データで見る不動産購入 【東京都 足立区】

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足立区は東京23区の最北端に位置する区で、北側は埼玉県、南側は葛飾区、北区などと接しています。足立区最大のターミナル「北千住駅」は、近年、再開発にともない商業施設やタワーマンションが建設され、かつてのちょっと危ない繁華街というイメージを払拭。若者やファミリーに人気の街に変貌しています。そんな足立区の住まいと不動産市況について見ていきましょう。

目次

1.足立区は人口・世帯数はともに増加傾向。2021年はコロナの影響を受けやや減少

足立区の人口は、約69万人、世帯数は約36万世帯。世田谷区、練馬区、大田区に次ぎ23区で4番目に大きい区です。最近10年間の人口は3%増、世帯数は14%増となっており、年間の転入出者数は、転入者が約2,200人上回っています。

1-1.人口・世帯数(202/1/1 現在)     

人口689,106人
世帯数359,923世帯

1-2.人口・世帯数の推移

1-3.転入・転出(2021年中)

転入者数32,008人
転出者数29,784人
※出典:2021年人口移動報告(総務省)

2.東京都足立区の不動産情報

2-1.土地の価格は㎡あたり40万円前後。直近10年間で20%の大幅上昇

土地の価格(地価)については、毎年1月1日を基準とした「公示地価」と7月1日を基準とした「基準地価」が発表されています。足立区における公示地価と基準地価の平均は以下の通りです。直近の平均地価としては、40万円台/㎡前後で、直近10年間は、2016年ごろから大幅な上昇傾向が続いており、10年間で20%の上昇となっています(公示地価ベース)。

■公示地価、基準地価とは?

公示地価とは、地価公示法に基づき、国(国土交通省)が、毎年1月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。基準地価とは、国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。

同年の価格を比較した場合、公示地価よりも基準地価の方が半年遅れで公表されるため、より直近の取引価格を反映していると見ることができます。なお公示地価、基準地価はともに一般の土地の取引価格の指標等として使われていますが、あくまで指標であり、実際の取引価格とは異なりますのでご注意ください。

足立区全体の地価平均(㎡あたり)

公示地価(2022年)399,236円
基準地価(2021年)427,510円

マップでご覧いただけるように、足立区の中心となるのは北千住駅です。JR常磐線、東京メトロ日比谷線・千代田線、つくばエクスプレス、東武伊勢崎線の4社5路線が乗り入れるビッグターミナルで、地価も50~60万円/㎡と区内で最も高くなっています。一方、荒川以北の住宅地では、概ね40~50万円/㎡前後、区の北部や日暮里・舎人ライナー沿線では20~30万円台のエリアも見られます。

2-2.足立区の新設住宅着工は貸家と分譲で約9割。分譲は一戸建・マンションがバランスよく供給

国土交通省が発表している新設住宅着工戸数について見てみましょう。足立区で2021年中に新築された建物は7,198戸でした。内訳としては、持ち家(注文住宅)が9%、貸家(賃貸住宅)が57%、分譲住宅が34%と、賃貸の比率が高く全体の約6割を占めます。分譲住宅の内訳としては、一戸建1,147戸(47%)、マンション1,302戸(53%)と、非常にバランスよく供給されています。都心へのアクセスのよい足立区は、賃貸ニーズが高く、注文住宅よりも分譲中心のエリアだと言えるでしょう。

■足立区の新設住宅着工戸数(2021年)

持ち家628戸
貸家4,099戸
給与住宅22戸
分譲住宅2,449戸
7,198戸

2-3.足立区の住宅着工数は10年で13%減。注文住宅の減少が目立つが分譲の供給は安定

足立区の住宅着工数は最近10年間でマイナス13%となっています。内訳としては、注文住宅がマイナス25%、分譲住宅がマイナス8%、賃貸住宅がマイナス13%と、注文住宅の減少が目立ちます。一方分譲住宅は、やや減少しているものの一戸建・マンションともに年1,000戸以上が安定して供給されています。

2-4.足立区の新築マンションは㎡90万円を超え、中古物件も値上がり傾向

足立区で販売されている新築マンションは、4,000万円台後半~5,000万円台、㎡単価は90万円となっており、上昇傾向が続いています。

中古マンションは、築15年以内で平均3,769万円(71.5万円/㎡)、築15~25年で平均3,731万円(53.5万円/㎡)、築25年超で平均2,216万円(42.9万円/㎡)前後が相場です。

一戸建については、新築で4,739万円、中古は築15年以内で平均4,715万円、築25年以内で3,923万円、築25年超は3,358万円となっています。マンション・一戸建ともに新築物件の価格は上昇していますので、中古も並行して探してみることをおすすめします。

最後に土地の相場については、最寄駅から徒歩10分以内なら平均48.6万円/㎡、徒歩20分以内なら40.9万円/㎡、徒歩20分超で29.8万円/㎡となっています。

3. 足立区は2021年に待機児童ゼロを達成。都内への通学もしやすく選択肢は多い

足立区には、69校の公立小学校、35校の公立中学校、10校の公立高校と2校の私立高校があります。大学は区内に東京未来大学、東京電機大学など6つのキャンパスがありますが、都心や多摩方面への通学も十分可能です。未就学児については、幼稚園・保育園・認定こども園等あわせて280を超える施設があります。

3-1.幼稚園・保育園・学校の数

 公立私立
幼稚園・保育園・認定こども園等31施設256施設
小学校69校0校
中学校35校1校
高等学校10校2校
大学・短大0校6校

3-2. 待機児童数(2021年4月現在)

待機児童数(国基準)0人

足立区は2021年4月現在、待機児童ゼロを達成しました。区によれば、直近6年間で63施設を新設し、4,352人分の保育定員を確保したことや、多様な保育サービスの利用強化などが大きな要因で、今後も積極的に待機児童の解消・維持に向けて取り組むとのことです。

4. もはや「穴場」ではなく「人気」の街。足立区の住まい探しは3つのエリアを中心に検討してみよう

足立区は東京都の北端に位置し、荒川を挟んで南側の千住エリアと、北側の荒川以北エリアに分かれます。区の中心駅は北千住駅で、1日160万人が利用する日本有数のターミナル駅です。JR常磐線、東京メトロ日比谷線・千代田線、つくばエクスプレス、東武伊勢崎線の4社5路線が乗り入れ「大手町」、「銀座」、「品川」などの都心主要駅はもちろん、東武伊勢崎線から東急田園都市線への直通電車を使って、渋谷~川崎~横浜方面へも30分~1時間でアクセスできます。また区の西部を縦断する日暮里・舎人ライナーや、南部を走る京成本線を利用して、日暮里・上野方面、成田空港へもダイレクトにアクセスすることも可能です。

このように、もともと利便性が高かった北千住駅がにわかに脚光を浴びたのが、駅周辺の大規模な再開発です。西口の再開発により、2004年に大規模複合施設「千住ミルディス」がオープンしたことを皮切りに周辺エリアの開発が進み、2020年には、住居や商業施設、子育て支援施設も入る30階建の「千住ザ・タワー」も完成。さらに西口に続き東口での再開発も行われており、かつての「治安が悪い繁華街」といったイメージは大きく変わっています。

こうした利便性の高さとイメージアップにより、北千住はSUUMO「穴場だと思う街(駅)ランキング2021関東版」で、4年連続の1位、「住みたい街(駅)ランキング」でも28位にランクインしています。

■千住ミルディス1番館

出典:Wikipedia

足立区の住まい探しは、まず北千住を中心とする千住エリアか、荒川以北のエリアを選ぶかを検討してみましょう。前述の通り北千住駅周辺エリアは、再開発にともない大型商業施設や大学などが誘致され、街の雰囲気や利便性が一変しています。都内へのアクセスや都会的なライフスタイルを志向する方やマンション希望の方は、まず千住エリアから物件探しをスタートしてみるとよいでしょう。ただし相場は区内で最も高くなります。

一方、荒川以北であれば東武伊勢崎線の西新井駅を中心に物件探しを進めてみるとよいと思います。西新井駅は1990年代後半から再開発が続いており、駅前には「アリオ西新井」、「イオン西新井店」「パサージオ西新井」「ドン・キホーテ 西新井駅前店」などの商業施設をはじめ、多くのスーパーやドラッグストアなどがあります。また、東武伊勢崎線は東京メトロ日比谷線・半蔵門線と直通運転しているため、西新井駅からは上野まで約15分、銀座まで約30分、渋谷へも約45分でダイレクトアクセスが可能です。交通便・生活便とも申し分ない上に、関東厄除けの三大師の一つ「西新井大師」にも近いため、北千住のような繁華街から離れた、落ち着いた環境を求めるファミリーにはおすすめのエリアです。西新井から梅島・五反野までの間はマンション、一戸建ともに多くの物件が流通しています。

■西新井大師

出典:あだち観光ネット

さらに、予算を抑えたい方や広めの一戸建を探したい方は、東武伊勢崎線の竹ノ塚駅やJR常磐線の綾瀬駅、さらにつくばエクスプレス、日暮里・舎人ライナー沿線まで範囲を広げてみるとよいと思います。

足立区では、大学の誘致を積極的に進めており、すでに東京芸術大学、東京電機大学など6つの大学が設置されています。区内の企業や地域団体とのコレボレーションも積極的に進められており、若い学生などの流入とともに、ますます活気ある街へと生まれ変わりつつあります。

北千住の再開発とともに、かつてのイメージを払拭し、「穴場の街」から「住みたい街」に生まれ変わりつつある足立区。

今後の発展も楽しみな街です。ここ数年、価格も上昇していますので、購入をお考えの方は早めに動き出すことをおすすめします。