ネットを使った物件探しは今や当たり前になりましたが、実はワケあってネットに載らない物件もたくさんあるとか・・? その理由と探し方について詳しく解説します。
目次
1、ネットに載らない物件ってホントにあるの?まずはその理由を知っておこう
まずネットに載らない物件が本当に存在するのか、その理由とともに知っておきましょう。
1-1. ネットに載らない物件は存在する
結論から申し上げると、市場に流通している(売りに出ている)のにネットに載らない物件は多く存在します。ネットに載せて広く情報公開したほうが、より早く、より高く売れるはずなのに、あえて掲載しないのはなぜなのでしょうか。
1-2. 物件情報が流通する仕組み
その理由を知るために、物件情報が流通する基本的な仕組みを理解しておきましょう。
不動産の売買には必ず「売主」(通常は物件の所有者)がいます。新築物件の場合は不動産会社が売主になり、中古物件の場合は、個人が売主になるケースがほとんどです。個人の売主から売却の依頼を受けた不動産会社は、広く買い手を探すために、不動産会社間の情報ネットワークや、民間の不動産情報サイト、そして自社のホームページなどに掲載します。これが通常の情報流通の流れです。しかし、中にはこのルートに乗らない物件があります。
1-3. 情報公開が制限される「限定物件」が生まれる理由とそのパターン
上記のような通常のルートに乗らない物件(ここでは「限定物件」と呼びます)が、どのような経緯で生まれるのか見ていきましょう。ちなみに以下のような理由で情報公開が制限されることは不動産売買のルールに則った適法な行為ですので、念の為申し添えます。
①売主の意向により広く情報公開していない物件
売主が個人の場合、売りに出していることをご近所に知られたくない、居住中なので不特定多数の人が家を見に来たりするのは避けたい等の理由で、情報公開を控えることがあります。不動産会社は売主の意向に沿って、来店客だけに紹介したり、信用のある業者にだけ紹介したりします。
②不動産会社の意向により公開範囲を限定している物件
不動産会社が売却の依頼を受けたときには、広く買い手を探す義務が課せられますが、人気のあるエリアや、価格が相場よりも安いなど、買い手を見つけるのがそれほど難しくない物件の場合、公開範囲を限定することがあります。例えば、自社のホームページだけに公開し、SUUMOなどの情報サイトには公開しないといったケースです。民間の情報サイトに掲載するための費用は不動産会社が負担しますので、費用対効果を勘案しながら公開範囲を決めていくことになります。
③物件データ登録の期限が到来していない物件
次章で詳しく説明しますが、不動産会社が売却活動をする際には、不動産会社間の情報ネットワーク「REINS(レインズ)」に情報を登録する義務があります。しかし、その登録期限は、依頼を受けてから5~7日後となっており、その間は公開範囲が限られることになります。また、依頼の方法によっては、REINSへの登録義務がない場合もあります。
④法令等により、まだ公開できない物件
不動産の広告は法令により、広告開始のタイミングが決められており、新築物件であれば「建築確認(※)」の許可が下りた後、中古物件であれば売主から正式に書面で売却の依頼を受けた後でなければ、売り物件として広告することはできません。したがって、その前には、たとえ売却の意向があっても一般に公開することはできません。
※建築確認とは : 建物を建築する際、着工前に、建築計画が法令に適合している旨の確認を受けるための手続き。建築主が申請し、都道府県知事(または市区町村長)が任命した建築主事などが確認をおこなう。
ここまでをまとめると、限定物件は、以下のように分類されます。
①売主の意向で「積極的に公開していない」もの
②不動産会社の意向で「公開範囲を限定している」もの
③REINSへの登録期限前で「まだ公開されていない」もの
④法令等の制限により「まだ一般には広告できない」もの
こうした限定物件にうまく出会えるようになると、住まい探しの幅が広がり、条件に合う物件が見つかる確率が高まります。
1-4. 「限定物件」と「未公開物件」は同じもの?
チラシ・ネットはもちろん、来店されたお客様への図面での紹介・口頭での紹介等を含めどの広告にも掲載されておらず、一般消費者に紹介されたことがない物件のこと |
物件探しを進めていくと、よく「未公開物件」という言葉を目にしますが、「限定物件」と同じ意味なのでしょうか。本来「未公開」という用語は、不動産公正取引協議会の定義により上記のように定められています。
つまり、「未公開物件」と謳うためには、過去に一度も公開(紹介)したことのない物件でなければならず、一度でも公開(紹介)した経緯があるものは「未公開ではない」というのが正しい解釈です。しかし、チラシやホームページでは、単に「ネット会員限定で公開している」、「来店したお客様だけに紹介している」くらいの意味で「未公開物件」という用語が使われています。
したがって、「限定物件」と「未公開物件」は厳密に言えば別のもので、不動産会社がしっかり使い分ける必要があるのですが、住宅購入を検討している消費者にとっては、どちらも見てみたい物件に変わりはないでしょう。
2、不動産会社しか見れない情報ネットワーク「REINS(レインズ)」とは
不動産会社間の情報ネットワーク「REINS(レインズ)」とはどういうものなのでしょうか。
2-1. REINS(レインズ)の概要と情報登録義務
REINS(Real Estate Information Network System)は、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営する、不動産会社間の情報ネットワークで、ほぼすべての不動産会社が利用しています。売却物件がREINSに登録されると、全国の不動産会社がその情報にアクセスすることができるので、広く買い手を探すことができます。
※REINSについての詳しい情報はこちら(外部サイト)
個人から売却の依頼を受けた不動産会社はREINSへの情報登録が義務づけられますが、依頼(媒介契約という)の種類によってその内容は異なります。
■媒介契約の種類とREINSへの登録義務
媒介の種類 | 依頼先 | 自ら買主を探す | 登録義務 |
専属専任媒介 | 1社だけに依頼 | 不可 | あり(5日以内) |
専任媒介 | 1社だけに依頼 | 可 | あり(7日以内) |
一般媒介 | 複数社に依頼 | 可 | なし(任意) |
※登録義務があるにも関わらず、期限までに登録しない場合には法令違反となります。
2-2. 一般のユーザーがREINSの情報を閲覧することはできるの?
このように、REINSには多くの物件情報が登録されているわけですが、残念ながら、一般の方がこれを閲覧することはできず、あくまでも不動産会社経由での紹介になります。
ただし売却を依頼した売主は、自分の物件に限りREINS情報を閲覧することができます。
3、ネットに載らない限定物件に出会うには?
では、このようなネットに載らない物件に出会うにはどうしたらよいのでしょうか。いつくかの方法をご紹介します。
3-1. 複数の不動産情報サイトで探す
前述のように、物件情報をどのサイトに公開するかは、不動産会社が決めることになりますので、ひとつのサイトで探すよりも、複数のサイトを横断的に探したほうが、限定物件に出会える確率は高まります。「SUUMO」「LIFULL HOME’S」といったメジャーサイトだけでなく、REINSのシステムとデータ連携できる「athome」や、公的機関である不動産流通推進センターが運営する「不動産ジャパン」などをチェックしてみると、他のサイトにはない物件と出会えるかも知れません。
3-2. 不動産会社のホームページで探す
SUUMOなどの情報サイトに載らない物件が、不動産会社のホームページには載っているというケースは多くあります。なぜなら、自社のホームページなら広告費用がかからないからです。とは言え、すべての不動産会社のホームページをチェックすることは不可能ですので、希望エリアごとに2~3社程度を目安に探してみるとよいでしょう。
また不動産会社によっては、物件を閲覧するために「会員登録」が必要になることがあります。簡単なプロフィールや希望条件などを入力して登録すると、会員限定の物件も閲覧できます。また、日々更新される情報の中から、希望に合う新着物件だけをメールでお知らせしてくれる機能などもあるので、積極的に限定物件を探したい方は登録してみるとよいと思います。登録すると、電話やメール等で、希望条件や検討状況の確認などで連絡が入ることも多いようですが、希望の物件に巡り合うチャンスを増やすためには、具体的な内容を伝えておくのもよい方法だと思います。
3-3. 不動産会社の営業マンから直接紹介してもらう
最後に、最も確率が高い方法は、古典的ですが不動産会社の営業マンに直接紹介してもらう方法です。公開範囲を限定しているものはホームページなどを丹念にチェックすれば見つけられる可能性がありますが、売主の意向でネット非公開にしている物件や、REINSに登録前の物件、今後売り出される予定の物件などは、やはり営業マンから直接紹介してもらうのがスピーティで確実です。
そして、いわゆるデキる営業マンはこうした水面下の情報を広く把握していますので、いち早く情報をキャッチしたい場合には、営業マンに希望条件(エリア、予算、購入時期など)を伝えて、定期的にコミュニケーションしてみるとよいと思います。不動産の情報は鮮度が命なので、いい物件ほど水面下で動いているものです。いい営業マンとの出会いは、いい物件との出会いにつながります。
4、限定物件を探す際の注意点とは
限定物件はいわゆる「掘り出しもの」に出会えることもありますが、逆に注意する点もあります。限定物件を探す際の注意点を見ておきましょう。
4-1. 限定物件=いい物件という先入観に注意
限定物件という響きと、自分だけに紹介してくれたという特別感から、物件の実力以上に高く評価してしまう恐れがあります。限定物件だからと言っていい物件だとは限らないという気持ちをもって、過大な期待や評価はしないように気をつけましょう。
また、相場よりも異常に安い物件は、いわゆる訳アリ物件の可能性もあります。なぜ広く公開していないのか、なぜ安いのか、その理由をしっかり確認することが重要です。
4-2. 信頼できる不動産会社に任せる
不動産会社の営業マンから情報を入手したい場合には、信頼できる会社を選びましょう。会社によっては、広く公開されている物件をあえて限定物件として紹介したり、実際には売りに出ていない物件を紹介したりするケースもあるようです。地域で実績のある会社を選びましょう。
4-3. 売主に配慮する
売主の意向によってネット非公開となっている物件を紹介してもらう場合には、売主に対しての配慮を心がけましょう。他人にその情報を伝えたりすることは当然控えるべきですし、内見の時間や方法なども売主の意向に合わせることが必要です。
「ネットに載らない物件」の正体、ご理解いただけましたでしょうか?
インターネット全盛の現在でも、一般に公開されていない物件は多くあります。ネットで探してもなかなかいい物件に出会えないという方は、ぜひ一度不動産会社の営業マンに相談してみることをおすすめします。