現在の住まいに何か不満や不安がある時に、リフォームするか、建て替えるかは非常に迷うところです。それぞれに一長一短がありますが、自分に最も適した選択肢は何なのか、住み替えという選択肢も含め、それぞれのメリット・デメリットを整理してみましょう。
目次
1、今の自宅を何とかしたい!と思ったときの3つの選択肢
今住んでいる自宅に何らかの不満や不安があり、何とかしたいと考えている方は多くおられます。そのようなときに問題を解決するための3つの選択肢があることを知っておきましょう。
① リフォーム・リノベーション
多くの方がまず検討されるのが、リフォーム(リノベーション)でしょう。しかしひと口にリフォームと言っても、キッチンやトイレの交換など簡単なものから、増改築や間取りの変更で基礎や柱など建物の構造体に手を入れるものまで規模も費用も様々です。
② 建て替え
リフォームは既存の建物の使える部分を活かしながら、より暮らしやすい家をつくれることがメリットですが、大規模なリフォームとなると予想以上に費用がかかってしまうことも考えられます。そのような場合は古い建物を取り壊し、新しく建て替えるという選択肢が有力になります。
建て替えることにより建物は一新され、現在の不満や不安を一気に解消できるのが大きなメリットです。
③ 住み替え
家を建て替える場合には、少なくとも6ヶ月位の工事期間が必要になりますので、その間は、賃貸マンション等に仮住まいすることになります。その際の引越し費用や家賃などを考えると、現在の家を売却して別の家に住み替えるという選択もあり得ます。
完成物件であれば実物を見てから購入できるので安心ですし、引っ越しもスピーディです。また、郊外の一戸建てから駅近のマンションへの住み替えなど、生活環境をガラリと変えてしまうことも可能です。
2、まずは今の住まいをどうしたいのか整理してみよう
このような3つの選択肢からどれを選ぶのがベストなのでしょうか?その答えを出すために、まずは今の住まいの不満や不安、何を変えたいのかをきちんと整理することが重要です。
① 変えたいことと変えたくないことを書き出してみよう
まず、今の住まいに対する不満や不安、つまり改善したい点を書き出してみましょう。
例えば、建物が古く地震が来た時に心配とか、断熱が十分でないため冬寒く光熱費が高いなど、建物の性能に関する不安や不満が多く挙げられます。また建物の老朽化による室内の汚れや設備の故障などの問題。さらに、シニア世代であれば子どもが巣立った後の子ども部屋をどうするかなど、間取りや用途変更のニーズもあるでしょう。このような改善したいポイントをきちんと整理してみることが、よい選択をするための第一歩となります。
次に、変えたくないものも書き出しておきましょう。例えば、子どもの学区が変わるような引っ越しは避けたいとか、家に愛着があるので残せるものはできるだけ残したいなどです。また将来的にその家にずっと住み続けるつもりなのか、いずれは引っ越すつもりなのかなども大きなポイントになります。
② 用意できる資金はどのくらいか
そしてもう一つしっかり検討しなければならないのが「資金」です。自己資金としていくらくらい用意できるのか、住宅ローン等の借入をするつもりがあるのかなどがポイントです。今後、子どもの教育費などにまとまったお金が必要になる場合には、その分を考慮した上でリフォームや建て替えにどの程度用意できるのかを検討しましょう。
③ 住宅ローン残債の有無
現在の家を購入する時に住宅ローンを組んでいる場合には、現時点の残債についても確認しておく必要があります。特に住み替えを検討する場合には、売却した代金で住宅ローンを完済できるかどうかが大きなポイントになります。
3、リフォーム、建て替え、住み替え、それぞれのメリット・デメリット
要望がある程度整理できたところで、リフォーム、建て替え、住み替え、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
①リフォームのメリット・デメリット
【リフォームのメリット】
・設備の交換などの小規模リフォームなら費用が比較的安く、工事期間も短い。
・小規模リフォームなら、住みながらできるので仮住まいなどの必要がない。
・愛着のある住まいにそのまま住み続けられる。
・リフォームの内容によっては、各種補助金が適用される。
・接道義務を満たしていない等、建て替えが難しい敷地でもリフォームで対応できることがある。
【リフォームのデメリット】
・耐震、断熱など大規模リフォームは建て替えと同じくらい費用がかかることもある。
・建物の構造等によっては、希望する間取りや仕上げができないことがある。
・ローンを利用する場合、新築と比べて選択肢が少なく金利も高め。
・リフォームせずに残す箇所についても、耐久性などをしっかり検証する必要がある。
このことから、リフォームを選択する場合の要件としては、以下のようになります。
・現在の住まいに愛着があり、建物を解体せずそのまま住み続けたい。
・仮住まいなどをせず、工事費もできるだけ安く抑えたい。
・築年数が比較的新しく耐震性能などに大きな問題がない(少なくとも新耐震基準に適合)。
・内装と設備のリフォームだけで問題が解決できる。
※ 新耐震基準:1981年(昭和56年)におこなわれた建築基準法の改正で新たに定められた耐震基準のこと。これ以前の耐震基準を旧耐震基準という。
②建て替えのメリット・デメリット
次に、建て替えた場合のメリット・デメリットです。
【建て替えのメリット】
・住宅性能、住宅設備が以前よりも優れた建物に一新できる。
・構造、間取り、仕上げ等をすべてゼロから決めることができる。
・住宅ローンの選択肢が多く資金調達しやすい、またリフォームローンよりも金利が低い。
・住宅ローン控除、すまい給付金などの優遇制度が使える可能性がある。
【建て替えのデメリット】
・リフォームと比べて工事費が高い。また既存建物の解体費用がかかる。
・仮住まい費用と2回分の引っ越し費用がかかる。
・リフォームよりも工事期間が長い。
・登記費用、税金などの諸費用がかかる。
・直近の法令制限が適用されるので、接道状況等によっては、建築不可やセットバックが必要になることもある。
このことから建て替えを選択したほうがよい方の要件としては以下のようになります。
・その場所にずっと住み続けたいと思っている。
・耐震・断熱等の問題に対し、リフォーム工事だけでは解決が難しい場合。
・部分的なリフォームでは解決できない問題がある。または問題が再発する可能性が高い。
・十分な資金がある、または住宅ローンを返済できるだけの収入がある。
③住み替えのメリット・デメリット
最後に住み替えについてのメリット・デメリットを整理しておきましょう。
【住み替えのメリット】
・住む場所を含め、多くの選択肢から検討できる。
・現在の家の売却代金を新居の購入資金に充てられる。
・一戸建てからマンションへの住み替えなど、生活環境を一新することもできる。
・新築物件なら、建て替えと同様に最新レベルの住まいが手に入る。
・工事期間がないので仮住まいの必要がなく、引っ越しも1回で済む。
・住宅ローンが利用しやすく、新たに10年間「住宅ローン控除」が受けられる可能性がある。
【住み替えのデメリット】
・売却、購入に関する諸費用がかかる(仲介手数料、税金、登記費用など)。
・売却できても、要望に合う物件があるとは限らない(タイミングが難しい)。
・住宅ローンの残債がある場合には売却時に一括返済する必要がある。
以上のことから住み替えを選択したほうがよい方の要件としては以下のようになります。
・リフォーム、建て替えのための自己資金がない。
・都心から郊外、郊外から都心など別の地域に住み替えたい。
・一戸建てからマンション、またはマンションから一戸建てへの住み替えを検討している。
・住宅ローンの残債がなく(少なく)、売却代金を新居の購入資金に充てられる。
・売却代金で現在よりもコンパクトな住まいに住み替えて、余剰金を生み出したい。
4、リフォーム、建て替えの相場
それぞれのメリット・デメリットがわかったところで、リフォームや建て替えにかかる費用の目安を知っておきましょう。(価格は施工会社、設備機器、建材、その他工事の条件等によって変動しますので、あくまでも目安です。)
①リフォームにかかる費用の目安
住宅のリフォームにかかる費用の目安は以下の通りです。
・水まわりの交換
キッチン 50~150万円
浴室 50~150万円
トイレ 10~30万円
洗面 10~30万円
・廊下、居室
リビング 50~150万円
寝室 20~80万円
・外まわり
外壁 60~100万円
屋根 60〜120万円
・全面リフォーム 1,000~2,000万円
②建て替えにかかる費用の目安
戸建注文住宅の平均建築費(東京圏) 4,064万円 ・ 延べ面積 127.9㎡(㎡単価:31.7万円)
※(出典)一般社団法人 住宅生産団体連合会 「2016年度戸建注文住宅の顧客実態調査」
・解体工事(木造) 100~ 200万円(㎡単価 1~2万円程度)
5、リフォームか建て替えか、迷ったらプロに相談してみよう。
リフォーム、建て替え、住み替え、それぞれのメリット・デメリット、ご理解いただけましたでしょうか。
実はメリット・デメリットが分かっても、具体的な物件情報や相場がわからないと、なかなか判断しづらいものです。そんなときはプロに相談してみることをおすすめします。どのような会社に相談すればよいかといえば、不動産、建築、リフォームの3分野の事業をバランスよく手がけている会社です。不動産なら売買仲介や分譲事業、建築なら新築注文住宅、リフォームなら設備交換だけでなく耐震診断などを含めた知識と経験のある会社がベストです。
ほとんどの会社は無料で相談にのってくれるはずですので、まずはお気軽に問い合わせしてみてはいかがでしょうか?