タワーマンションから川崎大師まで、多彩な顔をもつ街、川崎市の魅力と不動産市況

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川崎市は神奈川県の北東部に位置し、東京都と横浜市に挟まれた政令指定都市です。神奈川県では横浜市に次いで人口が多く、県庁所在地以外では全国最大の市です。市内にはJR、東急、京王、京急、小田急など多くの路線が乗り入れ、都心近郊のベッドタウンとしてとても人気が高い街ですが、武蔵小杉のタワーマンション群、真言宗の大本山「川崎大師」、埋立地の大工業地帯など多彩な顔をもつ街でもあります。

目次

1.川崎市の人口は6%増、世帯数は12%増

そんな川崎市の人口は、約154万人、世帯数は約77万世帯。最近10年間の人口は6%増、世帯数は12%増となっています。また年間の転入出者数は、転入者が約5,500人上回っています。

1-1.人口・世帯数(2024/1/1 現在)   

人口

1,545,711人

世帯数

773,052世帯

 

1-2.人口・世帯数の推移

 

2015年

2016年

2017年

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

2024年

人口

1,461,909

1,477,136

1,491,577

1,505,357

1,517,756

1,531,646

1,538,133

1,538,825

1,540,516

1,545,711

世帯数

687,960

692,989

704,776

717,241

728,304

740,983

747,778

754,576

762,705

773,052

※各年1月1日現在(川崎市ホームページ)

1-3.転入・転出(2023年中)

転入者数

96,821人

転出者数

91,346人

※出典:2023年 住民基本台帳人口移動報告(総務省)

2.神奈川県川崎市の不動産情報

 

2-1. 土地の価格は㎡あたり約43万円。直近10年間で42%の大幅上昇

土地の価格(地価)については、毎年1月1日を基準とした「公示地価」と7月1日を基準とした「基準地価」が発表されています。川崎市における公示地価と基準地価の平均は以下の通りです。直近の平均地価としては約43万円/㎡で、直近10年間は上昇が続いており、10年間で約42%の大幅上昇となっています(基準地価ベース)。

 

■公示地価、基準地価とは?

公示地価とは、地価公示法に基づき、国(国土交通省)が、毎年1月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。基準地価とは、国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。

同年の価格を比較した場合、公示地価よりも基準地価の方が半年遅れで公表されるため、より直近の取引価格を反映していると見ることができます。なお公示地価、基準地価はともに一般の土地の取引価格の指標等として使われていますが、あくまで指標であり、実際の取引価格とは異なりますのでご注意ください。

 

川崎市全体の地価平均(㎡あたり)

公示地価(2024年)

432,330円

基準地価(2024年)

431,034円

 

公示・基準地価の推移(平均/㎡)

 

2015年

2016年

2017年

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

2024年

公示

地価

334,976円

334,034円

342,936円

353,719円

367,438円

382,644円

385,633円

390,476円

408,867円

432,330円

基準

地価

341,805円

349,601円

365,327円

378,068円

393,077円

396,387円

401,448円

411,224円

431,034円

484,016円

また、川崎市は区によって地価が大きく異なるので、区別の平均地価も参考にするとよいでしょう。

 

川崎市の区別平均地価

順位

行政区

地価(㎡)

地価(坪)

変動率

1位

川崎区

713,600

2,359,008

+8.84%

2位

中原区

683,882

2,260,768

+6.74%

3位

高津区

519,105

1,716,050

+5.63%

4位

幸区

517,666

1,711,294

+5.56%

5位

宮前区

340,235

1,124,744

+4.42%

6位

多摩区

336,300

1,111,735

+4.00%

7位

麻生区

268,647

888,089

+4.16%

※2024年基準地価 ※1坪=3.3057㎡

 

 

 

マップでご覧いただけるように、川崎市は南北に長い市で7つの区があります。地価水準が高いのは川崎区、中原区、高津区、幸区で、住宅地でも30~40万円/㎡くらいが相場です、中原区には近年タワーマンションが多く供給されている武蔵小杉や元住吉などの人気エリアがあり、人口が急増しています。また、JR・京急の川崎駅を挟んで南側が川崎区、北側が幸区となります。高津区ではJRと東急線のクロスターミナルである溝の口周辺が人気の高いエリアです。

宮前区の住宅地では、20~30万円/㎡台と比較的リーズナブルな価格帯となり、東急田園都市線の宮崎台、宮前平などが、人気の高いエリアです。北部の麻生区、多摩区は、小田急線、京王線が乗り入れる自然豊かな郊外エリアで、駅近でも20万円/㎡台、駅から離れると20万円/㎡を切る地点も見られます。

 

2-2.新設住宅着工戸数は、約12,500戸。分譲と賃貸で全体の約9割

国土交通省が発表している新設住宅着工戸数について見てみましょう。川崎市で2023年中に新築された建物は12,502戸でした。内訳としては、持ち家(注文住宅)が11%、貸家(賃貸住宅)が45%、分譲住宅が44%と、賃貸と分譲で全体の約9割を占めます。分譲住宅の内訳としては、一戸建が1,947戸(35%)、マンションが3,563戸(65%)と、マンションが多くなっていますが、一戸建とマンションが同程度になる年もあります。いずれにしても、一戸建・マンションともに、新築の供給数、中古の流通数も十分にあり、選択肢の多いエリアだと言えます。

 

■川崎市の新設住宅着工戸数(2023年)

持ち家

1,342戸

貸家

5,620戸

給与住宅

30戸

分譲住宅

5,510戸

12,502戸

2-3.川崎市の住宅着工数は10年間で5%減。注文住宅と分譲住宅は増加

川崎市の住宅着工数は最近10年間でマイナス5%となっています。内訳としては、注文住宅がプラス3%、分譲住宅がプラス12%、賃貸住宅がマイナス19%と、注文住宅と分譲住宅は増加しており、2020~2021年にコロナによる一時的な落ち込みがあったものの、それ以降は増加傾向にあります。

 

川崎市の新設着工戸数

 

2014年

2015年

2016年

2017年

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

持ち家

1,305戸

1,573戸

1,503戸

1,299戸

1,396戸

1,758戸

1,447戸

1,545戸

1,355戸

1,342戸

貸家

6,950戸

8,532戸

7,993戸

6,646戸

6,465戸

8,247戸

5,903戸

5,375戸

5,906戸

5,620戸

給与住宅

29戸

151戸

0戸

3戸

19戸

80戸

140戸

89戸

20戸

30戸

分譲住宅

4,910戸

7,580戸

6,641戸

4,950戸

4,272戸

6,880戸

4,038戸

4,402戸

5,095戸

5,510戸

総計

13,194戸

17,836戸

16,137戸

12,898戸

12,152戸

16,965戸

11,528戸

11,411戸

12,376戸

12,502戸

※出典:国土交通省 住宅着工統計

2-4.神奈川県川崎市の不動産価格。一戸建・マンションともに値上がり傾向が続く

川崎市で販売されている新築マンションはが4,000万円台~億ションまで幅広く供給されており、㎡単価は概ね70~130万円くらいと、エリアや物件によって大きく異なります。

中古マンションは、築15年以内で平均5,011万円(96.6万円/㎡)、築15~25年で平均5,357万円(74.5万円/㎡)、築25年超で平均2,979万円(48.7万円/㎡)前後です。都心のマンション価格高騰により、川崎市内でも特に築浅のマンションは値上がり傾向が続いています。流通量は多いので、少し古めのマンションも視野に入れながら探してみるとよいかも知れません。

一戸建については、新築で5,514万円、中古は築15年以内で平均5,291万円、築25年以内で5,454万円、築25年超は4,925万円となっています。一戸建もマンションも同様に全体として価格が上昇しています。エリアを広めに検討を進めてみましょう。

最後に土地の相場については、最寄駅から徒歩10分以内で平均54.1万円/㎡、徒歩20分以内なら37.8万円/㎡、徒歩20分超で24.8万円/㎡となっています。

川崎市は、マンション、一戸建、土地ともに、エリアによって相場が大きく変わるので、平均価格だけでなく、区ごともしくは個別の物件を当たって見ることをおすすめします。

 

(1)中古マンション

  販売価格(万円) 専有面積(㎡) ㎡単価(万円)

最大

最小

平均

最大

最小

平均

平均

築15年以内

12,800万円

2,090万円

5,011万円

94㎡

20㎡

54㎡

96.6万円

築15~25年

15,000万円

1,340万円

5,357万円

99㎡

28㎡

72㎡

74.5万円

築25年 超

8,480万円

420万円

2,979万円

104㎡

14㎡

62㎡

48.7万円

(2)一戸建

  販売価格(万円) 土地面積(㎡) 建物面積(㎡)

最大

最小

平均

最大

最小

平均

最大

最小

平均

新築

8,390万円

2,980万円

5,514万円

258㎡

37㎡

88㎡

137㎡

52㎡

98㎡

築15年以内

13,800万円

2,980万円

5,291万円

219㎡

43㎡

90㎡

140㎡

64㎡

95㎡

築15~25年

15,800万円

2,780万円

5,454万円

330㎡

47㎡

115㎡

255㎡

63㎡

117㎡

築25年 超

12,900万円

730万円

4,925万円

406㎡

31㎡

156㎡

231㎡

33㎡

115㎡

(3)土地

  販売価格(万円) 土地面積(㎡) ㎡単価(万円)

最大

最小

平均

最大

最小

平均

平均

徒歩10分以内

40,000万円

330万円

7,135万円

665㎡

17㎡

145㎡

54.1万円

徒歩10分~20分

24,700万円

500万円

5,594万円

1,014㎡

37㎡

170㎡

37.8万円

徒歩20分超・バス

9,600万円

400万円

4,096万円

678㎡

65㎡

188㎡

24.8万円

※REINS(不動産流通標準情報システム) 2024年9月のデータをもとに集計

~神奈川県川崎市の物件を見る~

3.川崎市は待機児童ゼロを達成。都内への通学もしやすく教育環境は良好

川崎市には、114校の公立小学校、53校の公立中学校、19校の公立高校と6校の私立高校があります。市内には専修大学、日本女子大学など10のキャンパスがありますが、都内への通学もしやすく、教育環境は非常によいと言えるでしょう。

 

3-1.幼稚園・保育園・学校の数

 

公立

私立

幼稚園・保育園・認定こども園等

21施設

732施設

小学校

114校

4校

中学校

53校

6校

高等学校

19校

6校

大学・短大

0校

10校

 

3-2. 待機児童数(2024年4月現在)

 

待機児童数(国基準)

0人

 

川崎市の待機児童数は前年に引き続きゼロを達成しています。

4.川崎市の住まい探しは、エリア・沿線の特徴をつかんで絞り込み。横浜市営地下鉄の伸延にも注目!

川崎市は、東京都と横浜市と接し、市内にはJR、東急、京急、京王、小田急の5事業者、14路線が乗り入れ、都心まで、どの路線を使っても30分前後でアクセスできる、非常に利便性の高い街です。かつては工場やギャンブルなど悪いイメージがあった川崎市ですが、近年では再開発やタワーマンションの建設などで過去のイメージは払拭され、若いファミリー層を中心に、住みたい街ランキングで上位にランクインする人気の街となっています。

 

川崎市は7つの行政区からなる政令指定都市で、各区に中心となる駅・エリアがあり、それぞれ異なる路線が乗り入れていますので、区・エリアによって、交通アクセス・雰囲気・価格相場が大きく変わります。物件探しにおいては、「川崎市」というよりは「武蔵小杉エリア」とか「東急 田園都市線沿線」など、駅や路線を絞り込んで探す方が多いようです。

 

川崎市の物件探しは、まず各エリアの特徴をつかむところから始めてみましょう。

 

出典:川崎市ホームページ(区名は筆者加筆)

 

■中原区

中原区の中心となる駅は武蔵小杉です。JR武蔵小杉駅(南武線・横須賀線・湘南新宿ライン)と、東急武蔵小杉駅(東横線・目黒線)があり、相互乗り入れを含めると、13路線が利用可能で、東京方面にも横浜方面にも、非常にアクセスのよいエリアです。JRを利用すれば、品川駅まで約10分、東京駅・新宿駅まで約20分、横浜駅まで約10分、東急線を利用すれば、渋谷駅まで約15分で行くことができます。

近年、駅周辺の再開発にともない、タワーマンションや大型商業施設が建設され、若いファミリー層の人気が高まっており、川崎市で最もホットなエリアのひとつと言えるでしょう。

一方で中原区には自然を感じられる広大な緑地「等々力緑地」や、博物館と美術館の複合文化施設「川崎市市民ミュージアム」、川崎フロンターレのホームグラウンドでもある等々力陸上競技場、とどろきアリーナなどの運動施設・文化施設も充実しています。

 

■川崎区

川崎区は川崎駅の東側(海側)のエリアで、中心となるのは、JR川崎駅(東海道本線)と京急川崎駅です。

駅周辺には、ラゾーナ川崎などの大型商業施設やオフィスビルが集中している賑わいのあるエリアですが、関東三大本山のひとつである川崎大師もあり、新年には多くの初詣客が訪れる、風情ある街でもあります。

中原区と同様に都心へのアクセスは申し分なく、主要駅に約15~20分で行くことができます。また羽田空港へのアクセスも非常に便利なエリアです。

 

■高津区

高津区の中心となるのは、溝の口駅(東急田園都市線・大井町線)です。武蔵溝ノ口駅(JR南武線)とのクロスターミナルとなっており、田園都市線を使えば渋谷まで急行で約15分、東京メトロ半蔵門線と相互乗り入れしているので、表参道や大手町駅などにもダイレクトアクセスできます。駅近辺にはノクティプラザ、イトーヨーカドー、MIZONOKUCHI BLOCKSなど商業施設も豊富で、交通便、生活便ともに申し分ない環境です。近年開発が進み、川崎市の副都心と位置づけられる溝の口エリアですが、周辺には多摩川など自然も豊かで、子育てファミリーにはとても人気の高い街となっています。

 

■幸区

幸区の中心となるのは、JR・京急の川崎駅です。駅を挟んで川崎区の反対側に位置するのが幸区で、駅前には川崎市最大級のショッピングモール「ラゾーナ川崎」をはじめ、商業施設や飲食店などの商業施設が充実しています。川崎駅前の繁華街がちょっと苦手という方は、南武線沿線の矢向駅、鹿島田駅や、湘南新宿ライン・横須賀線の新川崎駅なども合わせて検討してみるとよいと思います。特に鹿島田駅・新川崎駅エリアは、隣接する2駅が利用できるため交通便もよく、川崎駅と武蔵小杉駅の間に位置する閑静な住宅地としてファミリー層に人気があります。

 

■宮前区

宮前区は市の西側、多摩丘陵に位置するエリアで、閑静な住宅街が広がっています。中心となるのは、急行停車駅である鷺沼駅(東急田園都市線)です。鷺沼駅からは急行で渋谷まで約17分、表参道や大手町駅などにもダイレクトアクセスできます。田園都市線は特に若いファミリーに人気の沿線で、学校も多く教育環境がよいので、子育てファミリー層にはおすすめです。駅周辺には医療施設やショッピングセンターが揃っており、生活しやすい環境ですが、坂道が多いため、自転車での移動はちょっと辛いかも知れません。

 

■多摩区

多摩区は、多摩丘陵に位置する自然豊かなエリアです。中心となるのは、小田急線とJR南武線のクロスターミナルである登戸駅と、隣の向ヶ丘遊園駅(小田急線)です。登戸駅からは小田急線快速急行で新宿駅まで約17分、また東京メトロ千代田線に乗り入れているため、表参道や大手町など都心部にダイレクトアクセスできます。また、千代田線直通電車のほとんどは、向ヶ丘遊園駅始発なので、都心部に座って通勤できるというメリットもあります。

多摩区は利便性の高い街でありながら、里山環境が保全された「生田緑地」や、「よみうりランド」などのレジャー施設もあり、多摩丘陵の自然を感じながらゆったりと暮らしたいファミリーにおすすめです。

 

■麻生区

麻生区は、市の北西部に位置する閑静な住宅街が広がるエリアです。中心となるのは新百合ヶ丘駅(小田急線)です。新百合ヶ丘駅からは、小田原線快速急行で新宿まで約23分、東京メトロ千代田線に乗り入れているので、都心部にダイレクトアクセスできます。駅周辺には大型のマンションもあり、商業施設、医療施設などが充実していますが、少し駅から離れると、農地や山林が残る自然豊かな住宅地が広がっています。都心へのアクセスや利便性は重視しつつ、自然が残るのどかな環境で、のびのび子育てしたいファミリーにおすすめのエリアです。

また2020年には、横浜市営地下鉄のあざみ野駅~新百合ヶ丘駅までの伸延が決定し、2030年の開業を目標に事業が進められています。麻生区内には新たに2つの駅が新設される予定で、これからの発展が楽しみです。

 

・横浜市営地下鉄伸延の概略ルート

※出典:横浜市・川崎市

 

川崎市は都心へのアクセスもよく、再開発などにともない人気が高まっていますが、区や沿線によって環境や雰囲気が大きく変わります。都会的なライフスタイルを志向し、マンションを中心に物件を探すなら川崎区・幸区・中原区、都会的な雰囲気でありながら、少し落ち着いた環境を求めるなら高津区・宮前区、利便性を重視しつつ自然豊かな環境を求めるなら多摩区・麻生区と、ご自身のライフスタイルや重視するポイントを整理しながらエリア選び、物件選びを進めていくとよいと思います。

駅近のタワーマンションから広々した一戸建まで、住まいの選択肢が非常に多い川崎市。詳しい街の情報や価格相場など、不動産会社に相談してみてはいかがでしょうか?

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