八王子市は、東京都の多摩地域南西部にあるベッドタウンで、東京都で唯一の中核市に指定されています。多摩ニュータウンに代表される大規模住宅団地、都心から移転した大学が数多く集まる学園都市、そして高尾山、陣馬山などの雄大な自然と、様々な顔をもつ多摩エリアを代表する都市です。
目次
1.八王子市の人口はほぼ横ばい、世帯数は10%増
そんな八王子市の人口は、約56万人、世帯数は約28万世帯。最近10年間の人口はほぼ横ばい、世帯数は10%増となっています。年間の転入出者数は転入者が約1,600人上回っています。
1-1.人口・世帯数(2025/1/末 現在)
人口 | 558,516人 |
世帯数 | 284,744世帯 |
1-2.人口・世帯数の推移
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
人口 |
562,530 |
562,984 |
562,728 |
562,073 |
562,140 |
561,365 |
561,394 |
561,503 |
560,102 |
558,516 |
世帯数 |
259,641 |
262,259 |
265,053 |
267,534 |
270,240 |
272,726 |
275,885 |
279,301 |
282,044 |
284,744 |
※各年1月末日 現在(八王子市ホームページ)
1-3.転入・転出(2024年中)
転入者数 | 23,106人 |
転出者数 | 21,518人 |
※出典:2024年人口移動報告(総務省)
2.東京都八王子市の不動産情報
2-1.土地の価格は㎡あたり約17万円。10年間で10%の上昇
土地の価格(地価)については、毎年1月1日を基準とした「公示地価」と7月1日を基準とした「基準地価」が発表されています。八王子市における公示地価と基準地価の平均は以下の通りです。直近の平均地価としては、㎡あたり約17万円となっており、最近10年間は緩やかな上昇傾向が続いています。コロナ明けの2023年からは上昇ペースが加速しており、10年で約10%の上昇となっています。(公示地価ベース)
■公示地価、基準地価とは?
公示地価とは、地価公示法に基づき、国(国土交通省)が、毎年1月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。基準地価とは、国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。同年の価格を比較した場合、公示地価よりも基準地価の方が半年遅れで公表されるため、より直近の取引価格を反映していると見ることができます。なお公示地価、基準地価はともに一般の土地の取引価格の指標等として使われていますが、あくまで指標であり、実際の取引価格とは異なりますのでご注意ください。
八王子市全体の地価平均(㎡あたり)
公示地価(2025年) | 169,418円 |
基準地価(2024年) | 170,825円 |
公示・基準地価の推移(平均/㎡)
2016年 |
2017年 |
2018年 |
2019年 |
2020年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
2024年 |
2025年 |
|
公示
地価 |
153,330円 |
151,504円 |
152,553円 |
153,956円 |
155,841円 |
154,451円 |
154,409円 |
156,559円 |
161,802円 |
169,418円 |
基準
地価 |
158,374円 |
158,928円 |
160,220円 |
161,544円 |
159,993円 |
158,984円 |
160,435円 |
164,447円 |
170,825円 |
- |
マップでご覧いただけるように、八王子市にはJR中央線・横浜線・八高線と京王線が乗り入れています。中でも人気が高いのは、快速(京王線は特急)で新宿駅まで約40分で行くことができる中央線、京王線の八王子駅周辺で、20~30万円台/㎡となっています。また沿線の途中駅や横浜線、八高線、京王相模原線の沿線では概ね10万円台/㎡、駅から離れると10万円/㎡を切るエリアも存在します。エリアによって価格が大きく変わりますので注意しましょう。
2-2.新設住宅着工戸数は約4,100戸。約半数を分譲住宅が占める
国土交通省が発表している新設住宅着工戸数について見てみましょう。八王子市で2024年中に新築された建物は4,103戸でした。内訳としては、持ち家(注文住宅)が16%、貸家(賃貸住宅)が38%、分譲住宅が46%と、分譲住宅が約半数、賃貸住宅が約4割を占めます。分譲住宅の内訳としては、一戸建が1,090戸(58%)、マンションが786戸(42%)と、やや一戸建が多いですが、比較的バランスよく供給されています。
■八王子市の新設住宅着工戸数(2024年)
持ち家 |
654戸 |
貸家 |
1,565戸 |
給与住宅 |
8戸 |
分譲住宅 |
1,876戸 |
計 |
4,103戸 |
2-3.八王子市の住宅着工数は、10年でマイナス6%。注文住宅の減少が大きい
八王子市の住宅着工数は最近10年前と比較してマイナス6%となっています。内訳としては、注文住宅がマイナス16%、賃貸住宅がマイナス12%、分譲住宅がプラス8%となっており、注文住宅の減少分を分譲がカバーしています。全体の着工数も2022年から3年連続の増加となっており、一戸建・マンションとも多くの新築物件が供給されています。
八王子市の新設着工戸数
2015年 |
2016年 |
2017年 |
2018年 |
2019年 |
2020年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
2024年 |
|
持ち家 |
778戸 |
757戸 |
644戸 |
691戸 |
592戸 |
701戸 |
741戸 |
665戸 |
646戸 |
654戸 |
貸家 |
1,774戸 |
2,052戸 |
1,778戸 |
1,851戸 |
871戸 |
1,000戸 |
1,026戸 |
1,555戸 |
1,418戸 |
1,565戸 |
給与住宅 |
88戸 |
1戸 |
1戸 |
1戸 |
16戸 |
1戸 |
9戸 |
1戸 |
0戸 |
8戸 |
分譲住宅 |
1,742戸 |
1,484戸 |
1,429戸 |
1,806戸 |
1,503戸 |
1,415戸 |
912戸 |
1,192戸 |
1,595戸 |
1,876戸 |
総計 |
4,382戸 |
4,294戸 |
3,852戸 |
4,349戸 |
2,982戸 |
3,117戸 |
2,688戸 |
3,413戸 |
3,659戸 |
4,103戸 |
※出典:国土交通省 住宅着工統計
2-4.東京都八王子市の不動産価格
八王子市で販売されている新築マンションは、4,000万円台から7,000万円台まで幅広く供給されており、㎡単価は80~90万円台くらいが相場のようです。
中古マンションは、築15年以内で平均4,805万円(77.6万円/㎡)、築15~25年で平均3,632万円(46.0万円/㎡)、築25年超で平均1,834万円(29.9万円/㎡)前後となっています。都心部の価格上昇が郊外まで波及しており、マンションは新築、中古とも値上がりが続いています。
一戸建については、新築が4,119万円、中古は築15年以内で平均4,074万円、築25年以内で3,678万円、築25年超は2,750万円となっています。また、マンション・一戸建ともに流通している物件は十分ありますが、エリアによって価格が大きく変わるので個別に確認してみることをおすすめします。
最後に土地の相場については、最寄駅から徒歩10分以内で平均20.3万円/㎡、徒歩20分以内なら19.0万円/㎡、徒歩20分超で10.7万円/㎡となっています。
(1)中古マンション
販売価格(万円) | 専有面積(㎡) | ㎡単価(万円) | |||||
最大 | 最小 | 平均 | 最大 | 最小 | 平均 | 平均 | |
築15年以内 |
8,480万円 |
1,890万円 |
4,805万円 |
113㎡ |
21㎡ |
65㎡ |
77.6万円 |
築15~25年 |
10,700万円 |
1,330万円 |
3,632万円 |
202㎡ |
25㎡ |
80㎡ |
46.0万円 |
築25年 超 |
4,990万円 |
240万円 |
1,834万円 |
143㎡ |
13㎡ |
59㎡ |
29.9万円 |
(2)一戸建
販売価格(万円) | 土地面積(㎡) | 建物面積(㎡) | |||||||
最大 | 最小 | 平均 | 最大 | 最小 | 平均 | 最大 | 最小 | 平均 | |
新築 |
8,790万円 |
2,580万円 |
4,119万円 |
657㎡ |
46㎡ |
141㎡ |
153㎡ |
73㎡ |
100㎡ |
築15年以内 |
9,280万円 |
2,150万円 |
4,074万円 |
485㎡ |
83㎡ |
150㎡ |
254㎡ |
52㎡ |
105㎡ |
築15~25年 |
9,530万円 |
1,680万円 |
3,678万円 |
500㎡ |
75㎡ |
172㎡ |
202㎡ |
79㎡ |
115㎡ |
築25年 超 |
15,800万円 |
180万円 |
2,750万円 |
1,879㎡ |
70㎡ |
213㎡ |
410㎡ |
48㎡ |
118㎡ |
(3)土地
販売価格(万円) | 土地面積(㎡) | ㎡単価(万円) | |||||
最大 | 最小 | 平均 | 最大 | 最小 | 平均 | 平均 | |
徒歩10分以内 |
21,000万円 |
1,380万円 |
4,119万円 |
770㎡ |
93㎡ |
212㎡ |
20.3万円 |
徒歩10分~20分 |
37,800万円 |
500万円 |
4,918万円 |
5,200㎡ |
44㎡ |
367㎡ |
19.0万円 |
徒歩20分超・バス |
24,800万円 |
300万円 |
2,479万円 |
26,143㎡ |
75㎡ |
635㎡ |
10.7万円 |
※REINS(不動産流通標準情報システム) 2025年4月のデータをもとに集計
3.八王子市の待機児童数は15人。大学・短大など市内に21校あり教育環境は良好
八王子市には、69校の公立小学校、38校の公立中学校、9校の公立高校と10校の私立高校があります。そして1960年台から大学の移転が増加し、現在、市内には大学・短大・高専など21校があり、隣接する市町村を含め10万人以上の学生が学ぶ、国内有数の学園都市となっています。もちろん都心への通学も可能で、教育環境としてはとてもよいと言えるでしょう。未就学児については、幼稚園・保育園・認定こども園等あわせて約130の施設があります。
3-1.幼稚園・保育園・学校の数
公立 | 私立 | |
幼稚園・保育園・認定こども園等 |
16施設 |
113施設 |
小学校 |
69校 |
0校 |
中学校 |
38校 |
9校 |
高等学校 |
9校 |
10校 |
大学・短大 |
1校 |
20校 |
3-2. 待機児童数(2024年4月現在)
待機児童数(国基準) | 15人 |
2024年4月現在の八王子市の待機児童数は15人となっています。前年の17人からは減少していますが、心配な方は市役所等に確認してみるとよいでしょう。
4.東京都八王子市の住まい探しは、八王子駅を起点に3つの路線を比較・検討してみよう
八王子は多摩エリアで立川とともに人気の高い街で、いわゆる住みたい街ランキングの常連となっています。LIFULLHOMES「買って住みたい街ランキング(首都圏版)」では、2024年に3位、2025年に5位にランクイン。また、ARUHIが発表した「本当に住みやすい街大賞2023」の関東ランキングでは、西八王子駅が1位に選出されています。
選出理由として、最寄りの八王子IC付近にイオングループ初となる次世代型複合商業施設「イオンモール八王子IC北(仮称)」が2025年秋に開業予定。また生活圏内の八王子駅南口には公園、ライブラリ、ミュージアム、交流スペースが一体となった「集いの拠点」が2026年秋に誕生するなど、利便性の向上と今後の発展が期待できることなどが挙げられています。また、新築物件が4,000万円台から購入できるというコストパフォーマンスの高さも選出理由となっています。
八王子市は市域が広く、エリアによって様々な顔をもつ都市ですが、住宅購入を検討するとすれば市の南部になります。
中心となる八王子駅から、東西にJR中央線と京王線、南北にJR横浜線と八高線の4路線が走っており、新宿駅まで約40分、東京駅へも1時間弱でアクセスすることができます。また八王子駅には、駅直結のセレオ八王子をはじめ、八王子オクトーレ、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ドン・キホーテなど多くの商業施設や飲食店があり、生活利便性の高い街です。この都心へのアクセスの良さと、生活利便性の高さが八王子の大きな魅力となっています。
■八王子駅直結の商業施設「セレオ八王子」
出典:Wikipedia
そしてもうひとつの魅力は、すばらしい自然環境です。代表的なのはやはり「高尾山」で、日本遺産やミシュランが選ぶ三つ星観光地に選ばれています。高尾山以外にも多摩エリアの低山は日帰り登山やハイキングに最適ですし、「多摩森林科学園」「平山城址公園」など公園も多くあり、少し足をのばせば八ヶ岳や清里までも1~2時間で行くことができます。
■平山城址公園からの風景
出典:Wikipedia
八王子市には1960年代に開発・整備された「多摩ニュータウン」と、平成初期に開発・整備された「八王子ニュータウン」という2つの大規模住宅団地があります。どちらも商業地と住宅地がバランスよく整備され、きれいな街並みで人気があるエリアです。
八王子市での住まい探しは、中心となる八王子駅を起点にJR中央線の西八王子駅~高尾駅、多摩ニュータウンエリアなら京王相模原線の南大沢駅、京王堀之内駅、八王子ニュータウンエリアなら、JR横浜線の八王子みなみの駅と、まずは3つのエリアに分けて検討してみてはいかがでしょうか。南大沢駅前には三井アウトレットパークなど商業施設も充実しています。また駅近の物件はどうしても価格が高めですので、ご予算を抑えたい方、車での移動が多い方はバス便の物件も検討してみるとよいでしょう。八王子はバスの発達した街で、主要駅のバス路線の数は多く、思ったほど不便を感じないと思います。
多摩エリアの中心都市であり自然も豊かな八王子、ぜひ情報収集を兼ねて現地を訪れてみてはいかがでしょうか。