戸建を買うなら「都内の中古」と「郊外の新築」どちらを選ぶ?

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マンション価格の上昇を背景に、戸建を検討する人が増えています。しかし、戸建選びは、エリアによって価格や広さ、物件数が大きく変わるため、どこで探すか迷いやすいものです。そこで今回は、都内の中古戸建と郊外の新築戸建を比較し、住まい選びのヒントを解説します。

目次

1. 戸建探しで迷いやすい「都内の中古」と「郊外の新築」

マンションの高騰で戸建人気が高まっていますが、戸建にはマンションにない物件選びの難しさがあります。

1-1. 23区は中古マンションが1億円超え。戸建に目を向ける人が増えている

新築マンションの価格高騰と供給数の減少で、近年、戸建の人気が高まっています。都内でマンションを購入しようと思えば、中古物件が中心となりますが、すでに23区の平均価格は1億円を超える水準まで上昇しており、郊外エリアでは主要ターミナル駅などを除いて、新築マンションの供給はかなり減少しています。それなら比較的リーズナブルで、選択肢の多い戸建も検討してみようという方が増えているのです。

1-2. 戸建選びで難しいのが「エリア選び」

しかし、戸建はエリアによって価格帯や供給数が大きく異なるため、どのエリアで買うのがよいのか迷う方も少なくありません。立地優先で都内を選べば価格は高く土地も狭くなります。比較的広めの中古戸建でも地価が高いエリアではそれほど価格は下がりません。

一方、郊外に目を向ければ、安い新築物件はあるものの、通勤時間や利便性の面で都内よりは劣ります。そんな比較の中で、都内の中古がいいのか、郊外の新築がいいのか迷っているという声もよく耳にします。

1-3. 迷いやすい「都内の中古戸建」と「郊外の新築戸建」を徹底比較

そこで今回は、エリアによって戸建の価格や広さはどう変わるのか、都内からどのくらい離れると、価格はどのくらい下がるのかなどを、新築と中古を比較しながら検証していきます。

元となるデータの出典は以下の通りです。

新築:戸数・広さは、住宅着工統計(国交省・2025年)
   価格相場は「新築戸建相場」(アットホーム社・2026年6月)
   中古:レインズ不動産市場動向の「在庫状況」(東日本不動産流通機構・2026年5月)
   ※エリアはレインズの区分に合わせて、筆者が編集しています。

2. 予算と広さで比べる、都内の中古と郊外の新築

それでは早速、エリアごとの価格と広さを確認します。

2-1. 都内(23区)の戸建相場

まず、比較する上でのベースとして、23区の戸建相場を確認します。

エリア 新築 中古
価格相場 建物面積 価格相場 建物面積 築年数
城東エリア
(台東、江東、江戸川、墨田、葛飾、足立、荒川)
6,434万円 98.8 ㎡ 6,082万円 97.2 ㎡ 27.8年
城北エリア
(文京、豊島、北、板橋、練馬)
9,335万円 99.6 ㎡ 7,968万円 99.6 ㎡ 29.0年
城西エリア
(新宿、渋谷、杉並、中野)
1億1,740万円 101.8 ㎡ 1億3,039万円 106.5 ㎡ 25.8年
城南エリア
(品川、大田、目黒、世田谷)
1億2,805万円 107.4 ㎡ 1億5,553万円 124.5 ㎡ 23.5年

上表の通り、都内の戸建相場は西高東低で、城西・城南エリアは新築、中古とも1億円を超えていますが、中古の方が、建物面積が大きいので土地も広い可能性があります。

城東エリアは新築と中古の差が小さく、いずれも6,000万円台。城北エリアは新築と中古の差が約1,400万円あります。23区で比較的買いやすい価格帯としては、城東エリアと城北エリアの中古が挙げられます。

2-2. 多摩エリア

次に多摩エリアを見てみましょう。

エリア 新築 中古
価格相場 建物面積 価格相場 建物面積 築年数
多摩エリア
(23区以外)
5,173万円 94.0 ㎡ 4,562万円 106.6 ㎡ 26.4年

多摩エリアは、新築・中古とも4,000~5,000万円台となっており、23区よりも検討しやすいエリアです。しかし、ひとくちに多摩エリアといっても範囲が広く、23区に近いエリアと、都県境に近いエリアでは価格に大きな差があります。

2-3. 神奈川エリア

次に神奈川エリアです。

エリア 新築 中古
価格相場 建物面積 価格相場 建物面積 築年数
横浜市 5,491万円 99.9 ㎡ 5,262万円 110.0 ㎡ 24.7年
川崎市 5,491万円 101.2 ㎡ 5,679万円 105.8 ㎡ 21.1年
相模原市 4,323万円 98.5 ㎡ 3,205万円 102.2 ㎡ 23.3年
県央エリア
(座間、大和、綾瀬、厚木、海老名、伊勢原、秦野)
3,785万円 99.0 ㎡ 3,313万円 107.3 ㎡ 24.2年
湘南エリア
(鎌倉、逗子、葉山、藤沢、茅ヶ崎、平塚、横須賀、三浦)
4,554万円 100.5 ㎡ 5,421万円 113.3 ㎡ 27.5年

神奈川エリアは、政令指定都市の横浜市・川崎市でも、新築・中古とも5,000万円台となっています。新築よりも中古の方が広く、築年数も20~25年ほどと比較的浅いので、中古を中心に探したい方にはよいかもしれません。 さらに小田急線や相鉄線沿線の、相模原市や県央エリアでは、3,000~4,000万円台まで相場が下がり、都内の城西・城南エリアと比べると、価格はほぼ1/3~1/4くらいになります。一方、湘南エリアは、ブランド力の高さに加え、鎌倉や逗子、葉山などの高価格エリアも含まれるため、県央エリアより相場は高くなっています。

2-4. 埼玉エリア

次に埼玉エリアです。

エリア 新築 中古
価格相場 建物面積 価格相場 建物面積 築年数
さいたま市 4,450万円 101.1 ㎡ 4,264万円 107.3 ㎡ 21.6年
中央エリア
(川口、戸田、蕨、上尾)
4,512万円 100.8 ㎡ 3,746万円 100.5 ㎡ 21.8年
西部エリア
(和光、朝霞、新座、志木、富士見、ふじみ野、川越、所沢、狭山、入間)
4,014万円 97.9 ㎡ 2,840万円 97.6 ㎡ 27.6年
東部エリア
(八潮、三郷、草加、越谷、春日部)
3,707万円 99.9 ㎡ 3,358万円 108.8 ㎡ 23.9年

埼玉エリアは、都心に近い中央エリア(川口市や戸田市)でも、新築が4,000万円台、中古が3,000万円台と比較的リーズナブルです。東武東上線、西武線沿線の西部エリアでは中古が3,000万円を切る水準まで下がり、東武スカイツリーライン沿線の東部エリアでも、新築・中古とも3,000万円台と、こちらも城北エリアの半分程度の価格で検討が可能です。

2-5. 千葉エリア

最後に千葉エリアです。

エリア 新築 中古
価格相場 建物面積 価格相場 建物面積 築年数
千葉市 3,814万円 100.4 ㎡ 3,619万円 118.3 ㎡ 25.3年
総武エリア
(市川、船橋、鎌ヶ谷、浦安、習志野、八千代)
4,492万円 99.4 ㎡ 3,726万円 103.8 ㎡ 25.3年
常磐エリア
(松戸、柏、我孫子、流山、野田)
3,909万円 100.7 ㎡ 3,180万円 107.5 ㎡ 24.5年

千葉エリアは、政令指定都市(千葉市)よりも、都心アクセスのよい総武エリアや常磐エリアの方が相場は高くなります。総武エリアの新築が4,000万円を超えていますが、他のエリアや中古物件は3,000万円台となっており、比較的検討しやすいエリアです。

こちらも、城東エリアと比べると、半分~2/3程度の相場となっています。

このように、首都圏の戸建市場は、「川を超えると価格が下がる」と言われるように、23区かそれ以外かで、相場が大きく変わるという特徴があります。エリアによって異なりますが通勤時間にして30分ほどと想定される差が、価格にすると1,000万円以上の差になることも珍しくありません。

また、近年の地価や建築費の上昇で、新築物件は小さくなる傾向にあります。リーズナブルに広い家を買いたいという方は、中古物件を積極的に検討してみるのもひとつの方法です。

3. 供給数・物件数で比較する、住まいの探しやすさ

価格や広さを比較したら、次に見ておきたいのが物件数です。希望エリアにどれくらい新築戸建や中古戸建があるのかによって、住まいの探しやすさは大きく変わります。

3-1. 誰もが経験する「なかなか物件が見つからない」問題

このようなエリアごとの価格差に注目しながら、物件探しを進めていっても、希望エリアにタイミングよく物件が出ているとは限りません。何年も探しているのになかなかよい物件が見つからないという経験は珍しくないでしょう。 そこで、価格だけでなく物件の探しやすいエリアはどこなのか、という点にも着目してみましょう。新築戸建の着工数と中古物件の流通数の多い地域は以下の通りです。

■新築分譲戸建の着工数(市区別)

都県 市区 新設着工戸数
埼玉県 川口市 1,155戸
千葉県 船橋市 1,132戸
千葉県 市川市 1,124戸
東京都 練馬区 1,064戸
東京都 足立区 1,044戸
千葉県 松戸市 956戸
千葉県 柏市 897戸
東京都 杉並区 872戸
東京都 世田谷区 847戸
東京都 江戸川区 797戸

出典:住宅着工統計(国交省・2025年)

トップは埼玉県川口市で1,155戸、2位は千葉県船橋市で1,132戸。どちらも近郊エリアの人気の高い街です。東京都では足立区、杉並区、世田谷区、江戸川区など、他県や多摩エリアとの境に位置する街が上位となっており、都心部よりも供給が多いことがわかります。

なお、神奈川県のトップ3は、湘南エリアの藤沢市(695戸)、茅ヶ崎市(549戸)、横須賀市(514戸)となっています。

■中古戸建の流通戸数(エリア別)

都県 エリア 在庫戸数
東京都 多摩エリア 2,488件
神奈川県 横浜市 2,129件
埼玉県 西部エリア 1,548件
神奈川県 湘南エリア 1,511件
東京都 城東エリア 1,114件
千葉県 常磐エリア 1,084件
千葉県 総武エリア 1,001件
東京都 城南エリア 851件
神奈川県 県央エリア 811件
東京都 城北エリア 810件
埼玉県 中央エリア 739件
埼玉県 さいたま市 726件
埼玉県 東部エリア 700件
神奈川県 川崎市 620件
千葉県 千葉市 614件
東京都 城西エリア 532件
神奈川県 相模原市 500件

出典:レインズ不動産市場動向(東日本不動産流通機構・2026年5月)

中古物件は、各エリアの広さが大きく異なるので一概には言えませんが、総じて都心まで30~60分前後の近郊エリアでの流通が多い傾向があります。

3-2. 分譲住宅の供給が少ないエリアは注文住宅で検討してみよう

物件探しをスムーズに進めたい方は、このような供給の多いエリアを中心に進めるのがおすすめですが、供給の少ないエリアで新築を買いたい場合には、土地を買って注文住宅を建てるのもひとつの方法です。

土地は新築戸建よりも多くの物件が流通しているので、エリアの選択肢が大きく広がります。学区限定など狭い範囲で探している方にとって、有力な選択肢になることがあります。ちなみに、首都圏で注文住宅の着工が多いエリアは、以下の通りです。(建替えを含む)

■注文住宅の着工数

都県 市区 新設着工戸数
東京都 世田谷区 1,108件
千葉県 船橋市 751件
東京都 杉並区 751件
東京都 町田市 681件
埼玉県 川越市 677件
東京都 練馬区 661件
千葉県 柏市 644件
神奈川県 藤沢市 606件
東京都 八王子市 572件
千葉県 松戸市 560件

出典:住宅着工統計(国交省・2025年)

4. 立地・広さ・新しさ、どれをとるかが住まい選びのポイント

都内の中古戸建と郊外の新築戸建には、それぞれ異なる魅力と注意点があります。最後に、選ぶときのポイントを整理します。

4-1. 迷ったときは「同じ予算で何が得られるか」を比べる

ここまで、エリアごとの価格差や広さ、供給数などについて解説してきましたが、それでもなかなか決められないという方は「同じ予算で何が得られるか」という視点で、メリット・デメリットを整理してみると判断しやすくなります。

4-2. 都内の中古戸建を選ぶメリット・デメリット

都内の中古戸建で得られるのは、主に立地や利便性です。通勤時間を短くしやすく、買い物や通院、教育施設なども身近にありますが、築年数や建物の状態によっては、メンテナンス費用やリフォーム費用などがかかることもあります。都内の中古戸建を選ぶ場合は、立地の魅力だけでなく、建物の状態や購入後にかかる費用まで含めてトータルで比較することが重要です。

4-3. 郊外の新築戸建を選ぶメリット・デメリット

一方、郊外の新築戸建で得られるのは、建物の新しさや広さです。単に新しいというだけでなく、設備や住宅性能は最新で、長期保証がつく点も安心材料です。また当面、メンテナンスやリフォーム費用がかからないというメリットもあります。

その反面、交通アクセスや利便性は都内より劣ることもあります。郊外の新築戸建を選ぶ場合は、価格や広さだけでなく、毎日の通勤・通学や買い物のしやすさも含めて判断すると、購入後のギャップを抑えやすくなるでしょう。

4-4. 新築と中古をフラットに比較するには会社選びも重要

冒頭でも触れたように、マンション価格の高騰により、戸建を検討する人が増えていますが、その際は、不動産会社選びも重要な要素になります。

戸建はエリアによって価格差が大きく、中古物件の場合は建物の状態やリフォーム費用まで含めて、比較検討する必要があるからです。

不動産会社は、新築が得意な会社、中古の得意な会社と様々なタイプがあり、相談する会社によって、提案される物件やエリアが偏ってしまう可能性もあります。

したがって、「都内の中古」か「郊外の新築」か、といった広い範囲での比較検討を行うためには、営業エリアが広い会社が望ましく、売買だけでなく注文住宅やリフォームも合わせて提案できるなど、あらゆる選択肢をフラットに比較できる会社を選ぶことが大きなポイントになります。

住宅情報館では、新築戸建・中古戸建はもちろん、土地探しや注文住宅、リフォームまで、初めての住まい探しをワンストップでサポートしています。住まい探しで迷ったときは、お近くの店舗までお気軽にご相談ください。

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執筆者プロフィール
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住宅・不動産ライター
四宮 雅樹

不動産・建築業界で約11年の実務経験を積んだ後、不動産情報メディア運営会社で営業、事業開発、経営企画などに約13年間従事。
業界実務と不動産メディア運営の知見をもとに、住まい・不動産・注文住宅・リフォームなどの専門的なテーマを、読者にわかりやすく伝わるコラムとして執筆している。
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