横須賀市は神奈川県の南東部、三浦半島の中心に位置する中核市です。幕末の黒船来航など歴史的に国防の要所だった横須賀市は軍港の街として栄え、現在でも米海軍や自衛隊の基地がおかれています。一方、中心となる横須賀駅からは、JR横須賀線で東京まで約80分と、都心で働く方のベッドタウンとしても発展してきました。
そんな横須賀市の人口は、約39万人、世帯数は約17万世帯。最近10年間の人口は6%減、世帯数は2%増となっています。年間の転入出者数は約1,400人の転出超過となっています。
目次
1、横須賀市の人口・世帯数
1-1.人口・世帯数(2020/12/31 現在)
人口 | 389,172人 |
世帯数 | 167,341世帯 |
1-2.人口・世帯数の推移
1-3.転入・転出(2020年中)
転入者数 | 13,067人 |
転出者数 | 14,449人 |
※出典:出典:2020年人口移動報告(総務省)
2、横須賀市の不動産情報
2-1.土地の価格
土地の価格(地価)については、毎年1月1日を基準とした「公示地価」と7月1日を基準とした「基準地価」が発表されています。横須賀市における公示地価と基準地価の平均は以下の通りです。直近の平均地価としては、約13万円台/㎡となっており、最近10年間では、緩やかな下落傾向が続いており、10年間で約18%下落しています(公示地価ベース)。
■公示地価、基準地価とは?
公示地価とは、地価公示法に基づき、国(国土交通省)が、毎年1月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。基準地価とは、国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。
同年の価格を比較した場合、公示地価よりも基準地価の方が半年遅れで公表されるため、より直近の取引価格を反映していると見ることができます。なお公示地価、基準地価はともに一般の土地の取引価格の指標等として使われていますが、あくまで指標であり、実際の取引価格とは異なりますのでご注意ください。
横須賀市全体の地価平均(㎡あたり)
公示地価(2021年) | 134,172円 |
基準地価(2020年) | 131,661円 |
公示・基準地価の推移(平均/㎡)
マップでご覧いただけるように、横須賀市の中心はJR横須賀線の横須賀駅と、京急線の横須賀中央駅で、この2つの沿線の人気が高く、12~17万円/㎡程度が相場です。一方、駅から離れたエリアや、鉄道が乗り入れていない市の西側は、約6~10万円/㎡とリーズナブルな価格となっています。
2-2.新設住宅着工戸数(2020年)
国土交通省が発表している新設住宅着工戸数について見てみましょう。横須賀市で2020年中に新築された建物は1,836戸でした。内訳としては、持ち家(注文住宅)が32%、貸家(賃貸住宅)が36%、分譲住宅が32%と、ほぼ1/3ずつバランスよく供給されています。分譲住宅の内訳としてはすべて一戸建となっており、2020年において新築マンションの供給はありませんでした。新築マンションの供給は2015年頃から減少しており、マンションは中古を中心に探すことになりそうです。一方、一戸建は年600戸前後安定して供給されています。
持ち家 | 593戸 |
貸家 | 663戸 |
給与住宅 | 1戸 |
分譲住宅 | 579戸 |
2-3.住宅着工戸数の推移
横須賀市の住宅着工数は最近10年間でマイナス16%となっています。内訳としては、注文住宅がマイナス18%、分譲住宅がマイナス40%、賃貸住宅がプラス32%となっており、分譲住宅が大きく減少していますが、これは主に新築マンションの供給減少によるものです。
2-3.横須賀市の不動産価格相場
横須賀市で販売されている新築マンションは3,000万円台半ば~4,000万円台がボリュームゾーンで、㎡単価は70万円前後が相場のようです。中古マンションは、築15年以内で平均2,762万円(39.2万円/㎡)、築15~25年で平均2,235万円(28.6万円/㎡)、築25年超で平均1,269万円(22.6万円/㎡)前後が相場です。マンションは新築の供給が少なく、中古との価格差が大きいので、新築と中古を並行して探してみることをおすすめします。
一戸建については、新築で3,193万円、中古は築15年以内で平均3,424万円、築25年以内で2,683万円、築25年超で1,859万円となっています。
最後に土地の相場については、最寄駅から徒歩10分以内なら平均14.9万円/㎡、徒歩20分以内なら8.1万円/㎡、徒歩20分を超えると11.1万円/㎡となっています。横須賀市は市の東部にしか鉄道がないため、駅距離だけでなく車での利便性も考慮されますし、海沿いやロードサイドの商業地などは駅から離れていても相場が上がることがあります。
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3、横須賀市の教育環境
横須賀市には、46校の公立小学校、23校の公立中学校、8校の公立高校、4校の私立高校があります。大学は自衛隊幹部を養成する防衛大学校をはじめ5校がありますが、防衛大以外は衛生・保健系の学校であるため、神奈川県内、東京都内の大学に通学する人も多いようです。未就学児については、幼稚園・保育園・認定こども園等あわせて100を超える施設があります。
3-1.幼稚園・保育園・学校の数
公立 | 私立 | |
幼稚園・保育園・認定こども園等 | 12施設 | 101施設 |
小学校 | 46校 | 1校 |
中学校 | 23校 | 2校 |
高等学校 | 8校 | 4校 |
大学・短大 | 2校 | 1校 |
3-2. 待機児童数(2021年4月現在)
待機児童数(国基準) | 21人 |
横須賀市の待機児童数は、21人となっており、前年の45人から24人減少しています。年齢は1歳児が19人、2歳児が2人で、0歳児および3歳以上の待機児童は解消しています。小さなお子さまのいるご家庭は、念のため市役所等に確認してみることをおすすめします。
4、横須賀市の不動産市場と住宅購入について
横須賀市は三浦半島の中心部に位置し、東側が東京湾、西側が相模湾に接しています。また、中央部は山や丘陵となっているため平地が少なく、ほとんどの市街地が海岸線沿いにあります。このように海と山に囲まれた横須賀市での住まい探しは市の東側、JR横須賀線と京急線が走っているエリアが中心になります。その中でも中心となるのは、JR「横須賀駅」と、京急「横須賀中央駅」です。この2駅を起点に久里浜方面まで、沿線には一戸建を中心とした住宅地が形成されており、新築・中古ともに物件が流通しています。
通勤アクセスとしては、JR横須賀駅から品川まで快速で約70分、東京まで約80分です。京急横須賀中央駅からは、品川まで特急で約60分、都営浅草線直通電車に乗れば日本橋まで約80分で行くことができます。通勤時間としてはやや長めですが、テレワーク等で通勤頻度が低い方は、さほど苦にならない距離ではないでしょうか。むしろ始発電車に座ったまま乗り換えなしで都心まで行けるのは大きなメリットとも言えるでしょう。この2駅の周辺には、大型ショッピング施設や活気ある商店街などもあり、日常の買い物はほぼ駅前ですませられます。
横須賀市の都市計画マスタープラン「将来の都市構造図」によると、上記の2駅に京急線「汐入駅」と、県立大学駅を最寄とする「平成町」を加えた4エリアが、将来の都市拠点(中心市街地)と位置づけられています。横須賀市の住まい探しは、まずこの4エリアからスタートしてみるのがよいでしょう。もう少し広げて検討したい場合には、地方拠点(拠点市街地)に指定されている、京急線の「追浜駅」「田浦駅」「北久里浜駅」「浦賀駅」、JR「衣笠駅」、そして両線が乗り入れる「久里浜駅」などを予算や環境に合わせて検討してみるとよいと思います。
現在、横須賀市は人口の減少や高齢化が進み、地価も下落傾向が続いています。市ではこうした課題に対し「拠点ネットワーク型都市づくり」を目標に掲げ、各地に分散した住宅地や都市機能をコンパクトに集約していく都市づくりを進めています。今後は拠点エリアを中心に都市機能が集約されていきますので、資産価値を維持するという意味からも、拠点エリアでの購入をおすすめします。
海と山に囲まれ自然豊かで気候も温暖な横須賀市。価格もリーズナブルな上、軍港の街として他の地域にはない歴史と異国情緒のある雰囲気を持つ街でもあります。テレワークで通勤の頻度が下がり、都心から郊外に移り住む方も増えています。広い一戸建でゆったりと暮らしたいファミリー層の方にはちょうどいい街ではないでしょうか。情報収集を兼ねてぜひ一度現地を訪れてみることをおすすめします。