10年で約2倍!今、平屋住宅が人気!そのメリットと知っておきたいポイントとは?

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今、平屋住宅の人気が高まっています。この10年間で、着工数は約2倍、平屋の割合は約2.7倍まで増加しています。なぜ今平屋が注目されているのか、そのメリットと建てるときのポイントについて解説します。

目次

1. 平屋住宅とは?その特徴と魅力

平屋とは1階建ての住宅のことをいいます。かつては、日本でも平屋の住宅が数多くありましたが、現在は2階建て以上が主流となりました。しかし今、平屋の人気が高まっています。平屋住宅の魅力について見ていきましょう。

1-1. ワンフロアの暮らしやすさと開放感が最大の魅力

平屋の最大の魅力は、暮らしやすさと開放感です。生活空間がワンフロアにまとまり、上下階への移動がないため、家の中の移動が楽で、家事動線もシンプルになります。また、天井を高くしたり、勾配屋根をそのまま見せたりと上下方向に大きな空間を作ることが可能です。さらに、階段がないため余計な廊下やドアが不要となり、横方向にも大きな広がりを出すことができます。こうして生まれる大きな空間こそが、平屋ならではの開放感につながっています。上下階の移動のないバリアフリーの住まいは、子どものいる家庭や、シニア世代にとって開放的で安全な住まいとなります。

1-2. 平屋は構造的に地震・災害に強い

一般的に、建物は重心が低いほど地震に強いと言われています。平屋は2階建てに比べて重心が低く、建物の重量も軽いため、耐震性が高いという特徴があります。また、建物の高さが低く風を受ける面が少ないため、台風など風の影響も受けにくいとされています。さらに、階段の上り下りが不要な1階だけの生活空間のため、万一の火災などの際にも避難しやすいという特徴があります。

1-3. 家族の顔が見えてコミュニケーションが取りやすい

平屋は家族のコミュニケーションが取りやすいという魅力があります。2階建てではどうしても上下階のコミュニケーションが取りにくくなりますが、平屋はどこにいても家族の気配を感じることができ、子どもにも目が届きやすいので安心です。

このほかにも、平屋住宅のキーワードとして「広い庭」、「日当たり」、「広縁」等々、比較的「のんびり」もしくは「ゆったり」とした暮らしをイメージする言葉が並びます。ゆるやかな日差しと木のぬくもりを感じる広縁に座り、庭の草花や樹木を見ながら、のんびり過ごす・・・まさに四季を感じながら暮らせる住まいの醍醐味です。

1-4. 平屋の着工数と割合は年々増加。平屋を選ぶ人が4人に1人に

国交省の建築着工統計調査によれば、平屋住宅の着工戸数は年々増え、2016年の37,947戸から、2025年の80,977戸へと約2.1倍に増加しています。また、平屋建、2階建、3階建の着工数に占める平屋の割合も、この10年間で、8.4%から22.8%へと大幅に増加しています。

平屋建の着工数と割合 平屋建(戸) 平屋建の割合 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 25.0% 20.0% 15.0% 10.0% 5.0% 0.0% 37,947 41,505 44,451 48,585 46,334 55,828 57,022 57,848 61,345 80,977 8.4% 9.2% 9.9% 10.7% 11.4% 12.6% 13.7% 15.2% 17.0% 22.8% 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年

出典:建築着工統計(国交省・2025年) より作成
※「居住専用住宅」のうち、1階建の戸数および1~3階建に占める1階建の割合

また、リクルート社の調査によれば、注文住宅の建築者で「平屋の住宅」を選んだ割合も年々増加しています。2021年の14.4%から2025年には25.3%まで伸びており、実に4人に1人が平屋という結果が公表されています。なお、この数値は注文住宅を建てた人を対象とした調査によるもので、住宅全体を対象とする国交省の統計(22.8%)とは調査対象が異なる点にご留意ください。

■ 新居の階数 建築者(全国)

【単一回答】

2021 建築者 (全国) 2022 建築者 (全国) 2023 建築者 (全国) 2024 建築者 (全国) 2025 建築者 (全国) 100% 80% 60% 40% 20% 0% 25.3 69.2 5.0 0.4 0.2 平屋建て 2階建て 3階建て 4階建て以上 その他
n= 平屋建て 2階建て 3階建て 4階建て以上 その他
2025 建築者
(全国)
(1,342) 25.3 69.2 5.0 0.4 0.2
2024 建築者
(全国)
(1,540) 22.1 70.3 6.9 0.5 0.1
2023 建築者
(全国)
(1,773) 20.6 73.7 5.7 0.1
2022 建築者
(全国)
(1,856) 17.6 76.2 5.7 0.4 0.1
2021 建築者
(全国)
(1,884) 14.4 79.1 5.9 0.5 0.2

(%)

出典:リクルート「2025年注文住宅動向・トレンド調査

また同調査によると、平屋を選んだ理由トップ3は以下の通りです。

1位「老後も暮らしやすいと思ったから」72.6%
2位「家事がしやすいから」44.3%
3位「家族とつながりやすいから」21.4%

また、世代別でみると、30代以降は年齢が上がるほど平屋を選ぶ傾向が強いことがわかります。

20代 21.1%
30代 20.9%
40代 26.6%
50代 34.6%
60代 38.5%

2. 平屋住宅の割合は全国で22.8%、大都市で平屋住宅が普及しない要因とは

このように、近年人気が高まっている平屋住宅ですが、その割合は22.8%で、2階建の67.8%(同統計より推計、残りは3階建)と比べると大きな開きがあります。平屋住宅が広く普及しない要因は何なのでしょうか。

2-1. 平屋住宅が多いエリア、少ないエリアはどこ?

国土交通省の建築着工統計によれば、都道府県別の平屋住宅の割合は以下の通りです。

都道府県別 平屋建の割合 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0% 70.0% 22.8% 26.0% 37.1% 33.8% 14.9% 31.8% 35.7% 27.5% 38.4% 32.9% 40.5% 12.2% 15.0% 3.9% 5.8% 38.5% 49.2% 35.6% 33.6% 34.9% 33.9% 39.3% 24.8% 16.1% 38.2% 19.1% 12.3% 9.1% 13.8% 16.4% 33.1% 39.5% 36.2% 28.0% 19.4% 49.8% 34.8% 55.0% 41.0% 30.3% 29.0% 47.1% 46.6% 39.2% 42.9% 63.8% 59.8% 41.7% 全国 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 富山県 石川県 福井県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県

出典:建築着工統計(国交省・2025年) より作成
※「居住専用住宅」のうち、1~3階建に占める1階建の割合(棟数ベース)

グラフからわかるように、平屋の割合が最も低いのは東京(3.9%)ですが、神奈川県、大阪府でも10%未満、宮城、埼玉、千葉、愛知、京都など、大都市と近郊エリアでも20%未満と、あまり普及していないことがわかります。それに対して、四国や九州では50%を超える県もあり、地域によってかなり開きがあります。

2-2. なぜ大都市では平屋が普及しないのか?

このように平屋住宅の人気が高まる一方で、大都市の多くで10〜20%台にとどまっている要因は何なのでしょうか?

①土地の広さと地価

1つ目の要因は土地の広さと地価です。前述のような「ゆったり」「のんびり」した平屋でスローライフを楽しむためには、ある程度の広さの土地が必要になりますが、そこで問題になるのが土地の価格です。仮に165㎡(約50坪)の土地を想定した場合、首都圏の公示価格からおおよその土地価格を求めてみると次のようになります。

■165㎡(約50坪)の土地を購入した場合の概算価格

エリア 土地価格
中野区(東京) 1億2,910万円
世田谷区(東京) 1億2,870万円
江東区(東京) 1億910万円
立川市(東京) 5,090万円
八王子市(東京) 2,170万円
川崎市(神奈川) 5,270万円
藤沢市(神奈川) 3,790万円
相模原市(神奈川) 3,200万円
小田原市(神奈川) 1,690万円
川口市(埼玉) 4,370万円
ふじみ野市(埼玉) 3,470万円
春日部市(埼玉) 1,480万円
船橋市(千葉) 3,280万円
流山市(千葉) 3,210万円
市原市(千葉) 910万円

出典:2026年公示地価より作成

このように、東京23区内では土地だけで1億円を超えるので、大都市で平屋が普及しにくいのは、地価が高く、広い土地を確保しにくいことが要因のひとつと考えられます。

一方、いわゆる郊外エリアであれば通勤圏でも2,000万円~4,000万円前後なので、かなり現実感のある価格に近づいてきます。都心では予算的に難しそうな平屋も、郊外エリアを含めれば実現できる可能性が高くなると言えるでしょう。

②法令上の制限(建ぺい率/容積率)

次に建築基準法に定められる「建ぺい率/容積率」による制限が挙げられます。

建ぺい率とは、「敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合」のことを言います。例えば100㎡の土地に建築面積50㎡の建物を建てる場合、建ぺい率は50%となります。

■建ぺい率50%のイメージ(真上から見た図)

容積率とは、「敷地面積に対する延床面積(各階の床面積の合計)の割合」のことを言います。例えば、100㎡の土地に延床面積100㎡(各階50㎡)の建物を建てる場合、容積率は100%となります。

■容積率100%のイメージ(横から見た図)

この建ぺい率と容積率は、土地の適正利用の観点から法令で制限がかけられています。 例えば、低層住宅(2階建以下)を中心とした住宅地であれば建ぺい率は30~50%、容積率は80〜100%以内、中高層住宅を中心としたエリアであれば建ぺい率は50~60%、容積率は150〜200%以内というように、低層住宅地であるほど制限が厳しくなっています。なぜなら、低層住宅は、周囲に建物があると日照が確保しにくいため、より敷地に余裕をもって建てることが求められるからです。なお、建ぺい率・容積率の数値は用途地域や自治体ごとに異なり、法令改正により変更される場合もあるため、実際の数値は自治体や専門家に確認することをおすすめします。

仮に建ぺい率50%/容積率100%のエリアに、100㎡の土地を購入したとすると、建ぺい率の制限で建築面積は50㎡以内となります(100㎡×50%=50㎡)。

この場合、建物が平屋ならば延床面積は50㎡(50㎡×1階)が上限となりますが、2階建ならば100㎡(50㎡×2階)までの広さが確保できます。

地価の高いエリアで2階建て以上が選ばれるのはこのためと考えられ、結果として平屋が選ばれにくくなる一因といえます。

土地購入を検討する際、気になる土地が見つかったら、そのエリアの建ぺい率から、平屋でどのくらいの広さの建物が建てられるのかを確認してみましょう。建ぺい率は市区町村などのホームページで調べることができます。

③建築費

3つ目の要因としては、建築費が挙げられます。平屋住宅は、2階、3階建と比べて材料が少なく、手間もかからない分、費用も安いと思われがちですが、実際には割高になるケースも少なくありません。もちろん間取り次第ですが、平屋は1階面積=床面積となるため、基礎部分の面積が2階建よりも大きくなり、建築費は割高になることもあります。

また、同様に屋根の面積も大きくなることが多く、凝ったデザインや屋根材等を使うと費用がかさむ可能性があります。結果的に床面積あたりの単価(いわゆる坪単価)で比較すると平屋の方が割高になりやすいことも、2階建が選ばれる要因のひとつと考えられます。

2-3. 土地価格や法令制限は、早めにプロに確認しよう

このように、一見すると2階・3階建住宅よりもシンプルで暮らしやすく感じる平屋住宅ですが、実はよく検討していくと「やっぱり2階建てか」、「平屋は無理かな」とあきらめてしまう方も数多くいらっしゃいます。

もちろん、住まいの選択肢は平屋だけではありませんし、最終的にご家族にあった理想の住まいが建てられればベストなのですが、土地の相場や法令上の制限などは事前にしっかり調べておくことで、無理なく平屋を建てられることもあります。 自分で調べるのが大変だという方は、早い段階で不動産会社などに相談してみるとよいでしょう。

3. 注文住宅で理想の住まいを実現するための3つのポイント

最後に、平屋住宅に限らず、注文住宅で「理想の住まい」を実現するための3つのポイントをご紹介します。

3-1. 【ポイント1】土地探し

注文住宅を建てるためには土地が必要になりますが、この「土地探し」が大きなポイントです。

家を建てるためには、まず土地を買って、その後その土地に合わせて建物を設計すると考える方が多いのですが、逆に考えた方がよいこともあります。なぜなら前述のように、土地には様々な制限があり、土地を買った時点でその土地にどのような建物が建てられるかおおよそ決まってしまうからです。

つまり、先に建てたい家の階数や広さのイメージを描き、それが建てられる土地を探す方が、希望の家を建てられる確率は高くなります。

土地は1つとして同じものはなく、大きさ、形、方位、水道やガスなどのインフラなどが異なりますので、最悪の場合、土地を買った後に、思い描いていた家が建てられないことに気づくというケースもあり得ます。 土地探しにあたっては、場所や価格だけではなく、建築的な側面からもプロの意見を聞きながら進めていくことがとても重要になります。

3-2. 【ポイント2】資金計画

もう一つ、重要なポイントが「資金計画」です。資金計画とは、収入や将来のライフプランをもとに、住宅ローンの借入額を決め、全体の予算を試算した上で、土地、建物、諸経費等にどのように配分するかを決めていくことです。この資金計画がうまくいかないと、土地に予算をかけすぎてお金が足りなくなり、思っていた通りの建物が建てられない、などということが起こります。つまり、土地探しも建物のプランもこの資金計画をベースに進めていくことがポイントとなります。

また、先に土地を購入して注文住宅を建築する場合には、住宅ローンの組み方にもポイントがあります。このやり方では「土地の購入時」と「建物完成時」の2回、支払いが発生するからです。

基本的に住宅ローンは、建物が完成してからでないと金融機関からの融資が受けられません。建売住宅やマンションの場合は問題になりませんが、土地を購入して注文住宅を建てる場合には、建物の完成前に土地代金や、建築費の中間金などの支払いが発生するため、対応できない場合も出てきます。そこで「つなぎ融資」と呼ばれるローンを利用することになります。つなぎ融資は、建物の完成前でも、必要な資金の融資が受けられる仕組みで、建物完成後に最終的な融資が実行された時点で、このつなぎ融資分は清算されます。

つなぎ融資は必ずしもすべての金融機関が対応できるわけではありません。注文住宅の実績の多い会社ほど、金融機関と連携して体制を整えていますので、しっかり確認しておきましょう。なお、融資条件や金利などの詳細は金融機関により異なるため、事前に金融機関や専門家に確認することをおすすめします。

3-3. 【ポイント3】会社選び

そして最後のポイントが会社選びです。会社選びをする上で重要なのは、上記の資金計画から土地探し、建物のプランニング、さらには金融機関の紹介まで、トータルでサポートしてくれる会社かどうかです。言い換えれば、家づくりのプロセスをすべて同じ会社で一貫して任せられるかどうかが重要です。

また、平屋建か2階建かを問わず、実績の豊富な会社を選ぶことが重要です。多くのお客様の要望を聞き、対応してきた実績のある会社ほど安心感があります。

モデルハウスや実際に建てた家を見学したりしながら、会社選びを進めていきましょう。

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執筆者プロフィール
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住宅・不動産ライター
四宮 雅樹(ビギニング株式会社

不動産・建築業界で約11年の実務経験を積んだ後、不動産情報メディア運営会社で営業、事業開発、経営企画などに約13年間従事。
業界実務と不動産メディア運営の知見をもとに、住まい・不動産・注文住宅・リフォームなどの専門的なテーマを、読者にわかりやすく伝わるコラムとして執筆している。
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