まだまだある!新築一戸建が2,000万円台から買える通勤便利な郊外の街

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不動産価格の上昇が続き、都心部ではマイホーム購入のハードルが高まっています。しかし郊外に目を向ければ、都心に通勤可能なリーズナブルなエリアはまだまだたくさんあります。今回は、通勤に便利でリーズナブルな郊外の街をご紹介します。

目次

1)不動産価格が上昇する中、「通勤圏」の基準も変わりつつある

2013年に金融緩和が始まって以来、不動産の価格は上昇を続けています。特に都市部のマンションは大きく上昇しており、市場には半ばあきらめムードも漂っています。しかし、都心から30~50キロ圏の郊外エリアには、都心まで30分~1時間ほどで通勤可能で2,000万円台から購入可能なエリアも多く残っています。

1-1.  2023年も不動産価格は上昇を継続中

9月19日に発表された2023年の基準地価では、全用途の全国平均が前年比+1.0%と、不動産価格が上昇を続けていることが確認されました。また上昇率は都心部よりも近郊エリアが高く、地価上昇の波がより外側へ広がっていることがわかります。

そんな中、コロナの終息にともない出社を再開する企業も多く、マイホーム購入にあたって改めて「通勤」を意識する方が増えています。

1-2. 首都圏の「通勤圏」が広がり、選ばれる基準は「近さ」から「快適性」に

しかし、コロナ禍を経て、通勤という概念も大きく変わりつつあります。

首都圏で「通勤圏」と言えば、かつては国道16号線の内側がメインでしたが、近年、鉄道路線の都心乗り入れや、座って通勤できる座席指定列車の普及、また企業の働き方改革などにより、「通勤圏」が16号線外側の郊外エリアにも広がっています。

決まった時間に満員電車に揺られながら、ヘトヘトになって通勤する時代は終わり、時差出勤やテレワークなど、毎日定時に出社しなくても仕事ができる時代です。また、通勤時間に読書をしたり動画を見たり、通勤そのものを楽しむ方も増えています。こうした流れの中でマイホームも「都心に近ければ近いほどいい」から「少し遠くても快適に通勤できるほうがいい」という価値観に変わりつつあるのではないでしょうか。

1-3. 郊外エリアは、価格が都心部の半額以下になることも

そしてマイホーム購入にもっとも重要なのが価格。都心部で新築住宅の価格が年々上がる中、郊外エリアにおいては、元々の価格が安いことに加え、都心より上昇ペースが緩やかなので、都心の半分以下で購入できるエリアもまだまだたくさんあります。また、物価が安く自然が豊かな郊外は、のびのび子育てしたいファミリー世帯にとって、むしろ都心を上回るメリットがあります。

そこで今回は、2023年の基準地価(住宅地)をもとに、首都圏(東京・神奈川県・埼玉・千葉・茨城)で新築一戸建をリーズナブルに買える街を探ってみました。

(注)新築一戸建の想定価格は、以下に基づき算出しています。
 土地価格:市区町村ごとの平均基準地価を実勢価格に直し(※)、90㎡換算しています。
 建物価格:2,000万円と想定しています。
 ※基準地価は実勢価格の8割が目安なので、0.8で割り戻しています。
 ※実際の販売価格とは異なりますのでご注意ください。

2)2,500万円~3,000万円で新築一戸建が買える街

それでは早速、首都圏で2,500万円~3,000万円で購入できる街を見ていきましょう。

2-1. この価格帯は、都心から40~50キロ圏内がメイン

下表の通り、この価格帯では東京都で購入できるエリアはほとんどなく、神奈川県の西部、埼玉県、千葉県の16号の外側エリア、茨城県の常磐線沿線とつくばエクスプレス沿線がメインとなります。いずれも都心から40~50キロのエリアで、通勤時間は平均60分くらいです。

※カッコ()内は新築一戸建の想定価格(万円)

2-2. このエリアでのおすすめは、特急、快速などの停車駅

このエリアで都心通勤を前提に購入するならば、特急や快速などの停車駅がおすすめです。例えば、小田急線モーニングウェイ号で新宿駅まで約68分の秦野駅、上越新幹線で東京駅まで約38分の熊谷駅、湘南新宿ライン快速で池袋駅まで約44分の久喜駅、東武線THライナー(日比谷線直通)で上野駅まで約40分の春日部駅、外房線快速(京葉線直通)で東京駅まで約48分の鎌取駅(千葉市緑区)などです。またつくば駅も秋葉原駅までつくばエクスプレス快速で約45分とアクセスは抜群です。

都心からの距離は離れていますが、通勤時間60分以内の駅も多く、2,000万円台で購入できれば、かなりおトク感のあるエリアと言えるのではないでしょうか。勤務地によっては、東京湾アクアラインの高速バスが利用できる袖ケ浦市なども検討できるでしょう。

2-3. 物件価格2,500~3,000万円の場合のローン返済例

※元利均等35年返済(ボーナス加算なし)の場合

続いてこの価格帯のローン返済例を見てみましょう。下表の通り、3,000万円を現在の固定金利の水準である2.0%で借りたとしても月々の返済は10万円以下と、かなりリーズナブルな返済計画が立てられます。

2-4. このエリアで地価上昇率が高いのは千葉県と茨城県

住まいを購入する際は、現在の価格もさることながら、そのエリアが上昇基調にあるのか、下落基調にあるのかも重要な要素です。

このエリアで地価上昇率(前年比)の高い街トップ3は、袖ケ浦市(+3.37%)、千葉市緑区(+3.23%)、つくばみらい市(+3.13%)で、千葉県と茨城県の伸びが大きくなっています。一方、下落エリアは愛川町、真鶴町、南足柄市など神奈川県西部エリアが多くなっています。

また、この表にはありませんが、子育て世代に人気の高い千葉県印西市の想定価格は2,458万円とさらにリーズナブルで、上昇率は+2.06%となっています。

3)3,000万円~3,500万円で新築一戸建が買える街

続いて、3,000~3,500万円の価格帯を見ていきましょう。

3-1. 東京都の多摩エリアや政令指定都市も検討可能に

価格が3,000万円を超えてくると、東京都の多摩エリアや、相模原市、さいたま市、千葉市など政令指定都市もランクインしてきます。

※カッコ()内は新築一戸建の想定価格(万円)

3-2. 郊外でも生活利便性が高い中心都市を選ぶことが可能

この価格帯は都心から30~50キロ圏内が混在する形となりますが、郊外の中心都市が選択肢に入ってきます。例えば、多摩エリアでは八王子市、三浦半島では横須賀市、神奈川県西部からは厚木市、千葉の東葛エリアからは柏市、また県庁所在地である千葉市中央区など、郊外とはいえども、人口数十万人の中核都市が視野に入ってきます。これらの街は、買い物、教育、医療、レジャーといった生活利便性は都心とさほど変わらず、都市と郊外のいいところがほどよくミックスした暮らしやすい街です。

通勤という観点からは、新幹線で東京まで約34分の小田原市、JR中央線で新宿駅まで約30分の八王子市、JR常磐線で東京駅まで約36分の柏市、つくばエクスプレス沿線では、秋葉原まで20~30分の三郷市・八潮市、約36分の守谷市などがおすすめです。

3-3. 物件価格3,000~3,500万円の場合のローン返済例

続いてこの価格帯のローン返済例です。

※元利均等35年返済(ボーナス加算なし)の場合

この価格帯では、固定金利で月々の返済が10万円を超えることもありますが、変動金利の場合は8~9万円台と無理なく返済できる範囲と言えます。家賃とそれほど変わらない金額で購入できるのではないでしょうか。

3-4. このエリアで地価上昇率の高いのは千葉県の東葛エリアと守谷市

このエリアで地価の上昇率が高いのは、我孫子市(+6.69%)、柏市(+6.20%)、守谷市(+4.43%)がトップ3で、我孫子市並木8丁目の地点は首都圏の住宅地の上昇率1位となっています。また、この価格帯で下落しているエリアはなく、すべて横ばい~上昇となっており安心して購入することができます。

4)3,500万円~4,000万円で新築一戸建が買える街

さらに、3,500~4,000万円の価格帯も見ていきましょう。

4-1. 町田市、川崎市、船橋市などの人気エリアが選択肢に

この価格帯になると、町田市、川崎市、川越市、船橋市などのいわゆる人気エリアもランクインし、購入の選択肢がかなり広がってきます。

※カッコ()内は新築一戸建の想定価格(万円)

4-2. 都心から30キロ前後の街は各駅停車でも通勤可能

この価格帯では、特急や快速の停車駅も多くありますが、各駅停車でも通勤できるエリアが増えてきます。例えば町田駅から新宿駅までは、小田急線の快速急行で約35分ですが、各駅停車でも約64分。海浜幕張駅(千葉市美浜区)から東京駅までは、京葉線快速で約30分、各駅停車でも36分と、特急等と各駅停車の差が縮まってくるので、出勤頻度の高い方や時間が不規則な方は、これらの街をメインに物件探しを進めてみるとよいかも知れません。いずれも大型商業施設やスーパーなどの生活施設が充実したベッドタウンとなっており、子育て支援などにも積極的な暮らしやすい街です。

4-3. 物件価格3,500~4,000万円の場合のローン返済例

続いて、この価格帯のローン返済例を見てみましょう。

※元利均等35年返済(ボーナス加算なし)の場合

この価格帯になるとほとんどのケースで月々10万円を超えてきます。また、借入金額が増える分、金利による返済額の差が大きくなってくるので、どのようなローンを選ぶかといった資金計画が大事になってきます。

4-4. このエリアで地価上昇率の高いのは千葉県と葉山市

この価格帯での地価上昇率が高いエリアは、流山市(+7.15%)、船橋市(+6.75%)、葉山町(+3.72%)がトップ3です。この価格帯でも下落しているエリアはなく、郊外全体で上昇していることがわかります。ただし、千葉県の上昇率が高い一方で、町田市の上昇率は+1.07%にとどまるなど、もともと人気の高いエリアは上昇一服の兆しも見え始めています。

5)4,000万円~4,500万円で新築一戸建が買える街

最後に4,000~4,500万円の価格帯を見ていきましょう。

5-1. アクセスのよい多摩エリア、横浜・湘南エリアなどが選択肢に

※カッコ()内は新築一戸建の想定価格(万円)

この価格帯になると、多摩エリアの中心地である立川市に隣接する昭島市や横浜市の郊外、逗子市、鎌倉市、藤沢市、茅ヶ崎市といった湘南エリアが選択肢に入ってきます。

5-2. 都心まで乗り換えなしで30~50分の立地が選べる価格帯に

これらのエリアは、都心に乗り換えなしで30~50分ほどでアクセスできる非常に通勤しやすい駅が多くあります。例えば、東久留米駅から池袋駅までは西武池袋線快速で約22分、相模大野駅(相模原市南区)から新宿駅までは小田急線快速急行で約36分、藤沢駅から東京駅まではJR東海道線で約46分、津田沼駅(習志野市)から東京までは総武快速線で約29分など、都心の主要駅にダイレクトアクセスできるのが大きなメリットです。

また、駅前再開発や新たな宅地開発などが行われているエリアも多く、新築マンションの供給もありますので、物件選びの選択肢も多いエリアです。

5-3. 物件価格4,000~4,500万円の場合のローン返済例

この価格帯のローン返済例は以下の通りです。

※元利均等35年返済(ボーナス加算なし)の場合

この価格帯になると、返済額も月10~15万とやや高くなってきますので、資金計画はより慎重に検討しましょう。

5-4. このエリアで地価上昇率の高いのは湘南エリアと相鉄線沿線

このエリアでの地価上昇率トップ3は、茅ヶ崎市(+4.49%)、藤沢市(+4.08%)、大和市(+3.80%)となっています。茅ヶ崎市、藤沢市はコロナ禍をきっかけに、子育て世帯の流入が急増しており、大和市は2023年の相鉄線の都心乗り入れにより、座間市や海老名市、横浜市瀬谷区・旭区などとともに人気が上昇しているエリアです。

6)郊外エリアの新築一戸建の価格帯マップ

通勤に便利なリーズナブルな郊外エリア、いかがでしたでしょうか?ここまでご紹介したエリアをマップにまとめてみました。

 ※青=2,500~3,000万円、緑=3,000~3,500万円、橙=3,500~4,000万円、赤=4,000~4,500万円

Googleマップで見る

マップで見ると、郊外エリアにはまだまだリーズナブルに購入できるエリアが残っていることが分かります。また、全体として首都圏の不動産価格は西高東低で、神奈川~多摩方面が先に上昇し、埼玉~千葉へと波及する傾向があります。

そして近年、湘南・新宿ラインや上野・東京ラインの開通や、郊外路線から東京メトロへの乗り入れが進んだことにより、こうした路線の周辺は上昇しやすい傾向があります。

今回ご紹介したエリアや価格は市区町村ごとの平均価格で、沿線・駅、また土地の広さなどによって販売価格は変わりますので、エリア全体のざっくりとした相場感がつかめたら、ご自身の働き方やライフスタイルに合わせて、具体的に物件探しをスタートしてみてはいかがでしょうか。

エリアごとの相場情報や、物件探しについては、ぜひお近くの住宅情報館までお気軽にご相談ください。