不動産会社に行く前にやっておきたい事前準備とは?

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住宅購入において最初のヤマは物件探しです。しかし闇雲にインターネットで検索したり、たくさんの物件を見たりしたところで、希望通りの物件に巡り合うことはできません。要望にピッタリの物件に出会うには、しかるべき「事前準備」をしっかりとしておくことが大切です。

 

目次

1、物件探しに「事前準備」が必要な3つの理由

物件探しの事前準備とは、言い換えれば「家族みんなの要望を整理すること」です。物件探しを始める前になぜ要望を整理しておく必要があるのか?大きく3つの理由があります。

 

1-1. いい物件をスピーディに紹介してもらうため

不動産会社の営業マンは、日々たくさんのお客様から問い合わせを受け、それぞれの要望に合わせて物件をご紹介しています。しかしその中でも、真っ先に物件を紹介したいお客様と、後手になってしまうお客様がいます。その違いは何なのでしょうか?

これはどんな商売にも当てはまることですが、お客様の「本気度」です。

営業マンは「いい物件があったら見てみたいんだけど・・」と言われるよりも、「☓☓エリアで、予算△△万円くらいで探してるんだけど・・・」といった具体的な相談をされたほうが、より物件を紹介しやすくなりますし、仕事にも熱が入ります。それは、お客様の住宅購入に対する考え方や希望を深く理解した上で、ベストな物件を紹介することができるからです。

お客様の要望が具体的であればあるほど、営業マンも「本気に」なるものなのです。

 

1-2. タイミングを逃さずベストな購入判断をするため

何の準備もなく物件を見に行っても、多くの人はその物件を買うべきかどうかを判断できません。たとえその物件がベストな物件だったとしても、「いいんだけどもうちょっとリビング広ければ・・・」「もう少し待ったらもっといい物件が出てくるんじゃないか・・・」などと、何件見ても結論が出せません。

そうして何度も内見を繰り返した結果、物件探しに疲れ果ててしまい「もうこの物件でいいや」と決めた後に後悔したり、購入自体をあきらめてしまったりすることも少なくありません。

人気エリアのリーズナブルな物件は、販売開始と同時にあっという間に買い手がついてしまいます。自分が買いたい家のイメージを明確にしておけばおくほど、このようなタイミングを逃さずスピーディな購入判断ができるのです。

 

1-3.家族みんなが納得できる家を買うため

はじめて住宅購入を検討する方の多くは、夫婦あるいは夫婦と子どもの家族です。家族ですから、お互いのことをよくわかっているつもりでも、外で働く夫と、家事が中心の妻では、住まいに対する考え方が大きく異なります。例えば、夫は耐震性や耐久性などの住宅性能に対するこだわりが強く、妻はキッチンなどの住宅設備や、収納にこだわるという傾向が見られます。また、子どももある程度の年齢になれば、自分の空間に対するこだわりが出てきます。

あらかじめそれらを出し合い、話し合っておくことで、客観的にみんなの要望が満たせているかどうかを判断できるので、結果として家族みんなが納得できる家を購入することができます。

 

2、住宅購入の第一歩。自分にとっての「家を買う目的」を考えよう

それでは具体的に物件探しの準備を進めていきましょう。まず考えたいのは「何のために家を買うのか?」ということです。

アンケート調査などによると「価格が上がりそうだから」「金利が安いから」「消費税が引き上げられるから」といった理由が多く聞かれます。しかしこのような理由は、あくまでも家を買うことを前提とした外的要因に過ぎず、本質的な目的ではありません。

また「自分の城が欲しい」「家をもってこそ一人前」など、一昔前の価値観にとらわれた理由も、今の時代に家を買う目的にはならないでしょう。

一方で「自分の理想の家が賃貸では見つからない」「自分の好きなように家をカスタマイズして暮らしたい」などはライフスタイルに関わる内的要因と言えます。また「一家の大黒柱である自分に万が一のことがあっても、(団信に加入することによって)家族に家を残してあげたい」というのも、家族に対する責任を果たしたいという内的要因のひとつだといえます。

家を買う目的を考える時は、金利や税金といった外的要因に振り回されず、自分自身の生き方、家族との過ごし方、働き方などの内的要因を見つめ直すことが大切です。その上で、どのような家が理想なのかを家族で話し合ってみることが住宅購入の第一歩になるとともに、後悔しない家探しへの近道となります。

 

 

3、いつまでに買うかを決めると、物件探しのスタートが切りやすい

住宅購入を検討する上で、もうひとつ大事なことは「いつまでに買うのか」を決めておくことです。不動産情報サイトやチラシを見て「いいなあ」と思っていても、そこからの一歩を踏み出せない人は、いつまでたってもいい物件に巡り合うことはできません。

購入時期の一般的な傾向としては「子どもが小学校に入学するまでに」など、子どもの就学を基準に考える人が多く、小学校入学後は、転校をともなわない学区内での購入を検討するか、高校卒業まで待つケースが多いようです。他にも転勤の有無や、賃貸の更新タイミングなど、それぞれの家庭の事情を考慮して、時期を決めることが大切です。

ちなみに、低金利などを理由としたいわゆる「買い時」の判断については、あまり神経質にならないほうがよいでしょう。不動産の価格と金利は逆相関関係にあるため、金利が下がれば価格が上がり、金利が上がれば価格が下がります。よって、どちらか一方を見ればいつでも「買い時」なのです。あまり広告などに惑わされないようにしましょう。

いずれにしても、購入時期が決まれば、そこから逆算して、動き出すタイミングが見えてきますし、それまでに貯められる頭金の額もある程度決まってきます。

 

 

4、家族の「住まいの要望リスト」をつくろう

住宅購入の目的と時期が決まったら、具体的な要望の整理をしてみましょう。

 

4-1.まずはそれぞれの要望を書き出してみよう

まずは家族みんなの住まいに対する要望を書き出していきます。

「立地・環境」「建物・設備」「お金」という3つのカテゴリに分けて書き出すとよいでしょう。夫、妻、子どもそれぞれの要望を書き出し、話し合ってみることによって、とてもよいコミュニケーションになりますし、新しい家へのワクワク感が生まれてきます。

 

4-2.優先順位をつけながらひとつにまとめてみよう。

家族みんなの要望が出揃ったら、すべてを合わせて見てみましょう。大抵の場合、ちょっと自分たちの身の丈には合わない、豪華すぎる家になっているはずです。そのままでは物件探しはできませんから、もう少し現実的な要望に近づけなければなりません。

その際に行なうのが「優先順位づけ」です。書き出した要望の中で「Aランク(必ずほしい)」「Bランク(できればほしい)」「Cランク(なくてもよい)」のランクづけをしていきます。

家族みんなのランクづけが終わったところで、すべての要望をAからCの順番に並べてみましょう。Aランクだけを見ればぐっと現実的な要望になっているはずです。

(例)住まいの要望リスト

立地・環境 通勤1時間以内 A
徒歩圏にスーパーがあること A
幼稚園、小学校が近いこと A
◯◯駅から徒歩10分以内 B
建物・設備 3LDK+敷地内駐車場 A
対面キッチン+食洗機 A
自分の部屋 A
ガーデニングできる庭 B
書斎コーナー B
大型のウォークインクローゼット B
リビング14畳以上 B
できれば新築 C
お金 返済は12万円以内(ボーナス返済なし) A
できれば固定金利にしたい B
65歳までにローンを完済 A

 

このようにしてできあがった「要望リスト」が、物件探しのベースです。インターネットで検索する際の条件でもあり、不動産会社に相談する際の基本的な情報にもなります。

 

 

5、どうしたら理想のマイホームが手に入るのか?住宅購入のパターンを知っておこう

ここまでで、家を買う「目的」と「時期」を決め、家族みんなの想いがつまった「要望リスト」ができ上がりました。ではそれを叶えるためにはどのような方法があるのでしょうか。

住宅購入の基本的な4つのパターンについて知っておきましょう。

 

5-1.新築分譲物件を購入する

新築分譲物件とは、不動産会社が販売する「一戸建」「マンション」をいいます。

通常、売主である不動産会社が設計・施工し販売しますので、間取りや設備、内装などを自由に選べるわけではありませんが、すべて新品、最新の設備になりますから、新築ならではの気持ちよさと安心感はあります。

価格は中古物件に比べて高くなりますが、とにかく新築がいい、最新の設備がいい、という要望が強い場合には、新築分譲物件に限定して探すのがよいでしょう。ただし、大規模な分譲物件になると、全体のイメージが統一されていることも多く、一戸一戸の「個性」という点では、物足りなさを感じることがあるかも知れません。

 

5-2.土地を購入して注文住宅を建てる

新築でありながら、間取りや設備、内装にも自分の好みを反映させたいという要望が強ければ、注文住宅を建てるという選択肢が有力です。このパターンのメリットは、「趣味の部屋をつくりたい」、「家具はすべて作りつけにしたい」など、こだわりを実現できるところです。

一方で、限られた時間の中で土地探しと、ハウスメーカー探しを進めなければならず、完成までに何度も打合せを重ねる必要があるため、時間と手間がかかります。このような手間を楽しいと感じられる方、一般的な分譲物件では要望が叶えられないという方にはおすすめの選択肢です。

また注文住宅を検討する上では「建築条件つき土地」というパターンも知っておきましょう。これは、建築会社やハウスメーカーが販売している土地に多く、土地購入後に特定の会社に建築工事を依頼することが条件になっている土地販売の形式です。メリットとしては、土地が比較的安いこと。デメリットとしては建築会社を選べないことです。

 

5-3.リノベーション済みの中古物件を購入する

リノベーション済み物件とは、不動産会社が中古物件を買取り、リノベーションして販売している物件です。

最近では土地の価格が上昇していることに加え、特に駅近など立地のよい場所に用地が少なく、新築が供給されにくくなっているため、このようなリノベーション済み中古物件の販売が盛んにおこなわれています。価格としては、同じ立地の新築よりは安く、郊外の新築よりは高いといったところですので、「新築」よりも「立地」を優先する方にとってはよい選択肢になります。

通常、設備や内装は新しいものに交換されているので、専有部分はほぼ新築と変わりませんが、自分の好みに合うかどうかは物件次第です。

物件によっては表層や水廻りの簡単なリフォームだけで、配管や断熱などのメンテナンスをしていないものも見受けられますので、自分たちの目でしっかり確認しておくことが必要です。

 

5-4.中古物件を買ってリノベーションする

予算を抑えつつ、こだわりの家をつくりたいという方におすすめのパターンです。

不動産会社が販売する物件ではなく、いわゆる仲介物件(個人所有物件)を購入して、自分好みにリノベーションするので、こだわりを実現できるのがメリットです。

もちろん物件の状態がよければそのまま住むこともできますし、購入時は必要最低限のリフォームにとどめ、何年もかけて少しずつ自分好みの空間を作り上げていくといった楽しみ方もできます。

一方デメリットとしては、大規模なリノベーションになると、完成までに何度も打合せを重ねるので、時間と手間がかかります。また、あまりこだわり過ぎると新築とさほど変わらない費用がかかることもあります。中古物件のリノベーションを成功させるには、不動産(物件購入)、建築(リノベーション)、金融(ローン)の3つの知識と経験が不可欠なので、この4つのパターンの中では一番難易度が高い選択肢です。だからこそパートナーとなる会社選びが重要で、物件探しとリノベーションを同じ会社(もしくはグループ会社)でおこなうことができる会社を選んだほうが賢明でしょう。

 

メリット デメリット
新築分譲物件 新築ならではの気持ちよさ 最新の設備 こだわりは反映しにくい 好立地には供給が少ない
土地購入+注文住宅 新築のメリットに加えて こだわりが実現しやすい 価格が高くなる場合もある 手間と時間がかかる
リノベーション済み中古 新築よりリーズナブル 好立地にも供給がある こだわりは反映しにくい リノベーションの内容がわかりにくい
中古購入+リノベーション 新築よりリーズナブル こだわりが実現しやすい 手間と時間がかかる こだわり過ぎると新築並の価格に

 

 

6、イメージがまとまれば、いよいよ物件探しへ。

このように、家族の要望をまとめ、それを叶えるためにはどのようなパターンで購入すればよいのかを検討していくと、だんだん自分たちの求める物件イメージが固まってきます。そうなれば、いよいよインターネット等で物件を探し、実際に建物を見学してみるといった段階に進むことになります。

 

インターネットはどうも苦手で・・や、のんびり探している時間がない・・、なかなか要望がまとまらない場合には不動産会社などプロの手を借りましょう。不動産会社は、日々そのようなお客様と接しているので、漠然とした要望も整理し、より現実的な条件をまとめてくれます。次の一歩を踏み出すためにも、お気軽に相談してみることをおすすめします。