネ性能をもつ住宅です。 GX志向型住宅は、基本的な省エネ性能が高いことに加え、再生可能エネルギー(=太陽光発電)を含めてエネルギー消費量を100%削減できる性能が求められており、太陽光パネルの設置が原則必須となります。また2026年度から「HEMS」(※)の設置が必須となり、より高いレベルでのエネルギーマネジメントが求められることになりました。
※HEMS(ヘムス):Home Energy Management Systemの略称で、家庭で使われるエネルギー(電気、ガスなど)を「見える化」し、家電や設備を「制御」して、快適性を保ちながら省エネルギーを支援するシステム。
②補助金額
補助金額は、住宅の性能によって対象となる世帯が異なります。また、寒冷地域や建替え(古家の除却がある)の場合は上乗せがあります。

このように、補助金の体系としては前年度の「子育てグリーン住宅支援事業」とほぼ同様ですが、補助金額はGX志向型住宅が160万円→110万円、長期優良住宅が80万円→75万円、ZEH水準住宅が40万円→35万円へとそれぞれ引き下げられています。 これは、ZEH水準住宅が標準的な仕様となりつつあることに加え、限られた予算の中で、より多くの世帯に支援を届ける狙いがあります。
2-2. リフォーム
みらいエコ住宅2026事業は、新築だけでなくリフォームでも利用することができます。
①対象となるリフォーム工事と世帯要件

上表①~③は、すべての工事が必須ではなく、①~③を組み合わせることによって、一定の省エネ性能を実現することが要件となっています。また④~⑧は任意ですが、必須工事をおこなう場合のみ対象となり、④~⑧を単独でおこなう場合は補助対象になりません。
②補助金額
補助金額は、対象となる住宅と改修内容によって上限額が変わります。

なお、リフォームの場合は工事の箇所や内容に応じて補助金額が決められており、それらを積み上げて最終的な補助金額を算出します。新築のように「一律◯◯円」と決められているわけではありませんので注意しましょう。
2-3. 申請時期と申請方法
みらいエコ住宅2026事業の対象期間はすでに始まっており、2025年11月28日以降、基礎工事に着工したものが対象となります。また申請は例年4月~5月頃に開始され、2027年7月31日までに引き渡しと完了報告の提出が必要となります。
また、申請はハウスメーカーやリフォーム会社など「登録事業者」が施主に代わっておこないます。登録事業者以外の申請はできませんので注意しましょう。補助金は登録事業者に直接振り込まれ工事費に充当されます。
3. 先進的窓リノベ2026事業・給湯省エネ2026事業
2025年度に実施されていた「先進的窓リノベ」、「給湯省エネ」の2事業は、2026年度も実施されます。
3-1. 【先進的窓リノベ2026事業】窓の断熱リフォーム工事費の1/2を補助
この事業は、既存住宅の省エネ性能を高めることを目的としており、新築は対象外です。 主にサッシや窓ガラスを断熱性の高いものに交換するリフォームに対して、標準的な工事費の1/2(上限100万円)の補助が受けられます。2025年度は上限200万円でしたが、2026年度は100万円に引き下げられています。

また、補助額は「工種」および交換するサッシやガラスの「グレード(断熱性能)」と「サイズ」によって細かく決められており、これを積み上げて算出することになります。
2026年度は、特大サイズの窓の追加、内窓Aグレードが補助対象から除外される等の変更がされています。

3-2. 【給湯省エネ2026事業】高効率給湯器に7~17万円の補助
この事業は、家庭のエネルギー消費量の約3割を占める給湯の省エネを目的としており、対象となるのは、「ヒートポンプ給湯機(エコキュート)」、「ハイブリッド給湯機」、「家庭用燃料電池(エネファーム)」の3つです。
下表の通り、補助金額は機器ごとに基本額が決められており、高性能な機種に対しては補助金が加算される仕組みとなっています。
また、2026年度から「インターネットに接続可能な機種で、昼間の再エネ電気を積極的に自家消費する機能を有する機種」であることが要件に追加されました。

また設置にともない既存機器の撤去が生じる場合には補助金額が加算されます。

先進的窓リノベ2026事業、給湯省エネ2026事業ともに、設置するサッシや機器によっては、みらいエコ住宅2026事業よりも多くの補助金が受けられる場合がありますので、制度に詳しい住宅会社などと相談しながら進めるようにしましょう。
3-3. 申請時期と申請方法
先進的窓リノベ事業、給湯省エネ事業の申請は、みらいエコ住宅2026事業と同じく、2025年11月28日以降に着工したものが対象となり、登録事業者が施主に代わって申請をおこないます。
4. 【住宅ローン控除】5年間延長される見込み。中古購入への支援が拡充
次に2026年度の税制優遇を見ていきましょう。「住宅ローン控除」は2030年まで5年間延長される見込みとなりました。
注)住宅ローン控除等の税制改正は、令和8年度予算の成立をもって正式決定となります。
4-1. 住宅ローン控除の概要
住宅ローン控除とは、毎年末の住宅ローン残高の0.7%が、最長13年間にわたり、所得税(住民税)から控除される制度です。例えば年末のローン残高が4,000万円であれば、最大28万円がその年の所得税から控除され、年末調整・確定申告時に還付されます(所得税から引ききれない分は一定額を翌年の住民税から控除)。トータルの節税額は数百万円にも及ぶ「持ち家最大のメリット」とも言える制度です。
4-2. 新築住宅はほぼ前年並み。子育て世帯等への優遇も継
新築住宅および再販住宅については、ほぼ前年並みの優遇が継続され、子育て世帯・若者夫婦世帯への優遇も継続される見込みです。
ただし、省エネ基準適合住宅については、ローン残高の限度額が縮小され、2028年以降は適用対象外となります。2025年4月に省エネ基準への適合が義務づけられたことと、政府がより高性能な住宅の普及を支援するという背景があります。

4-3. 中古住宅の優遇が大幅拡充。新築との格差はほぼ解消
一方、今回の改正で大きな変更があったのが中古住宅です。
認定住宅・ZEH水準住宅のローン残高の限度額が3,000万円から3,500万円に引き上げられ、子育て世帯・若者夫婦世帯への優遇も新設されました。
また控除期間が10年から13年に延長されたことで、最大控除額は409.5万円となり、GX志向型住宅・ZEH水準住宅・省エネ基準適合住宅で、新築住宅と同額の優遇が受けられるようになります。

なお、住宅ローン控除における「子育て世帯」とは、19歳未満の扶養親族を有する世帯、「若者夫婦世帯」とは、夫婦のいずれかが40歳未満の世帯をいいます。 また、土砂災害特別警戒区域など、いわゆる「災害レッドゾーン」に立地する新築住宅は適用対象外となりますので注意しましょう。
5. 【非課税贈与】両親や祖父母からの非課税贈与は2026年末が期限
税制優遇の2つ目は、両親や祖父母からの資金援助(贈与)が非課税になる「住宅取得資金贈与の特例」です。
この制度は2024年度に3年間延長されており、2026年12月末が期限となります。
2027年以降の継続は未定ですので、確実に非課税贈与を適用したい方は2026年中の贈与を目指しましょう。
5-1. 住宅取得資金贈与の特例とは
住宅取得資金贈与の特例とは、親や祖父母(直系尊属)から、住宅購入資金の贈与を受けた場合に、一定額まで贈与税が非課税となる特例です。通常、親などから贈与を受けると、基礎控除(年110万円)を超える部分について贈与税が課税されます。
例えば、成人の子どもが親から年1,000万円の贈与を受けた場合の贈与税は177万円と、贈与額の2割近くに及びます。しかし、この特例を使うことにより贈与税がゼロとなる、購入者にとって非常にメリットの大きな制度です。
5-2. 非課税限度額は最大1,000万円。ただし省エネ基準は「ZEH水準以上」
この特例により非課税で贈与できる限度額と条件は以下の通りです。

上記の通り、質の高い住宅については1,000万円(基礎控除と合わせて1,110万円)までの資金援助が非課税となります。なお、中古住宅の場合は、省エネ基準(断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4)に適合していればこの特例を受けることができます。
5-3. 住宅取得資金贈与の特例を使うときの注意点
住宅取得資金贈与の特例は、購入者に大きなメリットがある反面、下記のような細かい条件が定められています。
①直系尊属(親・祖父母)から贈与を受けること(叔父・叔母、配偶者の親などは対象外)
②贈与を受ける人の所得が年2,000万円以下であること
③居住開始前までに贈与を受けること
④贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住開始すること
⑤贈与を受けた年の翌年3月15日までに申告書等を提出すること
⑥取得する住宅の床面積が50㎡以上(所得1,000万円以下の場合は40㎡以上)
これ以外にも様々な要件がありますので、必ず不動産会社のスタッフや税理士など、専門家に相談しながら慎重に進めるようにしましょう。
6. 補助金と税制優遇を活用するポイント
最後に、このような補助金や税制優遇を活用する上で知っておきたいポイントを解説します。
6-1. 補助金の適用要件は年々厳しくなっていく
冒頭にも申し上げた通り、政府は「2050年 カーボンニュートラルの実現」という目標に向かい、住宅の省エネを強力に推し進めています。その結果、新築住宅ではZEHレベルが当たり前となりつつあり、補助対象となる住宅の性能はさらに引き上げられています。逆に言えば、省エネ性能が同じであれば、補助金額は年々引き下げられています。
この傾向は今後も続くと思われますので、補助金を利用する方は、1年でも早く検討を進めることをおすすめします。
6-2. 予算に達すると受付が終了。時間に余裕をもって進めよう
補助金事業は、年度の予算が決められていますので、申込みが想定を上回ると早期に受付が終了してしまいます。2025年度のGX志向型住宅は、5月に申請が開始されましたが、7月に予算上限に達し、わずか3ヶ月で受付が終了しました。補助金を活用する場合には申請のタイミングを考慮し、時間に余裕をもって進めましょう。
6-3. 補助金とコストのバランスを見極めよう
ここまで見てきたように、省エネ性能の高い住宅ほど補助金や税制優遇を受けやすくなりますが、その分建築コストも上昇します。月々の光熱費やメンテナンス費用などを考慮しながらコストと性能のバランスを見極めていきましょう。
補助金を活用したマイホーム購入やリフォームを検討している方は、お近くの住宅情報館店舗までお気軽にご相談ください。













