今、平屋住宅が人気!平屋を建てるときに必ず知っておきたいポイントとは?

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いま、30代からシニアまでの幅広い年代で平屋住宅が人気になっています。しかし、購入検討段階で多くの人が断念してしまっているのも事実です。今回のコラムでは、平屋住宅のメリットを紹介しつつ、建築する時のポイントなどについてもまとめました。

目次

1) 平屋住宅とは?その特徴と魅力

平屋とは1階建ての住宅のことをいいます。かつて日本でも平屋の住宅が数多くありましたが、現在は2階建て以上が主流となりました。しかし今、平屋の人気が高まっています。平屋住宅の魅力について見ていきましょう。

 1-1. ワンフロアの暮らしやすさと開放感が最大の魅力

平屋の最大の魅力は、暮らしやすさと開放感です。生活空間がワンフロアにまとまり、上下階への移動がないため、家の中の移動が楽で、家事動線もシンプルになります。また、天井を高くしたり、勾配屋根をそのまま見せたりと上下方向に大きな空間を作ることが可能です。さらに、階段がないため余計な廊下やドアが不要となり、横方向にも大きな広がりを出すことができます。平屋の最大の魅力はこの大きな空間が生み出す開放感です。上下階の移動のないバリアフリーの住まいは、子どものいる家庭や、シニア世代にとって開放的で安全な住まいなのです。

1-2. 平屋は構造的に地震・災害に強い

一般的に、建物は重心が低いほど地震に強いと言われています。平屋は2階建てに比べて重心が低く、建物の重量も軽いため、耐震性が高いという特徴があります。また面積が広く高さが低いため、台風など風の影響も受けにくく、万一の火災などでもサッと逃げやすいというメリットもあります。

1-3. 家族の顔が見えてコミュニケーションが取りやすい

最後に、平屋は家族のコミュニケーションが取りやすいという魅力があります。2階建てではどうしても上下階のコミュニケーションが取りにくくなりますが、平屋はどこにいても家族の気配を感じることができ、子どもにも目が届きやすいので安心です。このほかにも、平屋住宅のキーワードとして「広い庭」「日当りが良い」「広縁」等々、比較的「のんびり」もしくは「ゆったり」とした暮らしをイメージする言葉が並びます。ゆるやかな日差しと木のぬくもりを感じる広縁に座り、庭の草花や樹木を見ながらのんびり過ごす・・・まさに四季を感じながら暮らせる住宅の醍醐味です。

1-4. 2023年の住宅トレンドは「平屋回帰」。平屋の棟数・検討者ともに年々増加

2023年4月、リクルート社は2023年の住宅トレンドのキーワードとして「平屋回帰」を発表しました。同社の調査によると、平屋の新築戸数の割合は年々増加し、2014年の7.6%から2022年には13.7%まで増加しています。

出典:リクルート社 発表資料

また、注文住宅の建築者で「平屋の住宅」を検討した人の割合も年々増加しており、2018年の12.4%から2022年には17.9%にまで伸びています。

■注文住宅建築者が検討したテーマ

出典:リクルート 注文住宅動向調査<注文住宅建築者>2022

また最近の平屋ニーズとして、建物面積10~25坪程度のコンパクトな平屋で、新築でも1,500万円程度の低コスト・高コスパの平屋が注目されているという特徴もあるようです。さらに、中古の平屋住宅を購入してリノベーションしたり、地方の平屋を改修してアウトドアやキャンプを楽しむ拠点にしたりするなど、新たな楽しみ方も増えているといいます。

2) 平屋住宅の割合は全国で13.7%、平屋住宅が普及しない要因とは

このように、近年人気が高まっている平屋住宅ですが、その割合は全国平均で13.7%にとどまっており、2階建て住宅の77.0%と比べるとまだまだ大きな開きがあります。平屋住宅が広く普及しない要因は何なのでしょうか。

2-1. 平屋住宅が多いエリア、少ないエリアはどこ?

国土交通省の建築着工統計によれば、居住専用住宅における都道府県別の平屋住宅の割合は以下の通りです。

※出典:2022年 建築着工統計(国土交通省)より作成。1階~3階の居住専用住宅のうち1階の割合(棟数ベース)

グラフからわかるように、平屋の割合が最も低いのは東京(1.4%)ですが、近郊の神奈川、埼玉、千葉でも10%未満。また大阪、兵庫、京都、奈良、滋賀などの近畿圏でも10%を超えるエリアはありません。このように平屋住宅は大都市やその近郊エリアであまり普及していないことがわかります。

2-2. なぜ大都市近郊では平屋が普及しないのか?

このように大都市近郊では、平屋住宅の人気が高まる反面、実際に建てる人はわずか1~8%程度にとどまっています。その要因は何なのでしょうか?

土地の広さと地価

1つ目の要因は土地の広さと地価です。前述のような「ゆったり」「のんびり」した平屋でスローライフを楽しむためには、広い庭や日当たりを確保するために、ある程度の広さの土地が必要になりますが、そこで問題になるのが土地の価格です。仮に165㎡(約50坪)の土地を想定した場合、首都圏の公示価格からおおよその土地価格を求めてみると次にようになります。

■165㎡(約50坪)の土地を購入した場合の概算価格

エリア土地価格
中野区(東京)1億5,577万円
世田谷区(東京)1億2,331万円
江東区(東京)1億942万円
立川市(東京)7,865万円
八王子市(東京)2,583万円
川崎市(神奈川)6,746万円
藤沢市(神奈川)3,854万円
相模原市(神奈川)3,143万円
小田原市(神奈川)2,097万円
川口市(埼玉)4,744万円
ふじみ野市(埼玉)3,512万円
春日部市(埼玉)1,655万円
船橋市(千葉)3,715万円
流山市(千葉)2,654万円
市原市(千葉)913万円

出典:2023年公示地価より作成

このように、東京23区内では土地だけで1億円を超え、予算的にかなり厳しくなります。大都市近郊で平屋が普及しにくい要因のひとつは、地価が高く、広い土地を確保しにくいことだと言えそうです。一方、いわゆる郊外エリアであれば通勤圏でも2,000万円~4,000万円くらいで、だいぶ現実感のある価格になってきます。都心では予算的に難しそうな平屋も、郊外エリアを含めれば実現できる可能性が高くなります。

法令上の制限(建ぺい率/容積率)

次に建築基準法に定められる「建ぺい率」と「容積率」による制限が挙げられます。

建ぺい率とは、『敷地面積(建物を建てる土地の面積)に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合』のことを言います。例えば100㎡の土地に建築面積50㎡の建物を建てる場合、建ぺい率は50%となります。(図は、建ぺい率50%のイメージ)

容積率とは、「敷地面積に対する延床面積(各階の床面積の合計)のことを言います。例えば、100㎡の土地に延床面積100㎡(各階50㎡)の建物を建てる場合、容積率は100%となります。(図は、容積率100%のイメージ)

この建ぺい率/容積率は、土地の適正利用の観点から法令で制限がかけられています。

例えば、低層住宅(2階建以下)を中心とした住宅地であれば建ぺい率は30~50%、容積率は80〜100%以内、中高層住宅を中心としたエリアであれば建ぺい率は50~60%、容積率は150〜200%以内などのように、低層住宅地であるほど制限が厳しくなっています。なぜなら、低層住宅は、周囲に建物があると日照が確保できないため、より敷地に余裕をもって建てることが求められるわけです。

仮に建ぺい率50%/容積率100%のエリアに、100㎡の土地を購入したとすると、建ぺい率の制限で建築面積は50㎡以内となります(100㎡×50%=50㎡)。この場合、建物が平屋ならば延床面積は50㎡(50㎡×1階)が上限となりますが、2階建ならば100㎡(50㎡×2階)までの広さが確保できます。地価の高いエリアで2階建て以上が選ばれるのはこのためで、結果として平屋が少なくなる要因となっています。

土地購入を検討する際、気になる土地が見つかったら、そのエリアの建ぺい率から、平屋でどのくらいの広さの建物が建てられるのかを確認してみるとよいでしょう。建ぺい率は市区町村などのホームページでも調べることができますし、近くの不動産会社に相談すれば教えてもらえます。

建築費

3つ目の要因としては、建築費が挙げられます。平屋住宅は、2階、3階建と比べて材料が少なく手間もかからない分、費用も安いと思われがちですが、実はそうではありません。

もちろん間取り次第ではありますが、平屋の場合は1階面積=延床面積となるため、基礎部分(建物と地盤をつなぐ重要な部分)の面積が2階建よりも大きくなりがちで、建築費は割高になる傾向があります。また、同様に屋根の面積も大きくなる場合が多く、凝ったデザインや屋根材等を使うと費用がかさむことがあります。

結果的に延床面積あたりの単価(いわゆる坪単価)で比較すると平屋の方が割高に見えることもあり、2階建が選ばれることが多くなるわけです。

2-3. 土地価格や法令制限は、早めにプロに確認しよう

このように、一見すると2階・3階建住宅よりもシンプルで身近に感じられる平屋住宅ですが、実はよくよく検討していくと「やっぱり2階建てか」「平屋は無理かな」とあきらめてしまう方も数多くいらっしゃいます。もちろん、住まいの選択肢は平屋だけではありませんし、最終的にご家族にあった理想の住まいが建てられればベストなのですが、ポイントとなる「土地の相場」や「法令上の制限」などは事前にしっかり調べておくことをおすすめします。

自分で調べるのが大変だという方は、早い段階で不動産会社などに相談してみるとよいでしょう。

3) 注文住宅で理想の住まいを実現するための3つのポイント

平屋に限らずの話ですが、希望に叶う注文住宅(特に平屋住宅)を建てるには、下記に書いた3つの次項が大変重要になります。話を進めて行くうちに「やっぱり2階建てでいいや」や「なかなか良い場所が見つからない」など、平屋住宅を諦めてしまう事態にならないためにも、平屋にする目的・優先事項・予算感・スケジュール感などをしっかり把握しておくことが重要です。

3-1. 土地探し

注文住宅を建てるためには土地が必要になりますが、この「土地探し」が大きなポイントです。

家を建てるためには、まず土地を買って、その後その土地に合わせて建物を設計するとお考えの方が多いのですが、実は「ま逆」なのです。なぜなら前述のように、土地には様々な制限があるので、土地を買った時点でその土地にどのような建物が建てられるかおおよそ決まっているからです。つまり、先に建てたい家の階数や広さのイメージを描き、それが建てられる土地を探す方が、希望する家を建てられる確率は高くなるでしょう。

土地は1つとして同じものはなく、大きさ、形、方位、水道やガスなどのインフラ、そして法令制限などすべて異なりますので、最悪の場合、土地を買ってから思い描いていた家が建てられない、というケースもあり得ます。土地探しにあたっては、場所や価格だけではなく、建築的な側面からもプロの意見を聞きながら進めていくことがとても重要なのです。

3-2. 資金計画

もう一つ、重要なポイントが「資金計画」です。資金計画とは、お客様の収入や将来のライフプランをもとに、住宅ローンの借入額(返済額)を決め、全体の予算を試算した上で、土地、建物、諸経費等にどのように配分するかを決めていくことです。この資金計画がうまくいかないと、土地に予算をかけすぎてお金が足りなくなり、思っていた通りの建物が建てられない、などということが起こります。つまり、土地探しも建物のプランも基本的にはこの資金計画に基づいて進めていくのが正しい手順です。

また、土地を購入して注文住宅を建築する場合には、住宅ローンの組み方にも大きなポイントがあります。このケースでは、土地の購入代金を支払った後、建築をスタートし、数ヶ月後の建物完成時に再度、建築代金の支払いが発生するからです。基本的に住宅ローンは、建物が完成してからでないと金融機関からの融資を受けることができません。建物が完成している建売住宅やマンションの場合は問題になりませんが、土地を購入して注文住宅を建てる場合には、建物の完成前に土地代金や建築費の着手金・中間金などの支払いが発生するため、融資実行前に支払が発生するものに対して対応できない場合も出てきます。そこで「つなぎ融資」と呼ばれるローンを利用することになります。

つなぎ融資は、住宅ローン融資が実行される前であっても必要な資金の融資が受けられる仕組みで、建物が完成して正式な住宅ローン融資が実行された時点で、このつなぎ融資分も清算するようになります。

このあたりは注文住宅の実績の多い会社であれば、金融機関と連携して体制を整えていますので、資金計画の際にあらかじめ相談してみるとよいと思います。

3-3. 会社選び

そして最後のポイントが会社選びです。会社選びをする上で重要なのは、上記の資金計画から土地探し、建物のプランニング、さらには金融機関の斡旋まで、トータルでしっかりサポートしてくれる会社であることです。言い換えれば、家づくりのプロセスをすべて同じ会社で一貫して任せられるかどうかが重要です。

また、平屋・2階建を問わず、実績の豊富な会社を選びましょう。多くのお客様の要望を聞き、対応してきた実績のある会社が安心です。実際にモデルハウスや建築実例を見て希望を伝え、デザインや考え方が合う会社を選ぶことによって理想の形をイメージできるようになります。WEB上でいろいろ物件を検索するよりも、実際にお店で話をしてみる方が、案外、理想のマイホームを得るための近道かもしれません。

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