海老名や藤沢に隣接する穴場の街。綾瀬市の魅力と不動産市況

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綾瀬市は神奈川県のほぼ中央に位置する市です。隣接する海老名市や藤沢市と比べると知名度は低いですが、自然が豊かで、独自の子育て支援制度が有名で、ファミリー層に人気の街です。2023年に相鉄線が都心に乗り入れを開始し、利便性が向上しました。

目次

1.綾瀬市の人口は横ばい、世帯数は8%増

そんな綾瀬市の人口は、8万2,000世帯、世帯数は約3万6,000世帯。最近10年間の人口はほぼ横ばい、世帯数は8%増となっています。年間の転入出者数は、3,500人前後でほぼ均衡しています。

1-1.人口・世帯数(2024/1/1 現在)

人口 82,959人
世帯数 35,627世帯

1-2.人口・世帯数の推移

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
人口 83,981 84,440 84,367 84,250 84,307 84,484 83,745 83,304 83,235 82,959
世帯数 33,046 33,374 33,726 34,100 34,553 35,119 34,832 34,955 35,296 35,627

※各年1月1日 現在(綾瀬市ホームページ)

1-3.転入・転出(2023年中)

転入者数 3,493人
転出者数 3,357人

※出典:2023年 住民基本台帳人口移動報告(総務省)

2.神奈川県綾瀬市の不動産情報

2-1.土地の価格は、㎡あたり約11~12万円。緩やかな下落から上昇に転じる

土地の価格(地価)については、毎年1月1日を基準とした「公示地価」と7月1日を基準とした「基準地価」が発表されています。綾瀬市における公示地価と基準地価の平均は以下の通りです。直近の平均地価としては、約11~12万円台/㎡となっており、最近10年間は緩やかな下落傾向が続いていましたが、コロナによる郊外人気もあり、2022年から上昇に転じています。

■公示地価、基準地価とは?

公示地価とは、地価公示法に基づき、国(国土交通省)が、毎年1月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。基準地価とは、国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。

同年の価格を比較した場合、公示地価よりも基準地価の方が半年遅れで公表されるため、より直近の取引価格を反映していると見ることができます。なお公示地価、基準地価はともに一般の土地の取引価格の指標等として使われていますが、あくまで指標であり、実際の取引価格とは異なりますのでご注意ください。

綾瀬市全体の地価平均(㎡あたり)

公示地価(2023年) 123,206円
基準地価(2023年) 116,111円

公示・基準地価の推移(平均/㎡)

2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
公示

地価

129,084円 128,092円 123,762円 123,281円 122,818円 122,525円 122,437円 121,675円 121,600円 123,206円
基準

地価

118,722円 110,833円 111,000円 111,100円 111,300円 111,933円 112,111円 112,222円 113,300円 116,111円

マップでご覧いただけるように、綾瀬市には鉄道駅がなく、隣接市の駅が最寄りとなります。相鉄線の相模大塚駅、さがみ野駅、かしわ台駅が最寄りとなる市の北部エリアでは13~15万円台/㎡と相場は高めで、駅から離れた南部の住宅地では、10~12万円/㎡と求めやすい価格となっています。

2-2.新設住宅着工戸数は約600戸。注文住宅と分譲一戸建がバランスよく供給

国土交通省が発表している新設住宅着工戸数について見てみましょう。綾瀬市で2023年中に新築された建物は595戸でした。内訳としては、持ち家(注文住宅)が27%、貸家(賃貸住宅)が37%、分譲住宅が36%と、比較的バランスよく供給されています。分譲住宅はすべて一戸建で、新築マンションの供給はほとんどありません。

■綾瀬市の新設住宅着工戸数(2023年)

持ち家 163戸
貸家 220戸
給与住宅 0戸
分譲住宅 212戸
595戸

2-3.綾瀬市の住宅着工数は10年間で33%増

綾瀬市の住宅着工数は最近10年間でプラス33%となっています。内訳としては、注文住宅がマイナス1%、分譲住宅がプラス33%、賃貸住宅がプラス82%と、分譲住宅と賃貸が伸びています。2020年までは、コロナの影響で一時的に大きく減少しましたが、2021年から回復に転じ、3年連続の増加となっています。

綾瀬市の新設着工戸数

2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
持ち家 165戸 194戸 203戸 162戸 202戸 201戸 171戸 193戸 183戸 163戸
貸家 121戸 115戸 190戸 136戸 164戸 85戸 71戸 94戸 128戸 220戸
給与住宅 0戸 0戸 0戸 0戸 0戸 0戸 0戸 0戸 0戸 0戸
分譲住宅 160戸 194戸 124戸 250戸 187戸 165戸 176戸 208戸 220戸 212戸
総計 446戸 503戸 517戸 548戸 553戸 451戸 418戸 495戸 531戸 595戸

※出典:国土交通省 住宅着工統計

2-4.神奈川県綾瀬市の不動産価格。新築は一戸建中心で3,000万円台後半から

前述の通り、綾瀬市では、近年新築マンションの供給がほとんどなく、築浅のマンションも流通数が少ないため、マンションは、近隣の海老名市、藤沢市、大和市なども合わせて物件探しを進めましょう。

中古マンションは、築15年以内で平均3,605万円(45.7万円/㎡)、築15~25年で平均1,977万円(30.5万円/㎡)、築25年超で平均1,400万円(22.1万円/㎡)前後となっていますが、調査時点で十数件しか流通していないため、あくまで目安としてご覧ください。

一戸建については、新築が3,891万円、中古は築15年以内で平均3,341万円、築25年以内で3,320万円、築25年超は3,110万円となっています。

最後に土地の相場については、最寄駅から徒歩10分以内で平均17.3万円/㎡、徒歩20分以内なら20.8万円/㎡、徒歩20分超で16.3万円/㎡となっており、公示地価等よりも相場は高いようです。

(1)中古マンション

販売価格(万円) 専有面積(㎡) ㎡単価(万円)
最大 最小 平均 最大 最小 平均 平均
築15年以内 4,980万円 2,230万円 3,605万円 81㎡ 75㎡ 78㎡ 45.7万円
築15~25年 2,100万円 1,850万円 1,977万円 65㎡ 64㎡ 65㎡ 30.5万円
築25年 超 1,980万円 490万円 1,400万円 83㎡ 40㎡ 64㎡ 22.1万円

(2)一戸建

販売価格(万円) 土地面積(㎡) 建物面積(㎡)
最大 最小 平均 最大 最小 平均 最大 最小 平均
新築 6,800万円 2,935万円 3,891万円 171㎡ 63㎡ 105㎡ 121㎡ 11㎡ 94㎡
築15年以内 5,580万円 2,300万円 3,341万円 167㎡ 68㎡ 112㎡ 116㎡ 71㎡ 91㎡
築15~25年 8,380万円 2,300万円 3,320万円 661㎡ 74㎡ 145㎡ 230㎡ 70㎡ 102㎡
築25年 超 8,380万円 1,180万円 3,110万円 661㎡ 60㎡ 181㎡ 230㎡ 55㎡ 106㎡

(3)土地

販売価格(万円) 土地面積(㎡) ㎡単価(万円)
最大 最小 平均 最大 最小 平均 平均
徒歩10分以内 3,980万円 3,580万円 3,780万円 304㎡ 167㎡ 235㎡ 17.3万円
徒歩10分~20分 2,980万円 1,280万円 2,385万円 187㎡ 102㎡ 120㎡ 20.8万円
徒歩20分超・バス 11,800万円 400万円 2,360万円 860㎡ 67㎡ 150㎡ 16.3万円

※REINS(不動産流通標準情報システム) 2024年1月のデータをもとに集計

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3.綾瀬市の待機児童数は6人。神奈川県内、都心への通学も可能

綾瀬市には、10校の公立小学校、5校の公立中学校、2校の公立高校と1校の私立高校があります。市内に大学はありませんが、神奈川県内、都内ともに通学可能です。未就学児については、幼稚園・保育園・認定こども園等あわせて約30の施設があります。

3-1.幼稚園・保育園・学校の数

公立 私立
幼稚園・保育園・認定こども園等 0施設 29施設
小学校 10校 0校
中学校 5校 0校
高等学校 2校 1校
大学・短大 0校 0校

3-2. 待機児童数(2023年4月現在)

待機児童数(国基準) 10人

2023年4月現在、綾瀬市の待機児童は10人となっています。2021年の15人から2022年は6人まで減少しましたが、再び10人に増えてしまいました。心配な方は念のため市役所などに問い合わせてみるとよいでしょう。

4.神奈川県綾瀬市の住まい探しは、相鉄線沿線を中心に検討をスタートしてみよう

綾瀬市は神奈川県のほぼ中央に位置する小さな市で、隣接する海老名市や藤沢市と比べると、目立たない印象のある街ですが、自然が豊かで子育てしやすい街としてファミリー層に人気があります。

綾瀬市は首都圏では珍しい鉄道駅がない街で、市外北側を走る相鉄本線の、相模大塚駅(大和市)、さがみ野駅(座間市)、かしわ台駅(海老名市)、南部を走る小田急江ノ島線の長後駅(藤沢市)などが最寄りとなります。これらの各駅から徒歩圏となるエリアには、一戸建を中心とした良好な住宅地が形成されています。

また鉄道がない分、市内のバス網がとても充実しており、海老名駅をはじめ市外の各駅に向かうバスや、市内を循環するコミュニティバスなどが運行しているため、それほど不便は感じません。また、2023年に相鉄線が東急線との直通運転を開始したことで、市域からもっとも近いかしわ台駅からは、横浜まで約30分、渋谷まで約60分でダイレクトアクセスできるようになりました。さらに、交通情報でおなじみの「東名綾瀬バス停」を利用すれば、高速バスで名古屋、静岡、河口湖、箱根方面や都内のターミナル駅に移動することも可能です。

このような背景もあり、かつて綾瀬市は市の外縁部から市街地が形成され、ドーナツ型の都市が形成されていました。そこで中心部の街の賑わいや利便性を高めるため、「タウンセンター計画」が推進され、市役所周辺に大型ショッピングモール「綾瀬タウンヒルズ」を始めとする商業施設や飲食店、住宅地などの出店・開発が進んでいます。

■綾瀬タウンヒルズ

出典:Wikipedia

また綾瀬市がファミリー層に人気な理由は、独自の「子育て支援」が充実していることにあります。

幼児向けには、ベビーカーなどの子育て用品の購入費助成、紙おむつの支給、電動自転車の貸し出し(2023年度は募集終了)など、他にはあまりない制度を運営しています。また神奈川県では珍しい、小~中学校の完全給食、全小学校に放課後児童クラブ「あやせっ子ふれあいプラザ」を設置など、共働きファミリーが子育てしやすい環境づくりに力を入れています。また経済面では、高校生や専門学校生を対象に、「給付型奨学金」を給付するなど、幅広く支援をおこなっています。

綾瀬市での住まい探しは、まずエリア選びから始めてみてはいかがでしょうか。都内に電車で通勤・通学する方は、相鉄本線が利用できる市の北部エリアを中心に物件探しを進めてみるとよいでしょう。2023年には、念願だった相鉄線の都心乗り入れが実現し、利便性が大幅に向上しています。このエリアには、パワーセンターPAT綾瀬、フレスポ綾瀬などのショッピング施設や、駅周辺には地域密着のスーパーなどもあり、毎日の買い物に困ることはありません。また少し足を伸ばせば、海老名駅前のビナウォークやららぽーと海老名、コストコ座間倉庫店なども近く、休日のお出かけにも便利なエリアです。

一方、バス移動がさほど苦にならない方や車での生活が中心の方には、タウンセンター計画で区画整理が進み、良好な住宅地が形成されている、市の中心部もおすすめです。約70店舗のテナントが入る「綾瀬タウンヒルズ」は市内最大のショッピングモールとして多くの市民が利用しています。2020年には東名高速の「綾瀬スマートインターチェンジ」も開通し、車での移動にもとても便利なエリアだと思います。

そして、綾瀬市での住まい探しで注意しなければならないのは、市域の約20%を占める厚木基地の騒音です。厚木基地は、自衛隊と米軍が共用する基地で、頻繁に飛行機が離着陸します。このため行政で窓の防音設備や冷暖房機器の費用負担が行われていますが、内見の時などにしっかり確認された方がよいでしょう。

綾瀬市は、知名度は低いものの、西に大山・丹沢連峰を望み、晴れた日には遠くに富士山を望める自然豊かな街で、価格もリーズナブル。広めの土地を買って一戸建でゆったりと暮らしたい子育てファミリー層におすすめの街です。ぜひ一度現地を訪れてみてはいかがでしょうか。

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