価格上昇が続く大阪のベッドタウン、堺市の魅力と不動産市況

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堺市は大阪府の泉北地域に位置する政令指定都市で、大阪府では人口・面積ともに大阪市に次ぐ第2の都市です。

かつては紡績や煉瓦産業を中心とした工業都市でしたが、戦後の高度成長期を経て大阪市のベッドタウンとして発展し、現在では、大阪の副都心と位置づけられている都市でもあります。

目次

1.堺市の人口は3%減、世帯数は5%増

そんな堺市の人口は、約81万人、世帯数は約37万世帯。最近10年間の人口は3%減、世帯数は5%増となっています。また年間の転入出者数は、転出者が約500人上回っています。

 

1-1.人口・世帯数(2024/1/1 現在)   

人口

810,848人

世帯数

372,167世帯

 

1-2.人口・世帯数の推移

 

2015年

2016年

2017年

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

2024年

人口

839,624

838,882

836,952

833,544

830,695

827,709

825,288

819,965

815,235

810,848

世帯数

354,044

350,627

352,852

354,906

357,267

359,979

366,165

367,251

369,874

372,167

※各年1月1日現在(堺市ホームページ)

 

1-3.転入・転出(2023年中)

転入者数

33,873人

転出者数

34,400人

※出典:2023年 住民基本台帳人口移動報告(総務省)

2.大阪府堺市の不動産情報

 

2-1. 土地の価格は㎡あたり約15万円台。直近10年間で約20%の上昇

土地の価格(地価)については、毎年1月1日を基準とした「公示地価」と7月1日を基準とした「基準地価」が発表されています。堺市における公示地価と基準地価の平均は以下の通りです。直近の平均地価としては約15万円/㎡で、直近10年間は上昇が続いており、10年間で約21%の大幅上昇となっています(基準地価ベース)。

 

■公示地価、基準地価とは?

公示地価とは、地価公示法に基づき、国(国土交通省)が、毎年1月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。基準地価とは、国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。

同年の価格を比較した場合、公示地価よりも基準地価の方が半年遅れで公表されるため、より直近の取引価格を反映していると見ることができます。なお公示地価、基準地価はともに一般の土地の取引価格の指標等として使われていますが、あくまで指標であり、実際の取引価格とは異なりますのでご注意ください。

 

堺市全体の地価平均(㎡あたり)

公示地価(2024年)

155,199円

基準地価(2024年)

156,673円

 

公示・基準地価の推移(平均/㎡)

 

2015年

2016年

2017年

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

2024年

公示

地価

126,937円

127,568円

129,897円

133,091円

137,560円

143,279円

143,968円

146,237円

150,107円

155,199円

基準

地価

133,822円

135,537円

137,659円

141,562円

146,373円

147,466円

148,475円

151,538円

156,673円

161,472円

また、堺市は区によって地価が大きく異なるので、区別の平均地価も参考にするとよいでしょう。ちなみに2024年の基準地価ではすべての区が上昇しており、上昇率が最も高いのは西区で+3.93%となっています。

 

堺市の区別平均地価

順位

行政区

地価(㎡)

地価(坪)

変動率

1位

北区

216,545円

715,852円

+3.16%

2位

堺区

207,666円

686,501円

+2.37%

3位

東区

156,333円

516,804円

+3.26%

4位

西区

151,050円

499,338円

+3.93%

5位

中区

110,670円

365,851円

+2.05%

6位

南区

98,133円

324,407円

+0.66%

7位

美原区

72,200円

238,677円

+1.41%

※2024年基準地価 ※1坪=3.3057㎡

 

 

マップでご覧いただけるように、堺市で地価が高いエリアは大阪市に接する北区と堺区です。北区では大阪メトロ御堂筋線の始発駅である中百舌鳥(なかもず)駅周辺、堺区ではJR阪和線と南海高野線のクロスターミナルである三国ヶ丘駅が人気のエリアで、18~25万円/㎡前後が相場です。西区、中区、東区では、JR阪和線の鳳駅(西区)、泉北高速鉄道の深井駅(中区)、南海高野線の北野田駅(東区)あたりが中心エリアとなり、各沿線の相場は12~18万円/㎡前後となります。泉北ニュータウンで知られる南区は、泉北高速鉄道の泉ヶ丘駅が中心のエリアで10万円/㎡前後、堺市で唯一鉄道路線のない美原区では、6~8万円/㎡くらいが相場となっています。

 

2-2.新設住宅着工戸数は、約6,000戸。賃貸が全体の約4割超を占める

国土交通省が発表している新設住宅着工戸数について見てみましょう。堺市で2023年中に新築された建物は5,932戸でした。内訳としては、持ち家(注文住宅)が18%、貸家(賃貸住宅)が46%、分譲住宅が36%と、賃貸住宅の比率が高くなっています。分譲住宅の内訳としては一戸建が898戸(42%)、マンションが1,231戸(58%)と、マンションの割合が高くなっていますが、これは2023年に新築マンションの供給が増えたためで、例年は一戸建の供給数が上回っています。

 

■堺市の新設住宅着工戸数(2023年)

持ち家

1,090戸

貸家

2,707戸

給与住宅

6戸

分譲住宅

2,129戸

5,932戸

2-3.堺市の住宅着工数は10年間で11%増。分譲マンションの供給が影響

堺市の住宅着工数は最近10年間でプラス11%となっています。内訳としては、注文住宅がマイナス9%、分譲住宅がプラス89%、賃貸住宅がマイナス9%と、分譲住宅の増加が大きな要因となっていますが、前述の通り2023年に新築マンションの供給が増えた影響が大きく、例年は4,000~5,000戸台前半で安定しています。

 

堺市の新設着工戸数

 

2014年

2015年

2016年

2017年

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

持ち家

1,198戸

1,192戸

1,343戸

1,146戸

1,218戸

1,352戸

1,205戸

1,277戸

1,149戸

1,090戸

貸家

2,966戸

2,183戸

2,298戸

2,578戸

2,457戸

1,695戸

2,954戸

2,036戸

2,283戸

2,707戸

給与住宅

29戸

289戸

1戸

11戸

192戸

9戸

6戸

9戸

12戸

6戸

分譲住宅

1,141戸

1,147戸

1,598戸

1,397戸

1,292戸

1,701戸

1,254戸

1,081戸

965戸

2,129戸

総計

5,334戸

4,811戸

5,240戸

5,132戸

5,159戸

4,757戸

5,419戸

4,403戸

4,409戸

5,932戸

※出典:国土交通省 住宅着工統計

 

2-4.大阪府堺市の不動産価格。一戸建・マンションともに値上がり傾向が続く

堺市の新築マンションは4,000万円台~6,000万円台まで広く供給されており、㎡単価は60~80万円くらいが相場です。ただし、エリアによる価格差が大きく、大阪市に近いほど価格は高くなります。

中古マンションは、築15年以内で平均3,655万円(54.0万円/㎡)、築15~25年で平均3,128万円(40.4万円/㎡)、築25年超で平均1,760万円(26.0万円/㎡)前後が相場です。

一戸建については、新築で3,799万円、中古は築15年以内で平均4,494万円、築25年以内で2,965万円、築25年超は1,748万円となっています。

最後に土地の相場については、最寄駅から徒歩10分以内で平均22.4万円/㎡、徒歩20分以内なら17.6万円/㎡、徒歩20分超で13.3万円/㎡となっています。

マンション・一戸建・土地ともに上昇傾向が続いていますが、エリアや沿線によって大きく相場が異なりますので、不動産会社などで詳しく調べてみるとよいでしょう。

 

(1)中古マンション

  販売価格(万円) 専有面積(㎡) ㎡単価(万円)

最大

最小

平均

最大

最小

平均

平均

築15年以内

5,380万円

1,880万円

3,655万円

85㎡

51㎡

67㎡

54.0万円

築15~25年

5,390万円

1,650万円

3,128万円

122㎡

55㎡

78㎡

40.4万円

築25年 超

3,890万円

198万円

1,760万円

111㎡

13㎡

67㎡

26.0万円

(2)一戸建

  販売価格(万円) 土地面積(㎡) 建物面積(㎡)

最大

最小

平均

最大

最小

平均

最大

最小

平均

新築

5,998万円

2,390万円

3,799万円

214㎡

47㎡

100㎡

144㎡

81㎡

99㎡

築15年以内

22,000万円

1,600万円

4,494万円

383㎡

39㎡

142㎡

329㎡

62㎡

113㎡

築15~25年

5,800万円

1,390万円

2,965万円

259㎡

40㎡

112㎡

220㎡

45㎡

107㎡

築25年 超

7,280万円

200万円

1,748万円

381㎡

40㎡

101㎡

207㎡

41㎡

92㎡

(3)土地

  販売価格(万円) 土地面積(㎡) ㎡単価(万円)

最大

最小

平均

最大

最小

平均

平均

徒歩10分以内

15,000万円

400万円

3,377万円

605㎡

47㎡

151㎡

22.4万円

徒歩10分~20分

10,300万円

330万円

2,491万円

768㎡

38㎡

150㎡

17.6万円

徒歩20分超・バス

9,500万円

298万円

2,147万円

1,233㎡

47㎡

212㎡

13.3万円

※REINS(不動産流通標準情報システム) 2024年10月のデータをもとに集計

~大阪府堺市の物件を見る~

3.堺市は待機児童ゼロを達成。都内への通学もしやすく教育環境は良好

堺市には、90校の公立小学校、43校の公立中学校、15校の公立高校と8校の私立高校があります。大学は大阪公立大学、関西大学など7校のキャンパスがありますが、大阪市内への通学も十分可能です。

 

3-1.幼稚園・保育園・学校の数

 

公立

私立

幼稚園・保育園・認定こども園等

20施設

254施設

小学校

90校

2校

中学校

43校

4校

高等学校

15校

8校

大学・短大

1校

6校

 

3-2. 待機児童数(2024年4月現在)

 

待機児童数(国基準)

0人

 

堺市の待機児童数は4年連続でゼロを達成しています。

4.堺市の住まい探しはエリア選びが大きなポイント。利便性なら北部、住環境なら中部~南部エリアで進めよう

堺市は大阪市と隣接する、7区からなる政令指定都市です。市内にはJR線、大阪メトロ、南海線、泉北高速線が乗り入れており、大阪の中心部と結ばれています。また堺区~西区には、南海本線と並行して路面電車(阪堺線)も運行しており、市民の足として利用されていますが、乗降数は減少傾向にあるようです。

出典:堺市ホームページ

 

堺市は、大阪府で人口第2位の都市ですが、居住人口に対する昼間人口が少ない、典型的なベッドタウンです。居住者の多くは大阪市内への通勤を前提としているため、アクセスのよい北部エリア(北区・堺区)の人気が高く、大阪市内から遠い南区や鉄道路線のない美原区は比較的リーズナブルな相場となっています。しかし2023年の基準地価は7区すべてで上昇しており、上昇率トップは西区(+3.93%)で、大阪中心部から離れたエリアにも価格上昇の波が広がっていることがわかります。

このような状況を踏まえ、堺市での不動産購入は、まずどのエリア・沿線を選ぶかということがポイントになるでしょう。人気の高い北部エリアでは、大阪メトロ御堂筋線と南海高野線が乗り入れる「中百舌鳥(なかもず)駅」と、JR阪和線と南海高野線が乗り入れる「三国ヶ丘駅」が、物件探しの中心になります。

中百舌鳥駅は、大阪でもっとも乗降客数の多い地下鉄路線である御堂筋線の始発駅で、「新大阪」「梅田」「淀屋橋」「心斎橋」「難波」「天王寺」など、大阪の主要駅にダイレクトアクセスできます。所要時間は中百舌鳥駅から難波駅まで約25分、梅田駅までは約35分です。また、中百舌鳥駅では、2024年に駅周辺の再開発が決定しました。計画期間は2024~2034年、計画エリアは約10ヘクタール、駅前広場の再編や、イノベーション創出拠点の設置などが盛り込まれています。

 

■中百舌鳥駅 再開発(駅前広場)のイメージ

出典:堺市ホームページ

 

三国ヶ丘駅は、快速停車駅で天王寺駅まで約10分、大阪駅まで約30分でアクセスできます。また、教育水準の高いエリアとしても知られ、三国丘高校、泉陽高校などは市内屈指の進学校です。 両沿線とも、駅周辺にはダイエー、ライフ、イズミヤなどのスーパーが点在しており、日常の買い物に困ることはありませんし、1~2駅移動すればイオンなどのショッピングモールもあります。何より利便性を重視したい方は、まずこの2駅を中心とした北部エリアから物件探しを始めてみるのがよいと思います。

利便性はある程度重視しつつ、自然環境や広さも大事にしたいという方は、西区、東区、南区を中心に物件探しを進めてみるとよいでしょう。西区ならJR阪和線の鳳駅、南海本線の諏訪ノ森駅と浜寺公園駅周辺に良好な住宅地が形成されています。東区なら南海高野線の北野田駅が中心となります。北部エリアほど都会ではなく、周辺には大きな公園など自然も残っており子育てファミリーにはおすすめです。

最後に、利便性にはあまりこだわらず、区画整理された街並みで一戸建を購入したいという方は、南区をメインに探してみてはいかがでしょうか。中心となるのは泉北高速線の泉ケ丘駅です。価格もリーズナブルで新築物件の供給も多いエリアなので、ゆったりした一戸建にこだわりたい方、車での移動がメインの方にはおすすめです。

 

大阪市内へのアクセスもよく、生活利便性も高い堺市。物件の供給も多く、マンションも一戸建も、新築・中古含め、多くの選択肢のある街です。ぜひ一度地域の不動産会社を訪れてみてはいかがでしょうか。

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