「2本立て」「つなぎ融資」ってナニ?土地を買って注文住宅を建てるときの住宅ローン

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土地を買って注文住宅を建てるときの住宅ローン

マンションや建売住宅と比べて、土地を購入して注文住宅を建てる場合のローンの組み方はちょっと複雑です。「2本立て」や「つなぎ融資」などの聞きなれない言葉も多く、少し面倒な感じのある注文住宅のローンですが、内容を知ると「なるほど」と思える仕組みになっています。今回は、そんな注文住宅のローンについて解説します。

目次

1、意外に難しい「土地を買って注文住宅を建てる」ときの住宅ローン

完成したマンションや一戸建と異なり、土地を買って注文住宅を建てるときの住宅ローンはちょっと複雑です。それは建物を建てる前に土地代金の支払いが必要だったり、建物の契約や着工のタイミングで複数回の支払いが発生したりするからです。詳しく見ていきましょう。

1-1. 土地を買って注文住宅を建てる時の流れ

まず、土地を買って注文住宅を建てる時の基本的な流れを見ていきましょう。

■土地を買って注文住宅を建てる時の基本的な流れ

土地を買って注文住宅を建てる時の基本的な流れ

土地を買って注文住宅を建てるときは、上図のように「土地購入」と「建物建築」の2つのステップに分かれます。一般的には土地の申込みから引き渡しまで1~2ヶ月、建物の着工から引き渡しまで6ヶ月程度かかります。

なお、建物の建築契約と土地の引き渡しは同時期になることが多く、上図と順番が入れ替わることもあります。

1-2. お金の支払いの流れ

基本的な流れがわかったところで、この図に土地・建物それぞれのお金(支払い)の流れを加えてみましょう。例として、土地2,500万円、建物2,000万円(税込)として解説します。

■土地・建物それぞれの支払の流れ(例)

土地・建物それぞれの支払の流れ(例)

上図は注文住宅の支払いの流れの一例ですが、土地と建物それぞれについて複数の支払いが発生するのが大きな特徴です。なお、土地代金は「手付金」と「残金」に分かれることがほとんどですが、建物代金の支払い時期は会社によって異なり、建築確認取得時、着工時、上棟時など2~3回に分けて支払うケースも見られます。また金額も会社によって様々ですが、設計や工事の進捗に合わせた金額を決めているケースが多いようです。

一般的に、マンションや建売住宅では、契約時の「手付金」と引き渡し時の「残金」の2回ですので、注文住宅の資金計画がより複雑であることがわかります。

こうした複数回にわたる支払いでどのように住宅ローンを組んでいくのかが今回のテーマです。

2、土地と建物のローンを別々に組む「2本立て」と「分割実行」

それでは具体的に、注文住宅を建てる時のローンの組み方について見ていきましょう。

2-1. 「2本立て」ローンの概要

「2本立て」とは、土地と建物の住宅ローンを別々に2本契約し融資を受けることを言います。上記の例ですと、土地2,500万円のローンと建物2,000万円のローンを別々に契約することになります。

■2本立てで住宅ローンを組む場合の支払いの流れ

2本立てで住宅ローンを組む場合の支払いの流れ  「

「2本立て」の基本的な流れが上図になります。土地の申込み時点で、土地・建物全体に対してローンの仮審査をおこない、土地の契約後、土地分のローン(ローンA)の本審査と契約を経て、土地の引き渡し時にローンAの融資を実行します。その後、建物の契約時に建物分のローン(ローンB)の本審査と契約をし、建物の引き渡し時にローンBの融資実行という流れになります。

上図のように、原則として住宅ローンは土地や建物の「引き渡し時」に融資が実行されます。しかしこのやり方では、「①土地手付金」「③建物契約手付金」「④建物中間金」について、一時的に自己資金で立て替えなければならず、1,000万円以上のお金が必要になってしまいます。こうした事態を避けるため「2本立て」ローンを組む場合には、「分割実行」と呼ばれる方法を用いることがあります。

2-2. 建築中でもローンを実行してくれる「分割実行」

分割実行とは、本来引き渡し時に実行される融資の一部を前倒しで実行してもらうことを言います。下図の例では「分割実行」により、引き渡し前に「④建物中間金」として900万円の融資が実行されています。

■2本立てローンと分割実行を組み合わせたパターン

2本立てローンと分割実行を組み合わせたパターン

このように分割実行を利用すれば、自己資金として用意するのは、「①土地の手付金(250万円)」と「③建物契約手付金(100万円)」だけとなります。また土地の手付金は、土地分の融資(ローンA)実行時に手元に戻ってくることになりますので、それほど大きな負担にはなりません。

ただし、実行されたローンは原則として翌月から返済が始まりますので、賃貸にお住まいの方は家賃とローンの二重払いとなる可能性があります。その場合は、建物が完成するまでの間、利息だけを返済する方法もあります。(「元金据置」といいます)

なお、上図は2本立てと分割実行を組み合わせた形になっていますが、金融機関によっては、土地と建物を合わせた1本の住宅ローンで、分割実行に対応してくれることもあるようです。

2-3. 2本立てのメリット・デメリット

2本立て(分割実行)を利用するメリットは、借入金すべてに住宅ローンの条件が適用されることです。後述する「つなぎ融資」に比べると金利が低く返済期間も長いため、建物引き渡しまでの返済負担が軽くなります。一方デメリットとしては、2本の契約に対してそれぞれ事務手数料や印紙代、抵当権設定費用等が必要なので、契約にかかる諸経費が増えることです。

3、土地代金や中間金を短期のローンで支払う「つなぎ融資」とは

次に「2本立て」ではなく、「つなぎ融資」を使った資金計画を解説します。

3-1. 1本の住宅ローンで「つなぎ融資」を利用する方法とは

注文住宅を建てるときの資金計画としてよく使われるもうひとつの方法として「つなぎ融資」があります。「つなぎ融資」とは住宅ローンとは別に短期のローンを組み、土地代や中間金などの支払いに充て、最終的に住宅ローンが実行された際に返済する方法です。

■つなぎ融資を使った資金計画

つなぎ融資を使った資金計画

上図のように、「①土地手付金」~「④建物中間金」までの計3,500万円を「つなぎ融資」で支払い、建物引き渡し時に実行される住宅ローン(4,500万円)を「つなぎ融資」の返済と「⑤建物残金」の支払いに充てる流れになります。

なお、つなぎ融資も原則として実行の翌月から返済がスタートしますが、建築中の負担を軽減するため、「元金据置」に応じてもらえる金融機関もあります。

3-2.「つなぎ融資」のメリット・デメリット

このように「つなぎ融資」を使えば自己資金が少ない方でも無理のない資金計画が可能になります。またつなぎ融資では抵当権を設定しないので登記費用がかからないというメリットもあります。

一方デメリットとしては、金利が年3~4%と高めに設定されていることが多く、事務手数料や利息も発生しますので、短期間の融資とは言え数十万円のコストがかかります。また「つなぎ融資」を取扱っている金融機関はそれほど多くないため、金融機関を自由に選べないのもデメリットと言えます。金融機関を自由に選びたい方は、自己資金を用意するか、親などから一時的にお金を借りるなど、資金計画を検討する必要が出てくるでしょう。

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4、注文住宅の資金計画はプロのアドバイスを受けながら進めよう

最後に、土地を買って注文住宅を建てるときの資金計画のポイントをお伝えします。

4-1. 金融機関による対応の違いに留意しよう

マンションや建売住宅と異なり、注文住宅の住宅ローンは金融機関によって対応にかなりの違いがあります。そもそも「2本立て」や「分割実行」を扱っていない金融機関もありますし、審査に対する考え方も様々です。

従来は、都市銀行や大手地銀が柔軟に対応してくれるケースが多かったようですが、最近では、一部のネット銀行などでも「つなぎ融資」に対応する金融機関も出てきました。金利等の条件と合わせて、ホームページなどで確認してみることをおすすめします。

4-2. ハウスメーカーや工務店の提携ローンを利用するのもおすすめ

金融機関にそれほどこだわりのない方は、住宅会社の提携ローンを利用するのもひとつの方法です。提携ローンとは、金融機関が実績のある住宅会社向けに提供している住宅ローンで、金利や審査基準等で、一般的な条件よりも有利になることが多いようです。手続きも住宅会社の担当者が窓口となって進めてもらえるので、住宅ローンにあまり手間を掛けたくないという方にはおすすめです。

4-3. 資金計画は早い段階から専門家と相談しながら進めよう

土地を買って注文住宅を建てるときの住宅ローン、ご理解いただけましたでしょうか。

マンションや建売住宅と比べると少しわかりにくいですが、「いつ・いくらの資金が必要なのか」をきちんと把握し、専門家のアドバイスを受けながら進めればそれほど心配することはありません。

自己資金や親からの援助などなども考慮しながら、しっかりと資金計画を立てることが大切です。できるだけ早い段階から、資金計画をトータルでサポートしてくれる会社と一緒に進めていくことをおすすめします。

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