
モデルハウスやショールームは、注文住宅のイメージづくりや会社選びに役立つ場所です。図面だけではわからない広さ、動線、設備の使い勝手、快適性を確認し、家づくりに活かすための見学ポイントを解説します。
目次
1. 家は「図面だけ」ではわからない
住まいの購入で必ず目にするのが、いわゆる「間取り図」です。建物を真上から見下ろす形で書かれたこの図面は「平面図」と呼ばれ、マンションや建売住宅の販売資料には必ずついてきます。しかし、平面図だけでわかることには限りがあります。
1-1. 平面図でわかるのは、広さと配置の基本情報
家を借りたことがある方は、不動産会社で紹介された物件を内見したときに、「思ったより狭いな」とか、「南向きなのに日当たりが悪いな」などと感じたことがあるのではないでしょうか。
平面図では、「リビング◯畳」といった数値上の広さや、キッチン・水まわりの配置などは確認できます。一方で、広い・狭いといった感覚、明るさ、におい、風通しなどは、実際に体感しないとわかりにくい部分です。
■平面図の例

1-2. 暮らしやすさを左右する「動線」と「使い勝手」
賃貸であれば、どうしても気に入らないなら引っ越すということもできますが、持ち家となるとそう簡単にはいきません。
特に「家事動線」やキッチンなどの「使い勝手」は、暮らしやすさに大きく関わる部分です。購入前に具体的な生活シーンを想像しながら確認しておくと、入居後のギャップを減らすことができます。
とはいえ、普段から多くの住まいを見比べている人は、それほど多くありません。そのため、どんな動線が暮らしやすいのか、設備にはどんな種類があるのか、窓をどのように配置すると風通しがよくなるのかなど、具体的にイメージしにくいまま家づくりを進めてしまうこともあります。
そこでおすすめしたいのが、モデルハウス・ショールームの見学です。特に注文住宅では、実際の家を見ることで、それまで描いていたイメージが、がらっと変わってしまうこともよくあります。
今回は、モデルハウス・ショールームで見るべきポイント、家づくりに活かすコツについて解説します。
2. モデルハウス・ショールームの種類
まず、モデルハウス・ショールームの種類について解説します。
2-1. 総合住宅展示場
総合住宅展示場は、広い敷地に複数のハウスメーカーが出展している展示場で、いわゆる大手の住宅メーカーが中心となります。一度に複数の会社を比較しやすいというメリットがありますが、出展している会社は限られます。 また、展示されている家は各社の上級モデルで、200㎡を超えるような広い家が多い傾向があります。つまり、住宅展示場の家は「その会社の魅力を最大限に見せるための家」という側面があります。そのため、実際に建てる住まいとは、広さやグレード、予算感が異なる場合もあります。
2-2. 分譲モデルハウス・街なかモデルハウス
一方、「分譲モデルハウス」、「街なかモデルハウス」などは、住宅会社が実際に販売することを想定したモデルハウスです。地域密着の住宅メーカーが運営していることも多く、グレードやサイズもその地域の相場に合わせてリアルにつくられています。その会社の家づくりに対する考え方や、実際に使用している設備などを確認できるので、比較的参考にしやすいといえます。
2-3. 建築中の現場・オーナー宅見学会
会社によっては、実際に建築している現場を「見学会」という形で公開していることもあります。建築中の見学会は、完成後に見えなくなってしまう構造体や断熱材なども見ることができる貴重な機会になります。また、オーナー宅見学会では、施主がその間取りや設備を選んだ理由・背景など、よりリアルな話を聞けることもあります。
2-4. 住宅会社・設備メーカーのショールーム
建っている家全体を見られるモデルハウスに対して、キッチンやバス、窓や建具など、住宅設備や建材を見て比較できるのがショールームです。ショールームには、住宅メーカーが運営するものと設備メーカーが運営するものがあります。
住宅メーカーのショールームでは、その会社が採用している設備やメリット、グレードによる仕様の違いなどを確認することができます。また設備メーカーのショールームでは、カタログではわからない細かい仕様や機能、製品の特徴などをメーカーのスタッフに直接確認できるメリットがあります。
3. モデルハウス・ショールームに「2回」訪れたい理由
モデルハウス・ショールームは、行くタイミングによって、その目的や見るべきポイントが変わります。おすすめのタイミングは、検討初期とプランニング中の2回です。
3-1. 1回目は、住まいの購入を考え始めたタイミング
まず、1回目に訪れたいのは、住宅購入を検討し始めたタイミングです。
検討初期は、ネットなどで間取り図を見ることがメインになりますが、このタイミングで実際の家を見ておくと、自分たちがいいと思える「共通の基準」ができ、建てたい家のイメージが、ぐっとリアルになります。
また、最近の家づくりのトレンドやアイデアなども知ることができるので、その後の家探しや会社選びにとても役立ちます。

3-2. 2回目は具体的なプランニングのタイミング
2回目に訪れたいのは、家づくりをスタートして、プランニングに進んだタイミングです。
それまで、思い描いていた理想の家のイメージを、具体的に寸法や面積に落とし込んでいく段階に入るからです。
モデルハウスで、リビングの広さや天井の高さ、キッチンの幅や奥行き、家具の配置や動線などを、自分たちの家で再現できるかどうかを確認してみましょう。
また、デッドスペースの活かし方や照明の配置など、自分たちのプランに取り入れられそうなアイデアを収集することもできます。
1回目は、自分たちが建てたい理想の家の基準づくりに。2回目は、自分たちのプランに取り入れたいアイデアの収集、広さや寸法の確認に。1回目と2回目で視点を変えると、モデルハウスで得られる情報もより具体的になります。
4. モデルハウスで見るべきポイント
ここからは、モデルハウスで見るべきポイントを解説します。
4-1. 広さ・高さ・奥行きなど空間のサイズ感
モデルハウスでまず確認したいのが、「空間のサイズ感」です。
LDKや水まわりの「広さ」、通路の「幅」や天井の「高さ」、キッチンや収納の「奥行き」など、平面図と見比べながら立体的なサイズを体感してみましょう。
単に「広い・狭い」だけでなく、どのくらいのサイズが自分たちの暮らしに合うか、という視点で見ると参考になります。
4-2. 設備の使い勝手と生活動線
次にキッチン、洗面台、浴室、ランドリールーム、収納など設備の使い勝手を確認してみましょう。サイズはもちろん、料理や洗濯などの「家事動線」や、朝起きてから着替えて出かけるまでの動きなど、実際の生活シーンをイメージしながら確認しておくと、入居後の使い勝手を想像しやすくなります。

4-3. 明るさ・室温・音など、暮らしの快適性
また、家全体の日当たり、風通し、室温、音、外からの視線など、快適性に関わる部分も、確認しておきたいポイントです。特に最近では高気密・高断熱の住まいが主流になっていますので、カタログ上の断熱性能と実際の暖かさ(涼しさ)などを比較しながら体感してみるのもひとつの方法です。

4-4. 自分たちの家に取り入れたいアイデア
モデルハウスは、家の広さや動線などを確認できると同時に、細かいアイデアを収集する場でもあります。例えば、リビング横に設けたキッズスペースや学習コーナー、玄関横のシューズクローク、キッチンに隣接したパントリーなど、「自分たちの家にも取り入れたい」と感じるアイデアが見つかることもあります。そうしたアイデアを持ち帰れるのもモデルハウス見学の大きなメリットです。

4-5. 住宅会社ごとの強みや考え方
最後に、モデルハウスは建物そのものだけでなく、会社の住まいに対する考え方やこだわりを見る場でもあります。気になった間取りやデザインがあれば、「なぜこの形にしているのか」、「どんな暮らしを想定しているのか」などを聞いてみましょう。それが自分たちの考え方に合っているかどうかも会社選びの大事な要素です。
5. モデルハウス見学を家づくりに活かす「情報整理」のコツ
最後に、モデルハウス・ショールーム見学を実際の家づくりに活かすための「情報整理」について解説します。
5-1. 「よかった」だけで終わらせず、理由を言葉にする
モデルハウス見学で「よかった」、「素敵だった」と感じたことは、その理由もあわせて記録しておきましょう。例えば「リビングに大きな吹き抜けがあり、開放感が最高だった」とか、「キッチンに近いランドリールームは、料理と洗濯が同時にできてよさそう」というように、理由や利点を言葉にしておくと、住まい選びやプランニングの際に取り入れやすくなります。

5-2. 幅・高さ・奥行きなどを数値で記録する
キッチンや収納など、サイズが使い勝手に関わる箇所は、幅・高さ・奥行きなどを数字で記録しておきましょう。「キッチンの幅2700mmなら2人並んで料理ができる。通路幅は1200mmくらいあると余裕がある」など、感覚だけでなく、寸法でも記録しておくと、プランニングの際に役立ちます。
5-3. 写真や動画でイメージを残す
一方、雰囲気や素材感など、数字で残しにくい部分は、ぜひ画像で記録しておきましょう。
「百聞は一見にしかず」の言葉の通り、設計士との打ち合わせなどでも、写真があると、施主と設計士の間でイメージを共有しやすくなります。 また、気に入った照明器具や設備などは、メーカー・品番などを写真に撮っておくと、後で商品を探すときに役に立ちます。
5-4. 家全体ではなく「取り入れたい要素」で見る
複数のモデルハウスを見ていると「あの家はよかった」「この家は合わなかった」という議論になりがちですが、モデルハウスは家全体を評価するのではなく、自分たちの家に取り入れたい要素を収集する場と考えましょう。
家事動線はモデルハウスA、収納はモデルハウスBというように、それぞれのよいところを組み合わせて、自分たちの住まいに取り入れていくというスタンスで見学すると、得られるヒントも多くなります。
5-5. 家族で感想を共有し、優先順位を整理する
同じモデルハウスを見ていても、家族で意見が分かれることもあります。見学後には、家族で感想を共有しながら、優先順位を整理しておくと、その後の打ち合わせにも活かしやすくなります。
6. モデルハウス・ショールームは「家を見る目」を養う場所
ここまで見てきたように、モデルハウスやショールームは、ただ素敵な家を見に行くだけの場所ではありません。実際の広さや使い勝手、素材の質感、室内の明るさや快適性を体感しながら、自分たちにとって暮らしやすい家の基準をつくる場所でもあります。
また、複数の住宅メーカーのモデルハウスを比べることで、会社ごとの考え方や得意分野の違いも見えてきます。つまり、家づくりのイメージを描くと同時に、営業担当者や設計士との会話を通して、会社選びを進めるプロセスでもあるのです。
モデルハウスやショールームの見学は、基本的に無料でできる貴重な機会です。検討の初期段階からいろいろな家を見ておくことで「家を見る目」を養い、自分たちの家づくりを考えやすくなります。マイホームの購入を検討し始めたら、早いタイミングでモデルハウスやショールームに足を運び、実物に触れながら家づくりのイメージを膨らませてみてはいかがでしょうか。












