目先の金利だけで選んじゃダメ!住宅ローンの正しい選び方

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住まいを購入するときに悩むのが住宅ローン。数千万円という大きな借入にもかかわらず、安易に金利だけで選んでいませんか?正しい住宅ローンの選び方、比較方法について解説します。

 

1、住宅ローン選びで必ず押さえておきたい4つのポイント

まず、住宅ローンを比較・検討する上で、必ず押さえておきたい基本的な4つのポイントは以下の通りです。

 

1-1. 金利

ひとつ目は「金利」です。住宅ローンの金利は1年あたりの利率(%)で表示され、金利が低いほうが利息は安くなります。例えば、借入額3,000万円の場合、金利と返済額の関係は以下のようになります。金利のわずかな差が返済額に大きく影響することがお分かりいただけると思います。

 

■ 借入額3,000万円の場合の金利と返済額

金利(年) 月々返済額 総返済額
0.5% 7万8,000円 3,271万円
1.0% 8万5,000円 3,557万円
1.5% 9万2,000円 3,858万円

※元利均等35年返済(ボーナス加算なし) ※月々返済額は千円未満四捨五入。総返済額は1万円未満四捨五入。

 

1-2. 金利タイプ

住宅ローンの「金利タイプ」は、大きく「変動金利」と「固定金利」に分けられます。変動金利とは返済期間中に金利が変動するタイプ。固定金利は、借入時の金利がそのまま維持され、変動しないタイプです。その他に一定期間金利が固定される「固定金利期間選択型」や、金利タイプを組み合わせることができる「ミックス金利」と呼ばれるタイプもあります。一般的に、変動金利の方が金利は低く、固定期間が長くなるほど金利は高くなります。

 

1-3. 返済期間

「返済期間」とは、文字通りローンを返済する期間(年数)のことで、一般的な住宅ローンの返済期間は最長35年です。また、ローンを返済し終わる年齢(完済時年齢)にも条件があり、75歳~80歳くらいが多いようです。例えば完済時年齢の条件が75歳なら、75歳までにローンの返済を終えなければならないため、45歳の方の返済期間は最長30年となります。

なお以下の通り、返済期間が長いほど月々返済額は安くなりますが、総返済額は高くなります。

 

■ 借入額3,000万円・金利1.0%の場合の返済期間と返済額

返済期間(年) 月々返済額 総返済額
25年 11万3,000円 3,392万円
30年 9万6,000円 3,474万円
35年 8万5,000円 3,557万円

※元利均等返済(ボーナス加算なし) ※月々返済額は千円未満四捨五入。総返済額は1万円未満四捨五入。

 

1-4. 返済方法

住宅ローンの「返済方法」には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つがあります。元利均等返済とは、毎月の返済額(元金+利息)が一定になる返済方法。元金均等返済とは、元金の返済額が一定で、そこに利息を加えた金額を毎月返済していく方法で、ほとんどの方が元利均等返済を選びます。また、年に1~2回(例えば7月と12月)、返済額を増やす「ボーナス加算」という方法があります。以前はよく使われていた方法ですが、最近ではあまり使われなくなりました。

 

住宅ローンを比較する上では、まずこの4つのポイントを押さえておくことが重要です。

金利 金利が低いほど利息が安くなる
金利タイプ 変動金利の方が金利は低いが、将来的な金利上昇リスクがある
返済期間 返済期間が長いほど月々返済額は安くなるが、総返済額は増える
返済方法 月々返済額が一定となる元利均等返済が一般的

 

 

2、住宅ローン選びにおける金利以外の重要ポイント

昨今、住宅ローンの獲得競争は激しさを増しており、各金融機関は少しでも低い金利を打ち出し、顧客の獲得に動いています。しかし、住宅ローンの良し悪しは、金利だけでは決められるものではありません。住宅ローンを比較・検討する上で、前述の4つ以外にどんなものがあるのでしょうか。順に見ていきましょう。

 

 

2-1. 手数料

手数料は大きく分けると借入時にかかるものと、返済中にかかるものがあります。

借入時にかかる手数料は「事務手数料」「融資手数料」等と呼ばれ、借入時に一括で支払います。手数料額は金融機関や商品によって異なりますが、定額タイプ(3~5万円前後)と定率タイプ(借入額の2%前後)が主流です。

また、返済中にかかる手数料としては、繰り上げ返済手数料があります。借り換え等で一括返済した場合にも手数料がかかることがありますので、頻繁に繰り上げ返済したい方や、借り換えを視野に入れている方はチェックしておいた方がいいでしょう。

 

2-2. ローン保証料

ローン保証料は、連帯保証人を立てる代わりに保証会社と契約し「保証」を受けるための手数料です。借入の条件となっている金融機関もありますが、保証料不要というケースもあります。保証料の支払いは「全額前払い」と「金利上乗せ」の2つの方法があり、全額前払いの場合には、35年返済で「借入額の2%前後」、金利上乗せなら「通常の金利+0.2%前後」が相場です。

 

2-3. 団体信用生命保険料(団信)

団体信用生命保険(団信)とは、ローン返済中に借主が死亡してしまった場合に、保険金でローンを完済できる仕組みで、金融機関は確実にローンの返済を受けることができ、残された家族は住み慣れた家にそのまま住み続けられるというメリットがあります。

ほとんどの民間金融機関で団信加入が条件となっているため、保険料は金利等に含まれています。ただし、住宅金融支援機構の「フラット35」では加入が任意となっており、加入しない場合には金利から0.2%がマイナスされます。

 

2-4. 団信に付帯する特約保険

最近では通常の団信でカバーできない病気によるリスクを、団信の「特約保険」でカバーできる住宅ローンが多くあります。例えば3大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)や8大疾病(3大疾病+高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)により一定の状態になった時にローンの返済が免除されるなど、様々な特約が選べますが、その分の保険料として金利に0.1~0.3%前後が上乗せされます。

 

2-5. 金利優遇期間と優遇条件

「金利」を比較する上では、優遇金利が適用される期間にも注意しましょう。住宅ローンは金融機関が定める「店頭金利」を基準とし、そこからキャンペーン等による「優遇金利」を差し引いたものが実際に適用される「適用金利」となります。そして優遇金利は全期間を通じて優遇が続くものと、当初○年など期間限定のものがあります。なお、店頭金利は毎月変動します。

 

(例1)

→ このケースでは、全期間「店頭金利 ▲2.0%」の優遇を受けることができます。

(店頭金利)2.475% - (優遇金利)2.0% = (適用金利)0.475%

 

(例2)

→ このケースでは、11年目から優遇幅が小さくなります。

当初10年間:(店頭金利)3.34% - (優遇金利)2.5% = (適用金利)0.84%

11年目以降:(店頭金利)3.34% - (優遇金利)1.6% = (適用金利)1.74%

 

このように目先の金利だけではなく、優遇期間や優遇幅をしっかりと確認しておくことが重要です。また、給与振込や公共料金引き落とし、クレジットカードの発行などが条件となることもありますので合わせて確認しておきましょう。

 

 

3、複雑な住宅ローンを誰でもカンタンに比較する方法とは

このように、住宅ローンは金利だけでなく諸費用や優遇条件の組み合わせが無数にあり、一般の方にとってはなかなか比較しづらいものになっています。ここでは、こうした様々な条件を単純化し比較的簡単に比較できる方法をご紹介します。

 

3-1. 総支払額で比較する

住宅ローンの様々な条件をひとつひとつ比較していくのは容易ではなく、「結局どれが一番いいの?」ということになりかねません。そこでおすすめしたいのが、ローン返済額と諸費用を合算した「総支払額」で比較する方法です。

 

 

例えば次のような3つの住宅ローンを比較する場合を想定してみましょう。

例)借入額3,000万円。元利均等35年返済(ボーナス加算なし)

住宅ローンA 住宅ローンB 住宅ローンC
融資金利 年0.410% 年0.527% 年0.525%
事務手数料 借入額の2.2% 33万円 3万3,000円
保証料 なし なし 61万8,000円
団信保険料 (金融機関が負担) (金融機関が負担) (金融機関が負担)

 

この条件を見て、どの住宅ローンが一番お得かを判断するのは非常に難しいでしょう。しかし、それぞれの条件をもとに、返済額および総支払額を求めると以下のようになります。繰り上げ返済を想定している方はその際の手数料も加えて計算してください。

 

住宅ローンA 住宅ローンB 住宅ローンC
月々返済額 7万6,700円 7万8,000円 7万8,000円
総返済額 3,221万円 3,286万円 3,285万円
諸費用 66万円 33万円 65万1,000円
総支払額 3,287万円 3,319万円 3,350万円

※月々返済額は100円未満四捨五入。総返済額と総支払額は1万円未満四捨五入

 

このように、総支払額で比較してみると、住宅ローンAが最もお得であることがわかります。「総支払額」を使うことで、金利や条件がバラバラで比較しにくい住宅ローンも比較しやすくなるわけです。

住宅金融支援機構の「返済プラン比較シミュレーション」では、借入条件を入れるだけで3つの住宅ローンを簡単に比較することができます。

■返済プラン比較シミュレーション

https://www.simulation.jhf.go.jp/type/simulation/hikaku/openPage.do

 

 

3-2. 特約保険は同等の保険の保険料と比べて判断しよう

次に特約保険については、金融機関が非常に力を入れていることもあり、補償内容が充実してきています。しかし、あくまでも保険ですので、住宅ローンと別に加入することも可能です。同等の医療保険などと比較して、住宅ローン(団信)の特約として加入するかどうか検討してみるとよいでしょう。

 

■住宅ローン(団信)特約保険のメリット・デメリット

メリット デメリット
・年齢・性別による保険料の差がない

・単独で加入するより安いことが多い

 

・返済中は変更・解約ができない

・返済が進むと補償額が下がる

(補償額はローンの残債が限度になる)

 

3-3. その他検討するべきこと

ここまでで住宅ローンを比較する際の主なポイントと比較方法はご理解いただけたかと思います。それ以外の項目も見ておきましょう。

 

① 固定期間が終わった後の金利タイプ

固定金利期間選択型の住宅ローンを利用する場合には、固定期間が終了した後の金利タイプについても確認しておきましょう。自動的に変動金利に移行するケース、改めて金利タイプを選べるケースなどがあります。

 

② 返済期間中の金利タイプ変更

金利タイプは借入時に決定しますが、返済期間中に変更することも可能です。しかし、変更時に多額の手数料がかかったりして、実際には使いにくいこともあります。金利タイプ変更の条件などを確認しておきましょう。

 

③ ATM手数料、振込手数料などの優遇

住宅ローンを利用すると、ほとんどの場合、その金融機関が給与振込先になりますので、現金の引き出しや振り込みなども多くなります。そこで確認しておきたいのが、ATM手数料や振込手数料などの優遇です。また、金融機関によっては、独自のポイント制度などで優遇が受けられることもありますので確認してみましょう。

 

 

4、いざ購入する時に知っておきたい実践的な住宅ローンの選び方

住宅ローンの比較方法がわかったところで、いざ住まいを購入する時に役に立つ実践的なローンの選び方をお伝えします。

 

4-1. 金融機関ごとの特徴や得意分野を知っておこう

住宅ローンを取り扱う金融機関を大きく分けると、住宅金融支援機構などの住宅ローン専門機関。都市銀行を始めとする銀行・信金等。店舗を持たないネット系銀行等がありますが、それぞれに得意・不得意がありますので、知っておくとよいでしょう。住宅金融支援機構は「フラット35」という全期間固定金利の住宅ローンに特化しており、銀行・信金等は変動金利と固定金利期間選択型の商品を得意としています。ネット系銀行は、銀行・信金等よりも、金利を低く抑えた商品を得意としていますが、店舗がなく契約等はすべてネットで完結しますので、対面での説明などを希望する方には不向きかもしれません。

 

4-2. 金利や条件が有利な不動産会社の「提携ローン」

金融機関と不動産会社が提携して独自の住宅ローンを提供していることも多くあります。「提携ローン」と呼ばれ、金利や条件面で通常の住宅ローンよりも有利になっていることが多く、不動産会社の担当が窓口になってくれるので、審査もスムースに進みます。金融機関にこだわりがなければ、提携ローンの内容は一度聞いておいた方がよいでしょう。

 

4-3. 物件探しをはじめるときには早めの「事前審査」を

パンフレットやホームページなどに記載されている金利や条件はあくまでも一般的なもので、実際の借入可能額や条件は個別に金融機関に打診してみるまでわかりません。そこで物件探しの際にはできるだけ早い時期に「事前審査」してみることをおすすめします。借入可能額や条件を知っておくことで、より具体的な物件探しができますし、気に入った物件が見つかった時にスピーディに購入に進むことができます。

もちろん事前審査は無料ですし、その金融機関で借りなければならないといった制約もありません。

 

4-4. 迷ったら不動産会社か専門家にご相談を

ここまで申し上げてきたとおり、住宅ローンは金利、金利タイプ、返済方法など様々な要素が複雑に絡み合っており、一般の方が正しく比較・検討するのは簡単ではありません。まして、パンフレットやWEBサイトの金利だけを見て安易に選んでしまうと、後々「こんなはずじゃなかったのに・・・」ということにもなりかねません。

 

住宅ローンは借入額も大きく、長期に渡り返済を続けていくことになります。後悔のないよう不動産会社やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみることをおすすめします。