【2022年版】注文住宅の供給数が多い街ランキングと購入者の平均像とは?

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【2022年版】注文住宅の供給数が多い街ランキング&購入者の平均像とは?

マンションの値上がりとコロナ禍により人気が高まっている一戸建。前回の分譲一戸建供給数ランキングに続き、注文住宅の供給数の多い街を調査してみました。分譲住宅と比べ、ちょっとハードルが高いイメージの注文住宅ですが、どんなエリアに多いのか?またどんな方が買っているのかを解説します。

目次

1、分譲住宅にはない注文住宅の魅力とは

憧れはあるけれど、分譲住宅(建売住宅)と比べるとちょっと敷居が高いイメージのある注文住宅。まずはその魅力やメリットを確認しておきましょう。

1-1. 間取りやデザインの自由度が高い

注文住宅の最大の魅力は、間取りやデザインの自由度が高いことです。

分譲住宅のように、あらかじめ決まったプランではなく、施主の好みやこだわりを反映した住まいが建てられますので、似通ったデザインや建物仕様が多い分譲住宅に比べて満足度の高いものに仕上がります。

また、キッチンや浴室などの設備、床や壁などの内装も、それぞれ個別にグレードを決められるので、こだわりや予算に合わせたメリハリの効いた設計が可能です。

1-2. エリアの選択肢が広い

もうひとつの魅力は、エリアの選択肢が広いということです。一般的に分譲住宅はある程度まとまった広さのある土地で分譲されることが多く、供給される地域も限られています。それに対して注文住宅は、土地があればどこでも建築できますので、選べるエリアが格段に広がります。例えば「○○小学校の学区内」とか「妻の実家の近く」など、限られた範囲でマイホーム購入を検討されている方にはよい選択肢と言えるでしょう。

1-3. 建築中の現場を確認できる

そして最後に、建築中の現場を見られるのも大きなメリットです。工事の進捗をしっかり確認できる安心感もさることながら、現場監督や大工さんとコミュニケーションしながら「一緒に作っていく楽しみ」を味わえるのは、注文住宅の大きな魅力です。家が完成したときの達成感や喜びは忘れられないものになるでしょう。

今回は、注文住宅の購入をより具体的にイメージいただけるよう、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)で注文住宅の供給が多いエリアと、土地を購入して注文住宅を建てた方の平均像について見ていきたいと思います。

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2、注文住宅の供給数の多い街ランキングTOP20

それでは早速、首都圏の注文住宅の供給が多い街のランキングを見ていきましょう。

2-1. 注文住宅供給数の多いエリア。首都圏トップは世田谷区

■注文住宅の供給数が多いエリアランキングTOP20(首都圏)

1位 世田谷区 1,520戸 11位 市川市 758戸
2位 船橋市 1,224戸 12位 八王子市 711戸
3位 藤沢市 959戸 13位 町田市 709戸
4位 柏市 924戸 14位 茅ヶ崎市 699戸
5位 杉並区 914戸 15位 松戸市 684戸
6位 川越市 890戸 16位 足立区 605戸
7位 練馬区 842戸 17位 上尾市 604戸
8位 所沢市 790戸 18位 印西市 604戸
9位 川口市 775戸 19位 熊谷市 594戸
10位 大田区 775戸 20位 流山市 594戸

出典:2021年建築着工統計より、持ち家・一戸建・専用住宅の戸数を集計

首都圏トップは世田谷区の1,520戸、2位は船橋市の1,224戸でした。首都圏で1,000戸を超えているのはこの2エリアだけで、他を大きく引き離しています。

3位以下には、都心から20~30km圏内の近郊~郊外の街が多くランクインしており、分譲一戸建の供給が多いエリアとも重なります。

上記のマップは首都圏トップ30をプロットしたものですが、世田谷区、杉並区、大田区、川口市、市川市などの東京隣接エリアから、町田市、船橋市、柏市などの近郊エリア、さらに外側の小田原市、横須賀市、川越市、印西市など郊外エリアへと同心円状に、供給数が多いことがわかります。

2-2. エリアと広さ(建物面積)の関係

次にトップ20エリアの建物面積について見てみましょう。

都心に近い世田谷区、杉並区、大田区などでは、100㎡以下の狭小物件と120㎡を超える広い物件の割合が高く、平均的な101~120㎡の割合が低くなっています。

逆に、船橋市、市川市、町田市、藤沢市など近郊エリアでは、平均的な101~120㎡が増え、120㎡超が減少します。さらに、八王子市、柏市、流山市、印西市などの郊外エリアでは120㎡が増えてきます。

トップ20エリアの建物面積(割合)

大まかな傾向として、都心に近いエリアでは、立地重視の一次取得者に向けた狭小タイプの住宅と、富裕層向けの高級志向の住宅に分かれており、郊外に向かうにつれて、平均的な広さをもつ一次取得者向けのウェイトが高まっていきます。

これは、都心部と郊外の地価の差によるもので、地価の高い都心部では狭い土地でも建てられるコンパクトな住宅、地価の安い郊外では広い土地を活かした広めの住宅に対するニーズが高くなるためです。

2-3. 地価と広さ(建物面積)の関係

下の表は、2022年の公示地価をもとに、各エリアの100㎡(約30坪)あたりの土地価格と、建物面積の割合を比較したものです(エリアの並びは地価の高い順)。

一部例外はあるものの、地価が高いエリアほど狭い物件が多く、地価が安くなるほど広くなる傾向が見られます。

各エリアの100㎡(約30坪)あたりの土地価格と建物面積の割合

※ 地価はエリアごとの2022年公示地価(平均)をもとに算出

3、注文住宅の供給が多い街ランキング。都道府県別トップ10

さらに都道府県別のランキングも見ていきましょう。

3-1. 東京都の注文住宅の供給が多い街TOP10

1位世田谷区1,520戸
2位杉並区914戸
3位練馬区842戸
4位大田区775戸
5位八王子市711戸
6位町田市709戸
7位足立区605戸
8位江戸川区416戸
9位目黒区411戸
10位葛飾区407戸

東京都の傾向としては、世田谷区、杉並区、目黒区などいわゆる高級住宅街と呼ばれるエリアでは81~100㎡の一次取得者向けと140㎡超の高級住宅に二分されており、中間の101~140㎡はあまり多くありません。逆に足立区、練馬区、葛飾区および市部では、81~120㎡の供給が多く、一次取得者向けの平均的な物件が多いことがうかがえます。

建物面積(東京都)

3-2. 神奈川県の注文住宅の供給が多い街TOP10

1位藤沢市959戸
2位茅ヶ崎市699戸
3位横須賀市590戸
4位横浜市港北区546戸
5位小田原市542戸
6位平塚市523戸
7位鎌倉市517戸
8位横浜市青葉区489戸
9位相模原市中央区476戸
10位秦野市459戸

神奈川県は、東京都と対照的にほとんどのエリアで81~120㎡に供給が偏っています。例外は鎌倉市と横浜市青葉区で、120㎡超の割合が多くなります。両エリアとも、景観や街並みを守る観点から、敷地や建物の面積を一定以上に保つ協定等が定められているケースが多いのが要因と思われます。

建物面積(神奈川県)

3-3. 埼玉県の注文住宅の供給が多い街TOP10

1位川越市890戸
2位所沢市790戸
3位川口市775戸
4位上尾市604戸
5位熊谷市594戸
6位越谷市570戸
7位春日部市465戸
8位狭山市443戸
9位さいたま市見沼区433戸
10位久喜市433戸

埼玉県も神奈川県と同様に、ほとんどのエリアで81~120㎡に供給が集中しています。例外は所沢市で、81~100㎡の狭めの物件が多くなります。逆に地価の安い熊谷市と久喜市は120㎡超の割合が高くなっています。

建物面積(埼玉県)

3-4. 千葉県の注文住宅の供給が多い街TOP10

1位船橋市1,224戸
2位柏市924戸
3位市川市758戸
4位松戸市684戸
5位印西市604戸
6位流山市594戸
7位市原市585戸
8位木更津市485戸
9位八千代市481戸
10位千葉市中央区445戸

千葉県はトップ10すべてのエリアで、101~120㎡がもっとも多く供給されていますが、船橋市、柏市、市川市、松戸市などの近郊エリアでは、81~100㎡の物件が増え、流山市、印西市、市原市、木更津市などの郊外エリアでは120㎡超が増える傾向があります。やはり都心に近い(=地価が高い)ほど、面積が小さくなる傾向があるようです。

建物面積(千葉県)
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4. 首都圏で注文住宅を建てている人の平均像

注文住宅の供給数が多いエリアの傾向がわかったところで、どのような方が注文住宅を購入しているのか、年齢や年収、そして気になる費用などを見ていきましょう。

※データ出典:2021年度フラット35利用者調査(融資種別「土地付注文住宅」)

4-1. 購入者プロフィール

①購入時の年齢・世帯年収(中央値)

まず年齢は、各エリアとも30代半ば~後半が中心となっているようです。また世帯年収は、中央値で見ると概ね500~700万円台となっていますが、実数で見ると400~500万円の人数がもっとも多くなっており、必ずしも年収の高い人だけが注文住宅を購入しているわけではないことが分かります。

 年齢世帯年収
東京都38歳710万円
神奈川県37歳636万円
埼玉県35歳583万円
千葉県36歳566万円
首都圏で注文住宅を建てている人の購入時世帯年収

②家族人数

購入時の家族人数は、2人~4人がほぼ同率で、合わせると全体の8割以上を占めます。「夫婦2人」~「夫婦+子ども1~2人」がメインの購入層と見られます。

首都圏で注文住宅を建てている人の購入時家族人数

③従前の住まい

購入前に住んでいた住まいは、民間の賃貸住宅がもっとも多く、アパート・マンション合わせて全体の約67%。公団の賃貸・社宅などを含めると、全体の約72%が借家からの住み替えです。やはり土地を買って注文住宅を建てる方のほとんどが、初めて家を買う一次取得者層であると考えられます。

首都圏で注文住宅を建てている人の従前住まい

④購入理由

注文住宅の購入理由は「住宅が狭い」がダントツの1位で58.9%を占めます。

上記のデータと合わせると、賃貸のアパートやマンションにお住まいだった方が、子どもの誕生や成長により部屋が手狭になり、広い一戸建の購入を決めたという背景が見えてきます。

首都圏で注文住宅を建てている人の購入理由

4-2. 購入した住宅のプロフィール

次に購入した住宅の概要を見ていきましょう。

やはり地価の高い東京、神奈川では土地面積が狭く、地価の安い埼玉、千葉では土地が広くなっています。一方、建物面積はさほど変わらず100~110㎡前後、間取りで言えば3LDK~4LDKの広さとなっています。広い敷地でゆったりと建てたい方は、郊外エリアを選んでいる可能性が高そうです。

 土地面積建物面積
東京都116.0㎡100.2㎡
神奈川県148.5㎡105.4㎡
埼玉県205.0㎡112.3㎡
千葉県217.3㎡111.7㎡

4-3. 資金関連のプロフィール

最後に、気になるお金についてのデータを見ていきましょう。

①所要資金と土地取得費(中央値)

所要資金とは、土地と建物にかかった資金の合計で、言い換えれば「諸費用以外の総予算」です。

やはりここでも地価の高い東京、神奈川は高くなっていますが、土地取得費の占める割合が大きくなり、所要資金の低い埼玉、千葉では、土地取得費の割合が下がり、建物にかける資金が増える傾向が見られます。

所要資金うち土地取得費土地取得費の割合
東京都5,712万円3,180万円55.7%
神奈川県4,910万円2,200万円44.8%
埼玉県4,458万円1,500万円33.6%
千葉県4,248万円1,218万円28.7%

②所要資金の年収倍率(中央値)

上記の所要資金が世帯年収の何倍にあたるかを表したのが「年収倍率」です。

年収倍率は住宅購入の予算を決める目安となり、かつては「年収の5倍」と言われた時期もありましたが、現在では長引く低金利を背景に7~8倍まで伸びています。

都道府県年収倍率
東京都8.2倍
神奈川県7.8倍
埼玉県7.8倍
千葉県7.5倍

5、一戸建の購入では分譲住宅だけでなく、注文住宅をひとつの選択肢に

注文住宅供給数ランキングと購入者像いかがでしたでしょうか?

注文住宅というと、とかく「高い」というイメージが先行しがちですが、エリア(=土地の価格)に左右される面が大きく、実際に購入しているのもごく一般的な方が多いことがお分かりいただけるかと思います。最近の注文住宅は、フルオーダーではなく、セミオーダー(規格)型が普及しており、分譲住宅とさほど変わらない価格で建てることも可能です。

特に、希望エリアでなかなかいい物件が見つからない方、ありきたりの間取りデザインに物足りなさを感じる方、平屋や二世帯住宅などを求める方などには有効な選択肢となるでしょう。

これから一戸建の購入をお考えの方は、分譲住宅だけでなく、注文住宅も選択肢のひとつとして検討を進めてみることをおすすめします。

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