中古を買ってリノベーションするときのダンドリとコツ

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近年ちょっとしたブームとなっているリノベーション。あえて中古物件を買って自分好みにリノベーションする方も増えているようです。しかし、中古リノベには特有の難しさがあり、必ずしもいい結果になるわけではありません。中古を買ってリノベーションするときの流れ、気をつけなければいけないポイントなどについてまとめてみました。

目次

1、中古リノベーションの流れ

新築住宅は、要望に合う物件が見つかり、ローン審査が通ればすんなり購入することができます。しかし、中古を買ってリノベーションする場合にはそう簡単にはいきません。中古リノベの流れを見ていきましょう。

 

■ 中古を買ってリノベーションするときの流れ

このように中古リノベには「物件探し」「リノベーション」「ローン」という、3つの大きな流れがあり、それぞれを同時進行しなければならないところに難しさがあります。流れに沿って注意点を見ていきましょう。

 

2、まずは要望の整理としっかりした資金計画を

物件探しやリノベーションのプランニングに入る前にしておかなくてはならないのが、要望の整理と資金計画です。

 

2-1、まずは住まいに対する要望を書き出してみよう

要望の整理をするときには、住まいに対する家族の希望をひとつひとつ書き出してみることです。

エリア、交通、生活便など「立地」に関することや、広さ、間取り、デザインなど家そのものに関する要望などを整理してまとめておくとよいでしょう。希望が書き出せたら、それぞれに優先順位をつけておくと物件探しの際にとても役に立ちます。

 

2-2、中古リノベの資金計画

要望が整理できたら、次は予算について考えてみましょう。中古リノベで失敗してしまう大きな原因は、資金計画を立てる前に物件探しを初めてしまうことです。物件探しからスタートすると、リノベーション費用を考慮せずに物件を選んでしまうことが多く、売買契約した後にリノベーション費用が足りなくなるということが起こりがちです。結果として、希望するリノベーションができないままの物件に仕方なく住むことになってしまいます。そうならないためにも、最初に大まかな「資金計画」を立てるのが大きなポイントです。

資金計画を立てる際には、毎月の返済額からローン借入額を算出し、自己資金(頭金)と合わせて「総予算」を決めます。そして総予算の中からリノベーションにかかる費用を引いたものが、物件購入にかけられる予算です。

例えば、月々の返済額を10万円とすると、住宅ローンの借入額は約3340万円(※)です。用意できる自己資金が500万円とした場合、借入と合わせた総予算は3840万円となります。

※ 年利1.36% 元利均等35年返済(ボーナス返済なし)の場合

仮に希望するリノベーションにかかる費用がおおよそ600万円とすると、残りの3240万円が物件購入の予算ということになります。物件購入予算から購入にかかる諸費用(7~10%)を差し引いたものが正味の物件価格になります。この価格を目安に物件探しを進めれば、後からリノベーション費用が足りなくなるという失敗は避けることができます。

最初に総予算を算出し、物件とリノベーションの予算を振り分けてから物件探しをスタートするのが大きなポイントです。

 

■ 中古リノベの資金計画イメージ

3、リノベーション向けの物件を探すときのポイント

予算がきまるといよいよ物件探しのスタートです。リノベーションを前提として物件探しをするときには、次のようなことに気をつけましょう。

3-1、構造部分に問題がなく、管理の行き届いた物件を選ぶ

マンションでも一戸建てでも、中古の物件では築年数の経過とともに劣化が見られます。内装の汚れやキズなどはリノベーションによって一新できますのでさほど気にする必要はありませんが、建物の主要構造部分(基礎・柱・壁・屋根など)に問題があると、改修に多大な費用がかかります。一戸建ての場合は、基礎のひび割れ、シロアリによる食害、建物の傾き、雨漏りなど、またマンションの場合は過去の修繕履歴や管理状況などもチェックしておきましょう。

 

3-2、内見時にはプロに立ち会ってもらおう

中古物件は構造上の問題や劣化の程度により、購入した後に希望通りのリノベーションができないというケースが多々あります。

例えば、広いリビングを希望していても、構造上抜くことができない壁があったり、配管の位置が変えられず水廻りの位置を動かせなかったりと、見ただけでは判断できないことが多いのです。このような失敗を避けるためには、内見の段階でプロに見てもらうことです。一般的に物件を紹介する不動産会社は、建築のプロではないため、リノベーション業者にお願いして内見に立ち会ってもらう方がベターです。

 

3-3、マンション管理規約も確認しておこう

マンションの購入を検討している場合には、管理規約も確認しておきましょう。管理規約によって希望するリノベーションができないこともあり得ます。例えば無垢のフローリングにしたいという希望があっても、管理規約で遮音性能が決められていて希望するものが使えなかったり、想定以上の費用がかかってしまったりすることがあります。またマンションの場合には、鉄筋コンクリートの構造体はもちろん、玄関ドアやサッシ、バルコニーなども「共用部」にあたるため、購入者が自由にリノベーションすることはできません。このような管理規約による制限は、購入してから知っても「時すでに遅し」ですので、内見の時点でしっかり確認しておくことをおすすめします。

 

3-4、住宅ローン控除が受けられるかどうかを確認しよう

住宅ローンを利用して中古物件の購入とリノベーションをおこなった場合には、「住宅ローン控除」という税制優遇を受けることができます。最大年間40万円が所得税から控除できるので非常に大きなメリットになります。ただし中古物件で住宅ローン控除を受けるためには、一般的な要件とは別に中古物件特有の要件がありますので注意しましょう。

 

■中古物件で住宅ローン控除を受けるための主な要件

次のいずれかをクリアすることが必要

・築年数が25年以内(耐火建築物)または20年以内(非耐火建築物)

・一定の耐震基準を満たしていること。

築年数が上記の年数よりも古い物件については「耐震基準適合証明書」や「住宅性能評価書」などで耐震基準を満たしていることを証明することが必要になりますので、購入する物件がそれらを取得できるかどうか不動産会社に確認しておくことが大切です。

※住宅ローン控除に関する詳細は下記のコラムをご覧下さい。

【毎年50万円が戻ってくる!?住宅ローン控除のポイント】

毎年50万円が戻ってくる!?住宅ローン控除のポイント

 

3-5、リノベーションの要望は前もってまとめておこう

新築マンションの価格が高騰していることや、国が政策的に中古流通を推進していることもあり、質の良い中古物件は非常に人気があります。全体的に品薄な上に、良い物件は市場に出てもあっという間に売れてしまうため、できるだけスピーティに購入の判断をしなければなりません。しかしリノベーションを前提とした購入の場合は、リノベーション費用の算定に時間がかかり、機を逸してしまうことが多くあります。物件の内見をするごとに見積もりを取っていたのでは間に合いませんので、前もってリノベーションしたい箇所やグレードについて打合せておき「㎡あたり◯◯万円」くらいの見当をつけておくとよいでしょう。

前述のように、内見時にリノベーション業者に立ち会ってもらい、大きな問題がないことを確認した上でスピーティに購入判断できれば購入のチャンスも広がるでしょう。

 

4、中古リノベに使える住宅ローンとは

最後に中古リノベの住宅ローンについて知っておきましょう。

4-1、フラット35リノベ

住宅金融支援機構が提供する固定金利の住宅ローン「フラット35」でもリノベーション向けのローンが提供されています。これは中古物件を購入して性能向上リフォームをおこなう場合に利用することができるローンで、省エネルギー性、耐震性など住宅の性能向上リフォームの基準を満たす必要がありますが、金利優遇制度などもあり中古リノベを検討する方にとっては有力な候補となるでしょう。

 

4-2、民間の中古リノベーション一体型ローン

民間も、近年「中古+リノベーション」一体型のローンを扱う金融機関が増えてきました。しかし金融機関によって融資条件等は様々なので、取引のある金融機関や不動産会社の提携先などに問い合わせてみるとよいでしょう。

 

4-3、住宅ローン+リフォームローン

一般的な住宅ローンを使って物件を購入し、リノベーション費用は別途リフォームローンを利用する方法もあります。一般的にリフォームローンは担保がいらない反面、金利が高いので、購入と同時にリノベーションする場合には、できるだけ一体型ローンで検討される方がよいでしょう。

 

5、一番大事なのは会社選び。物件探しとリノベーションは同じ会社に頼むのがベスト

物件探しとリノベーションを同じ会社(もしくはグループ会社)でおこなっている会社があります。いわゆる「ワンストップ」と呼ばれるサービスで、初期の要望整理から資金計画、そして物件探しからリノベーションのプランニング・施工までを一貫してプロデュースできる会社です。このような会社であれば、

物件探しとリノベーション工事の窓口がバラバラになってしまうこともなく、金融機関に対する対応も簡単です。不動産会社や金融機関とのやり取りに自信がない方は、まずこのようなワンストップ型の会社に相談してみることをおすすめします。