市川市は千葉県の北西部に位置する市で、県内では千葉市、船橋市、松戸市に次いで4番目に人口の多い市です。都心から10~20キロと近く、JR総武線・京葉線、東京メトロ東西線、京成線など多くの路線が乗り入れアクセスは抜群。都心に通勤する人のベッドタウンとして発展してきた市川市には、各地に良好な住宅地が形成されており、地価上昇率は常に上位にランキングされています。
目次
1.市川市の人口は4%増、世帯数は12%増
そんな市川市の人口は、約49万人、世帯数は約25万6,000世帯。最近10年間の人口は4%増、世帯数は12%増となっています。年間の転入出者数は、転入が約1,300人上回っています。
1-1.人口・世帯数(2024/1/末日 現在)
人口 |
492,749人 |
世帯数 |
256,229世帯 |
1-2.人口・世帯数の推移
|
2015年 |
2016年 |
2017年 |
2018年 |
2019年 |
2020年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
2024年 |
人口 |
472,978 |
476,583 |
480,903 |
484,728 |
487,567 |
490,293 |
491,573 |
490,701 |
491,423 |
492,749 |
世帯数 |
227,930 |
231,580 |
235,786 |
239,621 |
243,005 |
246,624 |
249,294 |
250,346 |
252,990 |
256,229 |
※各年1月末日現在(市川市ホームページ)
1-3.転入・転出(2023年中)
転入者数 |
27,768人 |
転出者数 |
26,475人 |
※出典:2023年 住民基本台帳人口移動報告(総務省)
2.千葉県市川市の不動産情報
2-1. 土地の価格は㎡あたり40万円前後。10年で約1.5倍と大幅な上昇が続く
土地の価格(地価)については、毎年1月1日を基準とした「公示地価」と7月1日を基準とした「基準地価」が発表されています。市川市における公示地価と基準地価の平均は以下の通りです。直近の平均地価としては、約38~42万円/㎡となっており、最近10年間でプラス51%と大きく上昇しています。なお、公示地価と基準地価に5万円ほどの開きがあるのは、基準地価の評価地点に地価の高い駅前の商業地が多く含まれているためです。
■公示地価、基準地価とは?
公示地価とは、地価公示法に基づき、国(国土交通省)が、毎年1月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。基準地価とは、国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。
同年の価格を比較した場合、公示地価よりも基準地価の方が半年遅れで公表されるため、より直近の取引価格を反映していると見ることができます。なお公示地価、基準地価はともに一般の土地の取引価格の指標等として使われていますが、あくまで指標であり、実際の取引価格とは異なりますのでご注意ください。
市川市全体の地価平均(㎡あたり)
公示地価(2024年) |
378,726円 |
基準地価(2023年) |
423,539円 |
公示・基準地価の推移(平均/㎡)
|
2015年 |
2016年 |
2017年 |
2018年 |
2019年 |
2020年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
2024年 |
公示 地価 |
250,014円 |
250,388円 |
252,762円 |
259,202円 |
277,773円 |
295,821円 |
299,720円 |
309,110円 |
335,321円 |
378,726円 |
基準 地価 |
289,250円 |
294,183円 |
302,483円 |
312,616円 |
336,683円 |
352,350円 |
361,854円 |
379,328円 |
423,539円 |
– |
マップでご覧いただけるように、市内で最も地価が高いのは、市の中心部を走るJR総武線および京成線の沿線エリアで、30~40万円/㎡くらい、南部の東京メトロ東西線沿線では、30万円台前半/㎡くらい。一方、北部のJR武蔵野線や北総線の沿線では、10〜20万円/㎡とぐっとリーズナブルになります。
2-2.新設住宅着工戸数は約4,600戸。全体の約半数が分譲住宅
国土交通省が発表している新設住宅着工戸数について見てみましょう。市川市で2023年中に新築された建物は4,597戸でした。内訳としては、持ち家(注文住宅)が12%、貸家(賃貸住宅)が41%、分譲住宅が46%と、分譲住宅が全体の約半数を占めます。分譲住宅の内訳としては、一戸建が1,028戸(49%)、マンションが1,073戸(51%)と、2023年は非常にバランスよく供給されていますが、例年は一戸建の供給が多く、マンション1に対して一戸建が2~3くらいの割合となっています。
■市川市の新設住宅着工戸数(2023年)
持ち家 |
555戸 |
貸家 |
1,912戸 |
給与住宅 |
29戸 |
分譲住宅 |
2,101戸 |
計 |
4,597戸 |
2-3.市川市の住宅着工数は10年間で29%増
市川市の住宅着工数は最近10年間でプラス29%となっています。内訳としては、注文住宅がマイナス19%、分譲住宅がプラス65%、賃貸住宅がプラス21%と、注文住宅が減少し、分譲住宅が大きく伸びています。東京に近いベッドタウンである市川市は、若い世代の流入も多いため、初めて家を買う人向けの分譲一戸建などが伸びているものと考えられます。
市川市の新設着工戸数
|
2014年 |
2015年 |
2016年 |
2017年 |
2018年 |
2019年 |
2020年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
持ち家 |
689戸 |
652戸 |
592戸 |
619戸 |
590戸 |
672戸 |
675戸 |
798戸 |
630戸 |
555戸 |
貸家 |
1,576戸 |
1,681戸 |
1,823戸 |
2,396戸 |
2,349戸 |
1,837戸 |
2,512戸 |
1,732戸 |
2,444戸 |
1,912戸 |
給与住宅 |
14戸 |
26戸 |
1戸 |
1戸 |
75戸 |
2戸 |
153戸 |
3戸 |
4戸 |
29戸 |
分譲住宅 |
1,276戸 |
1,505戸 |
1,271戸 |
1,298戸 |
1,263戸 |
1,566戸 |
1,319戸 |
1,196戸 |
1,248戸 |
2,101戸 |
総計 |
3,555戸 |
3,864戸 |
3,687戸 |
4,314戸 |
4,277戸 |
4,077戸 |
4,659戸 |
3,729戸 |
4,326戸 |
4,597戸 |
※出典:国土交通省 住宅着工統計
2-4.千葉県市川市の不動産価格。新築は4,000~8,000万円台で地域によって価格差が大きい
市川市で販売されている新築マンションは、ここ数年値上がりが続いており、6,000~9,000万円台、㎡単価は90~120万円前後となっています。
中古マンションは、築15年以内で平均9,715万円(110.7万円/㎡)、築15~25年で平均4,317万円(64.5万円/㎡)、築25年超で平均2,643万円(40.2万円/㎡)前後が相場です。築浅のマンションの平均価格が高いのは、市川駅・本八幡駅直結のタワーマンションが1~2億円台で流通しているせいで、それを除けば、おおむね4,000~6,000万円くらいの相場で探すことができます。
一戸建については、新築で4,779万円、中古は築15年以内で平均4,718万円、築25年以内で4,920万円、築25年超は3,876万円となっています。
最後に土地の相場については、最寄駅から徒歩10分以内なら平均37.4万円/㎡、徒歩20分以内なら29.6万円/㎡、徒歩20分超で20.5万円/㎡となっています。
(1)中古マンション
販売価格(万円) | 専有面積(㎡) | ㎡単価(万円) | |||||
最大 |
最小 |
平均 |
最大 |
最小 |
平均 |
平均 |
|
築15年以内 |
24,800万円 |
3,380万円 |
9,715万円 |
117㎡ |
54㎡ |
81㎡ |
110.7万円 |
築15~25年 |
6,980万円 |
2,580万円 |
4,317万円 |
101㎡ |
20㎡ |
71㎡ |
64.5万円 |
築25年 超 |
13,500万円 |
480万円 |
2,643万円 |
5,618㎡ |
14㎡ |
105㎡ |
40.2万円 |
(2)一戸建
販売価格(万円) | 土地面積(㎡) | 建物面積(㎡) | |||||||
最大 |
最小 |
平均 |
最大 |
最小 |
平均 |
最大 |
最小 |
平均 |
|
新築 |
7,580万円 |
2,799万円 |
4,779万円 |
217㎡ |
47㎡ |
114㎡ |
127㎡ |
48㎡ |
98㎡ |
築15年以内 |
10,000万円 |
1,980万円 |
4,718万円 |
278㎡ |
36㎡ |
112㎡ |
181㎡ |
45㎡ |
99㎡ |
築15~25年 |
13,000万円 |
1,780万円 |
4,920万円 |
388㎡ |
47㎡ |
119㎡ |
255㎡ |
55㎡ |
107㎡ |
築25年 超 |
22,000万円 |
580万円 |
3,876万円 |
655㎡ |
40㎡ |
143㎡ |
276㎡ |
43㎡ |
102㎡ |
(3)土地
販売価格(万円) | 土地面積(㎡) | ㎡単価(万円) | |||||
最大 |
最小 |
平均 |
最大 |
最小 |
平均 |
平均 |
|
徒歩10分以内 |
39,800万円 |
1,680万円 |
5,569万円 |
1,311㎡ |
54㎡ |
169㎡ |
37.4万円 |
徒歩10分~20分 |
27,300万円 |
790万円 |
4,020万円 |
1,208㎡ |
34㎡ |
156㎡ |
29.6万円 |
徒歩20分超・バス |
7,260万円 |
380万円 |
2,753万円 |
935㎡ |
50㎡ |
150㎡ |
20.5万円 |
※REINS(不動産流通標準情報システム) 2024年4月のデータをもとに集計
~千葉県市川市の物件を見る~
3.市川市は3年連続で待機児童ゼロを達成。私学も多い文教地区で都内への通学も十分可能
市川市には、39校の公立小学校、17校の公立中学校、6校の公立高校があります。また市川駅の北側エリア、国府台から八幡にかけては東京医科歯科大学など3つの大学があり、市川学園を始めとする私立高校が7校、私立中学校が5校、私立小学校が3校ある文教地区となっており、教育環境は非常によいと言えるでしょう。もちろん都内への通学も十分可能です。
3-1.幼稚園・保育園・学校の数
|
公立 |
私立 |
幼稚園・保育園・認定こども園等 |
26施設 |
224施設 |
小学校 |
39校 |
3校 |
中学校 |
17校 |
5校 |
高等学校 |
7校 |
7校 |
大学・短大 |
0校 |
3校 |
3-2. 待機児童数(2023年4月現在)
待機児童数(国基準) |
0人 |
市川市は2023年4月現在、3年連続で待機児童数ゼロを達成しています。
4.市川市の住まい探しは、市内を3つのエリアに分けて検討してみよう
市川市は千葉県の北西部、都心から10~20kmに位置する近郊ベッドタウンで、ファミリー層、単身層ともに大変人気の高い街です。その大きな理由が抜群の交通利便性です。市川市にはJR総武線(中央線)・京葉線・武蔵野線、京成本線、都営新宿線、東京メトロ東西線、北総線の7路線が乗り入れており、東京23区以外で唯一、東京の地下鉄2路線が利用できる市です。市川駅からは総武線快速で東京駅まで約20分、本八幡駅始発の都営新宿線急行を使えば新宿駅まで約30分、東京メトロ東西線の行徳駅からは大手町まで約20分と、どの路線を使っても都心まで20~30分ほどでアクセスできます。
一方で、市川駅~本八幡駅の北部エリアは、戦前から東京(神田、日本橋、京橋など)の富裕層や、旧日本軍の高官が別荘を構える別荘地として栄え、永井荷風、幸田露伴、北原白秋、井上ひさしなど多くの文化人も住んでいたことから、千葉県でも有数の高級住宅地となっています。
■市川市の鉄道と主な道路
※出典:市川市
※東京外かく環状道路は現在開通しています
また、市内の各沿線には良好な住宅地が形成されており、駅直結のショッピングセンター「シャポー」、「ニッケコルトンプラザ」などの大型ショッピングモール、地域密着のスーパー等が点在しており、生活利便性も申し分ありません。そうした利便性の高さと、文化・歴史といった街の魅力を反映し、2021年9月に発表された基準地価では、東京圏の住宅地で上昇率トップ(+5.3%)となりました。その後も地価上昇率上位の常連で、ここ10年で地価は約50%も上昇しています。
そんな市川市の住まい探しは、まず市内を大きく3つに分け、どのエリアを選ぶか検討してみてはいかがでしょうか。
①中央エリア
中央エリアは、JR総武線の市川駅~本八幡駅の周辺エリアで、JRと並行して京成本線が走っています。市の商業・行政の中心地であり、交通利便性、生活利便性ともに申し分ありませんが、価格は市内で最も高くなります。駅周辺にはタワーマンションをはじめ、マンション・一戸建ともに多くの物件が流通していますので、幅広く検討することが可能です。古くから市川市の中心として発展してきたエリアで、私立の小中学校、大学なども近く、教育環境も良好です。利便性を重視しつつ、歴史ある街並みや居住環境にもこだわりたいという方にはおすすめです。
②南部エリア
南部エリアは、主に東京メトロ東西線の妙典駅~南行徳駅周辺のエリアです。1969年の東西線の開通を機に開発が始まった比較的新しいエリアですが、沿線には多くのマンション・一戸建が建ち並び、ファミリー層も多く住むエリアです。
駅ごとに見ていくと、行徳駅・南行徳駅は東西線開通にともない開発された街で、マンション・一戸建が混在した住宅地となっています。一方、妙典駅は2000年に開業した東西線で最も新しい駅で、その時期に大規模な区画整理が行われたので、整然とした街並みと計画的に配置された商業施設や公園などが特徴的な街です。また妙典駅は始発電車もあるので、座って通勤できるというメリットもあります。最後にJR京葉線の市川塩浜駅は、物流倉庫や工場などの近くに位置する駅ですが、当駅を最寄りとする中古マンションが点在しています。こうした駅ごとの特徴や街並みを考慮しつつ物件探しを進めていくとよいと思います。
③北部エリア
北部エリアは、主にJR武蔵野線、北総線沿線の一戸建中心のエリアで、まだ林や農地の残る自然豊かなエリアです。他の2エリアと比べて都心へのアクセスはやや落ちますが、価格は最もリーズナブルで、広めの一戸建を買ってゆったり暮らしたい方にはおすすめです。北総線の北国分駅からは京成線・都営浅草線への直通電車を使って、上野、日本橋、品川など都心主要駅にダイレクトにアクセスできます。また武蔵野線の市川大野駅からは京葉線直通電車で東京まで約40分でアクセスできるので、中心エリアのような賑わいはないものの駅に近いエリアならそれほど不便さは感じないと思います。松戸市や船橋市、鎌ケ谷市などの周辺エリアも含めて物件探しを進めるとよいでしょう。
都心に隣接するベッドタウンでありながら、歴史や文化に富み、エリアによって様々な顔をもつ市川市。近郊エリア人気の高まりとともに価格も上昇傾向が続いていますので、早めに情報収集をスタートすることをおすすめします。