
家づくりを考え始めたとき、「理想の家を建てたい!」と夢が膨らむ一方で、一番気になるのが「結局、いくらかかるの?」というお金のこと。広告やカタログでよく見かける「坪単価」を目安にしようと思いつつ、ハウスメーカーによって金額がバラバラで、どう判断すればよいか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、坪単価の計算方法やハウスメーカーのタイプ別の相場に加え、注意したい点をわかりやすく解説します。家族みんなが納得できる家づくりを進められるように、予算の考え方を知っておきましょう。
目次
そもそも「坪単価」とは?
家づくりを検討し始めると、多くの場面で「坪単価」という言葉に出会うでしょう。
坪単価とは、簡単に言うと「家を建てる際の1坪あたりの建築費」のことです。
ここで気をつけたいのが、注文住宅の場合、一般的に坪単価には「土地の代金」は含まれないということ。坪単価はあくまで建物そのものにかかる費用の目安です。
実際に家を建てるには、この建物価格にプラスして土地の代金も必要になります。「総予算の中で、土地と建物にそれぞれいくら掛けられるかな?」と、全体を見渡しながら資金計画を立てるのが、失敗しないための大切なポイントです。
1坪」はどのくらいの広さ?
1坪とは、畳2枚分のスペースのことで、面積に直すと約3.3平方メートルです。大人が2人並んで横になれるくらいのスペースと考えると、実際のサイズ感を想像しやすいかもしれません。
家づくりにおいては、この「畳2枚分の空間をつくるのに、いくらのコストがかかるか」を算出したものが坪単価です。
たとえば「30坪の建物」なら、畳60枚分くらいのボリューム感。そう考えると、坪単価という少しかたい言葉も、ぐっと身近に感じられるのではないでしょうか。
坪単価はどう計算する?基本的な計算式
坪単価は、建物の価格を坪数で割ることで算出できます。計算式はとてもシンプルです。
- 坪単価 = 建物価格 ÷ 延べ床面積(坪数)
たとえば、本体価格が2,400万円で延べ床面積が40坪の家であれば、2,400万円を40坪で割った60万円が坪単価です。
シンプルな計算式ですが、実は注意が必要なポイントがあります。この計算の前提条件は、ハウスメーカーによって異なる場合があるため、数字だけを見て判断するのは禁物です。
同じような建物でも、計算のルール次第で見かけの価格が変わってしまうことも。詳しい注意点は、この後の「坪単価の計算ルールで、同じ建物でも価格が変わる」の章で詳しくお伝えします。
注文住宅の坪単価の目安・相場はいくら?メーカータイプ別に解説
依頼するハウスメーカーのタイプによって、坪単価の相場は異なります。自分たちが理想とする暮らしにはどのタイプが合っているのか、まずは3つのタイプごとの特徴と相場をチェックしてみましょう。
※本記事の内容は掲載時点での一般的な情報です。近年の建築資材高騰により、数カ月程度で価格帯が変わることもあるため、実際の金額はお問い合わせください。
【ローコスト住宅メーカー】40万〜60万円台
ローコスト住宅メーカーの坪単価は、40万〜60万円台が目安です。なかには本体価格ベースで30万円台を掲げる商品も見られます。
規格化されたプランをもとに建てる規格住宅が中心で、設備や間取りの選択肢を絞ることでコストを抑えているのが特徴です。資材の高騰が続くなかでも、予算を比較的抑えて家づくりができるのが魅力。賢くコストを調整しながら、無理のない範囲で理想のマイホームを目指すスタイルです。
建築費をできるだけ抑えたい方や、設備に強いこだわりはない方に向いている選択肢といえるでしょう。
【中堅ハウスメーカー・工務店】60万〜80万円台
デザインや間取りの自由度を高めたい方には、坪単価60万〜80万円台が目安の中堅ハウスメーカーや工務店が選択肢に入ります。ローコストメーカーよりも細かなこだわりを反映させやすく、断熱性や耐震性といった住宅性能もバランスよく備えている会社が多く見られます。
自分たちらしさをある程度詰め込みつつ、予算もしっかり抑えたいという層に人気がある価格帯です。また、地域密着型の工務店もこの相場で提供していることが多く、丁寧な施工やアフターケアを期待できる点も嬉しいポイントです。
【大手ハウスメーカー】80万〜100万円以上
最新の技術やブランド力を重視する場合、誰もが知る大手ハウスメーカーも検討の対象となるでしょう。坪単価は80万〜100万円以上、ハイグレードな商品では120万円を超えるケースも。
完全自由設計で理想を形にできる分、価格帯は高めですが、独自の工法や高級感のあるデザインを選べるのは大手ならではの強みといえます。高い耐震性や省エネ性能のほか、充実した長期保証も魅力です。
アフターサービスの体制も整っているため、建てたあとの安心感を優先したい方に適しています。将来にわたる資産価値を守るための投資として、品質にこだわり抜いた住まいを検討してみるのも素敵ですね。
坪単価の計算ルールで、同じ家でも価格が変わる
実は、坪単価の計算方法には共通の厳格なルールがあるわけではありません。そのため、同じ建物であっても、計算に使う面積や費用の含め方によって、数字が大きく変わってしまうことがあるのです。納得できる選択をするために、2つのチェックポイントを見ていきましょう。
「延べ床面積」と「施工面積」、どっちで割る?
計算式の分母となる面積には「延べ床面積」と「施工面積」の2種類があり、どちらを使うかで坪単価の数字は大きく変わります。
延べ床面積は、建築基準法に基づき玄関ポーチやベランダ、吹き抜けなどを除いた面積のため、分母が小さくなり坪単価は高めに出る傾向があります。
対して施工面積は実際に工事をおこなう面積を全て含み、分母が大きくなるため、坪単価は安く見えるのが特徴。坪単価の低さをアピールしている会社では、施工面積で算出しているケースが見られます。
どちらの面積が使われているかカタログなどで確認したうえで、同じ条件で判断するように心がけましょう。
「本体工事費」に含まれる費用はどこまで?
計算式の分子となる建物価格に、どこまでの費用が含まれているかも会社によって異なります。たとえば、A社は建物本体の工事費のみで、照明やエアコンは別途費用となるタイプ。一方のB社は、屋外給排水工事なども含んだフル装備の価格を提示するタイプです。
どちらが良いとは一概にいえず、A社のようなパターンは自分たちに必要なものだけを自由に選べるため、費用を最小限に抑えやすい側面があります。不要な設備が標準仕様に含まれていると、結果的に総額が高くなってしまうこともあるでしょう。
提示された価格の中身を把握し、自分たちのライフスタイルに合ったプランを選ぶことが大切です。
家の条件で変わる!坪単価を左右する3つのポイント
坪単価は住宅会社だけでなく、建てる家の条件によっても大きく左右されます。「自分たちの希望を叶えると、予算はどう動くのかな?」という目安として、次の3つのポイントをチェックしておきましょう。
【家の大きさ】コンパクトな家ほど割高になりやすい
意外かもしれませんが、家の面積が小さいほど坪単価は高くなりやすい傾向があります。その理由は、キッチンやバス、トイレといった高額な水回り設備は、家の大きさに関わらず必要になるためです。
面積が小さくても、こうした「固定費の部分」は変わらないため、面積で割ったときの1坪あたりの単価はどうしても上がってしまいます。
また、職人さんの労力や材料の運搬費なども、面積に比例して半分になるわけではありません。コンパクトな住まいを検討する際は、坪単価が安くなるはずという思い込みをせず、総額とのバランスで判断することが後悔しないためのポイントといえるでしょう。
【家の形状】凹凸の多い形や平屋は高くなりやすい
効率的に坪単価を抑えるなら、1階と2階の面積が同じ「総二階」の四角い家が向いています。壁や屋根の面積を最小限に抑えられるため、材料費や工事の労力を省くことが可能。逆に、凹凸の多い複雑な形状やL字型の家は、外壁面積が増えるため単価が上がります。
また、平屋も坪単価が割高になりやすい住まいのひとつ。2階建てに比べて、地面に接する基礎部分や屋根の面積が大きく必要になるからです。平屋ならではの暮らしやすさはとても魅力的ですが、こうした構造上の理由から坪単価が高くなる傾向にあることも知っておくと安心です。
【設備・仕様】グレードによって変動する
標準仕様から設備や建材をアップグレードすれば、その分だけ坪単価は上がります。特に女性がこだわりたいポイントであるキッチンや洗面台などの水回り設備は、選ぶ製品によって価格差が出ることも珍しくありません。
たとえば、システムキッチンを憧れのアイランド型に変更したり、床材に温もりのある無垢材を選んだりすると、坪単価にも反映されます。
とはいえ、せっかくの注文住宅ですから、まずは「こんな暮らしがしたい!」という希望をたっぷり盛り込んでみてください。そこから優先順位をつけて調整していくのが、自分たちらしい住まいづくりの楽しいプロセスになるでしょう。
「坪単価×坪数」だけではない!家づくりに必要な費用
坪単価に含まれる「建物本体の価格」は、家づくりにかかる費用の全てではありません。実際にその家で暮らし始めるためには、土地を整える工事や、税金などの事務的な費用が必要です。ここでは、坪単価以外にかかる「プラスαの資金」について解説します。
【付帯工事費】「家の外側」を整える、大切なステップ
実際に生活できる状態にするために、建物本体以外に必要となる工事が付帯工事です。たとえば、以下のような工事が必要となります。
| 付帯工事の例 | 各工事の概要 |
|---|---|
| 屋外給排水工事 | 道路から敷地内へ水道管やガス管を引き込む工事 |
| 外構工事 | 庭、駐車場、フェンス、門扉など |
| 空調・照明工事 | エアコン、照明器具、カーテンレールなど |
理想の暮らしを実現するためには、素敵な庭や駐車場、フェンスといった外構も整えたいもの。でも、予算を削りすぎてしまうと、憧れの庭作りが後回しになってしまうことも。
快適な住まいをつくるためにも、あらかじめ付帯工事費を予算に組み込んでおきましょう。土地の状況によっても金額は変わるため、早めに相談しておくと安心ですよ。
【諸費用】新生活をスタートさせるための「準備資金」
家を建てる際には、工事費以外にもさまざまな事務的手続きや新生活への準備資金が必要になります。主な諸費用として、以下の項目を把握しておきましょう。
- 住宅ローン関連手数料
- 登記費用
- 火災保険料
- 引っ越し代
- 家具、家電の購入費
税金や手数料といった事務的なお話だけでなく、建てたあとの生活をより快適にするための費用も忘れてはいけません。新しいリビングに合わせたソファーや、窓にぴったりのカーテン、お気に入りの照明をそろえる費用もここに含まれます。
新しい家で家族とどのように過ごすかを思い浮かべながら、プランと資金計画を立ててみてくださいね。
失敗しないための「坪単価」比較・見極め術
ハウスメーカーから提示された坪単価をそのまま比較するだけでは、本当のコストパフォーマンスは見えてきません。自分たちにとって最適な住まいを納得できる価格で選ぶために、押さえておきたいポイントを2つ紹介します。
提示された坪単価の「中身」を横並びにする
各社の坪単価を比較する際は、同じ希望条件を反映させて、中身を横並びにすることが大切です。たとえば、「30坪」「諸費用込みの総額」などの条件を合わせて見積もりを依頼します。照明やエアコンの有無、水回りの設備のグレードなども同等の条件に揃えましょう。
ここで意識したいのは、必ずしも「標準価格に全てがコミコミ」がよいわけではないということ。必要のない仕様が含まれていると、結果として単価が上がってしまうケースもあるからです。
自分たちにとって必要なものだけを選び、同じ条件で比べることで、本当のコストパフォーマンスを判断しやすくなりますよ。
坪単価ではなく「払える総額」から逆算する
予算を組む際は、「自分たちが月々いくらなら無理なく払えるか」という総額から導き出すのが現実的です。払える金額から借入可能な金額を逆算し、そこから諸費用を差し引くと、建物にかけられる予算が見えてきます。その予算を希望の坪数で割った数字が、自分たちにとっての適正な坪単価の目安になります。
せっかくの注文住宅なので妥協はしたくないものの、無理のない予算の範囲内で理想を形にすることが大切です。まずはプロに相談しながら、予算と理想のバランスを整えていきましょう。
坪単価はあくまで目安!予算と理想の暮らしのバランスを大切に
坪単価は、家づくりの予算を考えるうえで便利な目安ですが、あくまでひとつの指標にすぎません。計算に含まれる面積や費用の範囲はハウスメーカーによって異なるため、中身をしっかり見極めることが大切です。
まずは自分たちにとっての優先順位を決め、理想の暮らしに必要な予算を算出してみましょう。予算内でこだわりを形にするためには、プロの視点によるアドバイスも心強い味方になります。
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