コロナ禍で不動産市況はどう変わったか?住まい探しトレンドと価格の変化を検証

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1、約2年におよぶコロナ禍と緊急事態宣言の推移

 

1-1. 新規感染者数と緊急事態宣言

まず改めて、2020~2021年の動きをおさらいしてみましょう。

下図の通り、2020年初頭に国内でも新型コロナの感染者が確認され、4月には1回目の緊急事態宣言が発出されました。2021年も感染者数は増減を繰り返し、計3回の緊急事態宣言と、まん延防止等重点措置などが発出されました。しかし、8月をピークとする第5波を過ぎてからは、ワクチン接種の効果等もあり、感染者数は減少し、落ち着きを取り戻しています。

※出典:厚生労働省オープンデータより作成(1日あたり新規陽性者数の月毎平均)

 

1-2. コロナ禍における暮らしの変化と住まいニーズ

このように約2年におよぶコロナ禍と、繰り返される緊急事態宣言により、私たちの暮らしも大きく変化しました。テレワーク(リモートワーク)が一気に普及して外出の機会が減少し、「巣ごもり」が日常生活の基本となりました。マスク着用や手洗い・消毒も当たり前のものとなり、買い物は「まとめ買い」やネット通販の利用が増えました。こうした変化にともない、自宅にワークスペースを求める人が増え、玄関手洗いや収納スペース、更には運動をするための部屋や広い庭が欲しいという声も多く聞かれました。

このような暮らし方の変化により、住まいの購入ニーズや意識に変化はあったのか、また今後どうなっていくのかを考察してみたいと思います。

 

 

2、Googleトレンドから見る住まい探しニーズ

それではまず住まい探しのニーズがどう変化したのかについて、「Googleトレンド」で関連キーワードの検索状況を見てみましょう。

 

2-1. コロナ禍におけるマンション購入ニーズの変化

まず、マンション関連のキーワード「マンション」「新築マンション」「中古マンション」の動きを見ていきましょう。

国内で初めての感染者が見つかった2020年1月から、感染者数が増加傾向だった4月まで、検索数が大きく減少しています。本来この時期は1年で最も住み替えニーズの高い時期なのですが、検索数は急激に落ち込んでいます。当時はまだ「得体のしれない新型ウィルス」への対処法も分かっておらず、漠然とした恐怖と不安により、一気に様子見ムードが広がったためと思われます。

※出典:Googleトレンド

 

しかし、この第1波の到来に合わせて急減した検索数は5月に反転し、その後大きな伸びが見られます。これは、1~3月の住み替えシーズンの反動と、緊急事態宣言による暮らしの変化が要因と思われます。緊急事態宣言をきっかけに始まったテレワークや学校の休校などで在宅時間が増え、住まいに対する意識や不満が高まったことが大きな理由と考えられます。

それ以降は、2020年10月頃から再び感染者数が増加(第3波)したことにより、年末に向けて落ち込みが見られるものの、翌年(2021年)の1月には例年の住み替えシーズンに匹敵する強い動きを取り戻しています。またデルタ株の流行で過去最大の感染者数となった2021年8月以降(第5波)も検索数は減少することなく伸び続けています。コロナへの対処法がある程度わかってきたことや、ワクチン接種が進んだ安心感など、いわゆる「コロナ慣れ」を背景に、住まい探しに動く方が増えているものと思われます。

 

2-2. コロナ禍における一戸建購入ニーズの変化

次に一戸建の検索キーワード「戸建」「新築戸建」「中古戸建」を見てみましょう。

一戸建もマンションと同様に2020年の1~4月に大きな落ち込みがあり、5月以降に急回復していますが、マンションよりも回復ペースが早く、V字回復に近いグラフとなっています。特に「新築戸建」は1回目と2回目の緊急事態宣言のタイミングでニーズが急回復しており、コロナ禍による暮らしの変化で、一戸建を志向する方が増えたことを示唆しています。

※出典:Googleトレンド

 

その後はさほど大きな落ち込みもなく、例年の動きを取り戻していますが、マンションで見られた、2021年8月以降の伸びは見られず落ち着いた動きとなっています。

 

2-3. コロナ禍における賃貸ニーズの変化

続いて「賃貸」の検索数について見てみましょう。

賃貸もマンション、一戸建と似た動きとなっていますが、1回目の緊急事態宣言時の回復の動きは鈍く、2021年の1月の住み替えシーズン到来とともに急激に上昇しています。これは賃貸が入学や就職、転勤などのタイミング(3月・9月)で大きく動くことが要因と思われます。また、持ち家は住宅ローン金利や景気の影響を強く受けるのに対して、賃貸は比較的需要が安定しており、1回目の緊急事態宣言による影響はあったものの、その後は平常時に戻りつつあると考えられます。

※出典:Googleトレンド

 

 

3、マンション・一戸建の成約状況と在庫状況

ここまでGoogleの検索数をもとに、コロナ禍での住み替えニーズの動きについて見てきました。では実際の成約状況はどうなっているのでしょうか。レインズ(東日本不動産流通機構)のマーケットデータをもとに、首都圏のマンション・一戸建の成約状況および在庫状況を見てみましょう。

 

3-1. 首都圏のマンション・一戸建の成約状況

下図が首都圏のマンション・一戸建の成約状況です。中古マンション、一戸建ともに2020年4月に大きく落ち込んだものの、緊急事態宣言中の5月にやや回復し、6月にV字回復しています。その後は、12月に落ち込みが見られるものの、コロナ前の水準を維持しながら、年明け2021年の住み替えシーズンには、前年を上回る成約状況となりました。そして8月まで緩やかに下がった後、9月~10月は2ヶ月連続の上昇となっています。

※出典:レインズデータライブラリー(東日本不動産流通機構)より作成

 

このような動きから見ると、やはり1回目の緊急事態宣言時は、未知なるウィルスに対する先行き不安が拡大し、一時的な様子見ムードの蔓延・消費者の行動控え・不動産取引や建築工事の停止等が発生しました。しかしながら2回目、3回目の緊急事態宣言では、例年に近い状態で不動産売買も行われ、それほど大きな影響はなかったと考えられます。住宅購入の動機や理由はコロナ前と変化しつつも、むしろ積極的な財政出動による株価上昇や、低金利、住宅ローン減税などによる買い時感もあり、2020年6月以降の住宅購入ニーズは堅調だったと言えます。

 

3-2. 首都圏のマンション・一戸建の成約価格

上記を裏づけるように、首都圏のマンション・一戸建の成約価格はコロナ禍にあっても上昇を続けています。2020年1月と2021年10月で成約価格の平均を比較してみると、中古マンションは3,672万円→3,897万円(+6.1%)で約220万円の上昇、中古一戸建で3,100万円→3,579万円(+15.4%)となり約480万円の上昇、更に新築一戸建に至っては3,402万円→4,008万円(+17..8%)と、約600万円以上も成約価格が上昇しています。特に一戸建で高い上昇率となっている事が確認できます。また月ごとの成約価格も、2021年はすべての月で前年を上回っています。

※出典:レインズデータライブラリー(東日本不動産流通機構)より作成

 

3-3. 首都圏のマンション・一戸建の在庫状況

そして、この価格上昇の一因となっているのが、市場に流通している物件の減少です。同じくレインズのデータから首都圏の在庫状況を見てみましょう。

※出典:レインズデータライブラリー(東日本不動産流通機構)より作成

 

上図の通り、1回目の緊急事態宣言明けから急激に市場に出回る在庫件数(≒流通物件数)が減少しています。コロナによる景気悪化を懸念した不動産会社が、新築物件の供給や土地の仕入れを減らした事と、自宅を売却したい個人が、検討を先送りしたことが要因と考えられます。

 

つまり、1回目の緊急事態宣言後に、購入ニーズは急速に回復したものの、市場に流通している物件が減少していたため物件価格は上昇。さらなる先高感から売却を先送りする「売り控え」も起こり、さらに品薄感に拍車がかかっているのが今の状況だと思います。

しかし、中古マンションでは減少していた在庫数が2021年7月から少しずつ増加していますので、まだコロナ前の水準には届かないものの、徐々に落ち着きを取り戻すのではないかと思われます。

 

 

4、このままコロナは終息するのか?2022年の不動産トレンド予測

 

4-1. コロナ禍の落ち着き感は有るが、ニューノーマルは定着

未だ予断を許さないオミクロン株の感染動向が気になりますが、私たちの暮らしは少しずつコロナ前の状態にもどりつつあります。飲食店やテーマパークなども再開され、旅行やイベントに出かける方も増えてきました。しかし、コロナ禍で普及したテレワークや手洗い・マスク等の衛生習慣など、いわゆるニューノーマルな暮らしは、今後も定着していく可能性が高いと思われます。その結果、毎日通勤する必要がなくなれば、都心に住む意味も薄れますし、自宅で仕事をする機会が増えれば、狭い賃貸よりも広い持ち家を求める人は必然的に増えていくでしょう。

2022年も低金利は続きそうですし、懸念されていた住宅ローン減税の縮小もそれほど大きな影響はなさそうです。交通便のよい近郊エリアの一戸建や中古マンションは、今後も旺盛な需要に支えられしばらく品薄感が続きそうです。

 

4-2. 最大の懸念はオミクロン株。もし第6波が来たらどうなる?

本記事を執筆している2021年12月末現在、コロナ感染の関心はデルタ株からオミクロン株に置き換わって来ています。ワクチンの効果や重症化率などがまだはっきり分かっていない中、国内でも若干の感染者が確認されており第6波の懸念が広がっています。

もし、こうした変異株による感染再拡大が起こったらどうなるのでしょうか。断言はできませんが、この2年間の動きを見る限り、不動産市況にはそれほど大きな影響はないのではないかと予想されます。もちろん、感染拡大の状況によっては一時的な落ち込みもあると思いますが、感染症により新しい生活様式が広まれば、それに合わせた住まいが求められます。住む場所はもちろん、間取りや設備などもコロナ以前の住宅では対応しづらい面が多く、むしろ積極的に住み替えを検討する人が増えるのではないでしょうか。

そうした中で、再び流通物件が減少すれば、価格上昇の波がさらに郊外に広がっていく可能性もありますし、人気エリアではますます物件が探しにくくなるかも知れません。

 

デルタ株の影響は薄れつつありますが、オミクロン株に関しては不確定な要素が多く、2022年の不動産市場もしばらく不安定な状況が続きそうです。国内市場はコロナ禍に対して、ある種の「慣れ」を意識しつつも、ワクチンの追加接種や行動の制限等もあって、なかなか本来の状態には回復しません。過去2年間の経過を見ても分かる通り、ネット上の検索頻度が増え始める(=人流が増え始める)のともに感染のピークも訪れ、その後まもなく緊急事態宣言が発令され、人流が抑えられたら落ち着きを取り戻す、と言った流れを繰り返しています。これらの状況を見ても、住宅購入を検討される皆様は、情報取得のための行動を、タイミングを見て・早めに起こす事をおすすめします。

 

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