海と山に囲まれた異国情緒ただよう街。横須賀市の魅力と不動産市況

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横須賀市は神奈川県の南東部、三浦半島の中心に位置する中核市です。幕末の黒船来航など歴史的に国防の要所だった横須賀市は軍港の街として栄え、現在でも米海軍や自衛隊の基地がおかれています。一方、中心となる横須賀駅からは、JR横須賀線で東京まで約80分と、都心で働く方のベッドタウンとしても発展してきました。

目次

1.横須賀市の人口は横ばい、世帯数は8%増

そんな横須賀市の人口は、37万人、世帯数は約17万世帯。最近10年間の人口は8%減、世帯数はほぼ横ばいとなっています。年間の転入出者数は、転出が約850人上回っています。

1-1.人口・世帯数(2024/1/1 現在)

人口 374,325人
世帯数 165,952世帯

1-2.人口・世帯数の推移

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
人口 406,787 405,894 403,383 400,221 396,971 393,025 387,289 383,260 378,814 374,325
世帯数 165,765 165,757 166,253 166,874 167,211 167,134 165,410 165,671 165,814 165,952

※各年1月1日 現在(横須賀市ホームページ)

1-3.転入・転出(2023年中)

転入者数 13,175人
転出者数 14,034人

※出典:2023年 住民基本台帳人口移動報告(総務省)

2.神奈川県横須賀市の不動産情報

2-1.土地の価格は、㎡あたり約13万円。緩やかな下落基調が続く

土地の価格(地価)については、毎年1月1日を基準とした「公示地価」と7月1日を基準とした「基準地価」が発表されています。横須賀市における公示地価と基準地価の平均は以下の通りです。直近の平均地価としては、約13万円台/㎡となっており、最近10年間は緩やかな下落傾向が続いていましたが、2023年はわずかに回復しています。

■公示地価、基準地価とは?

公示地価とは、地価公示法に基づき、国(国土交通省)が、毎年1月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。基準地価とは、国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点の土地価格を判定して、1㎡あたりの単価として公表するものです。

同年の価格を比較した場合、公示地価よりも基準地価の方が半年遅れで公表されるため、より直近の取引価格を反映していると見ることができます。なお公示地価、基準地価はともに一般の土地の取引価格の指標等として使われていますが、あくまで指標であり、実際の取引価格とは異なりますのでご注意ください。

横須賀市全体の地価平均(㎡あたり)

公示地価(2023年) 132,962円
基準地価(2023年) 130,040円

公示・基準地価の推移(平均/㎡)

2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
公示

地価

155,879円 153,628円 144,811円 142,293円 139,960円 138,200円 136,759円 134,172円 132,751円 132,962円
基準

地価

144,138円 142,519円 140,431円 138,110円 135,836円 134,425円 131,661円 129,731円 129,253円 130,040円

マップでご覧いただけるように、横須賀市の中心駅はJR横須賀線の横須賀駅と、京急線の横須賀中央駅で、この2つの沿線の人気が高く、12~17万円/㎡程度が相場です。一方、駅から離れたエリアや、鉄道が乗り入れていない市の西側は、約5~10万円/㎡とリーズナブルな価格となっています。

2-2.新設住宅着工戸数は約2,000戸。一戸建メインだが新築マンションも供給

国土交通省が発表している新設住宅着工戸数について見てみましょう。横須賀市で2023年中に新築された建物は1,990戸でした。内訳としては、持ち家(注文住宅)が25%、貸家(賃貸住宅)が42%、分譲住宅が33%と、比較的バランスよく供給されています。分譲住宅の内訳は、一戸建が495戸(74%)、マンションが172戸(26%)で、一戸建がメインのエリアですが、ここ2年間は新築マンションも200戸前後供給されています。

■横須賀市の新設住宅着工戸数(2023年)

持ち家 488戸
貸家 831戸
給与住宅 4戸
分譲住宅 667戸
1,990戸

2-3.横須賀市の住宅着工数は10年間で7%減

横須賀市の住宅着工数は最近10年間でマイナス7%となっています。内訳としては、注文住宅がマイナス32%、分譲住宅がマイナス13%、賃貸住宅がプラス26%と、注文住宅の減少が大きく、賃貸が伸びています。分譲住宅は都心部の価格上昇による郊外への需要の広がりから、2022年に大きく伸びましたが2023年は再び減少しています。

横須賀市の新設着工戸数

2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
持ち家 722戸 744戸 778戸 631戸 665戸 598戸 593戸 632戸 532戸 488戸
貸家 662戸 800戸 965戸 816戸 639戸 330戸 663戸 476戸 597戸 831戸
給与住宅 0戸 0戸 0戸 0戸 18戸 1戸 1戸 4戸 3戸 4戸
分譲住宅 767戸 642戸 621戸 846戸 754戸 733戸 579戸 568戸 829戸 667戸
総計 2,151戸 2,186戸 2,364戸 2,293戸 2,076戸 1,662戸 1,836戸 1,680戸 1,961戸 1,990戸

※出典:国土交通省 住宅着工統計

2-4.神奈川県横須賀市の不動産価格。新築は4,000~5,000万円台が中心

前横須賀市で販売されている新築マンションは4,000万円~5,000万円台が中心で、㎡単価は60~70万円前後が相場のようです。

中古マンションは、築15年以内で平均3,583万円(49.7万円/㎡)、築15~25年で平均3,261万円(43.1万円/㎡)、築25年超で平均1,607万円(26.6万円/㎡)前後が相場です。マンションは都心部での値上がりを受け、横須賀市の相場も上昇傾向となっています。

一戸建については、新築で3,664万円、中古は築15年以内で平均4,495万円、築25年以内で3,515万円、築25年超で2,221万円となっています。

最後に土地の相場については、最寄駅から徒歩10分以内なら平均17.7万円/㎡、徒歩20分以内なら9.9万円/㎡、徒歩20分を超えると12.7万円/㎡となっています。横須賀市は市の東部にしか鉄道がないため、駅距離だけでなく車での利便性も考慮されますし、海沿いやロードサイドの商業地などは駅から離れていても相場が上がることがあります。

(1)中古マンション

販売価格(万円) 専有面積(㎡) ㎡単価(万円)
最大 最小 平均 最大 最小 平均 平均
築15年以内 9,200万円 1,980万円 3,583万円 90㎡ 40㎡ 73㎡ 49.7万円
築15~25年 7,180万円 1,630万円 3,261万円 96㎡ 61㎡ 76㎡ 43.1万円
築25年 超 6,200万円 150万円 1,607万円 118㎡ 15㎡ 60㎡ 26.6万円

(2)一戸建

販売価格(万円) 土地面積(㎡) 建物面積(㎡)
最大 最小 平均 最大 最小 平均 最大 最小 平均
新築 6,800万円 2,380万円 3,664万円 402㎡ 45㎡ 118㎡ 122㎡ 71㎡ 96㎡
築15年以内 19,800万円 2,380万円 4,495万円 614㎡ 85㎡ 183㎡ 388㎡ 68㎡ 107㎡
築15~25年 22,500万円 950万円 3,515万円 364㎡ 57㎡ 158㎡ 219㎡ 50㎡ 108㎡
築25年 超 15,500万円 200万円 2,221万円 938㎡ 54㎡ 193㎡ 295㎡ 32㎡ 102㎡

(3)土地

販売価格(万円) 土地面積(㎡) ㎡単価(万円)
最大 最小 平均 最大 最小 平均 平均
徒歩10分以内 35,400万円 100万円 3,624万円 4,721㎡ 71㎡ 339㎡ 17.7万円
徒歩10分~20分 12,800万円 120万円 2,007万円 4,074㎡ 33㎡ 297㎡ 9.9万円
徒歩20分超・バス 34,998万円 150万円 3,382万円 12,262㎡ 76㎡ 405㎡ 12.7万円

※REINS(不動産流通標準情報システム) 2024年1月のデータをもとに集計

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3.横須賀市の待機児童数は10人。神奈川県内、都心への通学も可能

横須賀市には、46校の公立小学校、23校の公立中学校、8校の公立高校、4校の私立高校があります。大学は自衛隊幹部を養成する防衛大学校をはじめ3校がありますが、防衛大以外は衛生・保健系の学校であるため、神奈川県内、東京都内の大学に通学する人も多いようです。未就学児については、幼稚園・保育園・認定こども園等あわせて100施設があります。

3-1.幼稚園・保育園・学校の数

公立 私立
幼稚園・保育園・認定こども園等 9施設 91施設
小学校 46校 1校
中学校 23校 2校
高等学校 8校 4校
大学・短大 2校 1校

3-2. 待機児童数(2023年4月現在)

待機児童数(国基準) 10人

2023年4月現在、横須賀市の待機児童は前年の9人から1人増え10人となっています。市によれば、待機児童数は減少傾向にありましたが、利用申込児童数がコロナ禍前の水準以上に増加したことなどが要因で、今後も保育施設等の整備や保育士の確保を通じて待機児童解消に努めるということです。

4.神奈川県横須賀市の住まい探しは、横須賀駅と横須賀中央駅を起点にスタートしてみよう

横須賀市は三浦半島の中心部に位置し、東側が東京湾、西側が相模湾に接しています。また、中央部は山や丘陵となっているため平地が少なく、ほとんどの市街地が海岸線沿いにあります。このように海と山に囲まれた横須賀市での住まい探しは市の東側、JR横須賀線と京急線が走っているエリアが中心になります。その中でも中心となるのは、JR「横須賀駅」と、京急横「横須賀中央駅」です。この2駅の周辺には新築マンションも供給されており、ここを起点に久里浜方面まで、沿線には一戸建を中心とした住宅地が形成され、新築・中古ともに物件が流通しています。

通勤アクセスとしては、JR横須賀駅から品川まで快速で約70分、東京まで約80分です。京急横須賀中央駅からは、品川まで特快で約50分、都営浅草線直通電車に乗れば日本橋まで約65分で行くことができます。通勤時間としてはやや長めですが、テレワーク等で通勤頻度が低い方は、さほど苦にならない距離ではないでしょうか。むしろ始発電車に座ったまま乗り換えなしで都心まで行けるのは大きなメリットとも言えるでしょう。この2駅の周辺には、大型ショッピング施設や活気ある商店街などもあり、日常の買い物はほぼ駅前で済ませられます。

■京急横須賀中央駅

横須賀市の都市計画マスタープラン「将来の都市構造図」によると、上記の2駅に京急線の「汐入駅」と、県立大学駅を最寄とする「平成町」を加えた4エリアが、将来の都市拠点(中心市街地)と位置づけられています。横須賀市の住まい探しは、まずこの4エリアからスタートしてみるのがよいでしょう。もう少し広げて検討したい場合には、地方拠点(拠点市街地)に指定されている、京急線の「追浜駅」、「田浦駅」、「北久里浜駅」、「浦賀駅」、JRの「衣笠駅」、そして両線が乗り入れる「久里浜駅」などを予算や環境に合わせて検討してみるとよいと思います。

■横須賀市の将来都市構造図

出典:横須賀市都市計画マスタープラン(ダイジェスト版)

現在、横須賀市は人口の減少や高齢化が進み、地価も下落傾向が続いています。市ではこうした課題に対し「拠点ネットワーク型都市づくり」を目標に掲げ、各地に分散した住宅地や都市機能をコンパクトに集約していく都市づくりを進めています。今後は拠点エリアを中心に都市機能が集約されていきますので、資産価値を維持するという意味からも、拠点エリアでの購入をおすすめします。

■異国情緒あふれる「ドブ板通り商店街」

海と山に囲まれ自然豊かで気候も温暖な横須賀市。価格もリーズナブルな上、軍港の街として他の地域にはない歴史と異国情緒のある雰囲気を持つ街でもあります。都心部での値上がりやテレワークの普及で、郊外に移り住む方も増えています。広い一戸建でゆったりと暮らしたいファミリー層の方にはちょうどいい街ではないでしょうか。情報収集を兼ねてぜひ一度現地を訪れてみることをおすすめします。

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