【2026年度版】定年後のセカンドライフは郊外へ?シニア世代の住み替え人気エリアとは

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最近では「人生100年時代」と言われ、定年後のセカンドライフをどう過ごすかが注目されています。中でも住まいは暮らしのベースとなるもので、充実したセカンドライフには欠かせない要素です。そこで今回は、首都圏でシニア世代の住み替えに人気のエリアはどこなのか、また住み替えのポイントなどについて解説します。

目次

1. セカンドライフの住まいは都心から郊外へ。シニア世代の人口移動

まず、総務省の人口調査から2025年のシニア世代(65歳以上)の住み替え傾向について見てみましょう。首都圏でシニア人口の転出・転入が多い街をランキングしました。

1-1. 首都圏でシニア世代の転出の多い街ランキング

まず転出が多いエリアを市町村別(政令指定都市は区別)に見てみましょう。

※転入超過数は、「転入数-転出数」で算出され、マイナス(▲)の場合は、転出超過であることを示しています。

■シニア世代の転出超過数 首都圏トップ10
順位 市区町村 転出超過数(人)
1東京都大田区▲845
2東京都世田谷区▲764
3東京都江東区▲747
4東京都豊島区▲711
5東京都品川区▲704
6東京都新宿区▲661
7東京都杉並区▲507
8東京都渋谷区▲503
9東京都目黒区▲500
10東京都中野区▲498

出典:住民基本台帳人口移動報告(令和7年結果)より作成
※マイナス(▲)は転出超過を表す

意外なことに、首都圏でシニア世代の転出が多い街は、すべて東京23区、特に城南~城西エリアが目立ちます。トップ20で見ても、11~17位までが東京23区、東京都以外は18位の千葉県市川市、20位の横浜市鶴見区のみとなっています。

1-2. 首都圏でシニア世代の転入の多い街ランキング

次に、首都圏でシニア世代の転入の多い街を見てみましょう。

■シニア世代の転入超過数 首都圏トップ10
順位 市区町村 転入超過数(人)
1東京都八王子市420
2埼玉県深谷市394
3東京都青梅市375
4神奈川県藤沢市299
5横浜市都筑区288
6相模原市中央区279
7東京都立川市273
8千葉県柏市271
9神奈川県平塚市265
10相模原市南区249

出典:2025年 住民基本台帳人口移動報告(令和7年結果)より作成

一方、シニア世代の転入が多い街は、東京の多摩エリア、神奈川の湘南エリア、相模原市など、ほとんどが都心から20~40キロ圏の郊外エリアとなっています。 シニア世代の住み替えと言えば、郊外の一戸建から都心のマンションというイメージが強いですが、データを見る限りまったく逆の傾向で、むしろ都心から郊外に移り住む方の方が多いようです

1-3. なぜシニアは郊外に移り住むのか?転入上位の街の共通点とは

ではなぜシニア世代は郊外に移り住むのでしょうか。転入の多い街の共通点を探ってみましょう。

まず、いずれの街も「郊外」とは言え、比較的大きな街であることが挙げられます。電車・バスなどの公共交通や、ショッピングモールやスーパーなどの商業施設、病院などの医療施設も充実した、いわば郊外の中心とも言える街です。

また内閣府の調査によれば、65歳以上の就業者数および就業率は上昇しており、特に65歳以上の就業者数は21年連続で前年を上回っています。

図1-2-1-4 年齢階級別就業者数及び就業率の推移

(万人) (%) 0 200 400 600 800 1,000 365 189 129 401 194 136 438 187 145 444 207 155 441 246 174 428 275 188 413 296 194 399 314 196 386 316 211 383 303 228 390 292 248 40.141.542.8 44.346.648.4 49.650.350.8 52.053.6 24.024.925.0 27.230.232.2 32.532.633.5 34.035.1 8.18.38.7 9.09.810.3 10.410.511.0 11.412.0 平成26(2014) 27(2015) 28(2016) 29(2017) 30(2018) 令和元(2019) 2(2020) 3(2021) 4(2022) 5(2023) 6(2024) (年) 65~69歳の就業者数 70~74歳の就業者数 75歳以上の就業者数 65~69歳の就業率(右目盛り) 70~74歳の就業率(右目盛り) 75歳以上の就業率(右目盛り)

資料:総務省「労働力調査」
(注1)年平均の値
(注2)「年齢階級別就業率」とは、各年齢階級の人口に占める就業者の割合をいう。

グラフの通り、65~69歳では53.6%(ほぼ2人に1人)、70~74歳でも35.1%(ほぼ3人に1人)が働いているという結果が出ています。 こうしたことから、シニア世代の住み替えは、いわゆる「定年後の田舎暮らし」を求めているわけではなく、リタイヤ後も仕事を通じて緩やかに社会と接点を持ちながら、都市の利便性を享受しつつ、たまには観光地や都心部へのお出かけも楽しみたいといった、アクティブなニーズが浮かび上がってきます。

1-4. 不動産価格が安いのも郊外エリアの魅力

しかし、金銭面では定年後に収入が減少したり、人によってはまだ住宅ローンが残っていたりと、こうしたアクティブな暮らしを実現するのは簡単ではありません。

そこで、注目したいのが郊外エリアの不動産価格です。先ほどのランキングの「転出上位エリア」と「転入上位エリア」の不動産価格(地価)を比較してみると、郊外に移り住む理由が見えてきます。

■転出・転入上位エリアの地価比較
転出上位エリアの地価 転入上位エリアの地価
市区町村 地価(円/㎡) 市区町村 地価(円/㎡)
東京都大田区 647,600 東京都八王子市 131,300
東京都世田谷区 779,900 埼玉県深谷市 43,600
東京都江東区 661,500 東京都青梅市 98,600
東京都豊島区 912,100 神奈川県藤沢市 229,600
東京都品川区 1,244,100 横浜市都筑区 317,600

出典:2026年 公示地価(㎡あたり・円) ※「住宅地」の平均価格

上表の通り、転出上位エリアと転入上位エリアでは、地価に4倍~7倍もの差があることがわかります。仮に都心部に家を持つシニア世代が、その家を売却して郊外に移り住むとすれば、売却した利益で住み替え後の住まいを購入し、余ったお金は老後資金としてストックできる可能性もあります。さらに、不動産価格に比例する固定資産税や、食料品などの物価も郊外の方が安いため、日々の生活コストも削減

上表の通り、転出上位エリアと転入上位エリアでは、地価に大きな差があることがわかります。仮に都心部に家を持つシニア世代が、その家を売却して郊外に移り住むとすれば、売却した利益で住み替え後の住まいを購入し、余ったお金は老後資金としてストックできる可能性もあります。 さらに、不動産価格に比例する固定資産税や、食料品などの物価も郊外の方が安いため、日々の生活コストも削減できます。こうした都心と郊外の生活コストの差がシニア世代の郊外移住を後押ししている要因のひとつと考えられます。

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2)年代別・都道府県別の転入超過数ランキング

次に、シニア期を3つの段階に分けてもう少し細かく見ていきましょう。そろそろ定年退職が視野に入る50~60代、定年後でも仕事や趣味にアクティブに活動できる60~70代、そして介護などの支援が必要になる70~80代と、住み替えのタイミングによるエリア選びを考察してみたいと思います。

2-1. 定年を間近に控えた世代55~64歳

まずは、そろそろ定年が視野に入る50代後半~60代前半の世代です。転入超過数の上位5位を都道府県別にランキングしてみました。

■都県別 シニア世代の転入超過が多い市区町村ランキング
東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県
1 八王子市 秦野市 ふじみ野市 八千代市
2 青梅市 相模原市中央区 川越市 柏市
3 東大和市 小田原市 加須市 木更津市
4 清瀬市 平塚市 鴻巣市 我孫子市
5 町田市 茅ヶ崎市 さいたま市見沼区 市原市

出典:2025年 住民基本台帳人口移動報告(令和7年結果)より作成

東京都は、やはり八王子を筆頭にすべて多摩エリア、神奈川県は県央部と湘南エリア、埼玉県も県央・西部を中心とした郊外エリア、千葉県も北西部と内房エリアのベッドタウンが上位となっています。 近年、定年年齢の引き上げは進んでいるものの、現在も60歳定年と継続雇用制度を組み合わせている企業は少なくないので、比較的早いタイミングで退職した方が住み替えていると考えられます。都心から比較的離れたエリアが多いのは、前述の経済的メリットに加え、「早期退職して老後は◯◯で暮らしたい」など、リタイヤ後のライフプランがはっきりしている方が多いからなのかも知れません。

2-2. 定年後のアクティブシニア世代 65~74歳

次に、60代後半~70代前半のいわゆるアクティブシニア世代です。

■都県別 シニア世代の転入超過が多い市区町村ランキング
東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県
1 八王子市 平塚市 深谷市 千葉市若葉区
2 多摩市 小田原市 上尾市 八千代市
3 立川市 相模原市中央区 さいたま市緑区 千葉市緑区
4 青梅市 秦野市 さいたま市北区 印西市
5 東久留米市 横浜市中区 ふじみ野市 柏市

出典:2025年 住民基本台帳人口移動報告(令和7年結果)より作成

この世代も東京都は八王子市がトップ、他の県では政令指定都市(横浜市・相模原市・さいたま市・千葉市)がランクインしてきました。この年代はまだ仕事を続けたいという方も多いので、求人が多く、都市部へのアクセスのよいエリアが選ばれているのかも知れません。

2-3. 第三者の支援が必要になり始める世代75~84歳

最後に、そろそろ何らかの支援が必要になる75~84歳の世代です。

■都県別 シニア世代の転入超過が多い市区町村ランキング
東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県
1 八王子市 藤沢市 深谷市 松戸市
2 立川市 横浜市都筑区 さいたま市緑区 柏市
3 青梅市 相模原市南区 ふじみ野市 千葉市緑区
4 町田市 横浜市戸塚区 本庄市 千葉市中央区
5 足立区 平塚市 熊谷市 千葉市稲毛区

出典:2025年 住民基本台帳人口移動報告(令和7年結果)より作成

ここでも東京都は八王子市がトップとなっていますが、5位に足立区が入り、一部に都心回帰の兆しもうかがえます。また、神奈川県、埼玉県、千葉県でも、政令指定都市の比率が高く、全体として郊外の中心都市が志向されているように見えます。 仕事のリタイヤや体力の衰えとともに、子どもと同居・近居する方が増えたり、医療機関の充実した都市部のニーズが高まったりという事情があるのかも知れません。

そんな中でも、東京都八王子市・青梅市、神奈川県平塚市、埼玉県ふじみ野市、千葉県柏市はすべての年代を通してトップ5にランクインしており、シニア世代にとっての暮らしやすさと価格のバランスのよい街と言えそうです。

3)セカンドライフの住まい、3つの選択肢とは

セカンドライフにおすすめの街がわかったところで、現在持ち家にお住まいのシニア世代の方が、住み替えの際にどんな家を選べばよいのか、3つの選択肢について考えてみましょう。

3-1. 今の住まいに住み続ける

まずひとつ目は、現在の住まいに住み続けるという選択です。住んでいる地域に不満がなく、住み慣れた土地を離れたくないという方におすすめです。

しかし、現在の家に住み続けるならば、いずれは老朽化した設備(キッチン・トイレ・浴室等)の交換や、バリアフリー化などのリフォームが必要になってきます。 また、子どもが独立し夫婦2人の生活となると、広さや間取りもだんだん暮らしに合わなくなってきますので、できるだけ早い時期にリフォームを検討しましょう。

3-2. 今の住まいを建て替える

2つ目の選択肢は、今の住まいの建て替えです。建物の老朽化が進んでいてリフォームでは対処できない方や、家のサイズや間取りを大きく変更したい方などにおすすめです。

現在の敷地が広ければ、土地の一部を売却し、そのお金でコンパクトな平屋に建て替えるなどの方法も考えられます。 建て替えはリフォームと異なり、建物の耐震性や断熱性、設備、間取りなどを一新できるのが大きなメリットで、長期保証もつきますので安心感があります。また、低利のローンや税金の控除、補助金など、新築ならではのメリットもあります。リフォームと比較しながら検討を進めてみましょう。

3-3. 今の住まいを売却して住み替え

3つ目の選択肢は、今の住まいを売却しての住み替えです。住み替えのメリットは、住む場所と住まいを同時に一新できることです。現在の住まいが「駅から遠い」、「買い物が不便」など場所に対する不満をお持ちの方にはおすすめです。

例えば、広すぎる郊外の一戸建から駅近のコンパクトなマンションに住み替えれば、車が要らなくなったり、家事の負担が減ったりと生活そのものが大きく変わります。

また、前述の通り、都心から郊外に移り住めば、売却したお金の一部を老後資金としてストックできる可能性もありますので、地価が高いエリアにお住まいの方は積極的に検討してみるとよいと思います。

4)シニア世代の住み替えで気をつけるべきこととは

最後に、シニア世代が住み替えやリフォームを検討する上での注意点などについて解説します。

4-1. シニア世代が住み替える場合の資金計画

シニア世代の住み替えでもっとも重要なの「資金計画」です。定年退職後は収入が減少しますので、できるだけ自己資金を入れて多額のローンは避けましょう。ただし、一定の老後資金は手元に残しておくことも大切です。老後のライフプランをしっかり検討し、無理のない資金計画を立てるようにしましょう。

最近では、月々の返済は利息のみで、契約者が亡くなった時に自宅を売却して借入を返済する「リバースモーゲージ型住宅ローン」など、シニア向けの住宅ローンを提供する金融機関も増えています。自己資金だけでは厳しいという方や、老後資金を多く手元に残したいという方はこうしたローンを検討してみるのもよいと思います。

関連記事:人生100年時代!シニア世代の住み替えと「リ・バース60」の活用法

4-2. 住み替え先のエリアの選び方

シニア世代の住み替えでは、できるだけ地域の中心駅・ターミナル駅などを選ぶ方がよいでしょう。将来的に車を使えなくなっても、こうしたエリアなら公共交通や徒歩で生活することができます。逆に過疎化が進んでいるエリアでは、公共交通が廃止されたり、商業施設が撤退したりする可能性があります。

特に郊外エリアのターミナル駅は、利便性は都心とほぼ変わらず、不動産価格は半分~1/3程度の物件もあるので、積極的に検討してみるとよいと思います。

人生100年時代と言われる今、定年退職後も人生は20~30年続くことになります。充実したセカンドライフを送るためにも、積極的に住まいの住み替えを検討してみてはいかがでしょうか。 住宅情報館では、住まいの建て替え、売却、住み替え、リフォーム、住宅ローンなど、すべてワンストップでサポートしております。ぜひお近くの店舗までお気軽にご相談ください。

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執筆者プロフィール
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住宅・不動産ライター
四宮 雅樹

不動産・建築業界で約11年の実務経験を積んだ後、不動産情報メディア運営会社で営業、事業開発、経営企画などに約13年間従事。
業界実務と不動産メディア運営の知見をもとに、住まい・不動産・注文住宅・リフォームなどの専門的なテーマを、読者にわかりやすく伝わるコラムとして執筆している。
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