新築マンションの高騰で、戸建志向が高まる背景と3つの買い方

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地価と建築費の上昇で、マンションの高騰が続いています。不動産経済研究所によると、23区の新築マンション平均価格は約1億3,000万円、首都圏平均でも1億円超えとなっています(2026年7月現在)。新築マンションの供給が減る中で、広さや価格面から、戸建に目を向ける方も増えています。

今回は、新築戸建を購入する際の3つの買い方について解説します。

目次

1. 戸建志向が高まっている要因はマンション市場の変化

まず首都圏の新築マンションの動向を振り返りながら、新築戸建が人気となっている要因を確認してみましょう。

1-1. マンション価格の上昇率は戸建の約6倍

ここ数年の地価と建築費の上昇による影響で、マンション価格は上昇を続けています。2010年の価格水準を100とした不動産価格指数(2025年12月)は、マンションが225.1、戸建住宅が121.9となっており、マンションの上昇率は戸建住宅の約6倍となっています。

<不動産価格指数(住宅)(令和7年12月分・季節調整値)> ※2010年平均=100 住宅総合 住宅地 戸建住宅 マンション(区分所有) 100 120 140 160 180 200 220 240 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 2023 2024 2025

出典:不動産価格指数(国土交通省)
※本グラフは各月の報道発表資料に基づく2023年1月〜2025年12月の簡易グラフです。速報値のため、公表後3ヶ月間は数値が改訂される場合があります。

1-2. 新築マンションの供給数は年々減少、都市部の主要エリアがメインに

新築マンション価格が上昇する要因のひとつは、供給戸数の減少です。首都圏の新築マンション発売戸数は直近10年で約40%も減少しており、供給エリアは、地価の高い大都市やターミナル駅周辺に偏る傾向が強まっています。

その結果、販売価格は10年間で約67%も上昇。一般の購入者にとって、手の届きにくい価格帯になりつつあります。

■首都圏の新築マンション発売戸数と販売価格

発売戸数 販売価格(万円)
2016年 2025年 減少率 2016年 2025年 上昇率
東京23区 14,764 8,064 ▲45% 6,629 13,613 105%
東京都下 4,069 2,749 ▲32% 4,985 6,699 34%
神奈川県 8,774 4,918 ▲44% 5,039 7,165 42%
埼玉県 3,897 3,153 ▲19% 4,255 6,420 51%
千葉県 4,268 3,078 ▲28% 4,085 5,842 43%
首都圏計・平均 35,772 21,962 ▲39% 5,490 9,182 67%
首都圏新築マンションの発売戸数と平均価格 発売戸数 販売価格(万円) 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 35,772 35,898 37,132 31,238 27,228 33,636 29,569 26,873 23,003 21,962 5,490 5,908 5,871 5,980 6,083 6,260 6,288 8,101 7,820 9,182 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年

出典:不動産経済研究所「新築分譲マンション市場動向」より作成

1-3. 新築マンションの専有面積は10年前より縮小

また、新築マンションは価格が上昇するだけでなく、専有面積も10年前より狭くなっています。不動産経済研究所によれば、首都圏の新築マンションの平均専有面積は、2016年に69.22㎡だったものが、2025年には66.97㎡に、約2.3㎡縮小しています。ただし、2020年の65.73㎡を底に、ここ数年はゆるやかな回復傾向にあります。ちなみに、67㎡はおよそ40畳分の広さとなり、2LDKなら余裕がありますが、3LDKでは各居室がコンパクトになりやすい広さです。

首都圏新築マンションの平均専有面積(㎡) 63.00 64.00 65.00 66.00 67.00 68.00 69.00 70.00 69.22 68.81 67.58 68.00 65.73 66.86 66.12 66.10 66.42 66.97 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年

出典:不動産経済研究所「新築分譲マンション市場動向」より作成

一方、首都圏の新築戸建の建物面積は平均99.2㎡で、マンションの約1.5倍になります。(出典:東日本不動産流通機構「不動産市場動向」2026年7月度)

戸建の建物面積には階段や廊下も含まれるため単純比較はできませんが、約100㎡の戸建であれば、4人家族でも余裕をもって暮らせる広さと言えます。

1-4. 広くてリーズナブルな郊外の新築戸建に需要がシフト

このように、今首都圏で新築マンションを買おうとしても「物件が少ない」「価格が高い」「専有面積が狭い」という3つの課題があり、こうしたマンション市場の変化を背景に、戸建志向が高まっています。

実際に首都圏の新築戸建は2025年以降、成約件数が大きく増えており、マンションから戸建へ需要が移っていることがうかがえます。

首都圏 新築戸建の成約件数 東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県 0 100 200 300 400 500 600 700 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 2023年 2024年 2025年 2026年

出典:東日本不動産流通機構「不動産市場動向」より作成

ここからは、新築戸建を買うときに知っておきたいポイントを順に見ていきましょう。

2. 新築戸建を買う前に知っておきたい基礎知識

2-1. 新築戸建の種類と契約形態

新築戸建を取得する方法は、大きく分けて以下の3つがあります。

①注文住宅

②建売(分譲)住宅

③建築条件付土地

この3つのタイプの特徴やメリット・デメリットを理解しておくことで、物件探しの幅が広がり、自分の理想の住まいを購入できる可能性が高まります。

2-2. 3タイプごとの契約形態の違い

戸建は「土地」と「建物」がセットになったものですが、3つのタイプによって買い方(契約形態)が異なります。

初めて戸建を買う方(=土地をお持ちでない方)を例にとると、土地・建物それぞれを「誰から」「どのように」購入するかをまとめたのが下の表です。

■戸建購入の3つのタイプと契約形態

タイプ 対象 誰から買うか 契約形態
①注文住宅 土地 個人または不動産会社 売買契約
建物 住宅メーカー 請負契約
②建売住宅 土地+建物 不動産会社 売買契約
③建築条件付土地 土地 不動産会社等 売買契約
建物 指定された
住宅メーカー等
請負契約

売買契約とは:買主が代金を支払い、売主から商品等を譲り受けることを約束する契約
請負契約とは:発注者が代金を支払い、請負者に仕事を完成させることを約束する契約

表のとおり、①注文住宅と③建築条件付土地では、土地と建物が別々の契約になるのに対し、②建売住宅は「土地+建物」で1本の契約となります。

また、誰から買うか(契約の相手)も異なります。①注文住宅では、土地の売主と建物を建てる住宅メーカーが別々になるケースが多いのに対し、③建築条件付土地では、土地の売主が指定する住宅メーカーなどと建築請負契約を結ぶ形が一般的です。 このような買い方の違いも頭に入れながらそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。

3. 注文住宅のメリット・デメリットと向いている人のタイプ

注文住宅とは、シンプルに言えばオーダーメイドで建てられる戸建のことです。建物のデザインや間取りなどを、ひとつひとつ打ち合わせしながら決めていくタイプの戸建のことです。

3-1. 注文住宅のメリット・デメリット

注文住宅の最大のメリットは、設計の自由度が高いことです。デザイン、間取り、設備、インテリアなどを自由に決められますので、好みや予算に応じて世界でひとつだけのこだわりのマイホームを建てることができます。

また、どの会社で建てるか、土地を誰から購入するかについても制限はなく、自分が気に入った土地に、好きな住宅メーカーで建てることができるので、建売住宅の供給がないエリアでも新築戸建を購入することが可能です。 一方デメリットとしては、自由度が高い分、手間と時間がかかることです。土地探しからはじまり、住宅メーカー選び、設計打ち合わせ、着工、完成まで、1~2年かかることも珍しくありません。また、仕様を一つずつ決めていくためコストが高くなりやすく、建物の設計が完了するまで予算が確定しないので、資金計画が立てにくいというデメリットもあります。

3-2. フルオーダー型注文住宅と規格型注文住宅

自由度が高いという注文住宅のメリットを活かしつつ、時間や手間を軽減したのが「規格型注文住宅」と言われる手法です。規格型注文住宅は、住宅メーカーがあらかじめ標準的なデザイン・間取り・設備などの仕様を決め、施主はその中から好みのものを選ぶ形で家づくりを進めていきます。フルオーダー型の「自由設計」がゼロから図面を引いて設計していくのに対して、規格型はパターンを「組み合わせ」て設計するため、こだわりを実現しつつも、短期間でプランを確定しやすいのが特徴です。

もともと注文住宅は、フルオーダー型が主流でしたが、現在では、コストを抑えながら一定の品質を確保しやすい「規格型」を採用する住宅メーカーも増えています。

3-3. 注文住宅に向いている人のタイプ

注文住宅に向いているのは、住まいにとことんこだわりたい人です。例えば「リビングは吹き抜けのある大空間にしたい」、「家具はすべてデザインを統一した作り付けにしたい」など、標準的な間取りやデザインでは満足できないという方に向いています。

また、設計や仕様の打ち合わせに多くの時間がかかるので、そうした家づくりのプロセスを積極的に楽しめる方が注文住宅に向いていると言えるでしょう。

4. 建売(分譲)住宅のメリット・デメリットと向いている人のタイプ

建売住宅は、分譲住宅とも呼ばれ、不動産会社が所有する土地に建物を建て、土地と建物をセットで販売するタイプの戸建をいいます。建物の仕様は不動産会社が決めるので、自分好みにカスタマイズすることはほとんどできません(完成前であれば、インテリアの変更や、設備のアップグレードなどができることもあります)。

一般的に購入ニーズの高いエリアで供給され、1~2棟の小規模な物件もあれば、数十棟にもおよぶいわゆる大規模分譲地もあります。

4-1. 建売住宅のメリット・デメリット

建売住宅のメリットは、土地と建物がセットなので、価格がシンプルでわかりやすく、資金計画が立てやすいことです。また、購入から入居までの期間が短いのも大きなメリットです。

一方、デメリットはデザインや間取り、設備などが標準的でやや個性に欠けることです。注文住宅のように自分のこだわりを反映できる部分はほとんどありません。また、供給されるエリアや時期が限られているため、希望エリアにタイミングよく物件が出たときにしか買えないのも建売住宅のデメリットと言えます。

4-2. 建売住宅を買う時の注意点

建売住宅は、数棟~数十棟まとめて建築・販売されることが多いため、スケールメリットがはたらきやすく、一般的に価格が安いと言われます。しかし土地面積が狭い建売では、土地の価格が周辺に比べて割高になっているケースもしばしば見られます。建売住宅は土地・建物の合計金額で販売されるので、比較・検討する際には土地と建物の価格を分けて、周辺の土地価格(㎡単価)からかけ離れていないかどうかを確認しましょう。場合によっては、土地を購入して注文住宅を建ててもそれほど変わらないということもあり得ます。

(関連記事)建売住宅の物件選び 3つのポイント

4-3. 建売住宅に向いている人のタイプ

建売住宅に向いているのは、住まいにさほどこだわりがなくコスパを重視したい人です。

かつては、「建売住宅は品質が低い」というイメージがありましたが、現在では品質が大きく向上しているため、標準的なデザイン・間取りの住まいをリーズナブルに購入するにはよい選択肢と言えます。また、子どもの入園や入学などで入居時期が決まっている方は、買ってすぐに入居できる建売住宅が向いていると言えるでしょう。

5. 建築条件付土地のメリット・デメリットと向いている人のタイプ

建築条件付土地とは、戸建を建てることを前提とした土地の販売形態で、土地を購入する条件として、一定期間(多くは3ヶ月程度)内に、特定の会社に戸建の建築を発注することが条件となっているものです。住宅メーカーが自社で土地を販売し、同じ会社が建築を請け負う形が一般的です。

5-1. 建築条件付土地のメリット・デメリット

建築条件付土地のメリットは、建築の依頼先が限定される分、周辺の一般的な宅地と比べて価格が抑えられているケースが多いことです。言い換えれば、住宅メーカーは建築工事を確実に受注できるため、土地の価格を抑えめに設定していることも多いのです。

土地と建物がセットになっている点では建売住宅に近い面もありますが、建売よりも設計の自由度は高く、ある程度のこだわりは実現できます。また、土地と建物を一体的に検討できるため予算の管理がしやすく、ローンの手続きなども進めやすいというメリットがあります。

一方デメリットとしては、好きな住宅メーカーで建てられないこと、約3ヶ月という短期間で設計を進めなければならないことです。

5-2. 建築条件付土地を買う時の注意点

建築条件付土地は、建築を依頼する会社が決められていますので、その会社の家が自分の希望に合っているかどうかが最大のポイントになります。また3ヶ月という短い期間で設計を進める必要があるので、土地の購入を検討する時点で、建てる家の間取りや予算の目処はつけておいた方がよいでしょう。 万一、何らかの事情で期限までに請負契約が結べなかった場合には、土地の売買契約は白紙解約(なかったこと)となり、支払い済みの手付金などがあれば返金されます。こうした条件が契約書にきちんと記載されているかどうかを確認しましょう。

5-3. 建築条件付土地に向いている人のタイプ

建築条件付土地が向いているのは、注文住宅と建売住宅のいいとこ取りをしたい人です。

注文住宅のように、ある程度のこだわりは実現したいけれど、そこまでの予算はかけたくない、打ち合わせに多くの時間をかけたくないという方に向いています。

建売住宅とさほど変わらない予算で、ある程度のこだわりは実現できるので、住宅メーカーのデザインや仕様が気に入っていれば、コスパのよい選択肢と言えるでしょう。

最後に比較表をまとめておきますので、ぜひ参考にしてみてください。

■戸建購入の3タイプ比較表

注文住宅 建売住宅 建築条件付土地
購入するエリア ◎好きなエリアに土地を買って建てられる △購入ニーズの高いエリアに限られる △購入ニーズの高いエリアに限られる
設計の自由度 ◎デザイン・仕様などの自由度が高い △自由度は低い ○規格プランが多いが、多少の自由度はある
建築の依頼先 ◎自由に選べる ×選べない ×選べない
入居までの早さ △設計から完成までが長い ◎完成物件ならすぐ入居できる ○土地が決まれば比較的早い
打合せの負担 △大きい。家づくりの過程を楽しめる人向き ◎ほとんどない ○注文住宅と建売住宅の中間
価格 △高めだが「規格型」は比較的リーズナブル ○一般的にリーズナブル ○標準的な仕様ならリーズナブル
資金計画のしやすさ △フルオーダーは設計完了まで予算が確定しない ◎土地・建物の合計で販売されるので価格が明瞭 ○土地・建物が同じ会社なので比較的計画しやすい
どんな人向き? 住まいにとことんこだわりたい人 あまりこだわりがなくコスパ重視な人 こだわりはあるが、予算を抑えたい人

価格高騰が続く新築マンションですが、しばらく高止まりが見込まれ、価格上昇は中古マンションにも波及しています。一方、郊外エリアの戸建は、広さも十分にあり、価格も比較的リーズナブル。子育て世帯のニーズとも合いやすく、今後もしばらく一定の需要が続くと考えられます。

また、こうした戸建志向の高まりを受けて、中古戸建の価格もじわじわと上昇しています。「マンションが高くて買えない・・」とお悩みの皆様は、一度戸建にも目を向けてみてはいかがでしょうか?

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執筆者プロフィール

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住宅・不動産ライター
四宮 雅樹(ビギニング株式会社

不動産・建築業界で約11年の実務経験を積んだ後、不動産情報メディア運営会社で営業、事業開発、経営企画などに約13年間従事。
業界実務と不動産メディア運営の知見をもとに、住まい・不動産・注文住宅・リフォームなどの専門的なテーマを、読者にわかりやすく伝わるコラムとして執筆している。
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