データで見る不動産購入 【神奈川県 鎌倉市】

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鎌倉市は神奈川県三浦半島の西側に位置する、京都と並ぶ古都の街です。日本で初めての武家政権が置かれ、多くの人が一度は訪れる歴史ある街で、どちらかと言えば観光地のイメージが強い街ですが、実は暮らす街としても非常に高い人気を誇っています。そんな鎌倉市の不動産購入について見ていきましょう。

1、鎌倉市の人口・世帯数はほぼ横ばいながら、2017年は転入が上回る

鎌倉市の人口は、約17万人、世帯数は約7.3万世帯。最近10年間で、人口・世帯数ともにほぼ横ばいとなっています。年間の転入出者数は年約6~7,000人で転入数が700人ほど上回っています。

 

1-1.人口・世帯数(2018/10/1現在)

人口 172,129人
世帯数 73,705世帯

 

1-2.人口・世帯数の推移

 

1-3.転入・転出(2017年中)

転入者数 6,915人
転出者数 6,171人

※出典:総務省 住民基本台帳人口移動報告(2017年)

 

2、鎌倉市の不動産情報

2-1.土地の価格は、商業地で上昇、住宅地は緩やかな下落傾向

土地の価格(地価)については、毎年1月1日を基準とした「公示地価」と7月1日を基準とした「基準地価」が発表されています。鎌倉市における公示地価と基準地価の平均は以下の通りです。直近の平均地価としては、約23万円~27万円/㎡となっており、最近10年間では、基準地価が5%ほど上昇している一方、公示地価は約6%下落しています。これは、全体としては下落傾向であるものの、基準地点に含まれる駅前商業地などが上昇したことによって、基準地価の平均を押し上げているものです。公示地点には単価の高い駅前の商業地等がさほど含まれていないため、若干の下落となっています。市内の地価は立地による二極化が進んでいますが、全体のトレンドとしては、横ばいから緩やかな下落傾向と見てよいでしょう。

■公示地価、基準地価とは?

公示地価とは、地価公示法に基づき、国(国土交通省)が、毎年1月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。基準地価とは、国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。

同年の価格を比較した場合、公示地価よりも基準地価の方が半年遅れで公表されるため、より直近の取引価格を反映していると見ることができます。なお公示地価、基準地価はともに一般の土地の取引価格の指標等として使われていますが、あくまで指標であり、実際の取引価格とは異なりますのでご注意ください。

 

鎌倉市全体の地価平均(㎡あたり)

公示地価(2018年) 230,216円
基準地価(2018年) 274,680円

 

公示・基準地価の推移(平均/㎡)

 

マップでご覧いただけるように、鎌倉市内にはJR横須賀線と江ノ島電鉄、湘南モノレールが乗り入れています。横須賀線の大船駅、鎌倉駅、北鎌倉駅周辺は30万円台/㎡の地点も見られますが、江ノ島電鉄沿線では20万円台/㎡、湘南モノレール沿線では10万円台/㎡もあり、十分検討できる水準だと言えます。

 

2-2.新設住宅着工戸数は賃貸と注文住宅で約8割。建売より注文住宅が多いエリア

国土交通省が発表している新設住宅着工戸数について見てみましょう。鎌倉市で2017年中に新築された建物は1,402戸でした。内訳としては、貸家(賃貸住宅)が43%、持ち家(注文住宅)が34%、分譲住宅が23%となっています。多くのエリアが注文住宅から分譲住宅(建売)にシフトしている中、鎌倉市では注文住宅の比率が高くなっています。

持ち家 478戸
貸家 600戸
給与住宅 1戸
分譲住宅 323戸

 

2-3.住宅着工戸数の推移。賃貸以外は20%を超える大幅な減少

鎌倉市の最近7年間の住宅着工数は、全体でマイナス5%となっています。内訳としては、分譲住宅がマイナス25%、注文住宅がマイナス23%、賃貸がプラス45%と、分譲と注文住宅の減少分を賃貸がカバーしています。賃貸が増加した要因は2013年の消費税増税と2016年相続税法改正によるものと考えられます。

 

2-4.鎌倉市の不動産価格相場は総じて割高。立地や物件によるバラつきが大きい

鎌倉市で販売されている新築マンションは供給数が非常に少なく、価格も3,000万円台~6,000万円台までばらつきが大きいため相場というのが難しいですが、㎡単価は50~60万円台くらいのようです。中古マンションは、築15年以内で平均6,451万円(67.9万円/㎡)、築15~25年で平均4,651万円(55.6万円/㎡)、築25年超で平均2,846万円(32.6万円/㎡)前後が相場です。

一戸建については、新築で4,400万円前後、中古は築15年以内で平均6,359万円、築25年以内で6,751万円、築25年超では4,870万円となっています。マンション・一戸建ていずれも、「鎌倉」というブランドや流通量が少ないことによる希少価値により、不動産の相場としては割高と言えます。また億を超えるような高級物件も含まれるため、平均価格と個別の物件価格には大きな開きがありますので、不動産情報サイトや現地の不動産会社で情報収集してみることをおすすめします。

最後に土地の相場については、最寄駅から徒歩10分以内なら平均22.7万円/㎡、徒歩20分以内なら21.6万円/㎡、徒歩20分を超えると14.6万円/㎡となっています。

 

(1)中古マンション

平均販売価格 平均販売価格 平均㎡単価
築15年以内 6,451万円 92.6㎡ 67.9万円
築15~25年 4,651万円 85.1㎡ 55.6万円
築25年 超 2,846万円 86.3㎡ 32.6万円

 

(2)一戸建

平均販売価格 平均土地面積 平均建物面積
新築 4,397万円 129.8㎡ 101.47㎡
築15年以内 6,359万円 175.8㎡ 116.53㎡
築15~25年 6,750万円 372.4㎡ 144.94㎡
築25年 超 4,870万円 266.3㎡ 144.03㎡

 

(3)土地

平均販売価格 平均 平均㎡単価
徒歩10分以内 6,150万円 302.9㎡ 22.7万円
徒歩10分~20分 4,387万円 233.4㎡ 21.6万円
徒歩20分超・バス 4,826万円 312.3㎡ 14.6万円

※東日本REINS 2018年10-11月のデータをもとに集計

3、鎌倉市の教育環境は平均的。神奈川県内、都内への通学も可能

鎌倉市には、17校の公立小学校、10校の公立中学校、4校の公立高校、6校の私立高校があります(2018年7月現在)。大学は市内に1校(鎌倉女子大学)がありますが、神奈川県内、都内へ通学も可能です。未就学児については、幼稚園・保育園・認定こども園等あわせて70弱の施設があります。

 

3-1.幼稚園・保育園・学校の数

公立 私立
幼稚園・保育園・認定こども園等 5施設 62施設
小学校 17校 2校
中学校 10校 6校
高等学校 4校 6校
大学・短大 1校

 

3-2. 待機児童数(2018年4月1日)

待機児童数 93人

出典:神奈川県発表資料「保育所等利用待機児童数の状況について」(http://www.pref.kanagawa.jp/docs/sy8/prs/r7451091.html)

 

鎌倉市における、2018年の待機児童数は93人で、前年より46人増加しています。2018年から集計基準が変更された影響(※)もありますが、神奈川県では藤沢市に次ぐワースト2位となっており、今後の改善が望まれます。市としては引き続き保育施設の整備を進め、2020年4月の待機児童ゼロを目指すとのことです。

※新基準では、昨年より16人の減少

4、鎌倉の不動産はプレミアム価格。鎌倉らしさと利便性、どちらを選ぶかでエリアが変わる

鎌倉は言うまでもなく日本を代表する「古都」であり、たくさんの歴史・文化遺産が現存する由緒ある街です。そうした歴史ある街並みに加え、湘南の海と三方を山に囲まれた自然豊かな街でもあり、多くの人が一度は住んでみたいと思う憧れの街といっても過言ではありません。「鎌倉に住む」ことそのものがひとつのステータスと言ってもよいでしょう。

一方、鎌倉市を不動産的な視点で見てみると、鎌倉駅はJR横須賀線で品川駅まで約50分、東京駅まで約1時間の立地にあります。比較のために、東京駅から約1時間圏内の他のエリアの地価を見てみると、神奈川県平塚市(16.2万円)、東京都八王子市(16.0万円)、埼玉県川越市(17.5万円)、千葉県佐倉市(7.3万円)など、鎌倉市(27.5万円)よりもはるかに安いことがわかります。通勤時間だけで単純比較はできませんが、鎌倉の不動産価格には「鎌倉プレミアム」とも言うべき目に見えない価値が含まれていると考えたほうがよいでしょう。

 

■平均地価の比較(都心から約1時間圏内)

神奈川県 鎌倉市 27.5万円
神奈川県 平塚市 16.2万円
東京都 八王子市 16.0万円
千葉県 佐倉市 7.3万円

※2018年基準地価(㎡あたり)

 

このように多少割高であることを承知した上で、やっぱり鎌倉に住みたいという方は、まずどのエリアに住むかということを検討してみましょう。最も鎌倉らしさが感じられるのはやはり横須賀線の鎌倉駅周辺です。一方、大船駅は鎌倉らしさには欠けますが、横須賀線、東海道線、京浜東北線、湘南モノレールなど6路線が乗り入れる利便性の高い駅です。鎌倉駅を起点に、横須賀線沿線の北鎌倉や海沿いの江ノ島電鉄沿線を検討してみるか、大船駅を起点に湘南モノレール沿線の富士見町~西鎌倉方面を検討してみるかがポイントとなります。ちなみに地価は横須賀線・江ノ島電鉄沿線よりも、湘南モノレール沿線の方がリーズナブルです。

そしてもう一つはどのような物件を狙うかということです。より鎌倉らしさを求めるなら、敷地が広くゆったりとした中古一戸建などを狙ってみたいところですが、敷地が広い分価格は高めで中古だから安く買えるというわけではありません。むしろ敷地の広さや建物の趣などにそれほどこだわりのない方には、リーズナブルな新築一戸建の方がおすすめかも知れません。新築であればメンテナンスコストや保証の面でも一定の安心感があります。さらに一人暮らしやDINKSの方にはマンションという選択肢もあるでしょう。物件数はそれほど多くありませんが、新築、中古ともに流通しています。

鎌倉に住まいを購入するということは、単に家を買うということだけでなく、鎌倉という街のブランドや歴史、自然環境などを買うということでもあり、また1年を通じて訪れるたくさんの観光客や慢性的な交通渋滞などと付き合っていくことでもあります。観光ではなく「暮らす」という視点で一度現地を訪れ、情報収集してみることをおすすめします。