小田急線沿線の住まい探し。町田・海老名・厚木・秦野の魅力とデータを徹底調査

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小田急線は都心部から小田原・箱根・江ノ島などを結ぶ全長120キロに及ぶ首都圏の大動脈。起点となる新宿から都心部を抜けると、丹沢や富士山など雄大な自然に囲まれたベッドタウンが広がっています。そんな小田急線沿線から、今回は子育てファミリーに人気の高い町田市・海老名市・厚木市・秦野市にスポットを当て、その魅力を探ってみました。

目次

1. 小田急線沿線の特徴と魅力とは

子育てファミリーを中心に人口増加が続く小田急線沿線。その魅力とは何なのでしょうか。

1-1. 小田急線沿線の魅力。都心にも観光地にもロマンスカーでダイレクトアクセス

小田急線には、新宿と小田原(箱根湯本)を結ぶ「小田急小田原線」、相模大野から片瀬江ノ島までの「小田急江ノ島線」、新百合ヶ丘から唐木田までの「小田急多摩線」の3つの路線があり、東京メトロ千代田線との直通運転により、表参道、日比谷、大手町など都心主要駅にダイレクトアクセスできます。また、通勤時間帯には特急ロマンスカーを「モーニングウェイ号」として運行しており、例えば町田駅から大手町駅までは約50分、本厚木駅から新宿駅までも約50分で行くことができます。

こうした通勤アクセスのよさに加え、休日には箱根や江ノ島などへのお出かけにも便利で、沿線には都市の利便性と豊かな自然が共存した暮らしやすい街が多くあります。

出典:小田急線公式サイト

今回は小田急線沿線でも、人気が高い小田急小田原線の「町田」「海老名」「厚木」「秦野」の4市について、その魅力を探ってみたいと思います。

2. 交通アクセス、人口、財政力など小田急線沿線エリアの実力を調査

まずは、上記4市の交通や人口など、エリアの概要を見ていきましょう。

2-1. 小田急線沿線の交通アクセス

小田急小田原線は新宿駅と小田原駅を結ぶ路線ですが、他の路線との接続も多く各方面にアクセスすることができます。

■小田急小田原線からの接続路線

新宿駅JR山手線・中央線・埼京線・総武線、東京メトロ丸ノ内線、都営新宿線・
大江戸線、京王線 等
代々木上原駅東京メトロ千代田線(都心~北千住方面)
登戸駅JR南武線(川崎・立川方面)
町田駅JR横浜線(横浜・八王子方面)
海老名駅JR相模線(橋本・茅ヶ崎方面)、相鉄線(横浜方面)
厚木駅JR相模線(橋本・茅ヶ崎方面)

このように、新宿駅、代々木上原駅からは都心各方面への乗り換えが可能で、通勤・通学のアクセスは良好です。また南武線や横浜線を使えば、川崎・横浜方面や、立川・八王子方面にもアクセス可能です。2023年3月には、海老名駅で接続する相鉄線が東急線への乗り入れを開始する予定で、渋谷・目黒などへのアクセスが一段と向上します。

休日は箱根や江ノ島をはじめ、丹沢周辺でのキャンプやハイキング、よみうりランドなどのレジャー施設にも日帰りで出かけることができます。

2-2. 小田急線沿線4市の人口はすべて転入超過。平均年齢は海老名が最も若い

小田急線沿線の街選びを考える上で、各市の規模も見ておきましょう。一般的に、街の規模は人口や世帯数を指すことが多いのですが、今後の発展を考えると、そこに暮らす人の年齢や人口の増減なども大事なポイントとなります。

■小田急線沿線エリア各市の人口、平均年齢、人口増減

市区町村人口世帯数平均年齢転入超過数
町田市431,221人204,651世帯47.4歳3,470人
海老名市138,856人60,467世帯45.6歳1,082人
厚木市223,991人102,941世帯46.3歳857人
秦野市161,745人71,803世帯48.3歳608人

※転入超過数:「転入者-転出者」の数

出典:人口・世帯数は各市ホームページ、平均年齢は2020年国勢調査(総務省)、転入数は2021年人口移動報告(総務省)より抜粋

上記4市の中でもっとも規模が大きいのは人口約43万人の町田市です。4市の中では唯一東京都に属する市で、新宿までわずか30分。アクセスのよさで人気の高い街です。

2021年の人口統計によると、4市すべてが転入超過(転入者数が転出者数を上回る)で、中でも町田市は首都圏で6位(東京都では八王子市に次ぐ2位)の転入超過数となっており、コロナによる都心離れが進む中、若い子育て世代が積極的に流入していることがうかがえます。

平均年齢は秦野市を除き全国平均(47.7歳)よりも若く、中でも海老名市は駅前再開発により、レストラン、映画館、ショッピングモールなどを併設した「VINA WALK(ビナウォーク)海老名」が誕生したことなどをきっかけに20~30代の流入が増え、4市の中では最も若い街となっています。

■VINA WALK(ビナウォーク)海老名

2-3. 小田急線沿線4市の財政力は概ね健全

街選びでは、人口や世帯数といった規模と同様に、市の財政力も重要な指標となります。税収が多く財政力の高い自治体は、再開発や企業誘致といった、将来の街の発展に積極的に投資することができます。また、魅力のある街には税収を支える若い層の流入が増え、さらに街が発展していくという好循環が生まれます。

■小田急線沿線エリア各市の財政力指数

市区町村財政力指数
町田市0.97
海老名市1.06
厚木市1.26
秦野市0.88

出典:令和2年度地方公共団体の主要財政指標一覧(総務省)

財政力指数とは、自治体の財政需要額(必要とするお金)に対して、地方税等の自主財源がどのくらいの割合かを示すものです。つまり、財政力指数が1.0以上の自治体は、必要なお金を税収のみで賄える財政力があるということになります。

上記4市のうち、厚木市は県内2位の1.26、海老名市は県内6位の1.06と非常に財政力の高い街です。町田市、秦野市は1.0を下回っていますが、全国平均が0.51であることからみると財政状態は概ね健全だと言えるでしょう。

■あつぎ飯山桜祭り

出典:あつぎ観光なび

2-4. 小田急線沿線エリアの名所・商業施設・イベント

そして街を活性化し、多くの人を呼び込むためには、街の顔となる名所やイベントも重要な要素となります。小田急線沿線は小田急線開業とともに計画的に開発が進められているため、駅周辺の商業地域、住宅地、郊外の自然がバランスよく調和した街並みとなっています。 4市の自然環境、商業施設、名所や施設、イベントなどをピックアップしてみました。

■小田急線沿線エリアの名所やイベント

自然環境商業施設名所・施設イベント
町田市町田リス園
薬師池公園
子ども創造キャンパスひなた村
南町田グランベリーパーク
町田東急ツインズ
ルミネ町田
コストコ多摩境倉庫店
国際版画美術館
町田天満宮
町田さくらまつり
町田時代祭り
キラリ☆まちだ祭
海老名市相模三川公園
本郷ふれあい公園
海老名運動公園
伊勢山自然公園
ららぽーと海老名
ViNA WALK
イオン海老名店
ロマンスカーミュージアム
ファンタジーキッズリゾート海老名
春(秋)のせせらぎ祭り
えびな市民まつり
ビナウォークイルミネーション
厚木市七沢森林公園
自然環境保全センター
小鮎川
本厚木ミロード
アミューあつぎ
厚木一番街通り
イオン厚木店
七沢温泉・飯山温泉
飯山観音長谷寺
荻野運動公園
あつぎ鮎まつり
あつぎ飯山桜まつり
あつぎ七沢森のまつり
秦野市秦野戸川公園
秦野市中央運動公園
弘法山公園
大山
震生湖
イオン秦野
小田急マルシェ秦野
秦野ショッピングセンター
秦野カルチャーパーク
奥津国道美術館
菜の花台(ヤビツ峠)
秦野たばこ祭
秦野丹沢まつり
はだの桜まつり
鶴巻温泉春まつり

※新型コロナの影響により、休業中の施設や中止・延期となったイベントも含まれます

町田市の「南町田グランベリーパーク」は、町田市と東急による再開発により生まれた施設で、大型のショッピングモール、レストラン、映画館、公園、イベントスペースなどが併設された、家族で一日中楽しめるスポットとなっています。隣接する住宅エリアには2024年に34階建てのタワーマンションも完成予定です。

■南町田グランベリーパーク

また、少し都心から離れる厚木~秦野には、丹沢山系の山々や豊かな自然が広がり、登山やキャンプ、釣りなどアウトドア好きな方にとっては夢のような環境です。

厚木市の七沢森林公園は横浜スタジアムの約24倍の広さを誇る県内最大級の都市公園で、バーベキューやアスレチック、山歩き体験なども楽しめます。

■七沢森林公園(厚木市)

3. 小田急線沿線エリアの住まい探し。価格相場や供給状況を知っておこう

小田急線沿線エリアの魅力がわかったところで、いよいよ小田急線沿線エリアの住まい探しに進めていきましょう。

3-1. 小田急線沿線エリア主要駅の土地価格

まず土地の価格を見ていきましょう。小田急線沿線エリア4市の主要駅ごとに平均地価を調べてみました。各駅の位置関係などはマップも合わせてご覧ください。

■小田急線沿線エリア 主要駅ごとの平均地価(住宅地)

市区町村主な路線駅名地価(㎡)地価(坪)前年比
町田市JR・小田急線町田駅21.4万円70.6万円+0.3%
海老名市JR・小田急線・相鉄線海老名駅18.2万円60.2万円+0.7%
厚木市JR・小田急線本厚木駅17.7万円58.2万円+1.8%
伊勢原市小田急線伊勢原駅12.8万円42.4万円+1.3%
秦野市小田急線秦野駅9.2万円30.2万円-1.5%
小田原市JR・新幹線・小田急線小田原駅14.7万円48.3万円-0.2%

出典:2021年公示地価。駅距離2,000m以内の住宅地の平均(1坪=約3.3㎡)

この中でもっとも地価が高いのは町田駅で21.4万円/㎡、2位、3位はほぼ同水準で、本厚木駅の17.7万円/㎡、海老名駅の18.2万円/㎡となっています。そして伊勢原、秦野と都心から離れるほど地価は下がりますが、新幹線停車駅の小田原は、逆に相場が上がり14.7万円/㎡となっています。

また前年比で見ると、上昇率が1%を超えるのは本厚木駅(+1.8%)、伊勢原駅(+1.3%)のみで、町田、海老名、小田原はほぼ横ばい、秦野はマイナス1.5%となっています。

小田急線沿線の地価は、厚木を境に相場が下がるので、少し高くても都心に近いエリアを求める方は町田~海老名、郊外で広めの家をリーズナブルに買いたい方は、厚木以西のエリアを中心に物件探しを進めてみるとよいと思います。

3-2. 小田急線沿線エリアの新築供給。マンションを探すなら町田~海老名を中心に

次に小田急線沿線エリアで供給されている新築物件について見ていきましょう。各市の2021年の住宅着工戸数は以下の通りです。

■小田急線沿線エリアの住宅着工戸数

  市区町村    注文住宅   分譲一戸建 分譲マンション  賃貸住宅  
町田市705戸859戸549戸849戸
海老名市310戸193戸201戸346戸
厚木市446戸186戸0戸443戸
秦野市465戸206戸81戸351戸

出典:2021年 建築着工統計(国土交通省)

4つの市の中で供給数がもっとも多いのは町田市で、注文住宅、分譲マンション・一戸建ともにバランスよく供給されています。海老名市も供給数は少ないものの、マンションと一戸建のバランスがよく選択肢の多いエリアだと言えるでしょう。

一方、厚木市、秦野市はマンションの供給が減り、注文住宅の比率が高まってきます。地価がリーズナブルで広い土地を求めやすいことが要因と思われます。

総じて言えば、マンション希望の方は町田~海老名、注文住宅希望の方は厚木~秦野を中心に検討してみるとよいでしょう。

3-3. 小田急線沿線エリアの中古物件相場。やはり町田、海老名の人気が高い

続いて、中古物件の価格相場を見てみましょう。LIFULL HOME‘Sが公表している「住まいインデックス」によると、4市の中古物件の価格相場は以下の通りです。

市区町村中古戸建中古マンション
町田市3,718万円3,645万円
海老名市3,266万円3,386万円
厚木市2,995万円2,958万円
秦野市2,375万円2,186万円

※一戸建は延床面積100㎡・マンションは専有面積70㎡(ともに築10年)を基準とした価格相場

出典:HOMES住まいインデックス(LIFULL HOME’S)

やはり相場としては町田市が最も高く3,000万円台後半、都心から離れるにつれ相場は下がり、秦野では2,000万円台前半まで下がります。町田~秦野間は電車で30分ほどの距離ですが、約1,500万円の価格差は大きいのではないでしょうか。

3-4. 小田急線沿線エリアでの物件の探し方

小田急線沿線での物件探しは、前述のように交通利便性の高いエリアのマンションを選ぶか、自然豊かなエリアで広めの一戸建を選ぶかがポイントになります。前者であれば町田・相模大野・海老名エリア、後者であれば海老名・本厚木からスタートして伊勢原・秦野、さらに小田原まで広く検討してみるとよいと思います。小田原は新幹線を使えば東京駅まで約30分ですので、通勤頻度の少ない方にはむしろメリットが大きいかも知れません。

ライフスタイルや家族の要望、ご予算に合わせて検討してみましょう。

■弘法山公園(秦野市)から見た秦野市街と富士山

出典:秦野市観光協会

5.ランキングで見る小田急線沿線エリア

今回ご紹介した小田急線沿線エリアの4市は、その利便性の高さや自然環境などで様々なランキングにも登場しています。最後にこの4市が選出されたランキングの一部をご紹介したいと思います。

■小田急線沿線エリアの4市が選出されたランキング

町田市町田駅「東京都で人気の駅 総合ランキング(アットホーム)」1位
多摩境駅「本当に住みやすい街大賞2022 (ARUHI)」首都圏3位
海老名市海老名駅「SUUMO住みたい街ランキング2022(リクルート)」関東28位(神奈川県3位)
海老名駅「神奈川県民に聞いた!県内で住みやすい街2021(アットホーム)」5位
海老名市「シティブランド・ランキング 住みよい街2021(日経BP)」関東17位(神奈川県2位)
海老名市「住みよさランキング2021(東洋経済)」神奈川県2位
厚木市本厚木駅「住みたい街ランキング(LIFULL HOME’S)」借りて住みたい街1位・買って住みたい街5位
厚木市「共働き子育てしやすい街2021 総合編(日経BP)」全国5位
秦野市おいしい秦野の水「名水百選 選抜総選挙(環境省)」おいしさ部門 全国1位
秦野市「水道料金が安い市」神奈川県2位

都心アクセス重視で都会的なライフスタイルを志向する方にも、自然豊かな環境でゆったり子育てしたいファミリーにもおすすめの小田急線沿線。平日はロマンスカーで通勤しながら、休日は海、山、温泉でリフレッシュ。そんなライフスタイルを目指す方はぜひ一度現地を訪れてみてはいかがでしょうか。

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