控除引き下げまで9ヶ月!住宅ローン控除を活用するなら今年中の入居を。

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持ち家最大のメリットとも言われる住宅ローン控除ですが、制度改正により、2024年以降、控除額の引き下げが決まっています。住宅ローン控除を最大限に活用できるチャンスはあと9ヶ月。その概要と利用する際のポイントを解説します。

目次

1)そもそも住宅ローン控除とは

まず、住宅ローン控除の概要について理解しておきましょう。

1-1. 住宅ローン控除の概要

住宅ローン控除とは、住宅ローンを使って住まいを購入する方の負担軽減を目的とした制度で、年末の住宅ローン残高の0.7%が、その年の所得税(住民税)から控除されます。控除期間は10年~13年と長く、トータルで数百万円の税金が戻ってくる、とてもメリットの大きな制度です。

1-2. 控除額は住まいの省エネ性能によって変わる

住宅ローン控除では、住まいの省エネ性能によって、年末ローン残高の上限額が決められており、省エネ性能が高いほど上限額が上がり控除額も大きくなります。

■住宅ローン控除の控除額

※新築住宅または不動産会社が販売する再販住宅の場合

※認定住宅とは:認定長期優良住宅または認定低炭素住宅のこと

※1万円未満 四捨五入

このように、非常にメリットの大きい住宅ローン控除ですが、2024年から上限額が引き下げられることが決まっています。今回は住宅ローン控除の縮小と、この制度を最大限に活用するためのポイントを解説します。

2)2024年から住宅ローン控除はどう変わるのか

それでは2024年からの変更点について詳しく見ていきましょう。

2-1. ローン残高上限額が最大1,000万円引き下げられる

2024年からの変更でもっとも大きいのがローン残高上限額の引き下げです。

下表の通り、「居住年」が2023年の場合と2024年以降の場合で、ローン残高の上限額が最大1,000万円引き下げられ、結果として控除額も下がることになります。

■2024年以降の住宅ローン控除額引き下げ

省エネ基準に適合していない住宅の場合には、控除期間も13年から10年に短縮されるため、最大控除額が133万円も少なくなってしまいます。

2-2. ポイントとなるのは「居住年」

ここでポイントとなってくるのが「居住年」です。居住年とは「居住を開始した日」が属する「年」のことで、正式には「居住の用に供した日の属する年」と表現されます。一般的には、住民票の転入日と理解しておけばよいでしょう。(もちろん、実際の居住が始まっていることが前提となります。)

注意しなければならないのは、契約日や引き渡し日ではなく、実際に居住を開始した日が基準になることです。つまり建物が完成していても、実際に居住がスタートしていなければ居住年とは認められないわけです。

2-3. 省エネ性能の低い住宅は住宅ローン控除の対象外に

さらに、省エネ基準に適合しない建物で、2024年以降に建築確認を取得したものは、居住年にかかわらず、住宅ローン控除が受けられなくなります。

2-4. 中古住宅は引き下げなし。ただし控除期間は一律10年

一方、中古住宅を個人から購入した場合は、下表の通り、居住年に関係なく住宅ローン控除が受けられますが、控除期間は一律10年となります。

また、新築では4区分あった省エネ性能が、「認定住宅等」と「それ以外」の2区分となります。つまり、省エネ基準に適合した住宅なら、認定住宅と同様の控除が受けられることになります。

■中古住宅の住宅ローン控除額

※中古住宅を個人間売買によって取得した場合

3)住宅ローン控除を最大限に活用するために気をつけることとは

こうした制度変更を踏まえ、住宅ローン控除を最大限に活用するには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。

3-1. 2023年中の居住開始が必須。物件探しは分譲物件を中心に

新築住宅で申し上げれば、2023年中の居住開始が必須と言えます。前述の通り、省エネ性能にかかわらず、2024年から控除額が縮小してしまうからです。

したがって、遅くとも2023年12月までに引き渡し可能な分譲物件を中心に物件探しを進めましょう。注文住宅の場合、工期を6ヶ月とすると、6月には着工する必要があり、かなり厳しいスケジュールとなります。注文住宅希望の方は、比較的手間のかからない規格型プランなどを中心に検討を急ぎましょう。

3-2. 新築の省エネ性能が高い住宅を選ぶ

前章の表の通り、住宅ローン控除額は、新築と中古で最大200万円を超える差があります。これは、中古住宅の個人間売買では消費税がかからないことが大きな理由ですが、住宅ローン控除という観点から見れば、新築が有利であることは間違いありません。

また新築の中でも認定住宅やZEH住宅は控除額が大きくなりますので、できるだけ省エネ性能の高い住宅を検討しましょう。高性能な住宅はその分建築費が上がりますが、月々の光熱費が大幅に安くなりますし、補助金や金利優遇も受けられますので、それほど無理なく購入することができます。

3-3. 中古住宅は購入費用だけでなくリフォーム費用も控除の対象になる

中古住宅を購入してリフォームした場合には、リフォームにかかるローンについても住宅ローン控除の対象となります。つまり物件の購入費用とリフォーム費用の双方に対して、住宅ローン控除が使えるわけです。最近では購入費用とリフォーム費用をあわせて借入できる「中古・リフォーム一体型ローン」も普及してきましたので、積極的に検討してみるとよいと思います。ただし、対象となる物件やリフォームの種類に条件がありますので、不動産会社などに相談しながら検討を進めましょう。

2023年は、省エネ住宅や省エネリフォームに対する手厚い補助金制度がスタートしています。不動産会社など専門家と相談しながら上手に活用しましょう。

関連記事:【2023年版】住宅の省エネ強化が鮮明に。2023年の補助金や税制優遇はどうなる?

3-4.夫婦それぞれが住宅ローン控除を受ける方法

共働き世帯が住まいを購入する場合には、ローンの組み方によって、夫と妻それぞれが住宅ローン控除を受けることも可能です。

具体的には「連帯債務型」か「ペアローン」という住宅ローンを利用します。連帯債務型では、1本のローン契約に対して、夫(妻)が「主たる債務者」、妻(夫)が「連帯債務者」となり、それぞれの借入負担の割合を決め、その負担に応じた控除を受けることができます。ペアローンでは、夫妻が別々に2本のローン契約を結び、それぞれの借入額に応じた控除を受けることができます。

連帯債務型、ペアローンそれぞれにメリット・デメリットがありますので、詳しくは不動産会社などに相談してみることをおすすめします。

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4)住宅ローン控除を受けるための手続き

最後に、住宅ローン控除を受けるための手続きについて解説します。

4-1. 初年度は確定申告が必要。2年目以降は年末調整で

住宅ローン控除を受けるためには、居住開始の翌年の3月までに確定申告をする必要があります。ただし、申告が必要なのは初年度のみで、2年目以降は勤務先に書類を提出することにより年末調整で控除が受けられます。(個人事業主の方は2年目以降も確定申告での手続きとなります)

4-2. 確定申告・年末調整に必要な書類と入手先

初年度の確定申告では、控除の要件に適合しているかどうかを確認するため多くの書類が必要になります。期限に間に合うように余裕をもって準備しておきましょう。

■住宅ローン控除の確定申告に必要な主な書類

2年目以降は、税務署から送付される「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と、金融機関から送付される、「年末残高等証明書」を勤務先に提出します。

持ち家の大きなメリットである住宅ローン控除。控除額引き下げまで約9ヶ月となりました。これから物件探しを始める方もまだ十分間に合いますので、お近くの住宅情報館までお気軽にご相談ください。

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