都市の利便性と武蔵野の自然が共存する街。東京都西東京市の魅力と不動産市況

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西東京市は、多摩地域の北東部に位置する市で、2001年に田無市と保谷市の合併により誕生しました。東を練馬区、北を埼玉県新座市と接する街で、市内には西武新宿線・池袋線が乗り入れています。また市内に企業や工場などが少なく、都心に通勤する人の多い典型的なベッドタウンで、順調に人口が増加している人気の街となっています。

目次

1.西東京市の人口は10年で4%増、世帯数は10%増

そんな西東京市の人口は、約20万人、世帯数は約10万世帯で、最近10年間の人口は、4%増、世帯数は10%増となっています。年間の転入出者数は転入者が約800人上回っています。

1-1.人口・世帯数(2023/1/1 現在)

人口205,876人
世帯数101,119世帯

1-2.人口・世帯数の推移

 2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年2023年
人口197,546198,267198,974199,790201,058202,817205,125206,047205,805205,876
世帯数91,69092,61093,49394,69295,87897,35099,258100,220100,394101,119

※各年 1月1日現在(西東京市ホームページ)

1-3.転入・転出(2022年中)

転入者数10,805人
転出者数10,010人

※出典:2022年 人口移動報告(総務省)

2.東京都西東京市の不動産情報

2-1.土地の価格は㎡あたり約32~34万円台。直近10年で19%の大幅上昇

土地の価格(地価)については、毎年1月1日を基準とした「公示地価」と7月1日を基準とした「基準地価」が発表されています。西東京市における公示地価と基準地価の平均は以下の通りです。直近の平均地価としては、㎡あたり約32~34万円台となっており、最近10年間は上昇傾向が続き、10年で約プラス19%と大きく上昇しています。(基準地価ベース)

■公示地価、基準地価とは?

公示地価とは、地価公示法に基づき、国(国土交通省)が、毎年1月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。基準地価とは、国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。

同年の価格を比較した場合、公示地価よりも基準地価の方が半年遅れで公表されるため、より直近の取引価格を反映していると見ることができます。なお公示地価、基準地価はともに一般の土地の取引価格の指標等として使われていますが、あくまで指標であり、実際の取引価格とは異なりますのでご注意ください。

西東京市全体の地価平均(㎡あたり)

公示地価(2022年)320,128円
基準地価(2022年)339,333円

公示・基準地価の推移(平均/㎡)

 2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年
公示 地価279,410円289,218円292,656円292,487円297,282円303,641円311,128円318,666円317,717円320,128円
基準 地価280,944円284,555円287,888円291,500円313,222円322,111円330,944円332,666円333,611円339,333円

マップでご覧いただけるように、西東京市で地価が高いのは西武池袋線のひばりヶ丘駅と、新宿線の田無駅の周辺エリアで、30~35万円/㎡くらい、他の駅ではやや相場が下がり、20万円台/㎡後半となっています。池袋線・新宿線とも都心へのアクセスがよいため、駅よりも駅からの距離によって価格が変わってくるようです。

2-2.新設住宅着工戸数は約1,300戸。注文住宅と分譲住宅がバランスよく供給

国土交通省が発表している新設住宅着工戸数について見てみましょう。西東京市で2022年中に新築された建物は1,328戸でした。内訳としては、持ち家(注文住宅)が27%、貸家(賃貸住宅)が38%、分譲住宅が35%と、比較的バランスよく供給されています。分譲住宅の内訳としては、すべて一戸建で2022年に新築マンションの着工はありませんでした。

■西東京市の新設住宅着工戸数(2022年)

持ち家353戸
貸家509戸
給与住宅0戸
分譲住宅466戸
1,328戸

2-3.西東京市の住宅着工数は10年間でマイナス26%。新築マンションの減少が要因

西東京市の住宅着工数は最近10年間でマイナス26%となっています。内訳としては、注文住宅がプラス9%、賃貸住宅がマイナス11%、分譲住宅がマイナス49%と、分譲が大きく減少しています。要因としては、年300~400戸ほど供給されていた分譲マンションが減少したためで、直近4年は年に数十戸まで減少しています。一方、分譲一戸建は年に400~500戸安定して供給されています。西東京市は注文住宅、分譲一戸建を中心とした一戸建中心のエリアと言えそうです。

西東京市の新設着工戸数

 2013年2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年
持ち家324戸345戸231戸233戸232戸251戸228戸266戸329戸353戸
貸家569戸435戸570戸530戸579戸659戸336戸348戸498戸509戸
給与住宅2戸0戸2戸1戸0戸0戸36戸2戸2戸0戸
分譲住宅910戸778戸934戸583戸1,489戸821戸586戸555戸442戸466戸
総計1,805戸1,558戸1,737戸1,347戸2,300戸1,731戸1,186戸1,171戸1,271戸1,328戸

※出典:国土交通省 住宅着工統計

2-4.東京都西東京市の不動産価格。新築は4,000~5,000万円台が相場

西東京市の新築マンションは、最近の供給は少ないものの、4,000~5000万円台が中心で、㎡単価は65万円前後が相場のようです。

中古マンションは、築15年以内で平均4,428万円(70.7万円/㎡)、築15~25年で平均4,263万円(61.7万円/㎡)、築25年超で平均2,218万円(42.2万円/㎡)前後が相場です。新築マンションの減少とともに築浅の中古マンションが値上がり傾向にあります。

一戸建については、新築が5,543万円、中古は築15年以内で平均5,162万円、築25年以内で4,724万円、築25年超は3,462万円となっています。

最後に土地の相場については、最寄駅から徒歩10分以内で平均43.5万円/㎡、徒歩20分以内なら38.1万円/㎡、徒歩20分超で32.2万円/㎡となっており、公示地価よりも高い水準で取引されているようです。

(1)中古マンション

  販売価格(万円) 専有面積(㎡) ㎡単価(万円)
最大 最小 平均 最大 最小 平均 平均
築15年以内 8,300万円 1,850万円 4,428万円 83㎡ 26㎡ 64㎡ 70.7万円
築15~25年 7,480万円 1,080万円 4,263万円 110㎡ 19㎡ 70㎡ 61.7万円
築25年 超 6,280万円 600万円 2,218万円 100㎡ 15㎡ 53㎡ 42.2万円

(2)一戸建

  販売価格(万円) 土地面積(㎡) 建物面積(㎡)
最大 最小 平均 最大 最小 平均 最大 最小 平均
新築

7,490万円

3,680万円

5,543万円

176㎡

39㎡

100㎡

122㎡

55㎡

88㎡

築15年以内

9,180万円

3,980万円

5,162万円

137㎡

58㎡

97㎡

112㎡

59㎡

86㎡

築15~25年

6,580万円

1,980万円

4,724万円

165㎡

52㎡

110㎡

131㎡

56㎡

92㎡

築25年 超

9,000万円

980万円

3,462万円

399㎡

61㎡

106㎡

215㎡

32㎡

89㎡

(3)土地

  販売価格(万円) 土地面積(㎡) ㎡単価(万円)
最大 最小 平均 最大 最小 平均 平均
徒歩10分以内

51,400万円

1,589万円

8,014万円

801㎡

38㎡

177㎡

43.5万円

徒歩10分~20分

12,000万円

1,880万円

4,758万円

234㎡

57㎡

125㎡

38.1万円

徒歩20分超・バス

8,970万円

1,750万円

5,575万円

371㎡

50㎡

185㎡

32.2万円

※REINS(不動産流通標準情報システム) 2023年1月のデータをもとに集計

3. 西東京市の待機児童は7人。大学は都心にも多摩エリアにも通学しやすい

西東京市には、18校の公立小学校、9校の公立中学校、3校の公立高校と2校の私立高校があります。大学は、市内に武蔵野大学のキャンパスがありますが、都心にも多摩エリアにも通学しやすい環境です。

3-1.幼稚園・保育園・学校の数

 公立私立
幼稚園・保育園・認定こども園等16施設79施設
小学校18校0校
中学校9校2校
高等学校3校2校
大学・短大0校1校

3-2. 待機児童数(2022年4月現在)

待機児童数(国基準)7人

2022年4月現在の西東京市の待機児童数は7人となっています。前々年の97人、前年の36人から大きく減少しています。

4.東京都西東京市の住まい探しは、市内を3つのエリアに分けて検討してみよう

西東京市は、2001年1月に旧田無市と旧保谷市の合併により誕生した街で、21世紀最初の合併と話題になりました。西東京市と言っても東京の西ではなく、23区(練馬区)と接する多摩エリアの東端に位置しています。

市の北部には西部池袋線が、また市の南部には西武新宿線が東西に走っており、池袋線のひばりヶ丘駅からは、池袋駅まで急行で16分。さらに東京メトロとの直通運転により、渋谷駅まで約35分、有楽町駅まで約50分でアクセスすることができます。また新宿線の田無駅からは、西武新宿駅まで急行で19分、高田馬場駅まで16分と都心部へのアクセスは抜群です。一方、市内を南北に移動できる鉄道がないため、通勤・通学などを考慮したエリア選びが大切になります。

出典:西東京市ホームページ

西東京市の中心駅となるのが、ひばりヶ丘駅(池袋線)と田無駅(新宿線)です。ひばりヶ丘駅は、2021年に駅周辺のリニューアル工事が完了し、スターバックスや成城石井なども入る、駅直結の「エミオひばりヶ丘」がオープンしました。周辺には「西友ひばりヶ丘店」、「ひばりが丘PARCO」などの商業施設やスーパーが点在しています。また、約4.4ヘクタールの広さを誇る「西東京いこいの森公園」も近く、バーベキューやピクニック、ウォーキングやランニングなどを楽しむ市民で賑わっています。

■西東京いこいの森公園

出典:いこいの森と周辺の市立公園

一方、田無駅には「エミオ田無」、「田無アスタ専門店街」など駅直結のショッピングモールが、少し離れると「イオンタウン田無芝久保」があります。また、世界最大級のプラネタリウムドームがある体験型ミュージアム「多摩六都科学館」は、親子で一日中楽しめる施設となっています。

■多摩六都科学館

出典:多摩六都科学館ホームページ

そんな西東京市の住まい探しは、この2つの急行停車駅を中心に、市内を3つのエリアに分けて検討してみてはいかがでしょうか。

1つ目は西武池袋線の北側エリアです。ひばりヶ丘駅北口は、昔ながらのお店が連なる「ひばりヶ丘北口商店街」や、個人経営のおいしい飲食店なども多いレトロな雰囲気のエリアです。現在、市ではこの北口の個性的な雰囲気を活かした再開発を進めており、道路の拡張や駅前広場の整備などが進められています。このエリアは東久留米市、埼玉県新座市との境に近いため、物件探しの際は、隣接する市も合わせて検討してみることをおすすめします。

2つ目は、西武池袋線と新宿線に挟まれたエリアです。このエリアは、大型のショッピング施設も多く、利便性が高いことと、2路線が利用できることが大きなメリットです。駅から近いエリアには大型のマンション、少し離れると一戸建を中心とした閑静な住宅地が広がっており、物件の選択肢が多いエリアでもあります。隣接する保谷駅(池袋線)、西武柳沢駅(新宿線)の周辺まで範囲を広げて探してみましょう。

3つ目は、西武新宿線の南側です。このエリアはJR中央線に近いので、吉祥寺、三鷹、武蔵境などへのお出かけに便利なエリアです。また近くに「武蔵野徳洲会病院」という大きな病院があるため、子育てファミリーにも安心感があります。大型のショッピングモールなどがない代わりに、比較的駅から近いエリアにも住宅地が広がっていますので、落ち着いた雰囲気を求める方にはおすすめです。

西東京市は、都心へのアクセスが抜群なのに価格はリーズナブルで、武蔵野台地の強い地盤で東日本大震災の際に被害が少なかったことでもクローズアップされました。約20年前に誕生した新しい市だけに知名度はそれほど高くありませんが、都市と自然のバランスがよく子育てファミリーにはとても暮らしやすい街です。ぜひ住まい探しの選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

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