子育て世帯に選ばれる街はどこ?人口データで見る郊外の穴場エリア

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不動産価格の上昇により、子育て世帯の住宅購入が郊外に広がっています。しかし、利便性の高いターミナル駅周辺はすでに上昇が進んでいることもあり、近年では1~2駅先のいわゆる「ずらし駅」の需要も高まっています。

そこで今回は、最新の人口データをもとに、子育て世帯に選ばれている郊外の穴場の街を探っていきます。

目次

1. 住まい探し、街選びの重要な指標「人口動態」

住まいを購入する上で重要なのが「街選び」。そして街を選ぶ際に注目したいのが「人口」の動きです。

1-1. 街選びにおいて、なぜ「人口」が大事なのか

ご存知の通り、日本は少子高齢化の真っ只中にあり、多くの街で人口が減少し、住民の平均年齢は上昇しています。働く人が減り、税収が減ればその街が衰退していくのは明らかで、多くの自治体がこうした課題に直面しています。

しかし一方で、着実に人口を増やしている自治体もあります。中でも若い世代の人口が増えている街は、住宅や商業施設が増え、教育施設や医療施設も整備され、子育て支援なども手厚くなります。今後、多くの街が高齢化により衰退していく中で、将来性のある街を見つけ出すひとつの指標が「人口」の動きなのです。

1-2. 交通機関の発達やテ価格上昇や交通機関の発達で、郊外の「ベッドタウン」が広がっている

そして最近の動きとして注目したいのが、郊外ベッドタウンの拡大です。かつては、首都圏のベッドタウンといえば、おおむね国道16号線までを指し、都心通勤者の住宅ニーズが16号線より外側まで広がることはあまりありませんでした。しかし、近年この郊外ベッドタウンが広がりを見せています。

大きな要因は、不動産価格の上昇です。ここ数年の価格上昇で、都心部での住宅購入を断念した層が、比較的価格の安い郊外エリアへと転出する傾向が強まっているのです。 またもうひとつの要因が、郊外の鉄道路線の都心への乗り入れです。少し前だとJRの「湘南新宿ライン」や「上野東京ライン」、東急東横線と副都心線、東武東上線と副都心線などが直通運転となり、近年では相鉄線とJR線・東急線との直通運転も始まり、都心にダイレクトアクセスできる街が、16号線の外側にもどんどん増えています。

1-3. 人口全体の「転入超過率」と「年少者の転入超過率」に注目

こうした、近年の環境変化によって人気が高まっている街はどこなのでしょうか。

今回着目したのは、人口全体の「転入超過率」と、年少者(0~14歳)の「転入超過率」です。

人口の増減は「自然増減(出生数-死亡数)」と「社会増減(転入数-転出数)」に分けられますが、街の人気度を測る上では、他エリアからの転入、つまり社会増減が重要になります。しかし、単純な「転入数」は自治体の規模(もともとの人口)が大きいほど大きくなるため、今回は「年間の転入超過数÷人口」(※)で転入超過”率”を算出し、ランキングしました。

※転入超過数:(転入数-転出数)

また、子育て世代の人気度については、「年少者(0~14歳)の転入超過数÷年少者の人口」で算出した、年少者の転入超過率をもとにランキングしました。

今回は首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)を対象に、この2つのランキングから、規模は小さくてもキラリと光る街、大人にも子どもにも支持される街を探ってみたいと思います。

本コラムのランキングは、下記のデータをもとに筆者が作成したものです。
住民基本台帳人口移動報告(令和7年結果)および、住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和7年)
※日本人と外国人を合わせた総数
※ランキングは市町村単位(政令指定都市は区単位)
※人口は2025(令和7)年1月1日現在。人口3万人以下の自治体は除外しています。

2. 首都圏の転入超過率が高い街ランキング

それでは早速、ランキングを見ていきましょう。

2-1. 転入超過率が高い街トップ10(首都圏)

まず、首都圏で転入超過率の高い自治体トップ10は以下の通りです。

転入超過率が高い街トップ10

上表の通り、首都圏トップ10のうち、都心部からは東京都中央区のみが5位にランクインしています。これは、大型マンション「晴海フラッグ」の入居があったことが影響していると考えられますが、中央区以外は、ほとんど都心30キロ圏内の近郊エリアで占められており、利便性の高い郊外の中心都市が多くランクインしています。

注目されるのは、2位の清瀬市です。多摩北部に位置する人口7万5,000人ほどの比較的小さな市で、農地も残るのどかな街ですが、清瀬駅から池袋駅まで30分前後でアクセスでき、価格も比較的リーズナブルなことから、流入が増えていると推測されます。

全世代を対象にした社会増加では、就職や進学を機に転入する単身者も含まれるため、都心へのアクセスがよいエリアが上位に入りやすい傾向があります。

2-2. 年少者(0~14歳)の転入超過率が高い街トップ10

次に子育て世帯のランキングを見てみましょう。ここでは年少者(0~14歳)だけを対象に、転入超過率をランキングしてみました。

年少者に絞ってランキングすると、前述の全世代のランキングと顔ぶれがガラリと変わり、共通しているのは清瀬市とさいたま市緑区のみとなります。

トップの清瀬市は、前述の通り利便性の高さや自然環境、価格とのバランスなどがよい街で、広い世代に人気が高まっていることがうかがえます。また、2位の町田市は、言うまでもなく多摩エリアのビッグターミナルで、常に子育て世帯の人気上位にランキングされる街です。

しかし、3位以下を見ると、これまで子育て世帯に人気の高かった藤沢市や川口市、流山市、柏市などはランクインしておらず、やや都心から距離のある多摩西部の街が多くランクインしています。これは、川口や流山といったターミナル駅のエリアの価格が上昇したことで、子育て世帯の需要が、比較的リーズナブルな各停駅や、さらに外側のエリアに移っていることが要因と考えられます。

また、東京都内の自治体が多くランクインしている背景には、東京都の子育て・教育支援の手厚さも関係している可能性があります。東京都では、0〜18歳を対象に月額5,000円を支給する「018サポート」や、高校授業料の実質無償化、学校給食費の負担軽減など、子育て世帯の教育費負担を抑える施策が進んでいます。

こうした「東京都内に住むメリット」を享受しながら、比較的手の届きやすい価格帯で住まいを探せることが、多摩エリアに子育て世帯が集まる理由のひとつになっているのかもしれません。 ランキング上位の街の多くは、都心まで1時間前後かかるものの自然が豊かで、価格も都心部の半分~2/3程度。広めの一戸建てを購入し、のびのびと子育てしたい方にとっては、魅力的な選択肢と言えるでしょう。

2-3. 首都圏エリアの都県別トップ5

さらに、この年少者の転入超過率が高い街を都県別にランキングすると以下のようになります。

都県別に見ても、東京都は多摩西部、神奈川県は三浦半島の葉山町や湘南西部の大磯町・南足柄市、埼玉県も杉戸町や加須市など、都心から距離のあるリーズナブルな街が多くランクインしています。

なお、年少者の転入超過“数”だけで見ると、トップ3は町田市、八王子市、柏市で、住みたい街としておなじみの街が並びます。 上記のランキングには、転入者の絶対数がそれほど多くない小規模な街も含まれるため、「誰もが知る人気の街」とは少し異なりますが、子育て世代にとっては、キラリと光る魅力的な街なのかも知れません。

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3. ランキング上位の街の価格相場

次に年少者の転入超過率が高かった街の価格相場を見てみましょう。

3-1. 土地価格の相場

まず、2026年公示地価(公示地点がないエリアは基準地価)をもとに、各都県の上位エリアの土地価格(㎡単価)を見てみましょう。

出典:2026年公示地価2025年基準地価より作成

グラフの通り、多くのエリアで㎡あたり10~20万円前後の価格帯が中心となっていますが、南足柄市、杉戸町、加須市、いすみ市など10万円を切るエリアも見られます。

注文住宅を建てることを前提に100㎡の土地を買う場合、土地代は1,000~2,000万円前後、建物を含めても4,000~5,000万円前後の予算感となりますので、子育て世帯には検討しやすい価格帯と言えます。

3-2. 新築戸建の相場

北次に新築戸建の相場を見てみましょう。

出典:アットホーム「新築一戸建相場」より作成 (いすみ市は調査時点でデータなし)

グラフの通り、土地・建物の合計で2,000万円台後半から4,000万円台前半がボリュームゾーンとなっています。23区では中古マンションが1億円超えと言われる中で、利便性はやや落ちても、この価格で新築戸建が買えるのは大きな魅力と言えるでしょう。

3-3. 子育て世帯が買いやすい価格帯は3,000~4,000万円台

このように、子育て世帯の需要は「総額3,000~4,000万円台」に集まる傾向があります。 その理由のひとつは、住宅ローンの返済額が子育て世帯にとって「ちょうどいい」からです。一般的に、初めての住宅購入では、支払っている家賃の額が購入予算の目安となることが多いため、下表の通り、月々10~15万円くらいの返済で買える物件やエリアに需要が集中しやすいのです。

3-4. 都心部はペアローンや超長期ローンが主流に

一方、価格が1億円を超えるような都心部での住宅購入では、夫婦2人で借入・返済をおこなう「ペアローン」や、返済期間が35年を超える「超長期ローン」の利用が増えています。利便性や資産価値を重視したい方は、こうしたローンを活用した購入を検討してみてもよいでしょう。

(関連記事)もう金利だけでは選べない!?団信・ペアローン・超長期など住宅ローンの新潮流

4. 子育て世代の街選びは、人気エリアの少し外側が狙い目

今回は、最新の人口データから子育て世代に人気の穴場の街を探ってみました。

街選びをする上で、人口の増減はとても重要な要素になりますが、単に転入の多い街と、子育て世帯の転入が多い街では、少し傾向が異なることがお分かりいただけると思います。

単身者を含めた全世代の増加率が高い街は、比較的都心部に近い利便性の高い街が多く、年少者の増加率が高い街は、もう少し外側の郊外エリア、つまり、そこそこ便利でありながら、自然が豊かで、価格とのバランスのよい街が選ばれる傾向があります。

また、こうした街の中には、自治体独自の支援制度を設けているところもあり、例えば出産時の給付金や子どもの医療費無償化といった子育て支援や、若いファミリー世帯の住宅取得や三世代同居(近居)支援など、若年ファミリーの移住・定住を積極的に後押ししています。

そして何よりも、こうした少し外側の小さな街は、あまりメディアなどにも取り上げられないため、近郊エリアやターミナル駅周辺と比べて上昇が緩やかで、「値上がり前」の水準を維持しているエリアもあります。住環境のよい新築住宅を安く購入したい方には狙い目のエリアと言えるのではないでしょうか。

ご希望の予算でなかなかいい物件が見つからないという方は、ぜひ希望エリアの少し外側にも目を向けてみましょう。思ってもみなかったような穴場の街が見つかるかも知れません。

各エリアの相場情報や物件探し、住宅ローンのご相談は、お近くの住宅情報館までお気軽にお問い合わせください。

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