注文住宅を建てる時の土地探し。いい土地と悪い土地を見分けるポイントとは?

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注文住宅を建てる時の土地探し いい土地・悪い土地見分けるポイントとは

注文住宅を建てる時に重要なのが「土地探し」。でも土地は、広さも地形も価格も千差万別で、何を基準に選んだらいいのか悩んでしまいます。そこで今回は、注文住宅を建てるための土地選びで注意するポイントを解説します。

目次

1、注文住宅は自由に建てられるのがメリットだが土地による制約も大きい

1-1. 注文住宅の最大のメリットは自由に建てられること

注文住宅の最大のメリットは、自分好みに自由に設計できることです。間取りやデザインはもちろん、屋根のデザインや窓の配置、庭やウッドデッキといった外構の設計まで、自分が思い描く理想の家を建てられるのが、マンションや建売住宅にはない大きな魅力です。

1-2. 理想の住まいを建てられるかどうかは土地に左右される

しかし自由に建てられるとは言え一定の制約はあり、何でも自由にできるわけではありません。特に敷地の向きや形状、接道状況など、土地に起因する制約は多く、言わば土地を選んだ段階で、建てられる建物の大きさや間取りはある程度決まってしまうと言っても過言ではありません。

家づくりを大きく左右する「土地選び」。いい土地・悪い土地の見分け方などを知っておきましょう。

2、注文住宅に向いている「いい土地」の条件とは

まず具体的なチェックポイントを解説する前に、注文住宅を建てる上での「いい土地」とはどんな土地なのか、その条件について見ていきましょう。

2-1. シンプルな建物が建てやすいこと

まず大切なのはシンプルな建物が建てやすい土地であることです。シンプルな建物とは、建物の構造が単純であること、つまり直線・直角の柱や壁で構成された四角形に近い建物です。逆にシンプルでない建物とは、1階と2階の形状が大きく異なるものや、極端なコの字型やL字型の建物、壁のラインが凸凹しているものなどです。狭い敷地に無理やり3階建を建てたり、日当たりの悪い敷地で中庭から採光を取ろうとしたりすると、このような複雑なプランになりがちですが、こうした建物は間取りの自由度が下がる上、施工に手間がかかり建築費が上がります。できるだけシンプルな四角形に近い建物を建てられる土地を選びましょう。

2-2. 水道・電気などのインフラが整備されていること

2つ目は、上下水道、電気、都市ガスなどのインフラが整っている土地です。敷地内に配管の引き込みがあればベストですが、少なくとも前面道路に埋設管がある土地を選びましょう。前面道路に埋設管があれば、接続工事にそれほど費用はかかりませんが、離れた場所にある管から延長するとなると多額の費用がかかります。

また下水道が整備されていない地域では、汚水を排水するための「浄化槽」の設置が必要となり、都市ガスがない地域ではコストの高いプロパンガスを使用することになります。

2-3. 自然災害のリスクが低いこと

土地を選ぶ上で災害に対するリスクも重要なポイントです。地震に対しては「地盤の硬さ」が重要ですし、水害に対しては「土地の高さ」が大事になります。こうした災害リスクについては、市区町村などが発行しているハザードマップなども確認しておきましょう。

(関連記事)災害に強い家ってどんな家? 検討するべき3つのポイントとは

2-4. 日照・通風がよいこと

言うまでもなく、日照・通風は家づくりにとても重要な要素ですが、敷地の周囲に高い建物があると、日照・通風が遮られる可能性があります。必ず現地で土地の向きや周辺環境を確認しましょう。

2-5. 将来、環境が変化しにくいこと

家を建てた後に隣地に高い建物が建って日当たりが悪くなってしまった等、購入後の環境変化についても注意しておきましょう。例えば土地の前面が道路や河川、公共施設(公園など)などの場合、将来高い建物が建つ可能性は低いでしょう。また都市計画や協定で建物の高さが制限されている地域では、良好な住環境が保たれやすいと言えます。

3、土地探しにおける具体的チェックポイント

このような「いい土地」の条件を踏まえ、具体的にどのような項目をチェックすればよいのかを見ていきましょう。

3-1. 用途地域

用途地域とは、都市計画法に基づき地域ごとに建てられる建物の種類や用途について定めたルールです。例えば「住居専用の地域に大規模な工場は建てられない」というように、その地域の環境や暮らしを考慮した用途地域が定められています。つまり、用途地域を確認すれば、購入する土地の周辺に、将来どんな施設が建築される可能性があるかを知ることができます。

現在、用途地域は「住居系」「商業系」「工業系」の3系統・13地域に分かれています。住宅はほぼすべての地域で建築可能ですが、住環境という面では、まず住居系の地域を中心に探してみることをおすすめします。なお、下表は概ね下にいくほど規制が緩くなり、建てられる建物の種類や用途が増えていきます。また用途地域図は市区町村等のホームページから閲覧することができます。

用途地域の一覧

住居系 第一種低層住居専用地域 低層住宅の良好な住環境を守る 低層住宅
第二種低層住居 主に低層住宅の良好な住環境を守る 上記に加え小規模な店舗や飲食店等
第一種中高層住居専用地域 中高層住宅の良好な住環境を守る 住宅、 病院、大学、中規模の店舗や飲食店等
第二種中高層住居専用地域 主に中高層住宅の良好な住環境を守る 上記に加え、中規模のオフィスビルや大型の店舗等
第一種住居地域 住居の環境を保護する 住宅、病院、大学、 店舗や飲食店、 オフィス ビル、ホテル等
第二種住居地域 主に住居の環境を保護する 上記に加え、パチンコ店やカラオケ店 等
田園住居地域 農地や農業関連施設などと調和した低層住宅の良好な住環境を守る 低層住宅、農業用施設(ビニールハウス・ 直売所等)等
準住居地域 道路の沿道等において、 自動車関連施設 などと、住居が調和した環境を保護する 住宅、病院、大学、パチンコ店、カラオケ店、小規模な工場、 自動車修理工場等
商業系 近隣商業地域 近隣の住民が日用品の買物をする店舗等の、業務の利便の増進を図る地域 キャバレーやナイトクラブ、 風俗営業店を除くあらゆる用途
商業地域 主に商業等の業務の利便の増進を図る地域 大規模商業施設、キャバレーやナイトクラブ、風俗営業店を含むあらゆる用途
工業系 準工業地域 主に軽工業の工場等、環境悪化の恐れのない工場の利便を図る地域 住環境悪化の恐れがある工場を除くあらゆる用途
工業地域 主に工業の業務の利便の増進を図る地域 学校や病院、ホテル、映画館などを除くあらゆる用途
工業専用地域 工業の業務の利便の増進を図る地域 住宅、学校、病院、ホテル、映画館などを除くあらゆる用途

3-2. 土地の形状

次に土地の形状について見ていきましょう。土地の形状には大きく「整形地」と「不整形地(変形地)」があります。住宅を建てる場合には、シンプルな四角形の建物が建てられる整形地の方が好ましいですが、不整形地でも庭や駐車場などを工夫すれば、オリジナリティのあるよいプランになる可能性もあります。

■整形地

整形地

土地が四角形に近い整形地は、建物が無駄なく配置できます。

■不整形地

不整形地

不整形地では、建物の周辺にデッドスペースができたり、狭小地では建物の一部が斜めになったりします。不整形部分を駐車場や庭として活用することもできるので設計時の工夫が求められます。

3-3. 道路付け

土地の形状とともに、建物を建てる上で重要なのが「道路付け」です。道路付けとは土地と道路がどのように接しているかを表し、「接道状況」とも言われます。道路の方位や接道幅、間口と奥行きのバランスなどが重要になります。

■南側に接道する土地

南側に接道する土地

南側に接道する土地では、隣家との間に道路を挟むため、日照が確保しやすく敷地を有効に使えるメリットがあります。しかし南側に玄関を設けなければならないため、日当たりのよい南面をフルに使えないという難点もあります。また、道路に面する側にはフェンスを設けるなど、プライバシーにも配慮する必要があるでしょう。

■北側に接道する土地

北側に接道する土地

一方、北側に接道する土地では、日照を確保するために南側にある程度の空間を空ける必要がありますが、玄関が北側になりますので、南面をフルに使った間取りが作れます。南側の隣家が近いケースでは、リビングを2階に配置するなどの工夫が必要になるでしょう。

■2方向の道路に接する土地(角地)

2方向の道路に接する土地(角地)

2方向の道路に接道する土地(角地)は、住宅を建てる上でとても恵まれた条件となります。道路に囲まれて日当たりがよい上、玄関や駐車場などが配置しやすく、プランの自由度が高くなります。(ただし土地価格はやや高くなります)

■旗竿地

旗竿地

このように道路から奥まった土地に、道路に通じる通路状の敷地(路地状部分)を設けて接道している土地を「旗竿地」と呼びます。旗竿地は建物に囲まれるので日当たり・通風を確保しにくいというデメリットがありますが、道路に面していないので静かで、通路部分を駐車場や花壇等に活用できます。また価格が安くなるというメリットもあります。

■間口の広い土地

間口の広い土地

一般的に土地の間口(道路と接している幅)が広い土地ほど、プランの自由度が高くなります。

■間口の狭い土地

間口の狭い土地

逆に間口が狭く奥行きのある土地では、玄関や階段の位置がほぼ固定されてしまうため、プランの自由度は低くなります。また、隣家に挟まれる部分が大きく、採光が取りにくいという難点もあります。

同じ面積でも、土地の間口と奥行のバランスによって、間取りはまったく違ったものになりますので注意しましょう。

3-4. 建ぺい率・容積率

建ぺい率・容積率は、土地に対してどのくらいの大きさの建物が建てられるかを規定したもので、用途地域と同じく都市計画で定められています。

建ぺい率とは、土地面積に対する建築面積(建物を真上から見た面積)の割合(%)、容積率は土地面積に対する延床面積(各階の床面積の合計)の割合(%)となります。

例えば、土地面積が100㎡(建ぺい率50%・容積率100%)の場合、建築面積は50㎡以内かつ延床面積は100㎡以内で建てなければなりません。逆に言えば、建ぺい率・容積率の低い地域では、同じ大きさの建物を建てるために、より広い土地が必要になります。

■建ぺい率50%・容積率100%の場合

建ぺい率50%・容積率100%の場合の規定

3-5. 土地の高低差と地盤

ここまで土地の平面的な形状や道路との関係を解説してきましたが、土地の高低差や地盤についても考慮しておく必要があります。

土地が道路や隣地よりも低い場合、豪雨等により浸水するリスクが高まりますので、盛土をしたり基礎を高くしたりという対策が必要になります。逆に道路より極端に高い土地や傾斜地では、土留めの擁壁工事が必要になったり、玄関までのアプローチ(スロープや階段)が長くなったりします。

また耐震性の観点から地盤の固さも重要です。海抜の低いエリアや河川の近くなど、地盤の軟弱な地域では、地盤改良工事が必要になる可能性があります。事前に近隣の地盤調査データなどを確認し、住宅メーカーと相談しておきましょう。

3-6. 隣地との関係、周辺環境

隣地との関係においては、隣地の建物の高さや境界からの距離、窓の配置などをチェックします。隣地の建物が高く、距離が近い場合には、日照を妨げる要因になります。また隣家の窓の正面に開口部を設けないなど、お互いのプライバシーに配慮した設計が求められます。どちらも現地に赴いて、確認しておきたいところです。

また周辺環境については、交通量、騒音、振動、匂いなどがポイントとなります。子どもが小さいご家庭なら、通学ルートの確認や近くの公園なども合わせてチェックしておくとよいでしょう。午前と午後など時間帯を変えて確認してみることをおすすめします。

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4、注文住宅の土地探し、どんな会社に依頼すればいいの?

注文住宅の土地探しはどのような会社に依頼すればよいのでしょうか?

4-1. 不動産と建築、両方の実績・ノウハウがある会社に依頼しよう

ここまで見てきたように、土地の形状や接道状況などによって、建てられる建物の大きさや間取りは大きく変わります。したがって土地を探す際には、事前にある程度希望のプランや間取りを想定し、それが建てられる土地を探す、という手順が重要になります。

そしてこのようなプロセスをスムースに進めるには、不動産と建築の両方に実績のある会社を選ぶことがポイントになります。意外に思われるかもしれませんが、不動産会社の中には設計・建築のノウハウをあまり持っていない会社や、マンション仲介がメインで土地の売買に慣れていない会社も多くあります。土地を買った後に、希望の建物が建てられなかった、などということがないよう注意しましょう。

4-2. 細かい調査をしっかりしてくれる会社に依頼しよう

すでに建物が出来上がっているマンションや建売住宅と異なり、土地は購入前の調査項目が多くあります。特に個人所有の土地の場合は、上下水道などのインフラ、隣地や道路との境界や測量図、権利関係に至るまで多くの調査が必要です。

例えば、古い測量図をもとにプラン検討を進めていたら、実は土地の面積が狂っていた、などというトラブルも実際に起こります。このようなトラブルを避けるためには、細かな調査をしっかりやってくれる会社に依頼することがポイントです。土地の売買に精通した実績のある会社を選びましょう。

4-3. 不動産会社の販売する分譲地は安心感がある

個人所有の土地と比べ、不動産会社が販売する分譲地は比較的安心感があります。なぜなら、インフラや境界、測量など、家を建てるために必要な条件を、すべて販売元の不動産会社が整えた上で分譲されているからです。

プランニングしやすいように、土地の形状や接道も考慮されており、会社によってはモデルプランが用意されていることもあります。購入前に建てられる家のイメージがつかめるのは大きな利点と言えるでしょう。

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注文住宅を建てる時の土地探しのポイント、いかがでしたでしょうか。

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