地価上昇が続く東北エリア最大の都市。宮城県仙台市の魅力と不動産市況

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杜の都とも呼ばれ宮城県の県庁所在地である仙台市は、東北エリア最大の政令指定都市です。市には仙台駅を中心に放射状に青葉区・宮城野区・若林区・太白区・泉区の5つの区があり、仙台駅は東北・山形新幹線を始め、JR東北本線、常磐線、仙石線、仙山線が乗り入れる東北の政治・経済・文化・交通の中心となっています。

目次

1.仙台市の人口は10年で2%増、世帯数は11%増

そんな仙台市の人口は約107万人、世帯数は54万世帯で、最近10年間で人口は2%増、世帯数は11%増となっています。年間の転入・転出者数は、転入者が約3,000人上回っています。

1-1.人口・世帯数(2023/1/1 現在)

人口1,067,486人
世帯数537,584世帯

1-2.人口・世帯数の推移

 2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年2023年
人口1,049,5781,053,5091,056,5031,058,5171,060,5451,062,5851,064,0601,065,9321,065,3651,067,486
世帯数484,364490,085495,783500,534505,653510,960517,251523,649529,151537,584

※各年 1月1日現在(仙台市ホームページ)

1-3.転入・転出(2022年中)

転入者数62,668人
転出者数59,730人

※出典:2022年 人口移動報告(総務省)

2.宮城県仙台市の不動産情報

2-1.土地の価格は㎡あたり約25~30万円。10年で約80%の大幅上昇

土地の価格(地価)については、毎年1月1日を基準とした「公示地価」と7月1日を基準とした「基準地価」が発表されています。仙台市における公示地価と基準地価の平均は以下の通りです。直近の平均地価としては、㎡あたり約25~30万円となっており、最近10年間で70~80%という大幅な上昇となっています。

仙台市は、東北エリア唯一の政令指定都市であり、全国からヒト・モノ・カネが集まる大都市です。加えて、震災復興にともなう再開発、地下鉄の開業などもあり、居住用・投資用ともに不動産需要が旺盛です。街の発展とともに開発が進み、新たな需要を呼び込むという好循環が続いていることが、10年以上にわたり地価が上昇し続けている要因です。

■公示地価、基準地価とは?

公示地価とは、地価公示法に基づき、国(国土交通省)が、毎年1月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。基準地価とは、国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。

同年の価格を比較した場合、公示地価よりも基準地価の方が半年遅れで公表されるため、より直近の取引価格を反映していると見ることができます。なお公示地価、基準地価はともに一般の土地の取引価格の指標等として使われていますが、あくまで指標であり、実際の取引価格とは異なりますのでご注意ください。

仙台市全体の地価平均(㎡あたり)

公示地価(2023年)

259,122円

基準地価(2022年)

301,135円

公示・基準地価の推移(平均/㎡)

 

2014年

2015年

2016年

2017年

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

公示

地価

140,197円

146,305円

152,572円

167,670円

182,818円

205,206円

228,709円

235,448円

244,498円

259,122円

基準

地価

170,540円

181,029円

195,330円

214,983円

237,778円

263,318円

281,995円

286,756円

301,135円

 

また仙台市は区によって相場が大きく異なるため、購入を検討する際には、区別の平均地価なども参考にするとよいでしょう。

 

仙台市平均地価(区別)

順位

行政区

平均地価(㎡)

変動率

1位

青葉区

486,854円

+5.25%

2位

若林区

172,543円

+6.38%

3位

宮城野区

156,525円

+7.91%

4位

太白区

106,465円

+5.64%

5位

泉区

105,885円

+6.38%

※出典:2023年公示地価

マップでご覧いただけるように、仙台駅を中心とする青葉区では、40~50万円台/㎡を超える地点も見られますが、JR線や地下鉄沿線などでは、10~20万円台/㎡、少し駅から離れたエリアでは10万円/㎡を切る地点も多く見られます。

地価は上昇傾向にあるものの、都心部を除けば比較的検討しやすい価格帯と言えるでしょう。

 

2-2.新設住宅着工戸数は約11,000戸。賃貸住宅と分譲住宅で85%を占める

 

国土交通省が発表している新設住宅着工戸数について見てみましょう。仙台市で2022年中に新築された建物は10,976戸でした。内訳としては、持ち家(注文住宅)が15%、貸家(賃貸住宅)が55%、分譲住宅が30%と、半数以上が賃貸住宅となっています。分譲住宅の内訳としては、一戸建が1,861戸(57%)、マンションが1,416戸(43%)とバランスよく供給されています。賃貸住宅の比率が高い仙台市ですが、分譲住宅が年間3,000戸以上供給され、中古物件の流通量も多く住まい選びの選択肢が多い街と言えます。

 

■仙台市の新設住宅着工戸数(2022年)

持ち家

1,618戸

貸家

6,062戸

給与住宅

19戸

分譲住宅

3,277戸

10,976戸

 

2-3.仙台市の住宅着工数は10年間でプラス3%。

 

仙台市の住宅着工数は最近10年間でプラス3%となっています。内訳としては、注文住宅がマイナス48%、賃貸住宅がプラス18%、分譲住宅がプラス46%となっています。注文住宅が半数近くに減少する一方で、分譲住宅は大きく供給を伸ばしています。また2020年はコロナで一時的に減少したものの、2021年からは回復に転じており2年連続の増加となっています。

 

仙台市の新設着工戸数

 

2013年

2014年

2015年

2016年

2017年

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

持ち家

3,083戸

2,390戸

2,500戸

2,224戸

2,119戸

1,945戸

1,840戸

1,727戸

1,907戸

1,618戸

貸家

5,125戸

5,931戸

4,141戸

4,732戸

6,584戸

6,745戸

5,842戸

4,013戸

4,957戸

6,062戸

給与住宅

165戸

19戸

31戸

73戸

62戸

7戸

31戸

20戸

6戸

19戸

分譲住宅

2,250戸

2,818戸

2,722戸

2,772戸

3,492戸

3,195戸

3,180戸

2,767戸

2,884戸

3,277戸

総計

10,623戸

11,158戸

9,394戸

9,801戸

12,257戸

11,892戸

10,893戸

8,527戸

9,754戸

10,976戸

 

※出典:国土交通省 住宅着工統計

2-4.宮城県仙台市の不動産価格。新築は4,000~5,000万円台が相場。エリアによって相場は大きく変わる

 

仙台市の新築マンションは3,000万円台~6000万円台と幅広く供給されており、㎡単価も50万円台~80万円台までエリアやグレードによって大きく異なるため、相場というよりは個別の販売情報を当たってみることをおすすめします。

中古マンションは、築15年以内で平均4,500万円(58.4万円/㎡)、築15~25年で平均3,104万円(40.2万円/㎡)、築25年超で平均1,732万円(27.7万円/㎡)前後が相場ですが、こちらもエリアによってかなり差があります。

一戸建については、新築、中古とも多くの物件が流通しています。相場としては、新築で3,488万円、中古は築15年以内で平均4,078万円、築25年以内で3,841万円、築25年超は2,792万円となっています。地価の上昇により、マンション一戸建ともに中古の価格も上昇傾向にあります。

最後に土地の相場については、最寄駅から徒歩10分以内で平均24.5万円/㎡、徒歩20分以内なら15.3万円/㎡、徒歩20分超で7.7万円/㎡となっています。エリアを吟味すれば、駅10分以内で「土地+注文住宅」でも十分検討できるでしょう。更にリーズナブルに購入したいという方は、車での移動を前提に郊外の土地も検討してみるとよいと思います。

(1)中古マンション

 

販売価格(万円)

専有面積(㎡)

㎡単価(万円)

最大

最小

平均

最大

最小

平均

平均

築15年以内

8,280万円

2,990万円

4,500万円

102㎡

54㎡

77㎡

58.4万円

築15~25年

5,480万円

1,580万円

3,104万円

114㎡

55㎡

77㎡

40.2万円

築25年 超

3,780万円

95万円

1,732万円

126㎡

14㎡

60㎡

27.7万円

(2)一戸建

 

販売価格(万円)

土地面積(㎡)

建物面積(㎡)

最大

最小

平均

最大

最小

平均

最大

最小

平均

新築

5,780万円

1,490万円

3,488万円

256㎡

71㎡

141㎡

125㎡

44㎡

102㎡

築15年以内

9,850万円

1,990万円

4,078万円

1,073㎡

82㎡

230㎡

385㎡

70㎡

115㎡

築15~25年

9,650万円

1,300万円

3,841万円

561㎡

150㎡

265㎡

563㎡

81㎡

153㎡

築25年 超

9,000万円

500万円

2,792万円

1,068㎡

89㎡

253㎡

448㎡

41㎡

134㎡

(3)土地

 

販売価格(万円)

土地面積(㎡)

㎡単価(万円)

最大

最小

平均

最大

最小

平均

平均

徒歩10分以内

24,800万円

300万円

5,729万円

929㎡

33㎡

268㎡

24.5万円

徒歩10分~20分

12,500万円

290万円

3,600万円

3,241㎡

58㎡

362㎡

15.3万円

徒歩20分超・バス

9,150万円

98万円

1,996万円

17,939㎡

122㎡

716㎡

7.7万円

※REINS(不動産流通標準情報システム) 2023年4月のデータをもとに集計

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3.仙台市は待機児童ゼロを達成。学校が多く教育環境は良好

 

仙台市には、121校の公立小学校、64校の公立中学校、19校の公立高校と14校の私立高校があり、国公立の大学は東北大学、宮城大学、宮城教育大学の3校があります。私立校も下記の通り小学校から大学までありますので、教育環境としては非常によいと言えるでしょう。未就学児については、市内の幼稚園、認定こども園、保育所など計500を超える施設があり、それぞれ特徴のある教育をおこなっています。

 

3-1.幼稚園・保育園・学校の数

 

 

公立

私立

幼稚園・保育園・認定こども園等

34施設

489施設

小学校

121校

4校

中学校

64校

7校

高等学校

19校

14校

大学・短大

3校

13校

3-2. 待機児童数(2022年4月現在)

 

待機児童数(国基準)

0人

2022年4月、仙台市は初めての待機児童ゼロを達成しました。市は、保育所や小規模保育事業などの整備、保育士に対する独自の助成、また事業者に対して保育士用の宿舎の借上げ費用を助成するなど、様々な取り組みの結果と発表しています。

 

4.仙台市での住まい探しは、市内だけでなく周辺の郊外エリアも合わせて検討してみよう

 

仙台市は東北最大の都市であると同時に、札幌市、広島市、福岡市などと並ぶ中核都市であり、震災からの復興を経て、仙台駅を中心とした再開発、地下鉄東西線の開通(2015年12月)などにより、発展し続けている都市でもあります。

2011年の震災による復興需要に加え、低金利政策やインバウンド増加などにより仙台市の平均地価は直近10年間で約1.8倍に上昇しています。そして2020~2021年は新型コロナの影響で、地価の上昇にややブレーキがかかったものの、コロナの影響が和らいだ2022年には再び上昇の勢いが増しています。

また、不動産価格の上昇は、仙台市中心部の青葉区から、郊外の宮城野区、泉区、さらに周辺の市町村に広がっています。2023年の公示地価では、仙台市の周辺に位置する大和町、富谷市、名取市などが上昇率の上位にランクインしています。このような市況の中で、購入を検討する際には仙台市内だけではなく周辺エリアも合わせて物件探しを進めてみることをおすすめします。

また、価格の上昇が続く中で、購入のタイミングが難しい面もありますが、仙台が東北で唯一の政令指定都市であることや、コロナ禍においても上昇が続いていたことを考慮すると、早々に値下がりを期待するのは難しいかも知れません。

むしろこのまま上昇が続けば、さらに郊外へと波及していく可能性が高いため、仙台市や周辺エリアで購入を希望される方は少し急いで検討を進めた方がよいでしょう。前述の通り、仙台市はエリアによって供給される物件の種類や相場が大きく異なります。地域の不動産会社などから常に最新の情報を入手しておくようにしましょう。

 

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