一度は暮らしてみたい古都の街。神奈川県鎌倉市の魅力と不動産市況

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鎌倉市は三浦半島の西側に位置する、京都と並ぶ古都の街です。日本で初めての武家政権が置かれた、多くの人が一度は訪れる歴史ある街で、どちらかと言えば観光地のイメージが強い街ですが、実は暮らす街としても非常に高い人気を誇っています。

目次

1.鎌倉市の人口はほぼ横ばい、世帯数は5%増

そんな鎌倉市の人口は、約17万人、世帯数は約7万7,000世帯。最近10年間の人口はほぼ横ばい、世帯数は5%増となっています。年間の転入出者数は、転入が約850人上回っています。

1-1.人口・世帯数(2023/1/1 現在)

人口 172,107人
世帯数 76,864世帯

1-2.人口・世帯数の推移

  2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
人口 173,448 173,223 172,786 172,279 172,129 172,254 172,293 172,700 172,698 172,107
世帯数 73,304 73,630 72,949 73,172 73,705 74,340 74,933 75,824 76,470 76,864

※各年1月1日 現在(鎌倉市ホームページ)

1-3.転入・転出(2022年中)

転入者数 7,154人
転出者数 6,299人

※出典:2022年人口移動報告(総務省)

2.神奈川県鎌倉市の不動産情報

2-1.土地の価格は、㎡あたり約25~30万円。最近10年で16%の上昇

土地の価格(地価)については、毎年1月1日を基準とした「公示地価」と7月1日を基準とした「基準地価」が発表されています。鎌倉市における公示地価と基準地価の平均は以下の通りです。直近の平均地価としては、㎡あたり約25~30万円で、最近10年間は、緩やかな上昇傾向が続き、10年で約16%上昇しています。(基準地価ベース)

■公示地価、基準地価とは?

公示地価とは、地価公示法に基づき、国(国土交通省)が、毎年1月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。基準地価とは、国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。

同年の価格を比較した場合、公示地価よりも基準地価の方が半年遅れで公表されるため、より直近の取引価格を反映していると見ることができます。なお公示地価、基準地価はともに一般の土地の取引価格の指標等として使われていますが、あくまで指標であり、実際の取引価格とは異なりますのでご注意ください。

鎌倉市全体の地価平均(㎡あたり)

公示地価(2023年) 253,910円
基準地価(2023年) 304,280円

公示・基準地価の推移(平均/㎡)

  2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
公示

 

地価

228,768円 229,791円 228,175円 229,093円 230,216円 231,787円 234,624円 241,892円 243,692円 253,910円
基準

 

地価

262,640円 265,320円 268,040円 271,160円 274,680円 280,520円 282,120円 281,080円 288,120円 304,280円

マップでご覧いただけるように、鎌倉市にはJR横須賀線、江ノ島電鉄、湘南モノレールの3線が乗り入れています。横須賀線の大船駅、鎌倉駅周辺は30万円台/㎡を超える地点も見られますが、江ノ島電鉄沿線では20万円/㎡台、湘南モノレール沿線では10万円/㎡台の地点もあり、十分検討できる水準だと思います。

2-2.新設住宅着工戸数は約1,390戸。注文住宅、分譲住宅がバランスよく供給

国土交通省が発表している新設住宅着工戸数について見てみましょう。鎌倉市で2022年中に新築された建物は1,390戸でした。内訳としては、持ち家(注文住宅)が34%、貸家(賃貸住宅)が38%、分譲住宅が28%と、バランスよく供給されています。分譲住宅の内訳としては、一戸建が228戸(59%)、マンションが160戸(41%)となっており、マンションは年によりばらつきがありますが、分譲一戸建は年200~300戸ほど安定して供給されています。

■鎌倉市の新設住宅着工戸数(2022年)

持ち家 479戸
貸家 521戸
給与住宅 2戸
分譲住宅 388戸
1,390戸

2-3.鎌倉市の住宅着工数は10年間でマイナス13%。

鎌倉市の住宅着工数は最近10年間でマイナス13%となっています。内訳としては、注文住宅がマイナス16%、分譲住宅がマイナス13%、賃貸住宅がマイナス11%とすべてのカテゴリーで減少しています。

鎌倉市の新設着工戸数

  2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
持ち家 570戸 446戸 479戸 498戸 478戸 413戸 420戸 430戸 535戸 479戸
貸家 586戸 335戸 411戸 590戸 600戸 500戸 418戸 311戸 370戸 521戸
給与住宅 0戸 0戸 1戸 1戸 1戸 0戸 0戸 0戸 1戸 2戸
分譲住宅 448戸 218戸 285戸 493戸 323戸 884戸 307戸 203戸 301戸 388戸
総計 1,604戸 999戸 1,176戸 1,582戸 1,402戸 1,797戸 1,145戸 944戸 1,207戸 1,390戸

※出典:国土交通省 住宅着工統計

2-4.神奈川県鎌倉市の不動産価格。新築は4,000万円台~億ションまで

鎌倉市で販売されている新築マンションは、供給数が少ない上に、価格も4,000万円台~1億円超まで幅があり、「相場」というのが難しく、㎡単価も立地やグレードにより80万円~150万を超えるものまでかなり幅があります。

中古マンションは、築15年以内で平均7,115万円(85.5万円/㎡)、築15~25年で平均5,606万円(66.4万円/㎡)、築25年超で平均4,502万円(50.5万円/㎡)前後となっています。

一戸建については、新築が5,883万円、中古は築15年以内で平均9,737万円、築25年以内で8,124万円、築25年超は8,906万円となっています。マンション・一戸建いずれも、ここ数年で大きく値上がりしていることに加え、「鎌倉」というブランドや流通量が少ないことによる希少価値により、不動産の相場としては割高と言えます。また億を超えるような高級物件も含まれ、平均価格と個別の物件価格に開きがありますので、不動産情報サイトや現地の不動産会社で情報収集してみることをおすすめします。

最後に土地の相場については、最寄駅から徒歩10分以内で平均36.0万円/㎡、徒歩20分以内なら29.2万円/㎡、徒歩20分超で16.2万円/㎡となっています。

(1)中古マンション

  販売価格(万円) 専有面積(㎡) ㎡単価(万円)
最大 最小 平均 最大 最小 平均 平均
築15年以内 14,900万円 4,080万円 7,115万円 120㎡ 69㎡ 82㎡ 85.5万円
築15~25年 15,500万円 2,480万円 5,606万円 114㎡ 66㎡ 84㎡ 66.4万円
築25年 超 13,000万円 900万円 4,502万円 206㎡ 52㎡ 85㎡ 50.5万円

(2)一戸建

  販売価格(万円) 土地面積(㎡) 建物面積(㎡)
最大 最小 平均 最大 最小 平均 最大 最小 平均
新築 32,000万円 3,880万円 5,883万円 261㎡ 51㎡ 121㎡ 260㎡ 77㎡ 104㎡
築15年以内 22,800万円 3,180万円 9,737万円 714㎡ 33㎡ 198㎡ 222㎡ 60㎡ 118㎡
築15~25年 28,000万円 3,980万円 8,124万円 505㎡ 58㎡ 173㎡ 231㎡ 75㎡ 120㎡
築25年 超 33,000万円 698万円 8,906万円 3,717㎡ 70㎡ 493㎡ 468㎡ 59㎡ 159㎡

(3)土地

  販売価格(万円) 土地面積(㎡) ㎡単価(万円)
最大 最小 平均 最大 最小 平均 平均
徒歩10分以内 135,000万円 1,880万円 12,246万円 3,308㎡ 73㎡ 375㎡ 36.0万円
徒歩10分~20分 19,000万円 680万円 6,259万円 1,491㎡ 46㎡ 265㎡ 29.2万円
徒歩20分超・バス 30,000万円 400万円 5,479万円 7,631㎡ 100㎡ 534㎡ 16.2万円

※REINS(不動産流通標準情報システム) 2023年9月のデータをもとに集計

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3.鎌倉市の待機児童数は県内ワースト2位。大学は都内への通学も可能

鎌倉市には、16校の公立小学校、9校の公立中学校、4校の公立高校と6校の私立高校があります。大学は市内に鎌倉女子大学と、湘南鎌倉医療大学の2校がありますが、神奈川県内、都内へ通学も十分可能です。未就学児については、幼稚園・保育園・認定こども園等あわせて約60施設があります。

3-1.幼稚園・保育園・学校の数

  公立 私立
幼稚園・保育園・認定こども園等 5施設 55施設
小学校 16校 2校
中学校 9校 6校
高等学校 4校 6校
大学・短大 0校 2校

3-2. 待機児童数(2023年4月現在)

待機児童数(国基準) 28人

鎌倉市の2023年4月現在の待機児童数は、県内ワースト2位の28人でした。20人を超えるのは座間市と鎌倉市だけで、早期の改善が望まれます。小さなお子様のいる方は市役所等に確認してみることをおすすめします。

■鎌倉市の待機児童数の推移

2020年 2021年 2022年 2023年
59人 45人 15人 28人

4.神奈川県鎌倉市の住まい探しは、鎌倉駅と大船駅どちらを起点とするか検討してみよう

鎌倉は言うまでもなく日本を代表する「古都」であり、たくさんの歴史・文化遺産が現存する由緒ある街です。そうした歴史ある街並みに加え、湘南の海と三方を山に囲まれた自然豊かな街でもあり、多くの人が一度は住んでみたいと思う「憧れの街」といっても過言ではありません。鎌倉に住むことそのものがひとつのステータスと言ってもよいでしょう。

一方、鎌倉市を不動産的な視点で見てみると、鎌倉駅はJR横須賀線で品川駅まで約50分、東京駅まで約1時間の立地にあります。比較のために、東京駅から約1時間前後の他のエリアの平均地価を見てみると、神奈川県平塚市(16.3万円)、東京都八王子市(16.4万円)、埼玉県川越市(18.7万円)、千葉県佐倉市(7.4万円)など、鎌倉市(30.4万円)よりもはるかに安いことがわかります。通勤時間だけで単純比較はできませんが、鎌倉の不動産価格には「鎌倉プレミアム」とも言うべき目に見えない価値が含まれていると考えたほうがよいでしょう。それに加えて、近年ではインバウンド人気も鎌倉の地価上昇に拍車をかけており、住む街としてのハードルはますます高くなっています。

■平均地価の比較(都心から約1時間圏内)

神奈川県 鎌倉市 30.4万円
神奈川県 平塚市 16.3万円
東京都 八王子市 16.4万円
埼玉県 川越市 18.7万円
千葉県 佐倉市 7.4万円

※2023年 基準地価(㎡あたり)

このようにマイホーム購入としては多少割高であることを承知した上で、やっぱり鎌倉に住みたいという方は、まずどのエリアに住むかを検討してみましょう。最も鎌倉らしさが感じられるのはやはり横須賀線の鎌倉駅周辺です。一方、大船駅は鎌倉らしさには欠けますが、横須賀線、東海道線、京浜東北線、湘南モノレールなど6路線が乗り入れる利便性の高い駅となります。鎌倉駅を起点に、横須賀線沿線の北鎌倉や海沿いの江ノ島電鉄沿線を検討してみるか、大船駅を起点に湘南モノレール沿線の富士見町~西鎌倉方面を検討してみるかがポイントとなります。ちなみに地価は横須賀線・江ノ島電鉄沿線よりも、湘南モノレール沿線の方がリーズナブルです。

そしてもう一つはどのような物件を狙うかということです。より鎌倉らしさを求めるなら、敷地が広くゆったりとした中古一戸建などを狙ってみたいところですが、敷地が広い分価格は高めで中古だから安く買えるというわけではありません。むしろ敷地の広さや建物の趣などにそれほどこだわりのない方には、リーズナブルな新築一戸建の方がおすすめかも知れません。新築であればメンテナンスコストや保証の面でも一定の安心感があります。さらに一人暮らしやDINKSの方にはマンションという選択肢もあるでしょう。流通量はそれほど多くありませんので、新築・中古を並行して探してみるとよいでしょう。

鎌倉に住まいを購入するということは、単に家を買うということだけでなく、鎌倉という街のブランドや歴史、自然環境などを買うということであり、また1年を通じて訪れるたくさんの観光客や慢性的な交通渋滞などと付き合っていくことでもあります。観光ではなく「暮らす」という視点で一度現地を訪れ、地域に詳しい不動産会社などから情報収集してみることをおすすめします。

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