
3月17日、令和8年(2026年)の公示地価が発表されました。全国平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも5年連続の上昇となり、地価の上昇が続いていることが確認されました。ただし、その中身を見ると「どこでも上がっている」わけではなく、エリアごとの“強弱”に変化が見られます。今回は首都圏の地価動向を詳しく見ていきましょう。
目次
1. 全国平均(全用途)は住宅地・商業地とも5年連続で上昇
2026年公示地価の変動率は、全国平均(全用途)が前年の2.7%から2.8%へと上昇幅を拡大しました。用途別の変動率を見ると、住宅地は、2.1% → 2.1%で変わらず、商業地は3.9% → 4.3%と、商業地が主導する形で上昇幅を拡大しました。
住宅地は、景気の緩やかな回復にともない、依然として需要は旺盛で、子育て環境の整った転入者の多い地域などで地価上昇が続いています。また商業地も、店舗・ホテル需要が堅調な主要都市や、インバウンドが増加した観光地等で上昇が続いています。
1-1. そもそも公示地価とは
公示地価とは、地価公示法に基づき、全国2万ヶ所以上の基準値の標準価格を、不動産鑑定士が調査し公表するものです。毎年1月1日時点の価格を3月中旬に発表しています。都道府県地価(基準地価)と同様、適正な地価形成を目的とし、土地取引の指標となる価格として活用されています。
1-2.三大都市圏はすべての用途で上昇。名古屋圏と地方四市では上昇幅が縮小
次に圏域別に直近1年間の地価動向を見てみましょう。

三大都市圏の全用途平均は、前年の4.3%から4.6%に上昇幅を拡大しています。用途別に見ると、住宅地が3.3% → 3.5%、商業地は7.1% → 7.8%と大幅な上昇が確認できます。
しかし、東京圏(5.2%→5.7%)と大阪圏(3.3%→3.8%)で上昇幅が拡大しているのに対し、名古屋圏(2.8%→2.3%)は縮小しています。東京・大阪と比較すると、インバウンドや再開発の勢いに差があることが要因のひとつと考えられます。 また、地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)も、2023年の8.5%をピークに、3年連続で上昇幅が縮小しています。
1-3. 2025年は、前半・後半の上昇率がほぼ一定に
また2025年の地価動向を前半・後半に分けて見ると、三大都市圏の商業地を除き、上昇率は前半・後半ともほぼ変わらず、上昇ペースが一定となっています。2024年は前半よりも後半の上昇率が高かったことを踏まえると、「上昇トレンドの転換点」に入っている可能性もあります。

また地点ごとの上昇率を見ると、東京圏ではトップ10のうち4地点を千葉県流山市、残りの6地点が港区、文京区、北区という結果になりました。コロナによる郊外人気で、一時的に上昇が鈍化していた23区が、2024年頃から再び大きく上昇し、逆に郊外エリアの上昇が和らぐ傾向が続いています。
2. 首都圏住宅地の公示地価ランキング。上昇率上位は東京23区と流山市
次に、住宅購入に最も影響がある「住宅地」の地価について詳しく見ていきましょう。 今回は首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の住宅地の地価動向について解説します。
※公示地価は市区町村ごとの住宅地の公示地価の平均で、㎡あたりの金額(円)です。
※「前年比(%)」は、市区町村ごとの住宅地の平均地価で算出しています。地点ごとの前年比を平均したものではありません。
2-1. 首都圏の上昇エリアは全体の81%。前年の80%から続伸
首都圏エリアを市町村(政令指定都市は区)別に見てみると、前年比で上昇・下落しているエリアは次の通りです。

首都圏では、上昇エリアが前年の189エリアから192エリアへ広がり、下落エリアは前年の34エリアから33エリアへと減少しました。価格上昇が広範囲に及んでいることがわかります。
2-2. 上昇率トップは東京都港区。23区外からは流山市のみランクイン
それでは、首都圏の上昇エリアと下落エリアのトップ10を見てみましょう。

首都圏トップは東京都港区で、16.9%という高い上昇率となりました。2位以下にも東京23区の街がずらりと並び、23区外からは、前年トップの流山市が、かろうじて7位にランクインしています。
11位以下も、ほぼ東京都と千葉県の市区で占められ、神奈川トップは20位の横浜市西区(8.3%)、埼玉県トップは39位の戸田市(6.1%)となっています。
このように、2026年も地価上昇の都心回帰の動きは継続していると見られます。ただし特徴的なのは、墨田区・荒川区といった比較的割安なエリアの上昇が目立つ点です。 また、これまで上昇率の高かった町田市や川口市、柏市といった近郊エリアが順位を下げている点は、需要の変化を示唆する動きとも言えます。
なお下落率トップは、4年連続で千葉県銚子市でした。下落率トップ10はほぼ千葉県の房総エリアと埼玉県の秩父エリアで占められています。
2-3. 首都圏の都県別 地価上昇率トップ5
さらに、都県別に上昇率トップ5をピックアップすると以下のようになります。

都県別に見ると、神奈川県と埼玉県は上昇率が低く、前年からほぼ横ばいで10%以上上昇している市区はありません。一方、東京都は前年の5.7%から6.5%と上昇幅が拡大しており、トップ5すべてが10%を超えています。千葉県では流山市だけが上昇率10%超となっていますが、2位以下も7~8%台と相対的に神奈川県や埼玉県よりも大きな伸びとなっています。
3. 2026年に変化の大きかったエリアはどこ?
このように2026年の公示地価は、全体としては、都心部の力強い上昇と近郊エリアのピークアウト感が特徴ですが、その中でも2026年に大きく動いた街はどこだったのでしょうか。前年から変化の大きかったエリアをピックアップしてみましょう。
3-1. 上昇が加速したエリア
前年より上昇幅が大きく拡大したエリアは以下の通りです。

2026年に上昇が和らいだのは、これまで上昇率が高かった府中市、調布市、川口市、浦安市、市川市などの近郊エリアです。これらは、数年前に大きく上昇したエリアですが、最近は割高感や過熱感が意識され、ここ2年ほど上昇率が低下しています。
3-2. 上昇の勢いが和らいだエリア
一方、前年より上昇幅が大きく縮小したエリアは以下の通りです。

2026年に上昇が和らいだのは、これまで上昇率が高かった府中市、調布市、川口市、浦安市、市川市などの近郊エリアです。これらは、数年前に大きく上昇したエリアですが、最近は割高感や過熱感が意識され、ここ2年ほど上昇率が低下しています。
4. 2026年の公示地価、エリアによる上昇の違いを見極めよう
首都圏の2026年公示地価の動向、いかがでしたでしょうか。ご覧いただいた通り、全体としては、5年連続の上昇となり上昇率も拡大していますが、上昇が横ばい、減速するエリアも増えて来ました。こうした状況のもと、これから住宅購入を検討する方が気をつけたいポイントについて解説します。
4-1.「これから上昇する街」の見極めが重要に
首都圏の不動産価格は、ここ数年大きく上昇し、都心から郊外へと波及しています。
今年の公示地価でも上昇が続いていることが確認できますが、エリアによって上昇率に変化が見られます。一昨年までは都心から30分~60分前後の近郊エリアの上昇率が高くなっていましたが、昨年から都心部の上昇幅が再び拡大しています。また、郊外では、人気の高い近郊エリアの周辺、言い換えれば「利便性は少し落ちるけど価格が安いエリア」の上昇が目立ちます。
背景には、住宅ローン金利の上昇により、より割安感のあるエリアの需要が高まっていると考えられます。一方、もともと需要の大きい都心部では、円安を背景とした海外マネーの流入や、ペアローン、超長期ローンなどを活用した高額物件の購入ニーズが引き続き堅調です。
結果として、都心部でも割安感のある城東・城北エリアや、郊外ターミナル駅の隣接エリア(四街道市や鎌ケ谷市など)などの人気が高まっています。今後さらに金利が上がれば、エリアごとの割高(安)感は、よりシビアに評価されることになり、これまであまり上昇していなかったエリアが脚光を浴びる可能性もあります。
これからマイホームを購入される方は、いわゆる人気エリアだけではなく、これから上がるエリアと、下がる可能性のあるエリアを見極めながら物件探しを進めていくことが重要です。
4-2. これからマイホームを購入する人は「金利」と「建築費」に注目
このような地価の動向に加えて、これからマイホームを購入する方は「金利」と「建築費」に注目しておきましょう。
2025年12月の政策金利の引き上げにともない、2026年4月から住宅ローン金利(変動)は約15年ぶりに1.0%台まで上昇しました。また、長期金利の上昇により、固定金利(フラット35)も約2.5%まで上昇しています。さらに、年内に1~2回の利上げが見込まれており、そうなれば2026年末の住宅ローン金利(変動)は、1.5%前後まで上昇する可能性があります。
こうした金利の上昇は、不動産価格の下落圧力となります。特に、これまで低金利を背景に価格が押し上げられてきたエリアほど、影響を受けやすい点には注意が必要です。
また、中東情勢の悪化による建築費の上昇が懸念されています。原油価格の上昇は、建材や住宅設備の製造・輸送コストを押し上げるだけでなく、円安要因にもなるため、もし紛争が長引けば、建築費の上昇がさらに加速する可能性があります。
こうした国際情勢や金利などの経済指標の動きをしっかりチェックしながら、購入のタイミングを見極めていきましょう。
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