収入とライフプランから逆算!自分が「買える物件」はいくら位?

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住宅購入を検討する方が物件を探し始める際に「自分はいくらくらいの物件が買えるのか」をきちんと押さえておくことが基本となります。ここでは収入、ライフスタイルの異なる3つのモデルケースをもとに「自分が買える物件の価格」について学んでいきましょう。

1、モデルケース1 【 30代 3人家族 年収550万円 】

まずひとつ目のモデルケースは、30代の3人家族です。
◆ご主人様: 年収480万円(会社員)
◆奥様: 年収70万円(パート)

 

①この家族の可処分金額はいくら?

住宅購入の資金計画を立てる上で、まず把握しなければいけないのは「可処分金額」です。

可処分金額は、『収入-(税+社会保険料)』で計算することができます。正確には個別に計算する必要がありますが、ここでは収入の80%を可処分金額とみなします。また妻のパート収入は年間103万円を超えないことから、税、社会保険とも負担がないものとして計算します。その結果この家族の可処分金額は、480万円×80%+70万円=454万円 となります。この454万円(月37.8万円)から生活費、教育費、貯蓄などの支出を差し引いた分が住宅購入(=ローン返済)に充てられる額ということになります。

 

② 3人家族世帯の平均的な支出はいくら?

総務省の家計調査によると、3人家族の勤労世帯における消費支出(住居を除く)は、約28万1,000円/月 です。上で計算した可処分金額37.8万円から支出28.1万円を引くと、残りは9万7,000円となります。この9万7,000円が毎月のローン返済に充てられる上限になります。

 

③返済額から借入可能額を計算してみよう

それでは、毎月9万7,000円の返済でどのくらいの物件が買えるのかを見てみましょう。

ご自身で計算するときは、不動産会社や金融機関のサイトにある住宅ローンのシミュレーションや、スマホのアプリなどをご利用ください。

 

■ 毎月返済額9万7,000円の場合の借入可能額

金利タイプ 金利 借入可能額
変動金利 0.53% 3,718万円
当初10年間 固定金利 0.70% 3,612万円
全期間固定金利(フラット35 融資率9割以下) 1.37% 3,235万円

※ 元利均等・35年返済(ボーナス返済なし)
※ 上記はシミュレーションであり、実際の金利と借入可否は金融機関の審査によります

上記のように、金利タイプにより借入可能額は異なりますが、3,000万円台半ば~4,000万円弱くらいの価格帯が物件探しの目安となりそうです。エリアにもよりますが、新築戸建ては十分視野に入りますし、1,000万円台の土地と、1,500~2,000万円位で建物と考えると、注文住宅でも検討可能な予算となります。

 

④ 30代ファミリーの住宅購入で気をつけたいこと

30代ファミリーの住宅購入で気をつけたいことを2点ほど見ておきましょう。

ひとつ目は、子どもの教育方針です。30代の家族ですと子どもはまだ小学生~中学生くらいのケースが多く、今後、高校・大学などに進学するにつれ教育費の負担が増加します。進学先は公立なのか私立なのか、自宅通学なのか一人暮らしなのかなど、早いうちから話し合っておくとよいでしょう。

ふたつ目は金利タイプと頭金についてです。現在、住宅ローン金利は低水準で推移しており、フラット35が1%台前半と、長期固定金利を利用するにはとてもよいタイミングです。しかし変動金利の方が当面の月々返済額は安くなりますので、今後の収入の見通しや返済期間などを考えながら慎重に判断しましょう。

また頭金は多いに越したことはありませんが、病気や怪我など不測の事態に備えて、生活費の2~3カ月分くらいを手元に残しておくことに気をつけてください。

 

2、モデルケース2  【 20代 共働き夫婦 年収600万円 】

2つ目のケースは、20代のいわゆるDINKS。夫婦共働きの2人家族の場合です。
◆ご主人様: 年収300万円(会社員)
◆奥様: 年収300万円(会社員)

 

①この家族の可処分金額はいくら?

まずケース1と同様にこの家族の可処分金額を見てみましょう。夫婦共働きの場合には、それぞれが税・社会保険を負担しますので、合算年収の80%程度を可処分金額とみなします。したがって、この家族の可処分金額は、600万円×80%=480万円(月40万円) となります。

 

② 2人家族世帯の平均的な支出はいくら?

総務省の家計調査によると、2人世帯における平均支出(住居を除く)は、約22万6,000円/月 で、子どもがいない分支出が少なくなっています。上で計算した可処分金額40万円から支出22.6万円を引くと、残りは17万4,000円。これが毎月のローン返済に充てられる上限になります。

 

③返済額から借入可能額を計算してみよう

それでは、毎月17.4万円の返済でどのくらいの物件が買えるのでしょうか?

 

■ 毎月返済額17万4,000円の場合の借入可能額

金利タイプ 金利 借入可能額
変動金利 0.53% 6,669万円
当初10年間 固定金利 0.70% 6,480万円
全期間固定金利(フラット35 融資率9割以下) 1.37% 5,803万円

※元利均等・35年返済(ボーナス返済なし)
※上記はシミュレーションであり、実際の金利と借入可否は金融機関の審査によります

 

上記のように、5,000万円台後半~6,000万円台までがターゲットになりそうです。この価格帯であれば、マンションでも一戸建でも、都心も含め広い範囲で検討が可能です。

しかし、実際にローンが組めるかどうかはもうひとつのハードルがあります。それは金融機関が住宅ローン審査上で設けている「返済比率」というハードルです。返済比率とは、収入に占める返済額の割合(返済額÷収入)で、35%程度が上限となります。このケースでは、収入が合算で600万円ですから、600万円×35%=210万円(月17.5万円)となり、返済比率でみると金融機関の審査をクリアするギリギリのラインだと言えます。

返済比率の考え方は金融機関によって異なりますので、気になる物件があったら、複数の金融機関にローンの事前審査をしてもらうことをおすすめします。

 

④ 共働き夫婦の住宅購入で気をつけたいこと

20代の共働き夫婦が住宅を購入するときには以下のようなことに気をつけましょう。

まず、将来のライフプラン、特に子どもと働き方についてしっかり話し合っておくことです。共働きしているうちは収入に余裕がありますが、仮に子どもが生まれて妻が専業主婦になれば、世帯収入は大きく減少します。また仕事についても、転職・独立などで収入が変動する可能性がありますので、将来的にそのような計画のある方は、ある程度収入の減少を見込んで余裕のある資金計画を立てておく方がよいでしょう。

ふたつ目は、家の名義とローンについてです。共働き夫婦が収入を合算して住宅を購入する場合には、資金の負担割合に応じて家を共有持分にしなければなりません。もし単独名義にすると購入資金の贈与があったとみなされ贈与税が課税される場合があるので十分に気をつけましょう。

また共有名義の家をローンで購入する場合には、誰がローンを組むかという問題があります。1本のローンについて、夫と妻が連帯債務者となるケース、どちらかが主債務者となりもう一方が連帯保証人になるケース、夫と妻が別々のローンを組むケースなどがあり、それぞれのメリット・デメリットがありますので、専門的な知識をもったプロのアドバイスを受けることをおすすめします。

 

3、モデルケース3   【40代 5人家族(両親同居) 年収700万円 】

3番目のケースは、40代の両親との同居を視野に入れた5人家族のケースです。
◆ご主人様: 年収650万円(会社員)
◆奥様: 年収50万円(パート)

 

①この家族の可処分金額はいくら?

まずこの家族の可処分金額を見てみましょう。ケース1と同様に夫の年収の80%に妻のパート収入を合算して計算します。その結果、この家族の可処分金額は、650万円×80%+50万円=570万円(月47.5万円) となります。

 

② 3人家族+両親同居世帯の平均的な支出はいくら?

両親と同居する場合には、両親の生活費を誰が負担するのかという問題がありますが、40代夫婦ですと、両親は年金受給年齢に達している可能性が高いことから、ここでは親世帯の生活費は親が負担する前提でシミュレーションします。そうするとケース1と同様に3人家族の支出は28.1万円となり、47.5万円-28.1万円=19万4,000円が返済額の上限になります。

 

③返済額から借入可能額を計算してみよう

それでは、毎月19.4万円の返済でどのくらいの物件が買えるのかを見てみましょう。

 

■ 毎月返済額19万4,000円の場合の借入可能額

金利タイプ 金利 借入可能額
変動金利 0.53% 7,435万円
当初10年間 固定金利 0.70% 7,225万円
全期間固定金利(フラット35 融資率9割以下) 1.37% 6,470万円

※元利均等・35年返済(ボーナス返済なし)
※上記はシミュレーションであり、実際の金利と借入可否は金融機関の審査によります

 

上記のように、6,000万円後半~7,000万円台までがターゲットに入ってきます。この価格帯であれば両親との同居を前提とした二世帯住宅や広めのマンションなども十分検討可能です。

 

④40代~50代の住宅購入で気をつけたいこと

40代以降の世代が住宅を購入するときには以下のようなことに気をつけましょう。

ひとつ目は、子どもの教育費です。40代~50代は、ちょうど子どもが大学に進学する時期と重なるため、教育費の負担が最も重い時期です。この時期に住宅を購入する方は、子どもの進路や教育資金についてよく話し合っておきましょう。

ふたつ目は、リタイアメントプランです。リタイアメントプランとは、今の仕事を何歳くらいまで続け、リタイア後はどのように収入を得て生活していくのかというプランです。少子高齢化にともない高齢者も働き続ける時代へと変わりつつありますが、会社員の場合は一定年齢を超えると収入が大きく減少する可能性もあります。

この世代の多くはローン返済期間中に退職時期を迎えることから、退職金による繰り上げ返済や退職後の収入などをよく考えながら返済計画を立てる必要があります。こちらも不安があればプロに相談してみることをおすすめします。

 

4、ローンの借入金額と返済額との関係を知っておこう

ここまで見てきたように、毎月の返済可能額がわかれば、自分がいくらくらいの物件を買えるのかがシミュレーションすることができます。しかし、返済額をもう少し抑えたい、将来のために貯金もしたいというお考えもあると思います。そこで覚えておくと便利なのが「返済額早見表」です。

■返済額早見表(借入100万円あたりの返済月額 単位:円)

金額は目安であり実際の返済額とは一致しないことがあります

この早見表は借入100万円あたりの返済月額となっており、例えば金利0.5%、返済期間35年の場合、月々の返済額は2,596円になります。仮に借入が3,000万円だとすれば30倍の77,880円が月々の返済額となり、借入を100万円減らすと返済額が2,596円減ることが分かります。

自分の想定する借入条件(金利・返済期間)に合わせて、「100万円あたり返済額」を覚えておけば、物件を見ただけでおおよその返済額を計算することができ大変便利です。

 

5、全世代に共通する住宅購入のメリット・デメリット

ここまで、20代、30代、40代それぞれの住宅購入について見てきましたが、全世代に共通する住宅購入のメリット・デメリットについて金銭的な面から整理しておきましょう。

 

①持ち家のメリットは、住宅ローン控除やすまい給付金などの「優遇制度」

賃貸と比較して持ち家最大のメリットは、様々な優遇制度です。代表的なものとしては住宅ローンの残高に応じて最大500万円(50万円×10年間)の税金が還付される「住宅ローン控除」でしょう。近年では、新築はもちろん一定要件を満たせば中古の住宅やリフォームにも適用できるようになり、持ち家の大きなメリットとなっています。

また、住宅購入時に最大30万円が給付される「すまい給付金」などの支援制度もあり、2019年の消費税アップ(8%→10%)時には、景気対策として制度の拡充が検討されています。

さらに現在、住宅ローン金利は継続して低い水準で推移しているため、このような制度をうまく活かせれば、当初10年間は還付(給付)額が利息を上回る可能性もあり、コツコツ貯金して頭金を貯めてから買うよりも、金利が上昇する前に購入した方がいいという考え方も出てきています。

 

②持ち家のデメリットは、税金、修繕費などのランニングコスト

一方で、賃貸にはない持ち家のデメリットとしては、固定資産税、都市計画税などの税負担です。また、建物の維持・修繕にかかる負担も発生します。一戸建ではおよそ10~15年ごとに外壁や屋根のメンテナンスが必要ですし、マンションでは共用部の修繕費用として「修繕負担金」を毎月積み立てることになります。

このようなメリット・デメリットを理解した上で、ご自身の収入、ライフプランをベースに「いくらくらいの物件が買えるのか」を考えてみてはいかがでしょうか。