これからの住宅購入は中古が主流に?「中古+リフォーム」が増える背景と魅力とは

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「中古+リフォーム」が増える背景と魅力とは?

近年、中古住宅を買う方が増えています。新築の価格上昇で中古を選ぶ人が増えていることに加え、価格のリーズナブルな中古を買って自分好みにリフォームする人が増えているのも大きな要因です。今後ますます伸びそうな「中古+リフォーム」の3つのポイントについて解説します。

目次

1、中古住宅の取引件数が増加。「中古+リフォーム」が伸びる背景とは?

かつて日本では住宅購入と言えば新築が主流で、中古は「仕方なく買うもの」という風潮が強かったのですが、近年中古物件の取引数が伸びています。2016年には首都圏の中古マンションの取引数が、新築マンションの供給数を超え、もはや中古が住宅購入の主流となりつつあります。その背景は何なのでしょうか。

1-1. 中古物件住宅の取引が増える背景とそのメリット

下のグラフは首都圏の中古物件の成約数です。この10年でマンションは約24%、一戸建は約33%伸びています。

中古物件成約数(首都圏)

※出典:東日本不動産流通機構

中古物件の取引が増える背景には、新築の価格上昇が挙げられます。

特にマンションは、都市部での供給が中心となったことや、建築コストの上昇などが重なり、この10年間で50~60%上昇しています。また最近では住宅購入の中心である30~40代で、あえて中古を選ぶ人も増えています。

改めて中古物件のメリットをおさらいしておきましょう。

① 物件価格が安い

中古物件を選ぶもっとも大きなメリットは、新築に比べ価格が安いということです。国土交通省の調査によると、住宅の平均購入価格は以下の通りで、新築と比較すると、マンションで約51%、一戸建では約24%も安いことがわかります。

新築 土地+注文住宅 4,606万円
マンション 4,639万円
一戸建 3,826万円
中古 マンション 2,263万円
一戸建 2,894万円

※出典:令和2年度(2020年度) 住宅市場動向調査(国土交通省)

ちなみに平均築年数はマンションが27年、一戸建が23年。購入後にリフォームをした人の割合は、マンションで34.1%、一戸建で49.9%となっており、ともに築10年を超えた物件で増える傾向が見られます。

②エリアが自由に選べて物件数も多い

あえて中古を選ぶ2つ目の理由は、エリアや物件の選択肢が多いことです。特に開発の進んだ都市部では、駅近などの好立地で新築が供給されることは少なく、物件数も限られます。一方中古であれば、エリアや立地を自由に選べる上、流通している物件数も桁違いに多くなります。

③リフォームで自分好みの間取り・デザインに

そしてもう一つの魅力は、リフォームで自分好みの間取りやデザインの住まいをつくれることです。新築物件は多くの人に好まれる無難な間取りやデザインを取り入れていることが多く、個性的な住まいを求める人にはやや物足りなさを感じることもあります。

言わば注文住宅のように、自分好みにリフォームすることを前提に、あえて中古を選ぶ方が増えているのです。

これ以外にも「現物を見てから買える」、「消費税がかからない(※)」など多くのメリットがあり、初めて住宅を購入する人に人気が高まっているわけです。

※個人間での売買は非課税ですが、不動産会社が販売する中古物件には課税されます。

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1-2. 「中古+リフォーム」にありがちな失敗とは

こう見ると、いいことばかりのように見える「中古+リフォーム」。逆にありがちな失敗例にも触れておきましょう。

①購入後にリフォーム予算が足りなくなった

物件購入後にリフォームのプランを進めたら、予算オーバーになってしまい、考えていたリフォームができなかったという失敗はよく起こります。これは事前の資金計画が不十分だったことが原因です。

②思ったとおりのリフォームができなかった

建物の構造上「抜くことができない壁」が購入後に発覚し、思ったような間取りにリフォームできなかった。またマンション管理規約で、使用できる建材等の指定があり、プランを変更せざるを得なかった等のケースもよく見られます。これは購入前の調査不足が原因です。

③住宅ローン減税が受けられなかった

中古物件であれば、最大200万円の減税が受けられる「住宅ローン減税」。購入後にこれが受けられないことがわかったというケースもよく耳にします。中古物件で住宅ローン減税を受けるには築年数や耐震性などの要件をクリアしなければならず、購入前にしっかり確認することが重要です。これも原因は事前の調査不足です。

この他にも、購入時に気づかなかった欠陥が後で発覚したなど、中古ならではの失敗例も多くあります。

1-3. 中古を買ってリフォームする時の3つのポイント

このように「中古+リフォーム」には多くのメリット・魅力がある一方で、失敗やトラブルのリスクもあります。

今回は「中古+リフォーム」を進める上での3つのポイント、

①資金計画とローン

②物件探し

③リフォームのプランニング

について解説します。それでは詳しく見ていきましょう。

2、中古を買ってリフォームする時は、まず資金計画から着手する

「中古+リフォーム」を進める上で大事なポイントは、物件探しを始める前に、概算の資金計画を立てておくことです。

2-1. 資金計画の立て方

「中古+リフォーム」の資金計画の基本は、毎月の返済額から逆算した「総予算」と、「物件購入」と「リフォーム」それぞれにどう資金を振り分けるかということです。

また利用するローンの条件や親からの資金援助などについても検討が必要です。

例えば、以下のようなモデルケースで考えてみましょう。

自己資金 300万円
毎月のローン返済額 10万円

住宅ローンの条件が、[金利1.3%(固定)・35年返済・ボーナス加算なし] の場合、月10万円の返済から逆算したローン借入額は3,372万円です。ここに自己資金の300万円を合わせると3,672万円。この3,672万円が、物件購入とリフォームを合わせた「総予算」となります。

次にリフォーム費用を算出します。リフォーム費用は建物の築年数などによって変わりますが、下記を目安に算出してみましょう。

リフォーム費用の目安
築年数 リフォーム内容 リフォーム費用の目安
築15年以内 水廻りのみ交換 200~300万円
築15~30年 水廻りと壁・床などの内装 400~500万円
築30年超 間取り変更をともなう全面リフォーム 700~1,000万円

仮にリフォーム費用を500万円とすると、先ほどの総予算3,672万円から500万円を引いた3,172万円が物件購入に充てられる資金ということになります。

さらに、物件購入にともなう仲介手数料や登記費用などの諸費用として約7%を購入資金から差し引きます。そうすると下図の通り、正味の物件購入予算は2,964万円ということがわかります。

物件購入予算の計算

このように、物件探しを始める前に概算の資金計画を立てておくことで、物件が探しやすくなりますし、リフォーム資金が足りなくなるリスクを減らすことができます。

2-2. 中古を買ってリフォームする際のローン

次にローンについて解説します。「中古+リフォーム」では、以下の3つのローンの組み方があります。

①物件購入に住宅ローンを利用し、リフォームは自己資金

このケースは、リフォームを自己資金でおこなうため、リフォーム費用が少ない方や、ある程度の貯蓄がある方、親からの資金援助が受けられる方などに向いています。手続きもシンプルで、ほとんどの金融機関で対応可能です。

②物件購入とリフォーム費用をまとめて住宅ローンを利用

次に「中古購入+リフォーム」一体型ローンです。これは購入費用とリフォーム費用をまとめて借入できるローンで、住宅ローンと同じ金利・返済期間で借入できるのが大きなメリットです。長期固定金利なら「フラット35リノベ」、民間の銀行でも変動金利や10年固定などの様々な商品があります。ただし、取扱っている金融機関がまだ少ないことと、申込みまでにリフォームの費用を確定しなければならないのが難しいところで、不動産会社(リフォーム会社)としっかり相談しながら進めていく必要があります。

③物件購入は住宅ローン、リフォームはリフォームローンを利用

最後に、住宅ローンとリフォームローンを別々に利用する方法です。リフォームローンはもともと自宅のリフォームをする方向けの商品なので、担保が要らない代わりに金利が高く、返済期間も短いので「中古+リフォーム」にはあまり向いていません。①②での資金調達がどうしてもできない場合の選択肢と考えておきましょう。

2-3. 親からの資金援助を受ける際の非課税特例

ここで資金援助の特例についても簡単に触れておきましょう。

親や祖父母から住宅購入資金を援助してもらう場合、一定額まで贈与税が非課税になる特例があります。非課税限度額は、消費税がかからない中古住宅の場合、一般住宅で500万円、省エネ住宅等で1,000万円です。ただし2021年12月31日までの契約が条件となり、2022年以降に延長されるかどうかは今のところ未定です。(※2021年10月現在)

制度の詳細は国税局ホームページをご確認ください。

このように、事前に概算の資金計画を立てておくことで、住まいに対する要望も明確になり、スムースに物件探しに進めるようになります。自分でやるのが難しいという方は、この時点で不動産会社などに相談してみるのもよいと思います。

3、「中古+リフォーム」で物件を探すときのポイント

概算の資金計画を立てたら、いよいよ物件探しに進んでいきます。ここではリフォームを前提にどのような物件を選んだらよいのかについて解説します。

3-1. 表面的な見た目よりも構造部分に問題がない物件を選ぶ

中古物件は多かれ少なかれ経年劣化していますので、使用感や汚れが気になる方も多いと思います。しかし、リフォーム前提で中古物件を買う場合には、表面的な汚れやキズよりも、建物の構造部分(基礎、柱、屋根など)に問題がないかをしっかり確認しましょう。構造部分に問題があると、改修に多くの費用がかかります。一戸建の場合は、基礎のひび割れ、シロアリによる食害、建物の傾き、雨漏りなど。またマンションでは、過去の修繕履歴などをチェックしておきましょう。こうした調査を専門でおこなう、住宅検査会社に依頼するのもひとつの方法です。水廻りの古さや内装の汚れなどはリフォームによって刷新できますので、それほど気にする必要はありません。

3.2 築年数と耐震性能を必ずチェック

物件探しで必ずチェックしたいのは築年数と耐震性能です。これは建物の安全性もさることながら、住宅ローン減税が受けられるかどうかを決める重要な要件なのでしっかり理解しておきましょう。

まず耐震基準が大きく改正されたのは、昭和56年(1981年)6月1日。これ以前に建築確認を取得した建物を「旧耐震」、これ以降に取得した建物を「新耐震」として区別しています。また木造住宅の耐震基準は、平成7年(1995年)、平成12年(2000年)にも改正されていますので、改正後であれば耐震性能が上がっていると判断できます。

また住宅ローン減税を受けるためには、原則として、一戸建は築20年以内、マンションは築25年以内が条件となります。

中古物件で住宅ローン減税を受けるための条件(AまたはBをクリア)
A築年数 ・木造は20年以内

・耐火建築物(※)は25年以内

B現行の耐震基準に適合 (次の3つのうちいずれか)

・「耐震基準適合証明書」を取得

・「既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)」を取得

・既存住宅売買瑕疵保険への加入

※耐火建築物とは:鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造などの建物

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なお築年数が経過していても、耐震基準に適合しているとみなされれば住宅ローン減税を受けることができます。特にマンションは、築25年超でも「耐震基準適合証明書」取得済の物件も多く流通しています。床面積や契約時期など、他の条件も合わせてしっかり確認しましょう

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3-3. 中古マンションは管理状態をしっかりチェック

昔から「マンションは管理を買え」と言われるほど、管理は重要なポイントです。共用部分の修繕や清掃は行き届いているか、定期的に大規模修繕がおこなわれているか、将来に向けての修繕積立金は十分かなど、不動産会社を通して管理組合に確認してみましょう。管理規約や総会議事録なども可能であれば目を通しておきたいところです。

3-4. 将来的な資産価値

住まいを購入する際には将来的な資産価値についても検討しましょう。資産価値とは、シンプルに申し上げれば「将来いくらで売れるか」ということです。

資産価値は、購入するエリア、交通や買い物の利便性、街のブランドなど様々な要素によって決まりますが、目安となるのは過去の値動きや人口の増減などです。極端な値下がりが続いているエリアや、人口減少・高齢化が著しいエリアなどは避けた方が無難でしょう。

また前述の「旧耐震」の建物や、「再建築不可(建て替えできない)」物件は、安全性のみならず資産価値の面でも不安がありますので、できれば避けた方がよいと思います。

※再建築不可とは・・・建築基準法の第42条で規定する「道路」に接していない敷地の場合、原則として、建物の新築および再建築をすることができません。

3-5. 「中古+リフォーム」で重要な不動産会社選び

このように、中古物件探しにはたくさんのチェックポイントがあり、これらをひとつひとつクリアしていくには、パートナーとなる不動産会社選びが重要です。

会社選びのポイントは、不動産とリフォームのどちらにも知見・経験がある会社を選ぶことです。最近では物件購入とリフォームを同じ会社で取り扱う「ワンストップ」と言われる形態が増えています。要望を伝えれば、資金計画から物件探し、リフォームのプランニングやローンの手続きまで、一貫してサポートしてくれるので、手間がかからず安心感があります。

できるだけワンストップの会社を選び、早い段階から相談することをおすすめします。

4、リフォームプランニングのコツ。予算に合わせた優先順位とは

「中古+リフォーム」は、物件探しと並行してリフォームのプランニングを進める必要があります。限られた予算の中での優先順位のつけ方、リフォーム会社の選び方などを解説します。

4-1. リフォームは安全性や居住性に関わる部分を優先に

リフォームのプランニングを進める上で、ポイントとなるのは予算と優先順位です。

資金計画の時点で、リフォーム予算はある程度決めたものの、その中でどこにお金をかけるか、何を優先するかは、物件探しを進めながら改めて検討する必要があります。

基本的な考え方としては、安全性や居住性に関わる部分を優先することです。

例えば、一戸建の基礎や壁・屋根などが傷んでいる場合には、耐震性や耐久性に影響しますので、最優先で対処すべきでしょう。

また築古の中古住宅は断熱性が低く「夏暑く冬寒い」というケースが多く見られます。断熱性は日々の居住性に大きく関わる部分ですし、結露やカビなどの原因にもなるので、優先順位を上げて検討したほうがよいと思います。

構造部分や断熱性に問題がなければ、水廻りを中心とした設備の交換を検討しましょう。水廻りは毎日使う場所だけに、清潔感や使い勝手が気になります。キッチン・浴室・トイレ・洗面のいわゆる4点セットはリフォームの定番商品で、様々なメーカー・グレードから選ぶことができます。

また、費用を抑えるという観点で言えば、同時にできる箇所はできるだけまとめてやることを検討しましょう。例えば、外壁や屋根の改修で足場を架けるのであれば、断熱性を高めるためのサッシの交換や樋の交換を検討する。浴室やキッチンを交換するなら、合わせて給湯器の能力アップや給排水管の交換なども検討されるとよいと思います。

一方、壁や床などの内装は、一旦優先度を下げて、数年後に改めてリフォームしたりDIYで改修したりすることも可能です。

予算次第ではありますが、耐震性や断熱性など安全性、居住性に関わる部分は優先的に、内装などの見た目の部分は後回しにというように、メリハリをつけたプランニングを心がけましょう。

4-2. リフォーム会社の選び方

最後にリフォーム会社の選び方について解説します。前述の通り、物件探しとリフォームをトータルでサポートしてくれる会社を選ぶことが大事ですが、リフォームを別の会社に依頼する場合には以下のようなことに気をつけましょう。

まず、「中古+リフォーム」に慣れている会社を選ぶこと。逆に言うと、設備交換や内装リフォームだけに特化した会社は避けた方が無難です。なぜなら、建物の構造に関わるリフォームが不得意な可能性があるからです。

例えば、一戸建では耐震改修について的確なアドバイスができるか、構造上抜いてはいけない柱や壁を正確に判断できるか。マンションの場合は、専有部分と共用部分をしっかり判別し、管理規約に沿った建材や工法を提案できるかどうか等にかかわってきます。

また、耐震・断熱・バリアフリーなどのリフォームでは、国や自治体の補助金を利用できるケースも多いので、そうした情報や申請方法などに詳しい会社を選ぶようにしましょう。

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5、今後「中古+リフォーム」が住まい購入の主流になる可能性も

中古住宅を買ってリフォームするときのポイント、ご理解いただけたでしょうか?

冒頭にも申し上げた通り、中古物件の成約数は年々増加傾向にあります。また国内にはすでに世帯数を大幅に上回る数の住宅があり、新築供給は減少傾向であることから、中古を選ぶ人はますます増えていくことが予想されます。

また、メルカリなどのリユース市場が拡大し、中古に抵抗のない人が増える中、安価で自分好みにリフォームできる中古住宅に新しい価値を見出し、積極的に楽しむ動きも出てきています。

エリアの選択肢も多く、価格面でもメリットの多い「中古+リフォーム」。これから住宅を購入される方はぜひ積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

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