家を買う前に知っておきたい「住まいの耐震性」

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地震大国の日本において、住宅購入時の地震対策は非常に重要なポイントのひとつです。今回は、建物の耐震性と地盤、また施工会社の選び方について学んでいきましょう。

目次

1.忘れてはいけない、日本は地震大国であるということ

2011年に東北地方で発生した「東日本大震災」をはじめ、阪神淡路大震災(1995年)、宮城県沖地震(2005年)、岩手宮城内陸地震(2008年)、そしてまだ記憶に新しい熊本地震(2016年)など、日本の各地域でマグニチュード7クラスの地震が頻発しています。

いつ来るかわからない地震であるからこそ、住宅購入にあたっては、地震に対する備えを十分に考慮するべきです。今回は、住まいの地震対策について学んでいきましょう。

 

2.住まいの耐震性は「建物の耐震性」と「地盤」の2つを考慮しよう

新築か中古か、またマンションか一戸建てかを問わず、住まいの地震対策を考える上で、まず考えるべきは建物そのものの耐震性です。そしてもうひとつは、建物を支える「地盤」です。この2つの観点を考慮しながら、最適な住宅購入を検討しましょう。

2-1.建物の耐震性

建物の耐震性とは、文字通り、その建物がどのくらいの地震に耐えられるかという性能のことです。倒壊しないことはもちろん、大規模な修繕をしなくても平常どおりの生活に戻れるかどうかがポイントになります。

2-2.地盤

建物そのものが損傷を免れても、地盤の状態によっては、土砂災害や地盤沈下が発生し、住み続けることが困難になってしまうケースがあります。しかし、軟弱地盤等であっても地盤補強工事をすることで、耐震性を高めることができます。

 

3.「築年数」や「デザイン」でもわかる建物の耐震性

建物の耐震性は、本来、建築士などの資格者が判断するべきものです。しかし、建物の建てられた時期や構造によってある程度の目安を知ることができます。中古住宅であれば、物件情報や内見時に、新築であれば設計時に以下のようなポイントを確認・検討しましょう。

3-1.建築年月

建物の耐震性については「建築基準法」で定められており、その耐震基準はこれまで何度か改正されています。大きなものは1981年(昭和56年)6月の法改正で耐震基準が大幅に改善されたことから、改正前の基準を「旧耐震」基準、改正後の基準を「新耐震」基準と呼んでいます。

また、木造住宅については、阪神淡路大震災を機に2000年(平成12年)6月に大きな改正がありましたので、中古の一戸建てを検討する方は、この改正の前か後かを確認したほうがよいでしょう。

この2つの大きな改正の他にも、大地震による被害状況などをもとに改正が繰り返されていますので、基本的には新しい建物の方がより耐震性が高いといえます。

3-2.建物の構造

建物は、一般的に「軽く重心が低い建物」の方が耐震性が高くなります。特に耐震性が問題になる一戸建ての場合には、屋根材が「日本瓦」よりも「スレート」や「ガルバリウム鋼板」などの方が、また外壁は「モルタル」よりも「サイディング」の方が軽く、重心の低い建物になります。

3-3.間取り・デザイン

建物の間取りやデザインを見る上でポイントとなるのが建物の形状と壁です。建物の形状がきれいな四角形で、1階と2階が同じ形(いわゆる総二階)のデザインの方が、複雑な形の建物よりも耐震性が高い傾向があります。

建物の隅に耐力壁(※)がない建物(コーナーサッシ等)や、窓などの開口部が多く、壁の量が少ない建物、大きな吹き抜けがある建物、上下階の柱や壁が通っていない建物は耐震性が低い傾向があります。

※ 耐力壁:地震や風などの水平荷重(横からの力)に抵抗する能力をもつ壁のこと

3-4.免震・制震構造

免震とは建物と基礎との間に免震装置を設置し、地盤と切り離すことで建物に地震の揺れを直接伝えないようにする工法であり、制震とはオモリやダンパーなどを設置することにより地震の揺れを吸収する工法をいいます。どちらも地震対策としては非常に有効ですが、中古住宅ではあまり見られません。新築住宅を検討する際には有力な選択肢になるでしょう。

3-5.耐震等級

平成11年(1999年)に「住宅性能表示制度」で耐震等級が定められ、建物の耐震性を「等級」で表示できるようになりました。耐震等級は1から3まであり、住宅性能評価証明書で確認することができます。

耐震等級 地震に対する強さ
 

1

建築基準法をクリアする水準

数百年に1度程度発生する地震(震度6~7程度)に対して崩壊・倒壊しない

数十年に1度程度発生する地震(震度5程度)に対して損傷を生じない

2 耐震等級1の地震力の1.25倍の地震に対抗できる
3 耐震等級1の地震力の1.5倍の地震に対抗できる

3-6.建物の劣化

どのような建物でも年月の経過とともに劣化していきます。もし建物の主要構造部(基礎、柱、壁、屋根等)に著しい劣化が見られる場合は、適法に建てられたものでも耐震性が落ちていることがあります。基礎や壁のクラック(ひび割れ)、建物の傾きなどは内見時にチェックしましょう。建物内部の腐食や金物の劣化などを含めた詳しい調査をするには、専門家による耐震診断が必要になります。

 

4. 地名に注意!危ない地盤の見分け方

建物を支える地盤についても、本来は、地盤調査をおこない、その強さを計測しなければ正確な判断はできません。しかし、その土地の歴史を知ることで、ある程度の予測をすることができます。

4-1.地名

水に関する漢字が使われている地名は、昔、海や川、沼などがあった可能性があるので、軟弱地盤であることが多く、地震のときに液状化や地盤沈下などが発生する可能性があります。

例)「川」「河」「海」「沼」「沢」「水」「浜」「瀬」「池」「浦」など

4-2.大規模な造成工事(切土・盛土)の有無

山の斜面や丘陵地に造成した住宅地では、「盛土」「切土」が行われている可能性が高く、地震のときに地滑りや地割れなどが発生する可能性があります。

4-3.昔の用途

一般的に、もともと田んぼや畑、井戸やお堀などだったところは、軟弱地盤であることが多いです。

 

5. 耐震性にこだわり過ぎるとデメリットになることも

もともと日本は地震が多い国なので、諸外国に比べかなり厳しい耐震基準が課されており、現行の建築基準法でも、震度6~7程度の地震で倒壊しないことが規定されています。どこまでの耐震性を求めるかは、購入者や施主の判断になりますが、やみくもに耐震性を上げようとすると、以下のようなデメリットが発生することもありますので、バランス感をもった判断が必要です。詳しくは、建築士などの資格をもつプロに相談してみるとよいでしょう。

5-1.エリアが限定されてしまう

地盤や水害のリスクを意識しすぎると、湾岸地域や河川の近くを避けることになり、選べるエリアが限られてしまう可能性があります。

5-2.デザイン・間取りの自由度が落ちる

耐震性を上げるためには、一定量の壁をつくる必要があるため、広い開口部や大きな吹き抜けは諦めざるを得ないかもしれません。

5-3.建築費がアップ

耐震性を高めるための材料費や施工費で建築費がアップします。ただし、耐震性の高い住宅には税制優遇や補助金が適用されることがあるので、それでコストを吸収できればよい選択とも言えるでしょう。

 

6. ネットで耐震性や地盤を調べられる便利なサービス

直接土地や物件を見なくても、インターネットを使ってマンションの耐震性や地域の災害リスクを調べることができます。

6-1.中古マンションらくらくフラット35

住宅金融支援機構のフラット35のサイトにある「らくらくフラット35」では、すでに耐震評価基準をクリアしていることが確認されている「適合証明手続きが省略できる中古マンション」を検索することができます。

■らくらくフラット35  http://www.flat35.com/f35ums/

6-2.地盤データ、ハザードマップ

朝日新聞社が提供する「揺れやすい地盤」というサイトでは、住所や地域名からその土地の「地震の際の揺れやすさ」を調べることができます。同様に「危うい斜面」「足元の活断層」など災害リスクに対する情報も提供しています。

また、国土交通省が提供する「国土交通省ハザードマップポータルサイト」では、洪水、土砂災害、津波などの災害リスクを調べることができます。

■揺れやすい地盤  http://www.asahi.com/special/saigai_jiban/

■国土交通省ハザードマップポータルサイト  http://disaportal.gsi.go.jp/

6-3.過去の地図や航空写真

国土地理院の「地図・空中写真閲覧サービス」というサイトでは、昔の地図や空中写真で、年代ごとの地形や用途を確認することができます。またGoogle マップで過去の地図や写真を閲覧できるサービスもありますので、利用してみるとよいでしょう。

■国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」   http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do

 

7.耐震性の高い家づくりは、どんな会社に頼めばいいの?

建物を建築する際には、「建築確認」という手続きを経て、建築基準法をクリアすることが前提になっていますから、設計通りに施工されている限り、どの会社でも耐震等級「1」のレベルはクリアしています。

しかし昨今では、より高いレベルの耐震性を求める人が増えていることから、住宅メーカーは

耐震技術について日々研究を重ねています。

建築を依頼する会社選びにあたっては、よりリーズナブルに耐震性の高い建物を提供できるよう、新しい技術を取り入れ、設計を見直し、耐震テストなどを繰り返し、常に建物の品質を高めている住宅メーカーに依頼することが安全・安心な家づくりにつながります。また、地盤調査や補強工事などについての知識と経験も、会社選びの重要なポイントになるでしょう。

会社選びの際には、各社の取り組みについて、ぜひしっかりと確認してみてください。

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住宅情報館は独自の耐震技術で、壁の強度を表す「壁倍率」は、建築基準法の上限値である「5倍」を実現。自由なデザインと耐震性を両立しています。2017年10月に販売開始された「QUAD(クワッド)」シリーズは、1~2階のコーナーに大開口部を設けた斬新設計で、屋上空間なども装備したスタイリッシュなデザインでありながら、震度7クラスの地震にも十分耐えられる耐震性を備えています。

2017年7月に実施された住宅情報館の注文住宅「QUAD(クワッド)」シリーズの実大三次元耐震実験では、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震という過去の大地震と同じ地震波を3回連続で再現した実験をおこない、余震にも十分安全を確保できるレベルとの評価を得ることができました。

住宅情報館「高耐久構造の家」 https://house.jutakujohokan.co.jp/technologies/endurance/#proof

ぜひ動画もご確認ください!

 

 

実大三次元耐震実験 2017年7月 (監修:京都大学 生存圏研究所 五十田博 教授)